<介護保険住宅改修>助成金制度についての知らなきゃマズい基礎知識

高齢者や障害者、介護者が生活しやすいように、住宅の改造などの費用についての助成金があります。これは本人や家族の負担を軽くするための制度になりますが、その条件や金額はどんなものなのでしょうか?事例やサービスについて、詳しく解説していきます。



介護保険住宅改修について

高齢になって体の機能が低下してくると、たとえ住み慣れた家であっても、転倒や転落などの危険が家庭内には溢れています。高齢者の家庭内での事故件数は、交通事故よりも多いといわれています。こうした事故を防ぐために、住宅をバリアフリーにすることはとても大切なことです。

このような改修工事のために、高齢者・障害者などのいる世帯に対して、住宅改修費用の助成があります。この助成の目的は、本人の自立や介護者の負担を軽くするための制度となっています。ただし、助成が認められるのには条件があり、また、その金額についても限度額が設定されています。

高齢者住宅改造助成

高齢者住宅改造助成では、その条件として、要介護認定で要支援・要介護と認定されていることや、65歳以上であること、また生計を担っている人の前年度所得税額が14万円以下であること、さらに福祉施設や病院に入所していないことなどがあります。

この改修について認められた場合は、その80万円を限度として助成金が支給されます。ただし、この助成については、その認められた住宅につき1回のみとなっています。そして、工事を始めてからの申請は認められないため、注意が必要です。

障害者住宅改造助成

障害者住宅改造助成では、その条件として、上肢障害で障害認定1級~2級に該当する場合、また、下肢や体幹・視覚・運動機能の障害で障害認定1級~3級に該当する場合、養育手帳Aに該当する場合、さらに、生計を担っている人の所得税額が14万円以下であり、福祉施設や病院に入所していないことなどがあります。

この改修について認められた場合は、80万円を限度として助成金が支給されます。ただし、この助成についても、その認められた住宅につき1回のみとなっていますし、工事を始めてからの申請は認められません。

介護保険での住宅改修助成

介護保険による住宅改修の助成については、その条件として、要介護認定で要支援・要介護と認定されている場合、また福祉施設や病院へ入所していない場合、そして、改修する住宅が、被保険者証の住所と同じであることなどがあります。

この改修について認められた場合は、20万円を限度として助成金が支給されます。例えば、工事費が20万円以下の場合は、その上限の20万円になるまで複数回の利用も可能となっています。

介護保険住宅改修費の支給に対応した施策
参照元:有限会社テービージー(2016年1月、著者調べ)



介護保険の住宅改修費支給サービス利用方法

介護保険の住宅改修の助成についてもう少し詳しく説明していきましょう。この制度は在宅で自立した快適な生活を過ごすために行う住宅改修について、その利用限度額を20万円として、その利用額の9割を介護保険から支給するものです。つまり、18万円が後日支給されるということになります。

その対象となる介護状態については、公的介護認定の要支援1~2・要介護1~5と認定された場合となります。この要介護認定については、自治体での申請が必要となり、申請により自治体で認定された場合となります。

対象となる改修工事

対象となる住宅改修工事の種類は、以下の通りになります。

・階段や住宅内への手すりの取り付け
廊下・トイレ・浴室・玄関・玄関からの通路など、転倒防止や移動動作を助けるための手すりの取り付け工事になります。

・敷居や玄関などの段差の解消
部屋・廊下・トイレ・浴室・玄関など、床の段差や玄関から道路までの段差をなくすための改修工事になります。また、スロープ工事や敷居を低くする工事なども該当します。

・床材の変更(滑り防止・移動をスムーズにさせる)
床材を畳から板張りやビニール系の床へ変更や、浴室の床を滑りにくくするものへ変更するなどの工事になります。

・ドアを引き戸へ変更
扉の取替えや、ドアノブの変更なども含みます。

・和式トイレを洋式便座への取替え
和式から洋式便器への取替え工事になります。

・上記の工事に付帯する必要な工事など

利用限度額について

利用限度額は、利用者1人にたいして20万円までです。これは、20万円までであれば、何回でも利用が可能となります。ただし、引越しをしたときや、要介護度が3段階以上重くなってしまった場合に付いては、それまでに支給を受けた額はリセットされ、再度20万円を限度として支給が可能となります。

