失業保険の金額を事前に知って予定を立てたい!賢い退職の仕方!

転職したいけど当面の生活が不安で踏み切れない。そんな貴女を応援したい!会社が倒産して家計の予定が立てられない。そんな貴女を手助けしたい!失業保険の金額を計算する方法を解説します。



失業保険とは求職者給付のこと

一般的に「失業保険」と言えば、退職や解雇などで職を失った人がハローワークに通って求職活動をしているとお金がもらえる制度、という認識ではないでしょうか。実は法律用語に「失業保険」と言葉はなく「求職者給付」と呼ばれる雇用保険の制度のことを「失業保険」と呼んでいるだけだったりします。 ※当記事では一般的な名称である「失業保険」で統一しています。 失業保険は離職した人たちが失業中の生活の心配をすることなく、一日も早く就職できるように求職活動に専念してもらおうと整備されました。残念ながら誰もがもらえる給付ではありませんが、求職活動中の収入を援助してくれるというのは大変ありがたい制度ではないでしょうか。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2015年11月、筆者調べ)



失業保険の3つのハテナ

誰がもらえるの?

失業保険は雇用保険の被保険者が退職したときに給付されます。つまり雇用保険に加入しているなら、社員に限らずパートやアルバイトでも失業保険をもらえます。 ただし、離職の日までの2年間で雇用保険に加入していた期間(以下、被保険者であった期間と表記)が12カ月以上必要です。会社都合退職の場合は、離職の日までの1年間に被保険者であった期間が6カ月以上あればよいとする特例があります。 また、すぐに働ける状態にあることも給付条件のひとつです。例えば病気や出産で退職した人は、すぐに働ける状態ではありませんので給付されません。すでに転職が決まっている人や、退職後に家業の手伝いや開業の準備をしている人もまた、就職活動中と見てもらえませんので注意しましょう。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2015年11月、筆者調べ)

いくらもらえるの?

給付額が気になる人は多いと思います。特に退職を考えている人にとっては、当面の生活を支えてくれる大事な収入源です。できれば事前に金額を把握しておき、今後の生活の計画をきちんと立てたいのではないでしょうか。 失業保険は「基本手当日額」と呼ばれる金額を元に計算します。月給者の場合は、月給を30日で割った金額の50%から80%が基本手当日額になります。この基本手当日額に後述する「所定給付日額」をかけた金額が、失業保険の給付総額です。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2015年11月、筆者調べ)

何日もらえるの?

失業保険がもらえる期間のことを「所定給付日数」と呼び、離職理由と被保険者であった期間によって変わります。 会社都合での退職は90日から330日で、被保険者であった期間だけでなく本人の年齢によっても変わります。自己都合での退職は90日から150日で、被保険者であった期間によってのみ変わります。年齢による違いがなく、また日数も短いのは、自分から退職するからには備えがあるだろうという理由からです。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
参照元:ハローワーク(2015年11月、筆者調べ)

失業保険の金額を計算!

給付額の元となる賃金日額

では実際に失業保険の給付金額を計算してみましょう。 まずは「賃金日額」を計算します。計算式は「最後の6カ月間にもらった賃金総額÷180」です。ここで言う賃金とは毎月決まってもらっている金銭のことで各種手当を含みます。逆に普段もらっていない賞与や慶弔見舞金、退職金や解雇予告手当などは含みません。 ところで、最後の6カ月間に出勤日数が少ない月があるケースはどうなるのでしょう。例えば締日の都合で退職月の給与が少ない場合、賃金日額が下がって失業保険が減るのでしょうか? 結論から言えば、そのような普段通りでない月は計算時に除外されます。実際の計算では、賃金の計算期間が1カ月丸々ある月であり、かつカレンダー通りの日数(4月なら30日)から欠勤を引いた日数が11日以上ある月のみを6カ月分カウントします。 つまり病欠でほとんど出勤していない月があったとしても、賃金日額の計算には影響しないのです。

雇用保険法 第17条
参照元:電子政府の総合窓口(2015年11月、筆者調べ)

