【雇用保険】失業保険マニュアル!知らないで損していませんか?

失業期間中は何かと不安なもの。特に自己都合での退職だと、失業保険は3カ月経たないと支給されません。しかし自己都合でもすぐに支給されるケースもあるのです。見えにくい失業保険の制度についてわかりやすくまとめてみました。



雇用保険・失業保険とは

雇用保険は、雇用されて勤務する人が病気や退職などによって仕事を続けることができなくなった時に、手当てを支給してくれる制度です。制度の中には、介護休業給付金や育児休業給付金などの制度もありますが、中でも一番利用が多いと思われるのが失業に関する給付金です。失業給付金は失業保険とも呼ばれていて、4つの制度があります。
 
・基本手当
・就職促進給付
・教育訓練給付
・雇用継続給付

ハローワークインターネットサービス – 雇用保険手続きのご案内
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)



1.基本手当について

基本手当は、失業保険の中で最も基本的な制度ですので、基本手当について重点的にまとめていきます。雇用保険の被保険者が会社や勤務先を辞めた時に、失業中の一定期間支給される手当です。どのくらいの期間支給されるか・いくら支給されるかというのは、雇用保険に加入していた年数や、もともともらっていた給与の額などによって変わります。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

基本手当の手続きの流れ

手続きの大まかな流れ

基本手当の支給申請の流れは以下の通りです。このうち被保険者が行うのは、2以外です。

1.退職
2.事業主がハローワークに離職証明書を提出。離職票が交付される。
3.被保険者がハローワークに出向いて、求職申込を行う。
4.ハローワークにて受給説明会。被保険者に失業認定申告書が交付される。
5.失業認定
6.受給
7.5.6の繰り返し

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

必要書類

基本手当の支給申請(求職申込)の際に必要な書類や持ち物は以下の5点です。

・雇用保険被保険者離職票
・本人確認できるもの(写真付き。免許証が望ましい)
・証明写真(たて3cm・よこ2.5cm)
・印鑑
・本人名義の普通預金通帳

写真と通帳は忘れやすいので、注意しましょう。

ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

注意!離職票がないと手続きできない

離職票は事業主がハローワークにて手続きをするため、多くの社員を抱えている会社などは処理が遅くなることもあります。離職票がないと、ハローワークに行っても手続きをしてもらえません。事業主が行方不明などの特別な事情があればハローワークでも何らかの対応をしてくれるようですが、基本的には離職票がなければ受付自体をしてもらえません。

離職票が用意できるまで時間がかかればかかるほど、失業保険がもらえる時期もずれ込みますので、できれば退職前に離職票を準備してもらうようにしましょう。

ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)



支給期間

支給期間は、雇用保険加入期間・被保険者の年齢によってさまざまの期間が設定されています。基本的には90日から330日の間で幅があります。下に支給期間の一例をあげました。

例1:40歳で雇用保険加入期間が15年の場合:240日
例2:50歳で雇用保険加入期間が20年以上の場合:330日
例3:25歳で雇用保険加入期間が4年の場合:90日

このように、年齢や加入期間によりかなりの差があります。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

待機期間と給付制限

失業保険の基本手当を受給する場合には、7日間の待機期間が定められています。この待機期間は離職理由が自己都合であろうが会社都合であろうが関係なく、全ての人に適用されます。待機期間は離職票の提出と求職申込をハローワークで行った日から7日とされています。

要するに、退職後に初めてハローワークで手続きをした日から7日ということです。この手続きが遅れてしまうと、支給までの期間が後ろにずれこんでいくのでなるべく早く手続きを行うようにしてください。待機期間が終了した後は、退職の理由によって支給制限がかかる場合があります。
基本的には、給付制限がかかるのは以下の理由に該当した場合です。

・自己退職
・重責解雇(自己の責めに帰すべき重大な事由によって解雇された場合)
・ハローワークから紹介された案件や、公共職業訓練などを正当な理由がなく断った場合

逆に支給制限がかからないのは、会社都合で退職した人です。すなわち会社が倒産した・解雇されたといった理由に該当する人は、自己都合での退職に比べて次の就職先を見つける時間的な余裕がないと考慮されることから、支給制限がありません。

ちなみに支給制限の期間ですが、上2つは3カ月の給付制限、最後の項目は、案件や職業訓練を拒んだ日から1カ月とされています。

ハローワークインターネットサービス – 失業された方からのご質問(失業後の生活に関する情報)
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

派遣切りされても自己都合?

給付制限があるのは、自己都合で退職、または重責解雇の場合だと書きました。要するに会社都合であれば給付制限がなく、7日の待機期間のあとには基本手当が支給されます。ここで気になるのが派遣社員などの有期雇用者の場合です。

派遣社員は数カ月から1年単位で雇用契約を結び、期間が来るとまた契約期間を更新するという方法で雇用されています。いわゆる「派遣切り」をされる場合は「次回の更新はしない」という会社側からの通知になるかと思いますが、現契約に問題があるわけではありません。

しかしだからといってこのような場合も自己都合として扱われてしまうと、3カ月の支給制限がかかってしまいます。この点、特定理由離職者の要件に該当すれば、会社都合の退職と同視されるため支給制限を受けなくて済みます。

特定理由離職者とは、自己都合で退職したが正当な理由が認められる人をいいます。この特定理由離職者の要件の中に、労働者側が契約更新を希望したにも関わらず更新の合意が成立しなかった人が含まれます。

ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

自己都合退社でも支給制限がかからない場合

派遣切りの他にも、下記のような理由があれば特定理由離職者の要件を満たすため、自己都合で退職しても支給制限がかかりません。

・結婚や転勤、出向などの理由で通勤不可能または通勤が困難になったため退職した場合
・介護や両親の死亡など、家庭の事情が急変したために退職した場合
・配偶者や子どもなどと別居生活を続けることが困難になり、退職した場合

このようなケースに当てはまる場合には、「自己都合だから3カ月待たなければいけない」と自己判断せず、まずハローワークに相談してみることをおすすめします。

ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

基本手当の受給資格について

受給資格の要件は、失業状態にあることです。これはどういうことかというと、働く意思があり、ハローワークにて求職の申し込みを行っている人が対象です。それに加えて、健康で働く能力もあるが仕事に就くことができていない状態の人を言います。ハローワークから仕事の紹介があったり、就職活動の結果採用されたりした場合には、すぐに仕事に就ける状態であることが求められます。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

受給資格の例外

失業状態であることが受給要件となっていますので、以下のような場合には基本手当を受けられません。

・病気やけがですぐ就職できない場合
・結婚などにより、しばらく家事に専念しようと考えている場合
・妊娠や育児のためにすぐ就職できない場合
・定年退職後にしばらくゆっくりしようと思っているとき

これらの場合などは、厳密に言うと「失業状態」には当てはまらないので、受給資格がないようです。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

雇用保険に未加入だった…

アルバイトやパートで勤務していた人の場合でよくトラブルになっているのが、事業主が雇用保険に加入してくれていなかったという場合です。基本的に、失業保険は雇用保険の被保険者が利用できる制度ですので、未加入の場合は利用できません。しかしそれでは生活が行き詰まる恐れも出てきます。

この場合はどうすることもできないのでしょうか?実は、雇用保険はさかのぼって2年間は加入できると決められています。この場合はさかのぼった期間分の雇用保険料をまとめて支払う必要がありますが、雇用保険の従業員負担分は給与額の約5/1000と、失業保険の額に比べたら微々たるものです。

もしも給与明細から雇用保険が天引きされているのに未加入だった場合は、2年以上さかのぼることも認められます。

申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方へ
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

平成 27 年度の雇用保険料率
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

基本手当の日額・日数について

失業保険の基本手当では、「賃金日額」という単位を使って支給額の計算をします。これは、直近6カ月の間に毎月決まって支払われた賃金を180で割った金額です。ちなみに、直近6カ月の中に働いた日が10日以下の月がある場合は、その月は除かれます。

雇用保険の基本手当日額が変更になります
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

ボーナスは含まれる?

賃金日額の計算に使われる「賃金」に賞与や退職金などが含まれるか気になるところですが、含まれません。計算に使われるのは、あくまで「毎月決まって支払われた賃金」になります。もしも判断に迷う名目のものがある場合は、一時金に該当するのかどうかという目線から考えてみると良いと思います。
 

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

2.就職促進給付

失業保険の基本手当以外の制度に就職促進給付があります。就職促進給付には、再就職手当・就業促進定着手当などがあります。

【再就職手当】
基本手当の受給資格がある被保険者が基本手当の支給期間中に安定した仕事に就職した場合、まだ支払われていない支給手当の一部を再就職手当として支給する制度です。

【就業促進定着手当】
就職促進定着手当は以下の場合に支給されます。

・就職して再就職手当を支給された人が
・就職した勤務先に6カ月以上雇用された場合で
・かつ以前の勤務先から支払われていた賃金よりも今の職場で支払われている賃金の方が下回る場合

ハローワークインターネットサービス – 就職促進給付
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

3.教育訓練給付

資格取得などを目的に何らかの講座を受講した時に、受講金額の一部が返ってくる制度です。一般教育訓練給付と専門実践教育訓練給付という二つの制度があります。この制度はいろいろな資格予備校などで利用できますが、利用するためにはその講座が厚生労働大臣の指定する講座であることが必要です。

何かの資格取得やスキルアップを考えている場合は、希望している講座が教育訓練給付の対象になっているか確認しましょう。対象となる講座は看護師やスポーツトレーナー、税理士、ITエンジニアなど、広範囲にわたります。定期的に厚生労働省で対象講座の一覧表が公開されるので、参考にしてみてください。

専門実践教育訓練指定講座一覧(平成27年10月指定)
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

4.雇用継続給付

高齢者雇用継続給付は、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金に分かれます。この制度の対象は60歳から65歳未満の高齢者で、雇用保険加入期間が5年以上あること・60歳以降の賃金が60歳時点に比べて75%未満に低下した場合に対象になります。

例えば定年退職後、嘱託社員などとして同じ勤務先で働くことがありますが、この場合は失業ではないので失業保険の基本手当は支給されません。このような場合に利用できるのが高年齢雇用継続基本給付金、いったん退職して他企業に再就職した場合に支給されるのが 高年齢再就職給付金です。

ハローワークインターネットサービス – 雇用継続給付
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

まとめ

このまとめでは、失業保険のうち最も利用する機会が多い「基本手当」を厚めにまとめてみました。調べていくと、思っていた以上に失業保険が支給されるケースは多いように感じました。

よく言われる3カ月の給付制限期間は自己都合退職の場合に適用されますが、自己都合退職の場合でもこの適用がないケースもあるなど、失業保険について正確な知識がないのとあるのとではかなり差が出てくるように感じます。もしも「こんなケースはどうかな?」と悩むことがあれば、ぜひ最寄りのハローワークに立ち寄ってみることをお勧めします。