自動車事故のときの<人身傷害保険>が役に立つ理由とは?

自動車事故のときに役に立つのは人身傷害保険です。では人身傷害保険とは、どんな補償がされるか知っていますか?その補償の内容や支払い条件、加入のメリットなどを解説していきます。



人身傷害保険とは?

自動車の任意保険の補償の中に含まれる人身傷害保険とは、契約している自動車へ搭乗中のときに、事故でケガや死亡してしまった場合の補償をする保険です。人身傷害保険は、その事故の過失割合に関係なく、実際の損害額の全部が保険金として支払われる補償です。

過失割合に関係がないということは、もし示談交渉が長引き、相手の過失分について支払いが遅れてしまっている場合でも、その相手の過失分も自分が加入している保険から支払われるということになります。人身事故の場合、実際の損害額は入院費や治療費に加えて、仕事を休んだ場合の休業損害、また精神的な損害についても補償がされます。

事故の過失割合での支払いについて

自動車同士の人身事故の場合、どちらがどのくらいの過失があったのかを調べて、過失の割合を決めることになります。全体を100として、どちらも同じ過失があると判断された場合、相手が50の過失、自分が50の過失という具合になります。

損害額が100万円ということであれば、自分の保険からは50万円の保険金が支払われ、相手の保険から50万円が支払われるということになるのですが、この過失割合の示談交渉が長引いた場合に、保険金はいつまでも支払われないということになります。そうした場合、治療費や仕事を休んだ損害について、なかなか保険金が支払われないということになりかねません。

しかし、人身傷害保険に加入していることで、自分の保険会社が相手の過失の分も立て替えて、100万円支払ってくれるのです。つまり、相手の過失分の50万円を自分の保険会社が立て替えていますので、示談交渉が終わったら、自分の保険会社は相手の保険会社から50万円を回収するという形になるということです。

人身傷害保険に加入していることで、示談などに関しても保険金の支払いに関しても心配することなく、安心してケガなどの療養ができますね。

幅広い補償がある

人身傷害保険では、自分の自動車に搭乗しているときだけでなく、被保険者とその家族が歩行中や自転車に乗っている時、また他の車に搭乗している時であっても、事故によってケガや死亡してしまった場合に補償がされますので、人身傷害保険はとても幅広い補償となっています。

被保険者とその家族が補償の対象ですが、その家族の定義としては、記名被保険者とその配偶者、同居している親族、別居の未婚の子までとなっています。

このように、自分の車に乗っているときだけでなく幅広く補償がありますので、いざという時でも安心ですね。ただし、人身傷害保険の補償範囲については、自分の自動車に搭乗中のみという選択もあるため、その場合は補償がされませんので気をつけましょう。今一度、自分の自動車保険の保障内容について、確認をしておくことが大切です。

人身傷害保険|自動車保険はチューリッヒ
参照元:チューリッヒ(2016年1月、著者調べ)



人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違い

人身傷害保険と搭乗者傷害保険については、多くの方がその違いについて「よくわからない」と言われます。どちらも、自動車に搭乗中の補償になるのですが、この2つの補償内容はどう違うのでしょうか?

補償範囲の違い

簡単にいうと、人身傷害保険は実損払いであり、搭乗者傷害保険は定額払いということです。

人身傷害保険は、その損害額について実際の金額を規定によって計算をして、その損害額を支払うものになりますが、搭乗者傷害保険は、たとえば首を捻挫したら10万円、骨折したら30万円というように、そのケガの部位や状態によって保険金が決まっています。また入院したら1日あたり10,000円という内容のものもあります。

人身傷害保険は休業損害や精神的損害に関しても補償されます。そして自動車に搭乗していないときの補償もされますので、その保障の範囲は搭乗者傷害保険に比べると広く厚い補償となっているといえます。

逆に搭乗者傷害保険は、ケガをした場合にすばやく支払われる補償となりますので、その補償の範囲は狭いものの、支払い時期については搭乗者傷害保険のほうが早いといえます。

人身傷害は必要?