例えば、工事費用が20万円だった場合、いったん20万円は自己負担で支払いますが、申請をすることでその9割の18万円が支給されます。つまり、20万円のうち2万円が実質の自己負担となるというわけです。ただし、20万を超えた費用にかんしては、その超えた額は自己負担となります。

手続きに必要な書類

介護保険のサービスを受けるためには、まず自治体で介護認定の申請をし、介護が必要だと認定されなければいけません。そして要支援1~2または要介護1~5の認定を受けた場合に、この住宅改修助成制度が利用できます。

要介護認定を受けた方で住宅改修の助成制度を利用するには、以下の書類が必要となります。

・「介護保険委託介護(支援)住宅改修費支給申請書」
・ケアマネージャーによる「介護保険住宅改修理由書」
・住宅改修にかかった「費用の領収書」
・住宅改修「工事の内訳書」
・改修を行った場所の写真(改修前と改修後の両方)で、その日付が確認できるもの
・住宅を改修する被保険者とその住宅の所有者が違う場合は「住宅改修承諾書」

注意点

支給については、住宅改修工事が終わった後で施工業者に改修工事費用を支払った後となります。また、改修工事を始める前に、介護認定を受けている必要があります。もし介護認定を受ける前の工事着工となると、住宅改修費用の支給の対象外となりますので注意が必要です。

ケアマネージャーによる「住宅改修の理由書」については、他の介護サービスを受けておらず、今後も受ける予定の無い場合などのとき、担当のケアマネージャーがついていない場合もあります。この場合は、介護保険の住宅改修に関して専門性がある者、例えば、作業療法士や福祉住環境コーディネーター2級などの資格を持っている人が、住宅改修の理由書を記入しても良いことになっています。

基本的には、改修工事をする前に、担当のケアマネージャーや、自治体の福祉企画介護高齢係へ相談をすることと、その説明をしっかりと受けることが重要です。公営住宅などの改修工事に関しては、その建物の管理者に事前に改修工事計画の届出が必要となるため、こちらもあわせて相談するようにしましょう。

介護保険の住宅改修費の支給について/介護保険課/岐阜市公式ホームページ
参照元:岐阜市公式ホームページ(2016年1月、著者調べ)

要介護認定を受けるには?|きのくに介護deネット
参照元:きのくに介護deネット(2016年1月時点、著者調べ)

改修工事費用の事例

では、主な改修工事にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?それぞれについて確認していきましょう。

■手すりの取り付け工事
1人で住んでいる高齢の方で、歩行が不安定なため、段差のある玄関と寝室からトイレの廊下、トイレ内の手すりの取り付けとすると、かかる費用は90,000円程度のようです。工事日数は1日で済みます。(自己負担額9,000円)

■玄関のスロープ作成と手すり取り付け工事
工事日数は5日ほどで、費用は12万程度のようです。スロープをつけることで、車椅子の出入りをできるようにしたことで、介護をする人の負担が軽減しますね。また歩いての移動も段差がなく安全です。(自己負担額12,000円)

■和室の床改修工事
工事日数は3日ほどで、費用は22万円程度のようです。この工事では、段差をなくすために敷居の撤去とドアの高さが足らない分の継ぎ足し、そして畳からフローリングへの変更での費用となります。(自己負担額20,000円)

■手すりとスロープの取り付け工事
屋内に手すりを設置し、段差にはスロープを取り付けてつまずきなどを防止する工事の場合、工事日数は2日で、費用は17万円程度のようです。(自己負担額17,000円)

こちらの事例は、ほんの一例で、その部品などの質や、工事の規模の大きさによってかなり費用は異なってきますが、参考にしてみてください。

八戸市の住宅リフォーム店 トップリフォーム 〜リフォーム施行事例集:介護保険住宅改修〜
参照元:トップリフォーム(2016年1月、著者調べ)

