カードローンの審査で収入証明書が不要の場合があるってホント?

皆さんはカードローンを申し込む前にじっくりと金融機関のカードローン商品取扱い概要書を読まれていますか? 読まれていないのならぜひ読んでみて他行と見比べてください。最近の金融機関では所得証明書を不要としているところがほとんどです。ただその不要のラインが実に千差万別なのです。その水準を見比べるだけでも金融機関によってカードローンに対する積極姿勢が読み取れるかもしれません。今回はその実態に迫ります。



カードローンの発行で必要な収入証明書類って?

銀行や消費者金融業等の金融機関でカードローンを申し込む時に一般的に金融機関から提出することを求められる審査の書類として、主に本人確認書類、および収入に関する書類があります。本人確認書類として主に使われているのは運転免許証とか健康保険証ですが、収入を証明する書類にはその申込者がどのような仕事で収入を得ているかによって多岐に渡ります。

またその収入に関する書類の真偽・信頼度も含めて金融機関による取り扱われ方も様々です。
以下ではその取り扱われ方とともに、まずはどのような収入証明書類があるかを見ていきます。

①源泉徴収票

源泉徴収票は労働者、とりわけ会社や官公庁の組織で働くサラリーマンが手に入れることが可能な所得証明書です。本人が一年間稼ぎ出した給与の総額とか支払った所得税が盛り込まれています。年末に勤めている先から本人に交付されます。審査では税引き前の総支払額がローンの返済比率の計算に使われます。

②給与支払い明細表

文字通り、毎月の給与の支払い明細です。毎月の総支払額から税金や社会保険料などを控除されたものが本人の手取りになりますが、同じくローンの返済比率の計算には総支払額が使われます。一般的に金融機関では、この書類を提出した時には直近の給与支払明細書2.3カ月分とともにボーナスの支払い明細表(年間2回なら両方)も求められますので、カードローンの申し込みを検討していたらそれらを手元に残しておく必要があります。

③課税証明書

この書類は過去1年間(1月1日~12月31日)までの住民税額を証明するものですが、同じ書類の中に同時に所得も記載されているので所得証明書類としても利用されます。

④確定申告書・青色申告書

確定申告書は会社の一年間の決算の状況を記載した書類で一般的に貸借対照表・損益計算書および付属明細から成り立っています。会社の経営者や取締役に対する報酬の金額がその付属明細に盛り込まれているので、経営者や取締役の所得を証明する場合の書類に利用します。個人事業主の場合は決算書に代わって青色申告書の写しを依頼します。この中では事業所得から経費を差し引いたものをその事業に伴う個人事業主の所得として計算して使用します。

所得証明書とは|金融経済用語集
参照元:Ifinance(2016年1月 著者調べ)



収入証明書類に関する取り扱いの経緯

著者自身が以前銀行に勤務していたころは、カードローンに限らず個人ローンの申し込みを受けたら本人確認書類は言うに及ばず、所得を確認する書類を提出してもらうことは一種の常識でした。それが申込人が個人事業主の場合でも、本人が白色申告書しか作成しておらず個人所得があいまいな場合でも、本人からの聞き取りや商売の実態確認、日ごろ利用している個人通帳の履歴などをチェックして総合的に裏付けを取って所得把握に努めたものでした。

ところが最近のカードローン申込に際しては所得を確認する書類を必要としない銀行や消費者金融業等が当たり前になってきています。本当に時代が変わったと感じます。

もちろんいくらか例外があって、一定の条件を超えると所得に関する書類を必要とされたり、最初からカードローンの極度額に関係なく提出を求められたりする例もあります。たとえば以下のケースです。

①カードローンの申し込み極度額がその金融機関が定める一定額を超える場合
②消費者金融業等、総量規制でカードローン極度額が一定額を超えた場合
③会社役員・自営業者等、利用申込額に関係なく所得証明書類を提出する必要がある場合
④所得のない専業主婦がカードローンを申し込む際、所得のある配偶者の所得証明書を求められる場合

上記のような例外は別として、今では一定額までは収入証明書類の提出を必要としなくなっているのが一般的です。原因の一つはインターネットの発達でインターネット専業銀行、あるいは他業種からの銀行業への進出など、競争を激化させる要因が次々と生まれてきたからだと思います。あまり煩雑な書類を求めるとそれを嫌がった大切な顧客予備軍が他行に取られてしまうからです。

さらにネットの発達は煩雑だったローン関係の書類の提出を簡素化させましたし、審査の迅速化にも貢献しました。そのうえ銀行のカードローンの審査に消費者金融業等が保証会社として入って来た動きも見逃せません。銀行が保証会社とタイアップすることで、保証会社が持つ個人ローンのノウハウを審査に活かし審査時間の短縮化が図られました。その一連の流れの中で所得証明書類が不要になってきた経緯もあります。

極度額(きょくどがく)|与信管理用語集|リスク管理情報研究所
参照元:リスク管理情報研究所(2016年1月 著者調べ)

金融機関別に収入証明書不要をまとめると

ここで著者作成の銀行別、消費者金融業別所得証明書類不要一覧表を見てください。

驚くべきはその不要ラインの高さです。トップのスルガ銀行にいたっては、なんとカードローン極度額500万円まで所得証明書が不要という大サービス付きです。私の現役時代には考えられないような水準です。いや、100万円でも驚きのレベルなのです。

