【奨学金の金額】どのくらいまで借りる?返す見通しは立つ?

奨学金を借りて大学へ進学したい。奨学金はどのくらい借りられるのだろうか?第一種に比べて借りやすい第二種では沢山借りられるって本当?沢山借りると返還も大変?そんな「奨学金」の金額あれこれについて、第二種の話を中心に簡単にまとめました。



奨学金の「第二種」を検討する

高校一年生の亜美さんが、友人の奈々子さんと一緒に叔母の響子さんと話しています。話題は「奨学金の第二種」のことのようです。

第一種を利用できない場合に備えて

響子叔母(以下:K):さて、第一種の奨学金を申請してNGだった場合に備えて第二種について知りたいということよね。

亜美(以下:A):できれば利息なしの第一種がいいけど、無理なら検討するかも。第二種の場合、利息がどれくらいになるのかも気になる。

奈々子(以下:N):他に注意点があるのかなど、色々知りたいです。よろしくお願いします。

「第二種」の利用者が増えている

K:二人の関心はとにかく「第一種」は利息なしだから安心、「第二種」は利息があるから不安。そういうことよね?利息により返済額がどう増えるのかを具体的にイメージしたいということね。

N:はい、そうです。経済的に厳しくて借りるわけですから、負担が大きいものを借りて大丈夫なのかと思ってしまっていました。でも「第一種」を借りることができない場合に、「自分で返せる奨学金」というイメージができれば「第二種」も検討したいと思っています。奨学金がないと大学進学は無理なのです。

K:奨学金を借りる学生が増えていることをさっき話したでしょう?

A:うん。だから、第一種の申請が通りにくくなっている可能性もあるっていう話だよね。

K:その増えている利用者はね、ほとんどが「第二種」なのよ。第二種は第一種に比べて申請基準が緩いの。だから「大学進学を希望する学生を広く支援」できるようになっているというメリットがあるの。文部科学省資料のグラフをもう一度見てみてごらんなさい。第一種利用者もわずかながら増えているものの、第二種利用者の増加が著しいことに気が付くでしょう。

A:本当、利用者の増加=第二種利用者の増加という感じ。

K:でもね、成績基準などが甘いせいもあるのかしら、「返せない」状態になって困っている卒業生のことがニュースで取り上げられる機会が増えているように感じられるの。

(独)日本学生支援機構(JASSO)奨学金貸与事業の概要
参照元:文部科学省(2016年1月時点、著者調べ)



奨学金「第二種」の概要

第二種の選考基準

N:第二種の場合はどのような基準なのでしょうか?

K:日本学生支援機構のサイトでは「第一種」よりも緩やかな基準と書いてあってわかりづらいわね。文部科学省の資料の方で確認しましょう。第一種のときの学力条件は評定平均3.5以上、大学成績が上位1/3以上ということだったわね。第二種は平均以上の成績、特定の分野において優秀、勉学意欲があるという条件ね。この条件を見て何か感じない?ANDではないのよ。ORなの。いずれかを満たせばいいの。

N:「勉学意欲」さえあればいいということは、特に優秀でなくてもいいということに…。

K:そう。意欲のある人に広く学んでもらうためということが伝わるわね。家計基準も第一種に比べて緩くなっているから利用しやすいということね。

奨学金の種類-JASSO
参照元:日本学生支援機構(2016年1月時点、著者調べ)

(独)日本学生支援機構(JASSO)奨学金貸与事業の概要
参照元:文部科学省(2016年1月時点、著者調べ)

「第二種の利率」利息はどのくらいに?

A:それだけの人が利用するってことは利息がそんなに大変ではないっていうこと?でも返すのが大変でニュースになっているってことはやっぱり大変ってこと?混乱してきた…。

K:そうね。まずは利率を確認しましょう。年利3%を「上限」とする利息が付くと書いてあるわ。上限だから、そのときの経済・金融情勢によって変動するとある。世の中の一般的なローン金利もね、そのような形で変動しているものなのよ。在学中は無利息とあるから、在学中のアルバイトで余裕が出た場合、卒業前に返してしまった方が利息を減らすことができていいということになる。

N:それでは最悪3%の場合で試算しておくべきでしょうか?

K:御覧なさい、平成26年1月末の利率は利率固定方式で年0.89%とあるわ。固定を選べば貸与終了までその利率ということが確定するから、変動が心配なら固定方式で試算して借りればいいということになるの。利率見直し方式だと年0.3%。5年毎に見直されることになっているからこの時点では固定方式より有利な利率になっているわね。

N:では、自分が借りる時点で固定方式を選んでおけば返済プランも確定でわかる。見直し方式だとしても上限3%を超えることはなく、金利が低い時代だったら利率が減る可能性がある。そういうことですね?

