扶養控除申告書の書き方を覚えて節税に挑戦しよう!ポイント解説

扶養控除申告書の書き方で控除を受けることができるのに受けられないことがあります。1年に1回の年末調整に必要な書類ですから「あれ、どう書くのか忘れてしまった」という方も多いでしょう。ちょっとした記入の間違いで所得控除が受けられずに戻ってくる払い過ぎた所得税が戻ってこないこともあり得ることです。年末調整は本人の代わりに会社が行ってくれる確定申告ですので間違いない書き方についてご紹介しましょう。



扶養控除申告書の書き方(概要)

年末調整で渡される書類

毎年11月の中旬になると会社から渡される2つの書類「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」がありますね。これらの書類はその年に徴収された所得税の清算処理や翌年の所得税額及び住民税額を決める他に、その年に支払った生命保険料がある場合は控除してもらうために必要となります。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
配偶者控除やその他の扶養控除を受けるために申告する。

・保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書
生命保険料や地震保険料などを支払った場合に控除してもらう他にも配偶者特別控除を受けるために申告する。

これらの書類は本人が行う確定申告を会社側が代わりにやってくれる確定申告と捉え、提出するときは記入の漏れや間違いがないようにチェックしましょう。今回は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方や注意すべき点をご説明していきたいと思います。

平成27年分年末調整がよくわかるページ|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は簡単にいえば扶養控除を受けたい人が書く書類です。控除を受けたくない人は書く必要がありません。扶養家族がいないという方は扶養控除を受けることはできませんので、この書類を提出しても意味がないと判断し会社へ提出しない人もいるかも知れません。

しかし所得税や住民税を多く払いたいと考えている人はなかなかいないのではないでしょうか。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出は単に扶養家族がいないから不必要なものと思ってしまうと、1月に支給される給料の額が大きく減ってしまうことになってしまうこともありますよ。

「給与所得の源泉徴収税額表」を見たことはあるでしょうか。この税額表は社会保険料を差し引いた給料の額に応じて会社が税務署に代わって徴収すべき所得税の金額があらかじめ計算されており、会社の事務担当者はこの税額表に基づいて社員の所得税を徴収しているのです。要は所得税の「早見表」のようなものです。

給与所得の源泉徴収税額表(平成27年分)
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

給与所得の源泉徴収税額表

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しないと所得税の区分が、より税額の高い「乙欄」を参照されてしまうのです。書類を提出している社員は通常の「甲欄」によって所得税を徴収されるのですが、「乙欄」と「甲欄」では所得税に大きな差があります。

例を上げてご説明しますと、扶養家族がいない人で社会保険料を差し引いた給料が25万円の場合、「甲欄」を参照すると所得税額が6,530円ですが「乙欄」を参照されると3万6,400円と5倍以上の所得税になってしまいます。1月に支給された給料が3万円以上低いと気づいて会社の事務担当者へ話に行けば「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出がなかったので、といわれてしまうでしょう。

書類を提出し税区分を「甲欄」に戻してもらうことはできますが、多く払い過ぎた3万円は翌月の給料にプラスされて戻ってはきません。その金額を取り戻すには本人が税務署へ確定申告しなければならず、手間もかかってしまいますので提出すべき書類はきちんと提出しましょう。

No.2511 税額表の種類と使い方|源泉所得税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

扶養親族の控除とは

所得控除の対象者には配偶者や扶養家族で控除の条件に該当する人を記入します。具体的には以下の扶養家族が対象となります。

・配偶者控除
:夫が扶養していれば妻、妻が扶養していれば夫

・扶養控除
:年齢が16歳以上23歳未満及び23歳以上70歳未満の人

・特定扶養控除
:年齢が19歳以上23歳未満の人

・老人扶養控除
:年齢が70歳以上の人(親を含む)

・寡婦(寡夫)控除
:配偶者と別れてその後結婚していない人

・障害者控除
:扶養家族に障害を持った人がいる人

・勤労学生控除
:仕事をしている学生

以上の扶養家族で所得控除の条件に該当すれば、それぞれの所得控除を受けることができます。この人に対する各控除のことを「人的控除」といいますので覚えておくと何かと便利かも知れません。各控除の詳細は次の項目でご説明します。



扶養控除申告書の書き方(ポイント)

配偶者の有無

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の上の欄には本人の氏名や住所を書きますが、右上の隅に「配偶者の有無」という欄があります。配偶者がいれば「有」にマル、いなければ「無」にマルしますが、これを忘れずに記入しましょう。

「配偶者の有無」は所得税とは関係ありませんが翌年の住民税にかかわってきます。住民税は年収が100万円を超えると課税され、極端ではありますが1円でも超えると1円に対して住民税がかかります。たった1円といっても住民税は均等割と所得割という2つの課税方式となっていますので、所得に対してかかかる所得割が0円だとしても均等割というただ住んでいるだけで課税される税金があります。

金額は自治体によって多少の差がありますが4,000円から5,000円という自治体が多く、1円に課税されると自動的に均等割が発生してしまうため、配偶者がいてもその欄に記入がないと自治体も均等割を課していいものか困ってしまい、多くは課税してしまうようです。

配偶者を扶養している場合は、扶養者が均等割りを納めていれば配偶者に均等割を課税することはありません。

連合|所得税・住民税はどうなりますか?(労働者派遣に関するQ&A)
参照元:日本労働組合総連合会(2016年1月、著者調べ)

住所は現住所?

