【放射線治療の費用】ガンに備えて知っておきたい医療知識

がんは日本人の死因のトップであり決して人事ではありません。がんを治療するための方法は幾つかありますが中でも放射線治療について注目してみました。放射線治療の内容、そのための費用等を解説します。



増えるがん患者数

テレビを観ていると「がん保険」のコマーシャルを多く見掛けませんか?これだけコマーシャルが多く流されていると言うことはガンに罹患する方は増えているでしょうか。

厚生労働省によると2012年に亡くなった方の死亡原因のトップは悪性新生物、つまりがんです。その後は心疾患、肺炎、脳血管疾患と続いていきます。

2015年になるとがんに罹患された方の人数98万例にもなっています。2014年との比較だけでも罹患された方の人数は約10万例が増えており、残念ながら亡くなられた方も約4千人も増加されているのです。

平成24年 人口動態統計月報年計(概数)の概況
参照元:厚生労働省(2016年1月時点 著者調べ)

どの部位のがんが増えているの?

がんと一口に言ってもいろいろな場所にがんは出現しますね。どの部位に出来るがんが多いのでしょうか。
国立研究開発法人国立がん研究センターが2015年に新たにがんと診断された方の人数を示す罹患数と死亡数の予測しています。

予測されるがん罹患数は、982.100例(男性560.300例、女性421.800例)で、2014年予測値より約10万例増加されています。増加となった原因としては社会の高齢化とがんと登録される精度の向上があると考えられます。

がんとなった部位別にみてみると大腸がん、前立腺がんの罹患が増加しています。男性においては前立腺が最多です。女性では乳ガンが最多になっています。

がんにより亡くなる方の数は370.900人(男性219.200人、女性151.700人)もの人数になっています。2014年と比べると約4千人増加となっています。

こうして見ていると以下に多くの方ががんと戦っているかがわかります。まさに国民病とも言えるがんですが医療の最前線ではどんな治療が行われているか、特に放射線治療に注目してお知らせしたいと思います。

出典:

www.ncc.go.jp



どんな治療?

放射線治療はがんが発生している所だけに治療を行うやり方です。局所治療と呼ばれています。がんのある所に向かって強い放射線を当てることでがん細胞を死滅させます。

放射線治療のメリットとしたは手術等でがんになってしまった臓器を切り取ったりしないので患者さんの体に掛かる負担が少なくて済むということでしょう。また転移してしまったがんにも効果が認められています。積極的な治療以外に、もしがんが体の多くの場所に見つかってしまった場合痛み等の症状を緩和すると言うことも出来ます。

でもがん細胞を死滅させてしまうほどの放射線とは一体どんな物なのでしょうか?

放射線ってなに?

放射線 私たちの目には目に見えません。体に当たっても痛みはもちろんありません。体を通り抜けたことすらわからないくらいです。ですが放射線の中に非常に小さな、けれど大きなエネルギーを持った粒が沢山含まれています。

この粒はエックス線、ガンマ線、ベータ線、アルファ線、中性子線、重粒子線と言った種類に分けることが出来るのです。エックス線は普段病院のレントゲン撮影でお世話になっているのでお馴染みですね。そんな放射線の中でもガンの治療に使用されるのはエックス線、ガンマ線、電子線、陽子線になります。



入院する?治療の回数は?

放射線治療の目的にはがんを治すことです。その他にもがんの再発を防いだり、痛み等の症状を和らげたりすることにも用いられます。そうした治療の目的を始め発症したがんの種類、進行度に応じて放射線の量や放射線を受ける回数が変わります。

また通常の放射線治療では必ずしも入院する必要はなく外来通院にて治療を行います。
入院しなくてもいいといいと言うことはそれだけ体に負担が少ないことの証ですね。

どれくらいの費用がかかるの?