K:そうよ。一般的なローンのように固定と変動を選べることを叔母さんも初めて知ったわ。

奨学金の種類-JASSO
参照元:日本学生支援機構(2016年1月時点、著者調べ)

第二種奨学金に係る利率算定方法の選択制-JASSO
参照元:日本学生支援機構(2016年1月時点、著者調べ)

第二種の返還額

A:やっぱり気になるのは返還額がどの程度になるか、ということだよね。

N:そうね、その利率で利息がどのくらい増えるのかということが気になる。

K:本当よね。第一種と同じように返還例が紹介されているから見てみましょう。奈々子ちゃんの希望通り、4年制の場合をチェックするわね。第二種はね、貸与月額が自由に選べるの。

●3万円
●5万円
●8万円
●10万円
●12万円

N:まずは3万円で知りたいです。

K:3万円だと4年間で総額144万円になるわ。13年で返還する場合の各利率による総額と、増える利息は次の通り。

【年利:返還総額:利息分:返還月額】
●0.5%:1,491,061円:51,061円:9,557円
●1%:1,543,214円:103,214円:9,892円
●2%:1,650,545円:210,545円:10,580円
●3%:1,761,917円:321,917円:11,293円

N:利率によって全く変わるのですね!平成26年の利率は1%に近いから大体10万円の利息。利息が大きいとは思うけれど、返還年数があるから月額負担で見るとそんなにきつく感じないかも。

A:すごく気になるのは12万借りた人のこと。どのくらい大変なのかな?

K:そうね。早速見てみましょう。

返還例(大学)・貸与月数48ヶ月-JASSO
参照元:日本学生支援機構(2016年1月時点、著者調べ)

月12万円借りた場合の返還額例

K:さすがに返還年数は20年となっているわ。また、金額が金額なだけに返済月額も2.5万円から3万円とかなり高額。利息もかなり大きいものとなりそう。貸与総額が576万円だから仕方ないわよね。

【年利:返還総額:利息分:返還月額】
●0.5%:6,068,011円:308,011円:25,282円
●1%:6,385,730円:625,730円:26,606円
●2%:7,049,746円:1,589,746円:29,373円
●3%:7,751,445円:1,991,445円:32,297円

A:安易に借りられる額ではないように感じる。

N:私も。よっぽど強い意志がないと私には無理。

A:ただ、本当に借りたい人がいるからこの金額があるということだよね。学生の身分でこんなに借りられるのだからその人達にとってありがたい制度ということかな。

返還例(大学)・貸与月数48ヶ月-JASSO
参照元:日本学生支援機構(2016年1月時点、著者調べ)

災害や傷病のときは無利息扱い

K:13年や20年、返し続けることができるのって健康であればこそ。災害や傷病のときは返還が猶予されてその間は無利息になるみたいね。外国に留学した場合も猶予を認められるということだから、「学業のため」のものということがよく伝わるわね。

N:年数が増えると利息が増えてしまうから、そうならないようにしてもらえるのはいいことですね。外国留学まで考慮してもらえるなんてすごいです。

返還例-JASSO
参照元:日本学生支援機構(2016年1月時点、著者調べ)

奨学金が原因のトラブル

プラスとしている人もいる一方で

K:奨学金はね、プラスとしている人も沢山いるの。「奨学金のおかげで大学進学できました。夫婦ともに奨学金があったけれど、きちんと返しています。」という人や「結婚前にきちんと全額返還しました。奨学金で助かりました。」、「結婚する前に返還できなかったけれどパートしながら返しています。」「主人が理解のある人で家計から返還させてもらっています。感謝しています。」「今の主人があるのは奨学金のおかげ。主人が稼いでいるので家計から主人の借りた奨学金返還をするのは当たり前のことです。」という人などね。

A:その一方で…という話?

K:そうなの。返還できずに苦しんでいる人もいるのよ。また、奨学金があることで起きるトラブルもあるの。返還できない人がどれだけ多いかを調べてみましょう。日本学生支援機構の事業報告書によると、平成26年度の奨学金利用者が約134万人。これは大学だけでなく大学院や高専なども合わせた数字ね。そのうち、返還が滞っている人が約33万人。

N:そんなにいるのですか?