基本手当日額が1日の支給額

次に「基本手当日額」を計算しましょう。これは賃金日額を元に算出します。 以下に年齢区分別に基本手当日額の計算式を列挙しますので、上で計算した賃金日額を当てはめて計算してください。60歳以上65歳未満の計算式は省略します。 A.30歳未満の基本手当日額
・賃金日額2,300円以上4,600円未満:賃金日額の80%
・賃金日額4,600円以上11,660円以下:(-3×賃金日額の2乗+70,280×賃金日額)÷70,600
・賃金日額11,660円超12,790円以下:賃金日額の50%
・賃金日額12,790円超:6,395円 B.30歳以上45歳未満の基本手当日額
・賃金日額2,300円以上4,600円未満:賃金日額の80%
・賃金日額4,600円以上11,660円以下:(-3×賃金日額の2乗+70,280×賃金日額)÷70,600
・賃金日額11,660円超14,210円以下:賃金日額の50%
・賃金日額14,210円超:7,105円 C.45歳以上60歳未満の基本手当日額
・賃金日額2,300円以上4,600円未満:賃金日額の80%
・賃金日額4,600円以上11,660円以下:(-3×賃金日額の2乗+70,280×賃金日額)÷70,600
・賃金日額11,660円超15,620円以下:賃金日額の50%
・賃金日額15,620円超:7,810円 どの年齢区分でも上から2番目の計算式が複雑ですね。計算すると基本手当日額は3,680円から5,830円まで上がっていきます。

雇用保険の基本手当日額の変更|厚生労働省
雇用保険の基本手当日額の変更について紹介しています。 参照元:厚生労働省(2015年11月、筆者調べ)

給付額=基本手当日額×給付日数

失業保険は基本手当日額が所定給付日数分支給されます。自己都合退職と会社都合退職の所定給付日数は以下の通りです。60歳以上65歳未満は省略します。 A.自己都合退職の所定給付日数
・被保険者であった期間1年以上10年未満:90日
・被保険者であった期間10年以上20年未満:120日
・被保険者であった期間20年以上:150日 B.30歳未満で会社都合退職の所定給付日数
・被保険者であった期間5年未満:90日
・被保険者であった期間5年以上10年未満:120日
・被保険者であった期間10年以上:180日 C.30歳以上35歳未満で会社都合退職の所定給付日数
・被保険者であった期間5年未満:90日
・被保険者であった期間5年以上10年未満:180日
・被保険者であった期間10年以上20年未満:210日
・被保険者であった期間20年以上:240日 D.35歳以上45歳未満で会社都合退職の所定給付日数
・被保険者であった期間5年未満:90日
・被保険者であった期間5年以上10年未満:180日
・被保険者であった期間10年以上20年未満:240日
・被保険者であった期間20年以上:270日 E.45歳以上60歳未満で会社都合退職の所定給付日数
・被保険者であった期間1年未満:90日
・被保険者であった期間1年以上5年未満:180日
・被保険者であった期間5年以上10年未満:240日
・被保険者であった期間10年以上20年未満:270日
・被保険者であった期間20年以上:330日

ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
参照元:ハローワーク(2015年11月、筆者調べ)



具体例で見る失業保険の金額

転職するため会社を辞めたAさん

Aさんは他にやりたい仕事が見つかったため、30歳で8年勤めた会社を辞めることにしました。月給は30万円で、最後6カ月間は病欠も残業もなく、給与の締日に退職しました。転職のための退職ですが、次の仕事は決まっていません。 このとき賃金日額は1万円で、基本手当日額は5,705円になります。所定給付日数は90日で総額513,484円が給付されます。

突然解雇されたパートのBさん

Bさんはパートとして働いていましたが、業績の悪化を理由に突然解雇されました。幸いにも雇用保険に加入していたので失業保険をもらえます。Bさんは40歳、勤続年数は15年です。時給1,000円で1日の勤務時間は5時間、最後6カ月間の勤務日数は計120日です。 さてパートタイム労働者のように時給制の被保険者には賃金日額の計算式が2つあり、どちらか高い方の金額になります。ひとつは前に出てきた「最後6カ月の賃金総額÷180」という計算式で、もうひとつは「最後6カ月の賃金総額÷労働日数×70%」です。 よって賃金日額は3,500円で、基本手当日額は2,800円です。Bさんの所定給付日数は240日で、総額672,000円が給付されます。

