そもそも相続税の課税対象となるものは?納税の義務は発生する?

相続税の基礎控除額が改正されました。基礎控除額より課税対象となる相続財産が少なければ相続税を納付する必要がないので申告する義務はありません。そもそも課税対象の相続財産とは何でしょう?まずは相続財産と基礎控除額を算出することで相続税を払う必要があるかないかを知ることができるのです。



相続税の基礎控除額とは?

相続税の基礎控除額

相続税は、基礎控除額より課税対象となる相続財産が少なければ相続税を納付することはありません。まず基礎控除額とはいくらなのでしょうか?基礎控除額は、相続人の人数によって金額が違ってきます。基礎控除額は3,000万円+(600万円×法定相続人)となります。

ちなみに基礎控除は平成27年度から引き下げられてしまいましたので以前は申告、納付しなくてもよかった方までもが申告、納付が必要となりました。

具体的は基礎控除額

例)被相続人(死亡):父、法定相続人:母、兄、本人の場合

3,000万円+(600万円×法定相続人3人)=4,800万円となります。
財産をもらう人の人数ではなく法定相続人なので、相続人ではない人に相続する場合は人数にはカウントされません。もし養子縁組してあるような場合だと法定相続人に該当しますが、人数に制限がありますので注意しましょう。

No.4152 相続税の計算|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(平成28年1月 著者調べ)



相続税の課税対象となる財産は何でしょう?

相続の課税価額

例えば消費税にも課税対象や非課税対象(消費税がかからない物品:例えば給料や収入印紙、固定資産税など)があるように相続税にも課税対象と非課税対象のようなものがあります。

相続税の対象となる課税対象財産とはおもに現金、預金などの預貯金等、家屋、土地などの動産、不動産、貸付金、社債、株式等、国債、地方債等、家具、自動車、美術品、貴金属、ゴルフ会員権までさまざまなものが相続財産となります。

他にも課税対象となる相続財産が3種類あります。

みなし相続財産

民法上の相続財産ではないものですが、実質的には相続により財産を取得するのと同じ経済的効果があるとみなされ相続税の課税とされる財産です。具体的には生命保険契約や損害保険契約の保険金、退職手当等です。

相続税が課税される財産‐みなし相続財産 – 東京相続なんでも相談ルーム(大田区)公認会計士・税理士小林佳与
参照元:小林佳与公認会計士・税理士事務所(2016年1月時点、著者調べ)

相続時精算課税の贈与財産

相続時精算課税制度とは、親から子供へ行う贈与で(生存している間に財産を譲渡することです)通常の贈与に比べて贈与税の負担を軽くすることができます。その代わりに相続時の申告に贈与財産も含めて相続税を計算して、払った贈与税は相続税から差し引いて精算するということです。そもそも高齢化が進むなか高齢者の保有する資産は結構多く、現代の若い世代に早めに贈与してお金をつかってもらおうという事です。

相続時精算課税制度の制限は60歳以上の父母、祖父母から20歳以上の推定相続人にあたる子、孫に財産を贈与することができる制度です。実際、贈与税は税金の中でも一番税率が高いといわれる税金でなかなか贈与をすることをためらっていた方もみえるとは思いますがこの制度を活用すれば2500万円まで贈与しても贈与税がゼロになります。もし、2500万円以上の贈与であれば2500万円を上回った金額に対して贈与税の税率20%で申告できます。しかし税務署へ申告しなければこの制度を使うことはできません。そして相続の時に再度計算をしなおすのです。相続するものを前借りするようなイメージです。

ですので、もし基礎控除より相続財産が少ない場合で相続時精算課税制度を申告した時に税金がゼロの場合は申告する必要はありません。生存中に納税している方は相続税の申告をすれば戻ってきますので必ず申告しましょう。

基礎控除額より相続税財産が多い場合は相続税精算課税制度を適用しているか否か関係なく申告しなければなりません。

No.4103 相続時精算課税の選択|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(平成28年1月 著者調べ)

被相続人から相続開始前3年以内の贈与により取得した財産

相続の開始前3年以内に被相続人からの贈与により財産を取得したことがある場合は、その贈与財産を相続財産に含めなければいけません。

上記の財産を合算したものが相続財産です。これに非課税財産と債務・葬式費用をひいたものが課税価格になります。非課税財産とは仏壇、仏具、墓地、死亡保険金、死亡退職金、功労金、弔慰金のうち非課税限度額までの金額などです。

まとめると下記の式になります。
課税対象の相続財産=相続財産+みなし相続財産+相続時精算課税贈与財産+相続開始前3年以内の贈与財産-非課税財産-債務・葬式費用

No.4152 相続税の計算|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(平成28年1月 著者調べ)

もし基礎控除額より相続財産が多い場合のおおまかな申告の流れ

相続税の申告が必要になった方は、被相続人の死亡の日が相続の開始日になります。

相続の開始日から3ケ月までに相続放棄または限定承認、そして4ケ月までに準確定申告期限、10ケ月までが相続税の申告と納付となります。

No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月時点、著者調べ)

裁判所|相続の放棄の申述
参照元:裁判所(2016年1月時点、著者調べ)

裁判所|相続の限定承認の申述
参照元:裁判所(2016年1月時点、著者調べ)

まとめ

相続税は、課税対象となる財産と基礎控除額をまずは把握しなければなりません。

基礎控除額より課税対象となる財産の方が多い場合は申告義務があります。申告義務のある人がご自身で申告しなければなりません。相続税申告書の提出義務があるかどうかは、相続人の方が判断し申告が必要な場合は法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなければなりません。しかし相続税がかかりそうな人にはたいてい税務署から相続税の申告書が送られてくるようですが・・・。

相続時精算課税制度を活用した方は、基礎控除額より財産が少なくても納税している場合は申告した方がよいでしょう。

No.4103 相続時精算課税の選択|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月時点、著者調べ)