『ドル建て保険』投資感覚で貯蓄しながら備えよう!

ドル建て保険とは死亡保険付きの貯蓄型保険です。掛け捨て保険は安い保険料で充実した保障が魅力ですが、何も戻ってこないのが嫌いという人も多いです。日本は低金利ですが、ドル建て保険は外国の高い金利で貯蓄できつつ備えられるというので人気のようです。毎月の保険料自体は高めでも、貯蓄して将来に備えられ、死亡保障もつけられるドル建て保険を投資として始めてみてはいかがでしょうか。



ドル建て保険とは

ドルで運用する死亡保障付きの貯蓄型保険

ドル建て保険は、保険料を日本国債より金利の高いドル圏の国債などで運用し、死亡や高度障害状態に備えられる終身保険です。年金保険もありますがコストが大と言われるためここでは考えないこととします。

為替レートが絡んできますので、当然為替リスクがあります。支払保険料額、受取保険金額が当初確定していません。保険料を支払うときは円をドルに換算して支払いますが、払い込みごとに変動します。外資系保険会社などでは、お持ちのドルで支払うことも可能なようです。

支払いの際に円に換算する場合は元金割れする恐れもあります。あくまでも死亡保障保険としてメインで持つものではなく「オマケ」として死亡保障が付いている投資と考えたほうがいいでしょう。

円建て保険との違い

円建て保険は予定利率が1%台ですが、ドル建て保険は2~3%と高利率で過去には4%などのこともあったようです。15年ごとに金利が見直されますが、最低保証利率が2%などに設定されていることが多いのではないでしょうか。

今どき2~3%の利率で運用できる金融商品など国内にはないので、単純に考えればと~ってもお得なのですが、為替リスクが伴うため一概にお得とは言えないのです。

保険料を円で支払う場合はドルに換算されますので、支払額が毎回変わってきます。先月は10,000円だったのに今月は11,000円などになったりするので、無理のない設定にしておかないと大変なことになりますし、総支払額が払い込み終了まで確定しないのです。

また受取時も「死亡保障50,000ドル」などになるので、円で受け取る場合いくらになるのか分かりません。そこが通常の円建て保険との大きな違いですが、高利率なので為替の変動が激しくなければ、円建てに比べて割安の保険料で高い保障を受けられるという、とってもお得な保険ということになります。

米国ドル建終身保険PG | 保険商品のご紹介 | プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命 (PGF生命)
参照元:プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険 (2016年1月:著者調べ)

米ドルと豪ドルどちらがいいの?

ドルと言えば一般的には米ドル(アメリカドル・USドル)と解釈されることが多いようですが、豪ドル(オーストラリアドル・AUドル)建てのものもあり、筆者は最近豪ドル建て保険に加入しました。

豪ドルは値動きが激しく危険だと言われますが、保険会社の説明ではオーストラリアは資源国なので経済情勢もアメリカより安定しているということだったのですが、実際のところ…分かりません。為替リスクはどちらにも伴うので、15年間の予定利率3%、以降下がったとしても利率も2%が保証されているため大丈夫かなと判断しました。 PhotoBy:著者2016年1月作成 ドル建て保険は、払い込み時に円高で受取時に円安だと得になります。しかし為替は予測できませんので、リスクを伴うのです。

一般的に米ドルは値動き幅が小さく金利が低め、対して豪ドルは値動き幅が大きく金利が高めだと言われているようです。しかし過去20年の為替レート推移を見ると、米ドルは79~130円の範囲で、豪ドルは62~98円の範囲で値動きしています。長期で見ると、為替リスクってとても怖いですね。

ドル建て保険も米ドルより豪ドルのほうが、金利0.5~0.8%ほど高めに設定されています。為替の変動は過去の例から見るに、リーマンショックなどの例外的に大きな金融危機もあったとはいえ「米ドルのほうが安定している」とは一概に言えないと思われるので、こればかりはなんともいえません。

同じリスクを伴うなら利率の高い方をと豪ドルを選ぶ人は多いようですが、米ドルほどニュースなどで取りざたされないので、為替の変動に鈍感になりがちなのが要注意です。円高のうちに一時払いで保険料を支払うならそういった選択方法もいいかもしれないですね。

米ドル/円 外国為替 チャート(10年)|ネット証券/株・先物・FXなら松井証券
参照元:松井証券(2016年1月:著者調べ)

豪ドル/円 外国為替 チャート(10年)|ネット証券/株・先物・FXなら松井証券
参照元:松井証券(2016年1月:著者調べ)



ドル建て保険のしくみ

図解・ドル建て保険

PhotoBy:著者2016年1月作成
(イラスト:いらすとや) 大まかにいうと、ドル建て保険のしくみは上の図のようになります。円からドルへ換算して保険料を支払い、それが外国債などで運用されます。多くは10年ほどで解約返戻率が100%を超えると予測されていますが、為替の変動によっては一概には言えません。