人身傷害保険はその補償の範囲が広く厚くなっていますので、搭乗者傷害保険よりも人身傷害保険をしっかり備えておくことが良いと思います。もちろん、自分の補償のみで良いということであれば、搭乗者傷害保険のみでも構いません。しかし、人身傷害保険は必要だと考えます。

実際の損害をしっかり補償されるので、保険料を抑えようと思うのであれば、人身傷害保険のみでも大丈夫だと思います。もちろん、どちらも補償がついていれば、その分補償が厚くなりますので、余裕があるのであれば、人身傷害保険と搭乗者傷害保険のどちらも備えておく方が安心でしょう。

「人身傷害」と「搭乗者傷害」との違いは何ですか? | よくあるご質問 | おとなの自動車保険 | セゾン自動車火災保険
参照元:セゾン自動車火災保険(2016年1月、著者調べ)

人身傷害保険のメリットは?

人身傷害保険のメリットは、実際の損害額を補償してくれることになります。その損害額には、ケガによる通院や入院費はもちろんのこと、会社を休んだ場合の休業損害補償や、精神的な損害補償まで含まれます。

搭乗者傷害保険では、ケガや死亡による補償のみとなりますが、人身傷害保険の補償の範囲は幅広いということが大きなメリットになりますね。また、相手の過失分の支払いや、歩行中の自動車事故なども補償されますので、安心感が大きくなります。

相手の過失分も支払われる

相手の過失分まで支払われるということは、示談が進まない・長引いているなどの場合でも、その損害額の全額を自分の保険で補償がされるため、支払いが早いことが特徴です。

相手の過失分とは、例えば車同士の事故で、相手が60、自分が40の過失であった場合、本来であれば相手の保険会社からその過失分の60を支払ってもらうのですが、示談が終わらないことにはこの支払いがされないのです。

しかし人身傷害保険では、自分の保険会社から相手の過失分の60と自分の過失分の40の両方を受け取れるという形になるため、損害の全額が支払われるということになります。もちろん、自分の保険会社が相手の保険会社の支払い分60を立て替えるという形になりますので、示談交渉が終わると相手の過失分は保険会社が請求をすることになります。

示談を待つことなく、人身傷害保険では全額補償がされるので、安心ですよね。

歩行中の自動車事故も補償

自動車保険では自動車に乗っているときだけの補償と思っているかたも多いのではないかと思います。じつは人身傷害保険では、歩行中や自転車に乗っているとき、他人の自動車に乗っているときの自動車事故についても、補償がされるのです。

この補償については、搭乗中のみという選択をすることもできるため、その場合は歩行中などの補償はつきませんが、同居の家族の中で1台だけでもこの補償がついていれば、同居の家族と別居の未婚の子までこの補償がされることになります。

例えば車を3台所有している場合、そのうちの1台のみに人身傷害補償保険で歩行中などの補償もついているように設定してあれば、他の2台が搭乗中のみの補償であっても問題がありません。逆に、3台ともにこの補償がついている場合は、補償の重複になってしまうため、保険料に無駄が生じています。保険会社に変更の申し出をしましょう。

自動車保険のアクサダイレクト|人身傷害補償特約は付けた方が良い?
参照元:アクサダイレクト(2016年1月、著者調べ)



人身傷害保険の種類

先にも書きましたが、人身傷害保険には、歩行中なども補償するフルカバーのタイプと、搭乗中のみの補償をする車外保障なしのタイプがあります。フルカバーのタイプであれば、歩行中や自転車での自動車事故、また他人の自動車に乗っている場合の自動車事故についても補償がされます。

しかし搭乗中のみの車外補償がないタイプの場合は、上記のような補償はなく、その契約している自動車に乗っている時の自動車事故の場合のみの補償となります。

自身の自動車保険はどちらのタイプになっているか、確認をしておく必要があります。おすすめは、フルカバータイプの補償です。そして、同居の家族が所有している自動車の内、1台のみについていれば、同居の家族と別居の未婚の子まで保障されますので、すべての自動車保険について確認してみてください。

