雇用保険の資格取得届がされていないと失業手当が受けられない?

雇用保険の資格取得届は、きちんと届出がされていないと、失業した場合などに支給される給付が受けられないことを知っていましたか?事業主が届出をする義務がありますが、自分でも確認ができる場合もあります。雇用保険の資格取得届について確認しておきましょう。



雇用保険とは?

雇用保険とは、かつて失業保険とも呼ばれていたもので、民間の企業で働く人が、働けなったり、失業したりしたときに再就職までの一定期間、失業給付を受け取ることができる保険になります。雇用保険には、失業給付だけでなくさまざまな補償があり、高齢者雇用継続給付や育児休業給付・介護休業給付などもあるのです。

また、雇用の安定や能力開発など、失業の予防や雇用の機会を増やすこと、また能力の開発などを行う事業主に対して、助成金や給付金を支給制度なのです。また、雇用保険は労働保険の一種となっていて、雇用保険と労災保険を合わせて「労働保険」といわれています。

事業主の雇用保険被保険者資格届出の義務

雇用保険の加入について、事業主は1人でも働く人を雇っている場合は雇用保険に加入しなければならないこととなっています。その事業については、業種や規模など関係なく、すべて適用事業となります。

この適用事業で雇用されている働く人は雇用保険の被保険者となるため、事業主は労働保険料の納付や、雇用保険被保険者資格届の届出をする必要があり、これは事業主の義務となっています。雇用保険被保険者資格証については、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)へ提出をします。

この雇用保険被保険者資格届の届出を適正になされていない場合、働く人が失業した場合の失業給付などが受け取れないなどの問題が起こることになります。

雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月、著者調べ)

雇用保険の被保険者となる人

雇用保険の被保険者になる人は、事業主との雇用関係によって、収入を得て生活をしている人が対象となりますので、臨時的に働く人は被保険者となりません。その雇用形態に関しては、正社員や契約社員以外にも、派遣やパートやアルバイトも含まれます。被保険者となる人の条件は以下のとおりです。

①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
一般的にフルタイムで働く人は1日に7~8時間程度の労働時間ですので、この条件には該当します。パートやアルバイトの方に関しては、その労働時間によって加入できる被保険者かどうかが変わってきます。

例えば、1日に4時間で1週間に4日働くとしたら、1週間あたり16時間の労働時間なので、この条件には該当しません。しかし、1日4時間で1週間に5日働くとしたら、1週間あたり20時間の労働時間となるので、この条件に該当することになります。

②31日以上の雇用期間であること
雇用期間に定めがなかったり、31日以上あったりする場合には、この条件に該当します。また、雇用の契約期間が31日に満たない場合でも、契約更新の規定があるときは、この加入条件に該当します。しかし、契約雇用期間が短期間であり、31日以上ない場合は対象となりません。

③雇用契約の仕事開始の日に65歳未満であること

この①②③をすべて満たした場合、雇用保険者の被保険者となりますので、事業主は雇用保険被保険者資格証の届出が必要になります。

雇用保険への加入が必要となる労働条件(イオン社労士事務所)
参照元:イオン社労士事務所(2016年1月、著者調べ)

被保険者への通知書の交付がされる

事業主は、新しく雇用した人が、雇用保険の被保険者の条件に該当する場合には、「雇用保険被保険者資格届」の提出が必要です。その期限は、被保険者になった月の翌月10日までとなっています。届出が無事に認定された場合には、「雇用保険被保険者証」と「雇用保険資格取得など確認通知書」というものが発行されます。

被保険者はこの2つの通知書を受け取って、雇用保険に加入したことを確認してください。もし受け取っていない場合は、雇用保険について事業主に確認をしてみましょう。

雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月、著者調べ)