改修工事に関するQ&A

■手すり設置について
・玄関から道路に出るまでの敷地内の坂への手すり設置:給付対象
・遮断機式の手すりの設置:給付対象
・下駄箱への手すりの設置:家具への取り付けなので給付対象外
・2箇所のトイレへの手すりの設置:どちらか使用頻度の高いほうのみ給付対象

■段差解消について
・浴槽の取替え:段差解消としては、給付対象外。ただし取り替える必要性についての判断は別となります。
・車椅子の出入りのために、土間のかさ上げで居室とフラットにして木製スロープを作る工事:給付対象
・昇降機を設置するための踏み台と壁の撤去工事:給付対象外。昇降機については、貸与での対応となるため、それに付帯する工事にも該当しません。

■床材の変更について
・浴室に置く滑り止めのマット:給付対象外

■扉の変更について
・車椅子での出入りに支障があるため、引き戸と壁を取り除いてアコーディオンカーテンの取り付け工事:給付対象

■便器の取替えについて
・今の洋式便器が低いため、補高便座を取り付ける工事:補高便座は福祉用具の購入対象のため、住宅改修では対象外
・和式便器の上に腰掛便座を取り付ける工事:腰掛便座は福祉用具の購入対象のため、住宅改修では対象外

■その他
・工事が始まってからの事前審査時と違う箇所に異なる形状の手すりの設置工事をした:給付対象外。事前の審査時と異なる改修の場合は、必ずケアマネージャーからの連絡が必要になります。

介護保険の改修工事について|出水市役所 介護保険係
参照元:出水市役所 介護保険係(2016年1月、著者調べ)



福祉用具購入費支給サービス

自治体での要介護認定で要支援1~2・要介護1~5と認定を受けた人が、購入する福祉用具について、在宅での自立を目的とするものに対して、支払額10万円を限度として、その9割を介護保険から支給します。つまり、10万円かかった費用のうちの9万円が支給され、1万円が自己負担となります。

支給限度の基準額は、1年間で10万円となっています。4月から翌年3月までの1年間となっていて、年度が変わるとまた改めてこの支給は受けられます。ただし、いったん費用は自己負担で支払ってからの申請となります。また、10万円を超えた額についてはその超えた分は全額自己負担となります。

対象となるもの

福祉用具の対象となる種類については、腰掛け便座や、特殊尿器、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用のリフトのつり具となります。なお、移動用リフトは、福祉用具貸与の対象となっています。

手続きに必要な書類

もちろん、福祉用具の購入費の支給の場合も、自治体での要介護認定を受けている場合に限りますので、事前に要介護申請をし、認定を受けておくことが必要です。その上で、福祉用具の購入費の支給手続きに必要な書類は以下の通りになります。

・介護保険居宅介護(支援)福祉用具購入費支給申請書
・福祉用具を購入した領収書
・福祉用具の記載があるパンフレット

注意点

購入をする場合には、担当のケアマネージャーや市福祉企画課介護高齢係に、事前の相談が必要です。しっかりと相談をしてからの購入をすることが重要になります。

株式会社フロンティア 保険調剤薬局と福祉用具・住宅改修
参照元:株式会社フロンティア(2016年1月、著者調べ)

まとめ

介護保険の住宅改修工事については、必ず事前申請が必要となります。その相談先は、担当のケアマネージャー、もしくは自治体の福祉企画介護高齢係となります。事前申請で了承が出てからの工事となりますので、十分に注意しましょう。

また事前に申請されたものと違う工事の場合は、給付の対象外となることがあります。この場合も変更の県について必ず相談と報告が必要になります。せっかくの支給がされないことにならないよう、気をつけてください。

また、介護保険の住宅改修工事においても、福祉用具の購入支給においても、公的な要介護認定がされている必要があります。どちらの場合も、一番初めにまず介護認定の申請をすることが重要です。

きちんとケアマネージャーなどと相談をして、給付がきちんとされるように順序だてて行っていくことが大切になりますね。そして、介護される方も介護をする方も、その負担が軽減できるように、こうした制度を上手に利用していくようにしましょう。