車外補償がない場合もある

基本的にフルカバータイプが主となっていますが、保険会社によっては初めから車外補償のないタイプで設定してある場合もあります。1台もこのフルカバーがついていないということになると、歩行中の自動車事故などが補償されませんので、必ず1台は補償をつけておくことをおすすめします。

人身傷害保険の「車内・車外ともに補償」タイプを2台目以降の契約にセット | よくあるご質問 | おとなの自動車保険 | セゾン自動車火災保険
参照元:セゾン自動車火災保険(2016年1月、著者調べ)

保険料の目安

さて、人身傷害保険のフルカバータイプでの保険料についてですが、保険会社によっても異なりますが、一例としてみていきましょう。

【例1:2012年1月登録のフィット、記名被保険者が39歳、年齢制限35歳以上、運転者範囲が本人と配偶者と別居の未婚の子、人身傷害保険金額が5,000万の場合】
人身傷害保険部分の保険料:1,050円

【例2:2012年1月登録のプリウス、記名被保険者51歳で運転者年齢制限なし(同居の20歳の子が運転するため)、運転者範囲は限定なし、人身傷害保険金額が5,000万円の場合】
人身傷害保険部分の保険料:2,060円

これは年払いの保険料になりますので、この金額で補償されるのであれば、フルカバータイプで補償をつけておくのが良いですよね。

30代Bさんの補償の選び方│セゾン自動車火災保険
参照元:セゾン自動車火災保険(2016年1月、著者調べ)

50代Eさんの補償の選び方│セゾン自動車火災保険
参照元:セゾン自動車火災保険(2016年1月、著者調べ)

契約の方法

人身傷害保険は、自動車保険の中の補償のひとつになります。自動車保険の契約のときに、人身傷害保険をつけるかどうかを選択することができます。そして、その金額の設定や補償の範囲内についても、自動車保険の契約時に選択ができます。

また、現在加入の自動車保険に人身傷害保険がついていない場合に、その契約期間の途中であっても、補償を追加することが可能です。その場合、保険会社に連絡をして手続きをしてもらいましょう。手続きの際は、必ず自身で補償の内容を確認することが大切です。

保険会社任せになっていると、思いがけず補償が足らないことがあったり、無駄な補償があったりすることもあります。わからないことは確認をして下さい。人身傷害保険については、どんな内容なのかはもう確認ができますね!

人身傷害保険の支払いがされない場合

人身傷害保険は自動車に搭乗中の人身事故によるケガや後遺障害、死亡の場合などの保険です。しかし、自動車事故であれば何でも補償対象となるわけではありません。中には補償対象外となるケースもあるので、確認しておきましょう。

補償対象外の条件

補償対象外となるケースは以下の通りです。

①故意または重大な過失による事故の場合
②無免許運転・酒酔い運転などの過失がある場合
③自殺行為や犯罪行為による事故の場合
④受取人の故意や重大な過失による事故の場合
⑤自身もしくは噴火、津波による損害
⑥競技や曲技、もしくは試験のための使用の場合
⑦危険運転を故意的にしている場合 

これらは補償対象外の一部となりますので、必ず各保険会社に確認をするか約款などを確認するようにしましょう。

まとめ

人身傷害保険は、自動車事故によるケガや後遺障害や死亡の場合の補償で、実損分を補償するものになります。ケガなどの治療費に加えて、仕事を休んだ場合の休業損害や精神的損害の補償までされるものですので、補償としては厚いものになりますね。

また、車外補償までついているタイプであれば、契約している自動車の搭乗中のみならず、歩行中や自転車搭乗中、他人の自動車に搭乗中の事故まで補償がされるので、その補償の幅も広くなっています。さらに、相手がいる自動車事故の場合、相手の過失分も含めて全額自分の人身傷害保険から支払ってもらえるので、示談が長引いてしまっている場合でも安心ですね。

年払いの保険料はそれほど高いものではありませんので、人身傷害保険は自動車保険につけておくことをおすすめします。しかし、自動車事故は怖いものですので、自動車を運転する方は安全運転を心がけてくださいね。