雇用保険の資格取得届の手続きがされているかの確認

「雇用保険被保険者証」と「雇用保険資格取得等確認通知書」を受け取っていない場合は、本当に雇用保険に加入されているかどうか、不安になりますね。しかし、加入されているかどうかというのは、とても重要な問題です。なぜなら、加入の期間に応じて失業保険が給付される日数が変わってきてしまうからなのです。

例えば、自己都合の退職の場合ですと、加入期間が20年以上の場合は、失業保障の給付日数は150日となりますが、10年未満の場合は90日。さらに会社都合での失業の場合(45~60歳未満)ですと、加入期間が5年以上で240日、1年から5年未満の場合は180日、と大きな差が生まれてしまうからです。

失業保険はいくらもらえる?期間は?「雇用保険」の基礎知識! | 働く人に知ってほしい「社会保険・労働法・税金」
参照元:働く人に知ってほしい「社会保険・労働法・税金」(2016年1月、著者調べ)

加入の照会方法

加入しているかどうかを確認したい場合に、事業主へ「加入していますか?」と聞くのはためらわれることもありますね。もしかして、やめる気なのか?と思われる可能性もあります。それによって、辞める気もないのに、そのような目で見られることは避けたいですね。

しかし、会社を通さなくても雇用保険に加入しているかどうかの確認をすることはできます。雇用保険の加入の照会方法は、ハローワークへ行き、そこで配布される「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」という用紙に、必要事項を記入して提出することで、確認ができます。

このときに、本人確認ができるものが必要になりますので、忘れず持参しましょう。この2点を提出すると、照会結果は「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会回答票」を受け取ることができます。これは郵送でも手続きができます。また、電話での照会はトラブルとなる可能性があるため受け付けていませんので気をつけましょう。

雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月、著者調べ)

退職時に雇用保険に入ってないことがわかったら

もし、雇用保険の対象であるにもかかわらず、手続きがされていなかった場合はどうしたらよいのでしょうか?万が一手続きがされていなかった場合、雇用保険の加入がされていないと失業手当が受けられません。これは困りますね。

このような場合は、入社のときや、雇用保険の対象になったときまで遡って手続きをしてもらわなければいけません。雇用保険の資格取得について、また、保険料納付についての時効は2年となっています。しかし、書類などで確認が取れるのであれば、時効の2年を超えて適用されることとなっています。

確認に必要な書類は、出勤簿と賃金台帳になりますが、雇用契約書や労働者名簿など、雇用の事実がわかる書類などを集めて手続きをしてもらいましょう。被保険者の期間判定は、最大で2年までしか遡れませんが、給付日数の判定に関しては、確認書類があれば大丈夫です。

このような場合は、まずハローワークに相談に行くようにしましょう。

book401(雇用保険の時効が緩和され始めた)
参照元:山口正博 社会保険労務士事務所(2016年1月時点、著者調べ)

雇用保険と社会保険の違いとは

ここまで雇用保険について確認してきました。しかし、雇用保険と社会保険の違いについて、よくわからないと思っている方も居られるかもしれませんね。雇用保険は労働保険のひとつなのですが、社会保険とは別となります。実は、雇用されたときにかけられる保険というのは4種類あり、それを大きく分けると「労働保険」と「社会保険」となるのです。

ではそれぞれについて確認していきましょう。

労働保険とは

労働保険とは、失業してしまったときに、失業手当などの補償をしてもらえるのが「雇用保険」です。そして、働いているときの災害時の補償をしてもらえるのが「労働保険」です。そしてこの2つは、労働保険といわれるものです。

労災保険は、全額会社負担であり強制加入となっているため、働いている側は加入の認識が薄いのですが、労災保険も大切な保険です。また、雇用保険は給与の0.5%~0.6%の保険料となり、半分が会社負担となります。雇用保険に関しては、加入条件がありますので全員の強制加入ではありませんが、その条件に該当した場合は加入に関しては義務となっています。

労働保険とは – 全国労保連
参照元:全国労保連(2016年1月、著者調べ)

