雇用保険から産休・育休時にもらえる【育児休業給付金】を攻略

会社などから雇われて働いている人で、一定の要件を満たしていれば加入している雇用保険。実は雇用保険から産休・育休に関して手当が出ることをご存知でしたか?雇用保険の制度である「育児休業給付金」について徹底的にまとめてみました。



産休・育休時に助かる育児休業給付

育児休業給付金とは

育児休業給付金とは、一定の期間雇用保険に加入している被保険者が、1歳、または1歳2カ月未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、雇用保険から育児休業の補填となる給付金が支給される制度です。

育児休業給付金は、広い意味で「産休・育休に関わる手当」といえますが、出産に対して支給されるものではありません。雇用保険から産休手当がもらえる、と間違った認識をしているケースもよくあるようです。

雇用保険から支給されるのは産休ではなくて育休手当なので、この点を注意してください。産休手当が支給されるのは健康保険です。

ハローワークインターネットサービス – 雇用継続給付
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

出産で会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2016年1月時点、著者調べ)

育休中に勤務しても大丈夫?

育児休業給付金は、あくまでも休業による収入の低下を補填するという目的を持っています。そのため、もしも育休中に勤務する場合には上限を設けています。1カ月のうちの勤務日数が10日以下、もしくは勤務時間が合計80時間以下であれば、問題はないようです。もしもその基準を超えた場合は、その月は支給されません。

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

もし育休中に2人目を産んだ場合は?

育休中に、2人目を出産することもあるかもしれません。その場合は、重複して給付金がもらえるわけではないようです。2人目の子どもに関する育児休業給付が始まる前日に、今支給されている育児休業給付が終了します。ちなみに、同じ子どもについて複数回育児休業給付を申請することはできません。

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)



育児休業給付金の受給資格について

育児休業給付金の受給資格者は、雇用保険の被保険者となっている男女で、【育児休業開始前の2年間の間に、賃金支払い基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上ある人】と定められています。すなわち、2年間の間に雇用保険に加入した月が通算12カ月以上ある人が対象になるということになります。

そのため、雇用保険に加入して少なくとも1年経たないうちに育児休業を取得したとしても、育児休業給付金は給付されません。

ハローワークインターネットサービス – 雇用継続給付
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

会社を辞めた後でも大丈夫?

勤務先の会社を退職した後に、育児休業給付金をもらうことはできるのでしょうか?雇用保険に入っている期間の有無などに関わらず、残念ながらできないようです。育児休業給付金はあくまでも育児休業を取得している人が対象となります。休業ではなく退職してしまうと、受給資格を失ってしまいます。

また、育児休業を取得する当初は休業のつもりだったが、育休中に気が変わって会社を退職した場合は、給付期間が残っていても退職以降は給付金はもらえません。

ハローワークインターネットサービス – 雇用継続給付
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

パートや派遣社員でも大丈夫?

雇用保険の被保険者であれば、正社員や派遣、パートといった雇用形態に関係なく給付金の支給対象になります。しかし、注意が必要なのは雇用契約が有期契約になっている場合です。有期契約を交わしている雇用者のことを、「期間雇用者」と呼びます。

正社員は原則、期間の定めのない雇用者ですが、派遣社員や契約社員は数ヶ月や年単位での契約更新になっている人がほとんどだと思います。もしも自分が期間雇用者に該当するかわからない場合は、会社と交わした雇用契約書で確認してみてください。

この期間雇用者である場合は、以下の条件で育児休業給付金が支給されます。

・休業開始時点ですでに、同じ雇用主の元で1年以上働いている
・子どもが1歳に達する日を超えて、引き続き雇用される見込みがある
・子どもが2歳になるまでに労働契約が終了し、契約の更新がないことが明らかではない

期間契約者でも、雇用契約書に「自動更新」という記載があったり、「更新の可能性がある」などの表記があったりする場合には支給対象になるようです。

育児休業や介護休業をすることができる期間雇用者について
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

雇用保険に未加入だった…

いざ育児休業の手続きをしよう、とした段階で、実は雇用保険に未加入だったとわかった…こんなケースもあるかと思います。雇用保険は、週の労働時間が20時間以上・31日以上の雇用見込みがある、といった一定の要件を満たせば加入義務があります。

しかし、雇用保険加入の手続きは会社側が行うため、本当に加入してくれているのか見えにくいところがあります。もしも未加入だった場合でも、2年間は遡って雇用保険に加入することができます。その場合には、2年分の雇用保険料(自己負担分)をまとめて支払わなければなりません。

もしも会社の手続きが漏れているなどの理由で、雇用保険に加入されていなかった場合には、早めに加入の手続きを取ってもらうようにしましょう。もしも会社が意図的に未加入のままにしている場合は、直接会社に要求することが難しい場合もあるかもしれません。

そんな時には、ハローワークに相談することも手です。

雇用保険に加入していますか ~ 労働者の皆様へ ~
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

育児休業給付金の申請期限と手続

申請方法

手続きの流れは以下の通りです。

1.会社に育児休業給付の手続きを申し出る
2.会社がハローワークにて受給資格確認手続きを行う
3.会社、または被保険者が支給申請手続きを行う
4.支給決定通知書の記載に従って、申請日ごとにハローワークで手続きを行う

育児休業給付の手続きは、何も言わなくても会社がしてくれるのでしょうか?会社によっては、自動的に育児休業給付の手続きに入ってくれるところもありますが、被保険者側から申請をしなければ対応してくれないところもあるようです。

特に、社員が少なく総務に従事している社員がいないところや個人事業主の場合などには、産休や育休の手当についてまで手が回らないところもあるかもしれません。できれば育児休業給付金を申請したいという旨を被保険者側から伝えてあげると確実です。

また、支給申請手続きは、雇用されている会社がしても被保険者がしても構わないようです。会社がする場合に限り、初回支給申請手続きと受給資格確認申請を同時にすることが認められています。

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

申請手続き後、入金まではどれくらい?