ガンのあるところをピンポイントで治療してくれて、なおかつ体のへの負担の少ない放射線治療の特徴です。あなたが実際に治療を受けてみたいと思った時にはどれくらいの費用が掛かるのでしょうか。

放射線治療は治療に使う放射線の種類や、治療方法、全体として何回放射線を当てるかと言う治療回数によって費用が異なってきます。具体的な費用の内訳としては放射線を当てる治療代、放射線治療のためにお必要な準備のための費用、その他の治療に必要な費用等に大別されます。

公的な健康保険は使える?

公的な健康保険はもちろん利用が可能となっています。保険が適用されるのは手術代、検査代、薬代と言った直接的なものに関してになります。

ですが、放射線治療に限らず医療は日進月歩の進歩を遂げています。そんな最新の研究から生み出された治療方法や薬、また最新鋭の治療に関わる機器は残念ながら健康保険が効かない場合が多くなっていますう。保険が効かない場合は費用の全ては患者さんが支払うことになりますので当然高額なものになってしまうと言う問題があります。

せっかくの最新医療なのにお金の問題で治療を受けることが出来ないなんて!とお考えの方も多いでしょう。そんな先進医療の中で厚生労働大臣がこの治療方法は「先進医療」であると認める場合があります。
その場合は公的な健康保険と保険が適用されない治療内容とを併用させることで出来るようになります。

一般的には医師から治療方針の説明を受けるとき公的な健康保険が受けられるのか、適用ではないのかのお話があります。治療方法について患者さんご本人、そしてその家族の確認を取ってから行いますので事前に医師ときちんとお話しになってみてくださいね。

先進医療の概要について |厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

放射線治療を受けた時の費用の一例

放射線治療は実際にはどれくらいの費用が掛かるのものなのでしょか。皆さん気になる所ですよね。

費用の考え方として治療1日目にかかる費用と毎日の治療日にかかる費用があります。補車線の照射方法によってもかかる費用は異なります。通常の外部照射の場合,3割負担の方では,治療の1日目にかかる費用は12,000~16,000円程度,毎日の治療日にかかる費用は2,800~5,700円程度になります。(1割負担の方では4,000~5,500円程度と900~1,900円程度)特殊な治療を行う場合にはこれに加えて別途費用がかかります。なお,放射線治療は保険適応のため,高額療養費制度の対象となります。

放射線治療の方法と効果について – 県立広島病院
参照元:県立広島病院のサイト(2016年1月現在 著者調べ)

高額療養費制度とは

放射線治療は高額なものになってしまいがちです。治療を受ける患者さん、ご家族にとっては大きな金銭的負担になってしまいます。そんなときに是非利用してもらいたいのが高額療養費制度です。この制度は医療費が高額になってしまったときに払い戻しが受けられる制度です。

ある一ヶ月間に掛かった費用が一定の金額を超えてしまった時まずは治療費を払ってもらい後から払い戻しが受けられます。この一定の金額を自己負担限度額と言います。

自己負担限度額は年齢や所得によって決められています。この制度の特徴としては自己負担限度額は個人ではなく世帯ごとに計算を行うことが出来るようになっているのです。同じ月に同じ世帯の方達が病気や怪我をしてしまって治療を受けたり入院した場合はそれぞれの方に掛かった治療費を合算することが出来るのです。

お一人お一人に掛かった治療費は自己限度額に届いていなくてそれが何人もになってしまったら経済的にとても大変です。そんな時に世帯の人達の全員分の治療費を合算できるのはとても助かりますね。

高額な医療費を支払ったとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元: 全国健康保険協会(2016年1月現在、著者調べ)

がん保険とは?