転勤した方で住民票を異動していないという場合「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に書く住所は住民票のある住所を書くのか、それとも現在住んでいる住所を書くのか迷いますよね。そのときは申告書を提出する年の1月1日現在の住所を書くことになっています。したがってこのケースでは住民票のある住所を書くのが原則となります。

住民税は住民票を基に課税するようになっています。年末調整時に提出した申告書により会社側はその住所のある市区町村宛に書類を送り、役場は住民税の計算をしなければなりません。もし現住所を書いてしまうと住民票がある役場に書類が届かず処理に困ってしまいます。

住民票を異動してあれば異動先で住民税を課税しますので問題はありません。住民票と現住所が違う場合で申告書に現住所を書いてしまったら住民票の住所を書いたメモも申告書と一緒に提出しましょう。

税務関係の申告|東京都北区
参照元:東京都北区(2016年1月、著者調べ)

世帯主の氏名

世帯とは生計を一にしている家族のことをいいます。そして世帯主は家族の長となっている人が一般的になることが多いですが、親が高齢になったからという理由で同居している息子が世帯主になることもあります。役場にとって世帯主はインデックスのようなものですから同一家族の誰が世帯主であっても良いことになります。

仮に世帯が夫婦と子どものようなときは夫が世帯主になることが多いようですが、妻が世帯主となることもあるでしょう。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の世帯主の欄はさほど重要ではないようですので、扶養者が夫であれば夫の名前を書いておけば無難といえるでしょう。

もし正確に知りたいのなら、住民票を取得すれば誰が世帯主なのか書いてありますのでそれで確認することが可能です。

平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

あなたとの続柄

「あなた」とは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出する人ですから、その人から見て世帯主との関係を書きます。「あなた」が妻なら世帯主は夫の可能性が高いですから「続柄」には「夫」と書き、「あなた」が世帯主なら「本人」と書きましょう。

「あなた」がシングルで住民票を異動し1人暮らししているなら世帯主はおそらく「あなた」ですから「続柄」は「本人」です。シングルでも親と同居していて世帯主が親なら「父」や「母」と書きます。

また控除対象扶養親族の区分Bにも「続柄」を書く欄がありますが、「あなた」に扶養している家族との「続柄」を書きます。子どもがいれば「長男」や「次男」、または「長女」や「次女」、親を扶養していれば「父」や「母」、祖父母を扶養していれば「祖父」や「祖母」と書けばOKです。

特定扶養親族の欄

申告書の中ほどに「特定扶養親族」の欄がありますが、ここは年齢が19歳以上23歳未満の扶養親族、例えば該当する子どもがいる場合に「〇」を記入します。申告書を見ると何を書いたら良いのか迷いそうですが単純に「〇」で良いです。

扶養親族の基本

条件について

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記入する扶養親族は、同居している家族を書くのではなく扶養家族の中でも扶養親族になる人とならない人がいますので注意しましょう。

基本は年齢です。以前は年齢には平成22年度までは年齢制限はありませんでしたが、平成23年度から年齢制限が設けられました。

・年末調整時の年の12月31日時点で満16歳以上であること

会社へ提出する期限は11月の末や12月初旬となっている場合で、子どもの誕生日がそれ以降であっても12月31日の時点で16歳になっていれば扶養親族区分Bに書くことができます。他の扶養親族においても年齢の判断は12月31日で行いましょう。

No.1180 扶養控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

扶養親族の収入

申告書に記入できる扶養親族は年齢条件の他に収入の条件があり、年金受給者以外は年収103万円以内が条件となります。103万円を超えてしまった場合は扶養控除の対象となりませんので、その場合は記入しないようにしましょう。

また年金受給者の扶養親族の年金額は年齢によって上限が異なり、65歳未満の場合は108万円以下、65歳以上の場合は158万円以下であることが条件となります。

高齢者と税(年金と税)|税について調べる|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)