商品概要-スルガ銀行カードローン リザーブドプラン
参照元:スルガ銀行(2016年1月 著者調べ) 金融機関別収入証明書提出不要ライン(カードローン極度額) (2016年1月 著者作成) なぜこのようなことが可能になったかというと、現在は一覧表に載せたような有名な銀行は例外なくカードローンの審査・発行に際して消費者金融業とか関連の保証会社をバックに付けているのが一般的になっているからです。

これらの業態は長年個人貸し付けを主業としてきたので、与信ノウハウとともに個人所得把握に関する膨大なデータが蓄積されています。たとえば、申込人の実態に合わせて、会社規模、年齢性別、勤務年数、職務地位などを自分の会社のデータに照らし合わせれば、ほぼその申込人の個人所得は判定できると言われています。

わざわざ手間を掛けて所得に関する書類を求める必要がないのはここに根拠があるのです。

ただそれでも判定が難しい個々の会社の会社役員や個人事業主、あるいは収入のない専業主婦などの場合はそれぞれ、決算書や青色申告書、専業主婦の配偶者の所得証明書等、最初から所得に関する証明書を求めるのはちゃんとした道理があるのです。

あるいはそれでも判定が難しい場合は、最初からカードローンの極度額を減らしたり、あるいは審査を却下したりしてリスクを回避しているのです。

もう一つ一覧表から読み取れる点ですが、アコムやプロミスなど消費者金融業の所得証明書類不要ラインが一律50万円になっていることです。これは総量規制と関係していて、一般的に消費者金融業等の貸金業者は、申込人がその金融機関で50万円以上の極度額の申し込みをするか、あるいは他社も含めて100万円以上の申し込みをする場合は必ず所得証明書類の提出をさせることが法律で決められているからです。

一方銀行は総量規制の対象外なので、所得制限を受けません。銀行判断で独自に所得証明書の提出ラインを決められるので、一覧表のようになんと100万円から500万円までばらつきがあるのです。

総量規制とは | 貸金業法について
参照元:日本貸金業協会(2016年1月 著者調べ)



収入証明書類不要の場合のメリット・デメリット

収入証明書類不要のメリット

まずメリットです。

①カードローンの申し込みから審査に要する時間が迅速になり、結果として早くカードローンを利用できます。特に小口申し込みの場合は、パソコンやスマホで審査まで済ますことが可能になるので、後は自分の時間ができた時に適切な方法でローンカードを受け取ればいいです。

②安定した収入のあるパートやアルバイトなら銀行や消費者金融業等、どちらでもカードローン入手は可能ですが総量規制による所得制限のため、所得のない専業主婦は消費者金融業等ではカードローンは申し込めません。しかし一方銀行は総量規制の対象外業種なので所得制限を受けないため、所得のない専業主婦でもカードローンの門戸を開いている銀行があります。むしろそれをメリットとしてHPに強調している銀行もあるのでぜひチェックしてみて欲しいと思います。

収入証明書類のデメリット

次にデメリットです。

①仮に所得証明書類が不要のケースでも、それがイコール申込希望額通りカードローンが認められるという意味ではなく、減額もあれば拒否されるケースもあります。あくまで最終は個々の金融機関の判断次第であることは言うまでもありません。

②いくら所得証明書類が不要といっても所得申告時に実態と異なる所得額を上積みするような虚偽の行為は慎むことです。相手もプロなので長年の経験から矛盾を突いてきます。いったんばれたら信用を失い二度とその金融機関と関係する保証会社ではローン関係は申し込めないと認識してください。

③カードローン新規取引では所得証明書類が不要でも増額依頼時には所得に関する書類を求められることがあります。その結果、増額どころか、逆にカードローンの極度額の減額や、最悪カードローン使用停止になることもあります。

カードローン利用者が注意すべき事

カードローン申込者が注意する点についてまとめます。

これまでは所得証明書類が不要のケースについてメリット中心に述べてきましたが、やはりローンを取り巻く環境は変わっても金融機関の審査の本質は変わっていないと思います。

手続きが簡素化され、カードローンを申し込める対象者が広がってきたのはいいことなのですが、それと審査が簡単に通過するかどうかは別物なのです。実際銀行よりカードローン審査が通りやすいと言われている消費者金融業でも実際は審査を通過するのは5割以下というデータがあります。

カードローン申込者はその実態を理解したうえで、できるだけ多くの金融機関を前もって調べて、自分の実情に合ったカードローンの申し込み先、申込額を決定すべきだと思います。

むやみやたらに鉄砲を放っても鳥には当たりません。むしろそのたびに個人信用情報登録機関に申し込みが記録されてしまって段々と承認される条件が悪くなります。それよりじっくりと時間を掛けて自分の条件に合った金融機関を探して申し込むほうが最終的にはいい結果につながるように思います。

最後に

カードローンで収入証明書類が不必要な場合について、収入証明書類の内容、金融機関別の実態、どうして各金融機関がこのような対応を始めるようになったかの経緯、そしてカードローン申込者はどう対応すべききかなどの観点から説明してきましたが、いかがでしたか?

仮に金融機関が不要と言っても、私がカードローン申込者の方々に申し上げたいことは申込前にぜひ一度自分で所得証明に関する書類を手に取って眺めることをお勧めします。そしてご自分でカードローンの申込希望額とその総所得額を比較して、他の契約済みのローンも加えて返済比率を出されてみたらいいと思います。経験的には返済比率が30%~35%を超えだすとなかなか金融機関は認可を出すのは難しくなってくると思われます。ご自分で計算することで、自分の申込予定額が妥当なものか一定の目安が立てられるのではないかと思います。

返済比率とは?-ファイナンス事情
参照元:ファイナンス事情(2016年1月時点、著者調べ)