雇用保険法 第17条第2項
参照元:電子政府の総合窓口(2015年11月、筆者調べ)

出産育児のため退職したCさん

Cさんはもうすぐ出産なので、出産と育児に専念するために5年勤めた会社を退職しました。在職時はずっと健康保険と雇用保険に加入していたとします。失業保険をアテにしていましたが、Cさんはすぐに働ける状態にないため給付を受けることができません。 しかし出産育児ついては、それ以外の給付制度がたくさん用意されています。今回の場合、健康保険に加入していれば出産育児一時金と出産手当金を、雇用保険に加入していれば育児休業給付を受け取ることができます。

知っておきたいお得な情報!

給付は28日ごと

失業保険は総額を一度にもらえるわけではありません。認定日と呼ばれる日にハローワークへ行き、そこで前の認定日から今までの失業状態を確認したのちに、確認した期間に該当する日数分だけ給付を受けることができます。 この認定日は申し込みの日より28日経過するごとに1度と法律で決まっています。ただし休日と重なるとその認定日のみ前倒しになります。 また自己都合退職の場合は、3カ月の給付制限期間が設けられています。この期間は申し込み日を含む7日(待期期間と呼ばれる)が過ぎた翌日から始まり、月単位で3カ月間です。そして制限期間が終わって初めての認定日が来てやっと、初回の給付を受けることができます。 上記のような理由で、初回の給付金額が数日分しかないとか、休日と重なって14日分しかもらえないなんてことも起こります。さらに給付が振り込みで行われる都合で銀行の営業日も関係してくるため、ハローワークでもらえる認定日カレンダーはきちんと確認しておいたほうがいいでしょう。

雇用保険法 第15条
参照元:電子政府の総合窓口(2015年11月、筆者調べ)

早期の再就職で祝い金

失業保険の給付期間中に就職した場合、残りの失業保険はどうなるのでしょう?実は「再就職手当」と名前を変えて、減額こそされるものの一度に給付されます。 再就職手当の金額は所定給付日数の2/3以上残っている場合は残額の60%が、1/3以上残っている場合は残額の50%で計算されます。ただし、基本手当日額の上限が60歳未満の人は5,830円になりますので注意してください。

ハローワークインターネットサービス – 就職促進給付
参照元:ハローワーク(2015年11月、筆者調べ)

病気や出産で退職したときは?

病気や怪我、出産や育児を理由に退職すると、すぐに働ける状態にないということで失業保険が給付されませんが、他の給付金や手当金が用意されている場合があります。 例えば病気の療養や怪我の治療で退職した場合、健保協会から傷病手当金を受け取ることができます。 出産の準備や育児に専念するために退職した場合はどうでしょう。こちらは健保協会から出産育児一時金と出産手当金が、ハローワークから育児休業給付がそれぞれ給付されるのです。 また、失業保険の受給可能期間は本来1年間しかありませんが、申請をすることで延長が可能です。失業保険を給付できない状態で退職せざるをえなくなったら、延長申請をしておくことをオススメします。

健康保険の給付について | よくあるご質問 | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年11月、筆者調べ)

ハローワークインターネットサービス – 雇用継続給付
参照元:ハローワーク(2015年11月、筆者調べ)

失業保険関連の参考サイト

ハローワークインターネットサービス – 雇用保険手続きのご案内
失業保険の基本的な知識や手続きの流れが分かる、ハローワークのサイト内にある失業保険に関するページです。ちなみにハローワークは愛称で、正式には公共職業安定所と呼ばれる厚生労働省が設置する行政機関です。職安という略称で呼ばれることも多いですね。

雇用保険制度 |厚生労働省
雇用保険制度について紹介しています。 厚生労働省のサイト内にある雇用保険のページです。

健康保険の給付について | よくあるご質問 | 全国健康保険協会
全国健康保険協会のサイトで、傷病手当金や出産手当金などついての説明があります。自己都合退職の場合にあわせて調べておくことで、もれなく給付できますよ。

雇用保険法
電子政府の総合窓口(e-Gov)と呼ばれる、総務省が管理運営している行政情報のポータルサイト内にある雇用保険法のページです。 本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。