控除額

一般の扶養控除

年齢が16歳以上19歳未満と23歳以上70歳未満の扶養親族は「一般の扶養控除」として38万円の所得控除を受けることができ、筆者の計算では扶養者の年収が500万円程度なら年額にして所得税約3万8,000円と住民税約3万3,000円の合計7万1,000円の節税となるでしょう。

子どもや親が該当すれば7万1,000円x扶養親族の数だけ節約できる可能性があるといえます。子ども2人と両親なら扶養親族は4人ですから7万1,000円x4人=28万4,000円です。経済的に効果がありそうですね。

記入する欄は扶養親族区分B欄となります。

控除の種類/上田市役所
参照元:上田市(2016年1月、著者調べ)

特定扶養控除

年齢が19歳以上23歳未満の扶養親族がいれば「特定扶養控除」として所得控除63万円を控除できます。年齢はあくまで12月31日時点で判断しますので、極端な例では翌1月1日で23歳になるとしても特定扶養親族ですから区分Bに記入しましょう。また親元離れて遠くの学校へ通っている場合は「生計を一にする事実」の欄に仕送り額を年額で記入します。

控除される金額が大きく所得税にして、扶養者の年収が500万円程度の場合筆者の計算で所得税が年額約6万3,000円と住民税約4万5,000円の合計10万8,000円を節約できそうです。

老親扶養控除

年齢が70歳以上の親または祖父母が扶養親族に該当すれば同居している場合58万円の所得控除、別居している場合は48万円を老親扶養控除として受けることができます。扶養者の年収が500万円程度の場合筆者の計算で所得税約5万8,000円と住民税約4万5,000円の合計10万4,000円、別居なら所得税約4万8,000円と住民税3万8,000円の合計8万6,000円の節税となりそうです。

なお親や祖父母以外でも該当する扶養親族がいれば48万円の所得控除を受けることができ、所得税約4万8,000円と住民税3万8,000円の合計8万6,000円の節税となりそうです。記入箇所は扶養親族区分Bで「同居」か「老親等」の該当する方へ「〇」しましょう。親や祖父母以外の親族は「その他」に「〇」です。

障害者控除

扶養親族の区分Cに障害を持つ扶養親族を記入します。年齢で控除される金額にプラスして27万円を「障害者控除」として受けることができます。扶養者の年収が500万円程度の場合筆者の計算では所得税約2万7,000円と住民税約2万6,000円の合計5万3,000円を節約できそうです。

また特別障害者の場合は40万円の所得控除、さらに扶養者と同居している場合は75万円の所得控除を受けることができ、住民税と合計すれば約7万円、同居しているなら約9万8,000円の節税となるでしょう。

記入は本人や配偶者が該当すれば「〇」、扶養親族なら人数を記入します。左記の内容には以下のように障害者手帳の交付年月日や障害の程度などを記入します。

「左記の内容」欄には、それぞれ次の事項を記載してください。
イ 障害者(特別障害者)……障害の状態又は交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度(障害の等級など)などの障害者(特別障害者)に該当する事実。その人が控除対象配偶者や扶養親族の場合には、併せてその人の氏名(特別障害者に該当する人のときは同居の有無)、なお、その人が年齢16歳未満の扶養親族である場合には、その人の個人番号、住所又は居所、生年月日、あなたとの続柄
及び平成28年中の所得の見積額(これらは住民税に関する事項に記入するため、記入を省略できます。)

また、その年齢16歳未満の扶養親族が非居住者である場合には、その旨及び平成28年中にその親族に送金等をした金額の合計額(送金等をした金額の合計額は、年末調整時に記載)

出典:

www.nta.go.jp

No.1160 障害者控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

寡婦(夫)控除や勤労学生控除

扶養親族区分Cの中ほどに寡婦(夫)や勤労学生の欄がありますが、この欄は申告者本人が該当する場合に「〇」をつけ、所得控除を受けることになります。一般の寡婦(夫)は27万円、特別の寡婦(夫)は35万円が控除されます。左記の内容には以下のように書きましょう。

勤労学生控除は27万円の所得控除です。

寡婦又は寡夫……死別、離婚、生死不明の別、生計を一にする子の氏名及びその子の平成28年中の所得の見積額などの寡婦又は寡夫に該当する事実。また、「特別の寡婦」又は「寡夫」に該当する人については、これらのほか平成28年中の所得の見積額
ハ 勤労学生……学校名と入学年月日及び平成28年中の所得の種類とその見積額

出典:

www.nta.go.jp

No.1170 寡婦控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

No.1175 勤労学生控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

まとめ

いかがでしたでしょうか。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に漏れや間違いがあると所得控除されない場合や所得税の還付金が少ないなどの影響がでてしまいます。1年に1度しか書く機会がありませんので簡単とはいえませんが、提出期限間になって慌てて書くと間違いがでる可能性がありますので、早めに準備しゆっくり書くようにしましょう。