社会保険とは

社会保険とは、さまざまなリスクに対しての支援するための制度です。病気やケガなどのときの医療の負担や出産時などの補償がされる、いわゆる健康保険証の交付がされる「健康保険」と、老後の保障や障害時などの保障がされる「厚生年金保険」となっています。社会保険については、どちらもその保険料の半分を会社が負担してくれています。

社会保険の基礎知識/社会保険(健康保険・厚生年金保険)とは
参照元:社会保険の基礎知識(2016年1月、著者調べ)

加入条件の違い

労災保険については強制加入ですので、働く人は全員加入しなければならないことになっていますが、雇用保険と社会保険は加入の条件があります。そして、雇用保険と社会保険を比べると、雇用保険の加入条件は厳しく義務付けられています。社会保険は収入と勤務形態に応じて、加入の条件があります。

パートやアルバイト、また非正規社員の方の中には、雇用保険は加入していても社会保険は加入していないということもありますね。どちらも、一定の条件を満たしている場合、加入しなければならないものになります。これは、働く人が加入したくないから加入しないといっても、そういう理由は通らないということです。

雇用保険に加入することのメリット

雇用保険に加入することの大きなメリットは、失業したときから再就職までの期間に、失業手当などが受け取れるということです。また、雇用継続給付もあり、高齢者・介護休業・育児休業などを取得した人の雇用の継続を支援する給付があり、「高齢者雇用継続給付」「育児休業給付」「介護給付」となっています。

失業手当で受け取れる基本手当日額については、離職日の直前6ヶ月の賃金の日額で算出し、上限はありますが、その50%~80%となっています。(60歳~64歳については45%~80%)

高年齢雇用継続給付とは、被保険者期間が5年以上の60歳から64歳までの方が、60歳の時点の賃金が75%未満となった場合に支給がされます。また、育児休業給付とは、被保険者が1歳に満たない子を育てるために休業をしたときに支給されるものになります。そして、介護給付とは、家族の介護のために休業した人に介護休業給付金が支給されます。

このように、雇用保険は失業時の失業手当だけではなく、高齢になったときや介護が必要になったとき、出産をしたときなどのための補償があるのです。

Q4.雇用保険制度について概要を教えてください。|労働政策研究・研修機構(JILPT)
参照元:労働政策研究・研修機構(JILPT)(2016年1月、著者調べ)



まとめ

雇用保険とは、一定期間以上働く人にとっては加入しなければならない保険であり、加入されていないと失業手当をはじめとした補償がされなくなるため、加入の必要な保険になります。事業主は、その条件にあてはまる人に対して、必ず加入の手続きをとらなければならないことになっています。

しかし、加入の手続きがされないというところも中にはあります。もし加入の手続きがされていなかった場合は、働く人にとって不利益な状況となる可能性がありますので、加入に関しては必ずしてもらいましょう。

加入されているかどうかは、「雇用保険被保険者証」と「雇用保険資格取得など確認通知書」で確認ができますが、交付されていない場合は、事業主に確認をとりましょう。しかし、直接確認をとることをためらわれる場合は、自分でハローワークへ行き確認をすることも可能です。

不安な場合は、ハローワークにて配布している書類に記入し、本人確認ができる書類を一緒に提出の上、確認してもらいましょう。

また、雇用保険は失業手当だけではなく、「高齢者雇用継続給付」「育児休業給付」「介護給付」などの補償もされるものになります。知らなかったでは損をすることになりますので気をつけてください。

もし、退職してから雇用保険に加入していないことが判明した場合、その証拠となる書類関係をハローワークへ持っていくことで、遡って雇用保険への加入が可能になりますので、あきらめずにハローワークに相談へ行くようにしましょう。

また、パートやアルバイトでもこの雇用保険は該当することが多いものです。条件に該当するのに給与から雇用保険が天引きされていない場合は加入されていない可能性もありますので、必ず確認をするようにしてください。給料から雇用保険が引かれてもったいないということはありません。大切な保険なのです。