育児休業給付金の支給申請手続きを行い、申請が受理されて支給額が決定されると、支給決定通知書が交付されます。この通知書には、次回の申請日や支給金額などの情報が記載されています。支給決定がされると、約1週間前後で届け出た口座に入金がされるようです。

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

申請期限

育児休業給付は、いつまでに申し込みをすればよいでしょうか。申請時期を過ぎてしまうと受け付けてもらえないので、給付申請の期限はきちんと把握しておかなければなりません。提出の締め切りは、受給資格確認手続きのみの場合と初回の支給申請を同時に行う場合とで分かれます。

受給資格確認手続きのみであれば、育児休業開始日の翌日から10日以内に申請をしなければなりません。例えば7/15に育児休業を開始した場合は、7/25までに確認手続きを終えなければなりません。一方で初回の支給申請を同時にする場合には、育児休業開始から4カ月を経過する日がある月末まで、となります。

7/15に育児休業を開始した場合は、4カ月後は11/14です。そのため、提出期限は11/30までになります。どちらの場合も手続きは会社が行うことになりますので、できるだけ早めに会社に支給申請の意思を伝えましょう。

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)



支給対象期間、女性は産休後から

育児休業給付金は、育児休業を開始した日から子どもが1歳、または1歳2カ月になるまでの間、1カ月単位で支給されます。支給期間のスタート時期は男女によって異なるので、注意が必要です。

・女性が取得する場合は、出産日の翌日から8週間(産後休業期間)は育児休業期間に含まれない
・男性が取得する場合は、出産日当日から育児休業取得ができる

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

支給対象期間は延長できる

育児休業給付金は、原則として子どもが1歳、または1歳2カ月に達する日までが支給対象です。しかし、以下のような一定の要件を満たせばこの支給対象期間を延長することができます。

・保育所の申し込みを行っているが、空きがなくて保育所に入れることができない
・子どもの養育を行っている配偶者が亡くなったり、病気やケガで養育することが難しい状態になったりした場合
・離婚などの理由によって、配偶者が子どもと別居することになった場合

このような場合には、支給対象期間が1歳6カ月に達する日の前日まで延長されることになります。

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

支給対象期間の延長手続き

期間延長の申請をする場合には、育児休業給付金支給申請書と延長の理由に当てはまることを確認できる書類を添付してハローワークに提出します。必要書類は延長を必要とする理由によっても変わってきますが、主な種類の例は以下の通りです。

・母子手帳
・保育所に入れないことが理由の場合には、保育所の入所不承諾通知書その事実を証明する書類
・配偶者が病気やケガで養育が難しい場合には、配偶者の診断書などの書類
・離婚などで配偶者が別居している場合には、世帯全部の住民票など

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

育児休業給付金ってどれくらいもらえる?

育児休業給付金の計算例

育児休業給付金は、どれくらい支給されるのでしょうか?計算方法は以下の通りです。

・休業開始時賃金日額×支給日数(賃金月額)×67%(育児休業開始から6カ月経過後は50%)

賃金日額とは、【休業する日の直近6カ月の間の賃金÷180】で計算されます。毎月決まって支払われる賃金だけを指すので、賞与や一時金は計算に加えません。時給制ではなく、月給制で賃金が支給されている場合は、毎月の月額になります。少しわかりにくいので、実際に試算してみました。
【例1 月額賃金20万円の女性が、7/15に子供を出産。産後休業直後から子どもが1歳になるまでに育児休業を取得した場合】

育児休業開始は7/16から8週間後の9/12になります。
・9/13-3/12までは、67%で計算されるため134,000×6=804,000円
・3/13-7/12までは、50%で計算されるため100,000×4=400,000円
・7/13-7/14の2日間は日割り計算となり、6,667×2=13,334円

合計で1,217,334円が育児休業給付金として支給されることになります。かなり大きな額になりますね。

【例2 同じ条件で男性が育児休業を取得した場合】
育児休業開始は7/15になります。
・7/15-1/14までは、67%で計算されるため134,000×6=804,000円
・1/15-7/14までは、50%で計算されるため100,000×6=600,000円

合計で1,404,000円が支給されることになります。

*あくまでも概算なので、正確な金額はご自分で計算してみてください。

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

給付額には上限・下限があるので注意

育休前にもらっていた賃金がいくらであっても、その金額が賃金月額として考えられるわけではないので注意が必要です。賃金月額は426,300円が上限とされていて、賃金月額が426,300円を超える場合にも426,300円として計算されます。逆に月額賃金が69,000円以下だった場合には、69,000円として扱われます。

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

まとめ

育児休業給付金は1年間から1年6カ月にもわたって支給される給付金です。休業前にもらっていた賃金よりは額はさがりますが、育児のために働けない夫婦にとっては、とても助けになる制度ではないでしょうか。

しかし、給付申請には期限があったり、制度の延長を希望する場合にはその旨申請が必要だったりと、少し手続きが煩雑な面もあります。支給申請は会社がしてくれるのか、自分でしなければならないのかといったことも含めて、制度についてしっかりと把握しておくことをオススメします!