死亡返戻率が高い商品であれば、少々の為替の変動で損をすることはないと思われますが、為替の変動が激しいと解約返戻率が100%になるまでにもかなりの時間を要すると考えたほうがよさそうです。貯蓄としてにしろ保険としてにしろメインで持つ商品ではなく、あくまで余剰資金で補助的なものと考えましょう。 PhotoBy:著者2016年1月作成 多くのドル建て終身保険は一時払い(一括払い)となっていますが、メットライフ生命の米ドル建て保険は月払いが選択でき、三井生命の豪ドル建て保険は月払いとなっています。月払いとすることで為替リスクを分散させるということです。

またドル建て保険は、10~20年ごとなどに予定利率が見直しされます。ただ契約時に最低保証利率が決められていますので、その利率以下になることはありません。上の図では、利率が下がった場合のグラフしか描いていませんが、利率が上がれば解約返戻金ももちろん上がります。

死亡保険金は150%以上の商品もあるようですが、死亡保険金が一定で、解約返戻率が死亡返戻率を超えた場合は為替が円安に向かったところで解約ということもできるそうです。ドルのまま据え置くこともでき、ドルで受け取るということも可能のようです。

楽天の保険: ドル建て終身保険 – 生命保険の選び方
参照元:楽天生命(2016年1月:著者調べ)

ドル建て保険のシミュレーション

私の加入したものになりますが、三井生命のドリームクルーズ(無配当型外貨建て終身保険)のシミュレーションを見てみましょう。基本保険金額40,000AUドル、保険料払い込み期間は10年で契約時予定利率3%、保証利率2%です。

毎月の保険料は183.72AUドル、1年で2204.64AUドルとなり、払い込み満了の10年で22,046.4AUドルとなります。

支払時平均と受取時の為替が同等の場合

まず当初10年で支払うため、支払保険料の為替リスクは10年間です。この間の為替が平均100円で推移したと仮定すると、毎月の保険料は円、年間183,720円、10年での保険料累計額は2,204,640円となります。

受取時の為替レートも100円とした場合、死亡保険金は400万円になります。15年目で解約した場合、受取額は243万円程度、30年目で解約した場合、15年目で予定利率3%が保証利率2%まで下がったと仮定して301万円程度という計算になります。

払込期間中に解約した場合は所定の金額が控除されるようです(契約内容によって異なるためはっきりとした金額は不明とのこと←この辺りが怖いですが…)。解約時の手数料などを考えなければ、10年以上持つならかなりお得な積立となりますね。

三井生命保険株式会社|ドリームクルーズ – 無配当外貨建終身保険(予定利率更改型)I型
参照元:三井生命(2016年1月:著者調べ)

円高→円安となった場合のシミュレーション

支払時に円高で、受取時に円安となるというのは最も理想的なパターンですね。支払時10年間の平均為替レートを90円、受取時の為替レートを110円と仮定してみましょう。毎月の保険料は16,534円、年間198,418円で、10年間の累計支払額は1,984,176円となります。

受取時は死亡保険金が440万円、こちらも15年目で予定利率が3%→2%となったとして、解約返戻金が15年目で約268万円、30年目で331万円程となり、単純に計算すれば15年で70万円近く、30年で130万円以上得となる計算になります。

こんなうまくいくのは稀だと思われますが、金利2%以上などの金融商品は昨今まずないので、為替がうまく円安に向かえばかなりの利益が期待できるということですね。

円安→円高となった場合のシミュレーション

支払時に円安→受取時に円高になるという最も避けたいパターンです。先ほどとは逆に、支払期間10年の平均為替レートを110円、受取時のレートを90円と仮定してみましょう。この場合毎月の平均保険料は20,210円、年間保険料は242,510円、保険料累計額は2,425,104円となります。

受取時は死亡保険金が360万円、15年目に解約すると返戻金が219万円、30年目だと271万円となります。23年目の解約で保険料累計額と同額程度になるようですので、円安に向かった場合は長く持たないと損になるだけです。

この場合でも死亡保険金は保険料累計額を下回ることがないのでいいのかもしれないですが、生存中に為替の変動にやきもきするのは切ないですね…



ドル建て保険のメリット・デメリット

利率が高く最低保証利率が設定されている

前述の通り、円建て保険が1%程度なのに対し、ドル建て保険は米ドルが2%台、豪ドルが2.5~3%台と高い利率となっており、最低保証利率も2%と高くなっています。国内の貯蓄でこれほどの利率はまずありません。死亡保障が付いていると考えるとかなりお得な商品と言えるでしょう。