高額療養費制度はありがたい制度ですがもしご家族の経済的な担い手の人ががんになったとしたらどうでしょうか。がんになってしまった方への治療費は元よりご家族に生活費にも支障が出てきてしまいます。そうなってはがんへの治療に専念することが出来なくなってしまします。こんな時に支えになってくれる存在ががん保険です。

保険商品の中にはガン以外の病気で亡くなった場合も支払われる保険もあります。支払われる保険金も全てを一括で受け取るのか、分割して受け取るのか選択が出来るものがあります。さらに分割での支払いで分割される回数も選択することが出来るものもあります。

がん保険での補償の内容を具体的に見ていきましょう。

アクサダイレクトのがん終身|アクサダイレクト生命
参照元:アクサダイレクト (2016年1月現在 著者調べ)

治療費への補償

◇治療費への補償
がんの治療方法には放射線治療の他に手術で患部を取り除いたり抗ガン剤など化学療法でがん細胞を死滅させるものがあります。そうした治療内容によっては入院しないで済む場合があります。さらにがんのいたみを取り除くことを目的とした緩和ケアという方法もあります。がん保険はこうした治療に掛かる費用の補償をしてくれるのです。

収入への補償

ご家族の働き手の方ががんになってしまうと少なからず仕事へ影響が出ます。場合によっては仕事を続けることが出来なくなることも…

そうなると日々の生活費の問題が大きな負担となってご家族に襲いかかってきてしまいます。がん保険では患者さんが「がんである」との診断を受けた時には支払いを受けられる「がん診断給付金」というものがあります。

支払いは初めて診断を受けたときのみかそれとも複数回に渡って受けられるのか、また支払いそのものは1回払いか何回かに分けて支払いがあるのか等の違いがあります。

入院への保障

治療のために入院をしなくてはならなくなったときに給付される保険です。入院したとき一日いくらという形で支払いがある保険が多いようです。保険により入院1日目から支払いが開始されないものや1回の入院日数に上限があるものなど種類があります。

手術への補償

がんの治療のために手術を受けた時に支払いが受けられます。手術1回に付きいくらという形での支払いがある保険が多いのですが手術の内容や支払いを受けることが出来る手術の回数に制限がある保険もあるのでちゅういが必要です。

通院への補償

通院を行った場合の補償は一日いくらという形で支払いあります。通院している間補償を受けることが出来ます。保険を契約される時は入院を全くせずに通院のみの治療の場合で補償を受けることが出来るか、治療方法での補償の制限はあるかを確認された方が良いでしょう。

治療方法にはどんなものがあるの?

放射線治療には何種類かの方法があります。

通常の流れでは患者さんは担当医を治療の方針を決めた後に、その治療計画の必要に応じてCT(コンピュータ断層撮影法)等の検査を行います。そして放射線での治療を行って経過を見ていくことになります。その肝心の放射線治療の方法の幾つかをご紹介します。

放射線治療|治療法について|がん研有明病院
参照元:がん研有明病院 (2016年1月現在 著者調べ)

外部照射と小線源治療

放射線治療の実際を見ていくことにしましょう。放射線治療はいくつかの種類があります。

外部照射:体の外から内部のがんに向けて放射線を当てます。通常は1日1回、週5日の治療を数週間掛けて行います。体幹部定位照射というという方法がこれに当たります。

体幹部定位照射は胸部や腹部のがんの病巣に対し、高い精度で集中して放射線をあてる治療法で「ピンポイント照射」とも呼ばれています。

小線源治療:がんの中やその近くに放射性物質を入れて体の中から放射線を当てる方法です。外からの照射に対してより集中的に放射線を当てることが出来ます。

放射線治療|治療法について|がん研有明病院
参照元:がん研有明病院(2016年1月現在 著者調べ)

重粒子線治療とは

重粒子線とは放射線のひとつです。その重粒子線の中の炭素イオンを用いた最先端の治療技術になります。治療に炭素イオンを使う際には加速器を使って炭素イオンを高速の70%という非常な高速にまで高めます。そうして加速された炭素イオンをがんに向かって照射するのです。

これまでの放射線治療ではエックス線やガンマ線が使われていました。この従来の放射線治療では体の表面近くで最大量の放射線になりがちでした。これと比べて重粒子線を使うと放射線が体の表面ではなくよりがんに近いところで最大量を発揮してくれるようになるのです。がん細胞に大きなダメージを与えることが出来ます。その結果治療に掛かる時間を短くすることに可能になります。

重粒子線治療について |九州国際重粒子線がん治療センター
参照元:九州国際重粒子線がん治療センター (2016年1月現在 著者調べ)

子供でも治療を受けられる?