K:そうなの。その現実を見ると大事なのは「借りる前によく考えておくこと」だと思うのよ。

事業報告書
参照元:日本学生支援機構(2016年1月時点、著者調べ)

クレジットカードを作れない?

K:返還できないことによる経済的な大変さももちろんだけど、精神的なプレッシャーも当然出てくるわ。就職がうまくいかなかった人や転職がうまくいかなかった人など、それぞれのケースによるでしょうね。

A:安定収入を見込んだ上での「奨学金」だったのだろうね。

K:そうなの。滞納することで延滞金が上乗せされるから、額が多いと大変だと思うわ。滞納することでね、クレジットカードの審査が通らなくなる場合もあるし、車や家のローンが組めなくなってしまうことにもなるのよ。

延滞した場合-JASSO
参照元:日本学生支援機構(2016年1月時点、著者調べ)

機関保証制度について-JASSO
参照元:日本学生支援機構(2016年1月時点、著者調べ)

奨学金が原因で結婚を躊躇

K:それからね、「奨学金」に対する考え方は人によるから考え方の違いによるトラブルも起こっているの。例えば結婚を考えている彼、彼女に奨学金があることがわかって「結婚を躊躇する」ということも起こっているらしいわ。

N:わかります。額にもよるでしょうけど、「借金」と同じと考える人もいると思います。

K:そうなの。「彼はどうして結婚前に返還してしまおうと思わないのだろう?」と思う人もいるし、「彼女の借金がある状態で結婚しようとしているという価値観に驚いた」など、それぞれよ。

A:たまたま奨学金がある同士、ない同士だったらいいのだろうけど、そうでない場合は大変なのかな。

K:そうね。あとはね、奨学金がある同士で額が大きい組み合わせのときね。「毎月の返還額を考えるとやっていけるのか心配」というケースもあるわ。

奨学金に対する親の気持ちも複雑

K:これがね、当人同士の価値観だけならまだいいの。お互いの価値観を理解できたら結婚すればいいし、できなかったらご縁がなかったと思えばいいからね。問題なのは、親同士の価値観が異なる場合もあるということ。

N:関係者の人数が増えますものね。

K:そうね。ネット上でもお互いの意見で対立していることを見かけることがあるわ。「どうもあちらの親御さんは旅行だ習い事だと贅沢にやっている。あのような家計状況でなぜ子どもの学費を出さず、借金持ちのまま結婚させるのだろう」「うちは家計を切り詰めて子どもの学費を出してきた。あちらのご家庭は子どもに借金を負わせて平気な顔をして高級車に乗り、大きな家に住み、小さな家の我が家を見下している態度にモヤモヤする。」など感情的に納得できない人もいるようなの。

A:そういうケースだと気持ちはわかるな。お互いが同じ価値観ならトラブルにならないのだろうけれど。

N:表面上は我慢しているけれど、心の中で納得できていないという形でのトラブルもあるということですね。

K:そうなの。「息子が稼ぐお金から払うのだからフルタイムで働くわけでもない嫁にとやかく言われる必要はない」という意見も一理あるし、「こちらが正解」とはっきり言える問題ではないのよね。そのためにこうした小さなトラブルはどこでも起きる可能性が高いわ。奨学金を利用する学生が増えているから尚更ね。



返還期間のことも考えて利用したい

N:奨学金を利用する場合は、借りる期間のことを考えるだけでなく返還する期間や金額のことをしっかり考えてからにしたいと実感しました。

K:そうね。「奨学金をプラスにして」生きている人も沢山いるのよ。そうできるように、慎重に額を考えること、また、アルバイトなどで卒業時の負担を減らしておくこと、また希望の学部や学科ではどのくらいアルバイトの時間を取れそうなのかを事前に調べておくこともオススメするわ。

N:はい。しっかり考えておくことで後々の不安も減らすことができるし、前向きに学生生活を頑張れる気がします。

A:響子叔母さんにはすっかりお世話になっちゃった。本当にありがとうございました。

N:ありがとうございました。

K:どういたしまして。そうやってきちんと挨拶できる高校生は素敵よ。その調子で前向きにお勉強も頑張ってね。 ▼▽▼あわせて読みたい▼▽▼ 奨学金を借りて大学へ通う学生が増えています。奨学金の中で最もメジャーなものはやはり「日本学生支援機構の奨学金」ですね。利息なしでゆっくり返還できるのが魅力ですが、借りられるかどうかという問題があるようです。日本学生支援機構の奨学金の第一種について、簡単にまとめてみました。