為替の変動で元本割れすることも

シミュレーションしたとおり、早い段階で解約すると元本割れしますので長期の投資と考えない場合は損となることが多いです。突然、資金が必要となって解約…ということになると、多大な損害を被ることを頭に置いておかなくてはなりません。

ただ通常の外貨建て預金などと違って死亡保障がついているのがポイントです。万一のことがあった場合はその額の保険金が受け取れますので、たとえ為替が変動してもその場合は損となることはまずないと言えるでしょう。

もちろん、掛け捨ての定期保険と違って保険料は高く保険金は低くなってしまいますが、貯蓄をかねていると考えられればお得であるといえます。あくまでメインの保険や貯蓄として考えるのではなく、補助的なものとして検討しましょう。

ドル建て保険向きの人とは

貯蓄(投資)目的の人

安い保険料で手厚い保障をと考える人には不向きです。保障目的であれば、掛け捨ての収入保障保険や定期保険のほうが保険料も安く受取保険金額も大きいです。

為替リスクを承知の上で、まったくの損とならないように保障をつけておきたいと考える人に向いている商品であるといえます。うまく行けば倍以上の返戻を期待できますが、早い段階で資金が必要となれば元本割れするということも理解の上なら検討されてみてはいかがでしょうか。

掛け捨て保険が嫌な人

掛け捨て保険は、何もなかった場合には保険料が消えていきます。例えば30歳から60歳満期の月額3,000円の保険に加入し、結局60歳まで何事もなく生存したとします。すると100万円以上の保険料をただ支払っただけで1円も返ってくることはないのです。

もちろん税控除等は試算していませんが、何もないと損ということです。しかし保険とは本来そういうものなのです。万一の時に多額の保険金を受け取る代わりに、健康であれば損をするシステムなのです。一家を支える立場の人には絶対に必要な保険です。

貯蓄型保険は解約してもいくらかは返ってきます。ドル建て保険は特に利率が高いため、25年以上解約しなければ、まず損になることはないと言っていいと思われます。長い目で見るならおススメです。

将来ドルを使う予定の人

将来、米ドル圏や豪ドル圏に住む予定の人なら、もし為替が変動してもドルで受け取ることができるのでいと思われます。ドル建て保険は為替リスクさえ考えなければ、国内金融商品にはあり得ないほど利率の良い商品です。

各社のドル建て保険

メットライフ生命「USドル建IS終身保険」

メットライフ生命の米ドル建て保険はイチオシだと言われています。手持ちのドルを保険料として払い込むことも可能です。10年払い込み満了で死亡保険金が5万USドルの場合、30歳女性で月々の保険料は145.35USドル、保険料累計額は17,442USドルとなります。

支払期間の平均為替レートが120円とした場合、毎月の保険料は17,442円、保険料累計支払額は209万円ほどとなります。解約返戻金は為替レート120円の場合で死亡時が600万円、20年目の解約で238万円程度でしょうか。

予定利率は毎月更改されますが、最低保証利率が3%となっているため大変お得ではないかと思われます。ちなみに円支払い特約の為替レートは、指定金融機関の換算基準日TTM(電信売買相場の中値)より-0.5円ということです。

「円支払特約」のレートは、仲値(TTM)に対して差がありますので、その差額が特約適用時のご負担となります。特約適用時の仲値(TTM)は、メットライフ生命所定の金融機関の外貨交換レート(TTS)と円交換レート(TTB)の中間の値となります。
なお、特約のレートは将来変更されることがあります。

出典:

www.metlife.co.jp

USドル建IS終身保険|メットライフ生命
参照元:メットライフ生命(2016年1月:著者調べ)

三井生命「ドリームクルーズ」

シミュレーションでも紹介した豪ドル建ての終身保険です。豪ドルではこちらがおススメだとよく言われているようです。予定利率は15年毎更改で、最低保証利率は2%となっています。

円換算レートは指定金融機関の換算基準日TTM(電信売買相場の中値)ですが、払い込み時は0.25円加算、受取時は0.25円減算した費用(為替手数料を含む)が発生します。

三井生命保険株式会社|ドリームクルーズ – 無配当外貨建終身保険(予定利率更改型)I型
参照元:三井生命(2016年1月:著者調べ)

ドル建て保険まとめ

今回は終身保険、主に月払いのものに限定させていただきましたが、ドル建て保険は、保険としても貯蓄としても「あくまで補助的なもの」と考えたほうがよさそうですね。私も豪ドル建て保険に加入したもの、大丈夫かなという不安は正直ぬぐえません。

今後の為替がどのように動くのかは誰にも分かりませんが、為替リスクを承知の上で、長期投資として利用するのであれば、上に紹介させていただいた保証利率の良いものを選べば悪くない商品だといえるのではないでしょうか。毎月の保険料も決して安くはないので、慎重に考えてくださいね。