がんは大人だけはなくお子さんにも発症する病気です。大切なお子さんががんになってしまうなんてご家族には大きな悲しみです。お子さんに元気になって欲しいという思いは当然です。

放射線治療が効果があるならお子さんのがんにも治療を受けさせてあげたいですよね。放射線治療はお子さんでもこどもでも受けることが出来る治療方法なのです。

ですがお子さんが放射線治療を受ける場合には大人に比べて注意が必要になります。放射線治療により命が危なくなるということはありませんが成長や発達に影響が出る可能性はあるのです。
がんの発症した部位によってどんな影響が出る可能性があるのか、治療について担当医師とよくご相談されると良いでしょう。

がん治療以外にも有効なの?

放射線治療と言えばガン治療のイメージが強いのですがじつは他の病気にも有効な治療方法なのです。放射線治療が有効な疾患としては甲状腺眼症、ケロイド、血管腫、動静脈奇形、胸腺腫、良性脳腫瘍等があります。

放射線治療の特徴である手術が出来ない場所に病気の原因がある時や手術を行うと危険が伴う時、手術だけでは病気が再発しやすい時に用いられます。

どんな治療器具を使うの?

放射線治療を受ける際には放射線を発生させる機械からがんへの放射線の照射を受けます。この放射線を発生、照射する機械にも幾つかの種類があります。

◇リニアック直線加速器:放射線治療様のエックス線や陽子線を発生させる一般的な機械です。全身のどこでも治療が可能になっています。装置についているベッドに横になって受けます。

◇サイクロトロン・シンクロトロン加速器
 重粒子線治療に使用される機械です。この加速器は非常に大型の施設となります。国内で新たな施設の建設が計画されてはいますが現時点は重粒子線治療が出来る施設の数はあまり多くはなく限定されてしまっています。

日常生活の注意点は?

放射線治療は体への負担が少ない治療方法ですが実際に治療を受けるときに日常生活では気をつけることはあるのでしょうか。

食事での注意が必要になるのは口頭がん、咽頭がん、消化管のがんへの放射線治療の場合です。いつも食事よりも柔らかく、消化が良いものにするなどの注意が必要な場合があります。

お風呂は家庭のお風呂でしたら問題ありませんが温泉やサウナ、岩盤浴は放射線治療を受けている間はや治療が終わって間がない頃は避けた方が良いようです。

海水浴やプールも放射線治療の間や終わったばかりの時には避けた方が良いです。体力作りにとスポーツクラブに通っていらっしゃる方などは気をつけるようにされてください。

お仕事はあまり体に負担が掛からないようにされていれば問題なく復帰出来ます。

嗜好品についてですがお酒はその方の病状により対応が異なります。お酒が飲めるのか、飲めるならどれくらいの量かは担当医師にご相談ください。止めて頂きたいのがたばこです。たばこは放射線での治療効果を妨げてしまいます。

このお話のまとめ

がんの研究や科学の進歩によって新しい治療法が生み出されてきています。放射線治療はそうした最先端の治療技術のひとつなのです。今回はこうした放射線治療についてのお話をしましたが改めて内容を振り返って見ましょう。

○がん患者数は増加しており日本人の死亡原因の一位になっています。
○放射線治療はがんが発生しているところに強い放射線をあててがんを死滅させる治療方法です。
○放射線治療には公的な保険が使えるものがあります。
○治療方法には外部から放射線を当てるもの、体の中から放射線を当てるものなどがあります。
○放射線治療を受けている時は温泉やサウナ、たばこは止めるなどの注意点があります。

最先端であるがゆえに治療を受けることが出来る施設が限られていたり治療費が高額になってしまう等
の課題はありますがこれまでよりもがんが治るケースが増えてきているのはとても明るいニュースです。今後も技術の進歩でさらに助かる命が増えると良いですね。