平成23年から始まった地上デジタル放送ですが、引っ越しをしたり新しく設備を買い換えたい時があると思います。そんな時どれくらいの費用がかかるのでしょうでしょうか。具体的な項目を挙げながらご説明します。
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アナログから地上デジタル放送へ
平成23年7月にアナログ放送が終了しました。終了の前には皆さんがお使いになっていたテレビ画面の上方に「アナログ放送終了!」のテロップが何度も流れていたものでした。
そして新たに始まった地上デジタル放送。今ではすっかり私たちの生活の中に溶け込んでいますね。
平成27年なるとこれまで地上デジタル放送を受信することが難しかった世帯への対策も済んでいます。これで名実ともに日本でテレビと言えば地上デジタルテレビ「地デジ」となったのです。
今回はそんな地上デジタル放送をご自宅で観たい時アンテナ等の工事費はどれくらいかかるのか?ということをお伝えします。アンテナをご自宅に設置する場合とケーブルテレビを利用する場合を見て行きましょう。
新たに地デジを受信したい時には…
そんな私たちの生活の中にすっかり溶け込んでいる地上デジタルテレビですが、あなたがお引っ越しをしたり、ご自宅を改築したり、はたまたテレビを観たい場所に地デジの設備がない時には新たに工事をしなければならない場合が出てきてしまいます。
そんな時どこに工事を頼めば良いのでしょう?地デジを観るためにはどんな機器を整えないと行けないの?工事等の費用はどれくらい必要なの?
今回はそんな地デジを観るためにかかる費用、特にアンテナといった設備の工事費についてお伝えしたいと思います。
一戸建てにお住まいの場合
まず必ず必要となる物は…「地デジに対応したテレビ」と「チューナー」です。
今、家電量販店等で普通に買うことが出来るテレビは全て地デジ対応テレビと言って差し支えありません。チューナーも内蔵されていますので別々に購入しなくても大丈夫です。画面の大きさや液晶画面の鮮やかさ、価格等多くの種類のテレビがありますのでお好きな物を購入なさってくださいね。
また一戸建てにお住まいの方の場合忘れてはならない物があります。アンテナです。
アナログ放送のころはVHFとUHFという2種類のアンテナが必要でした。ですが地デジになってからは「UHFアンテナだけで大丈夫」です。
もしこれから地デジを観たいとお考えの場所にVHFアンテナだけしかないのでしたら、UHFアンテナを設置する工事が必要となります。もうすでにUHFアンテナはある方の場合はそのまま地デジを受信すること出来ます。ただアナログ放送と地デジでは同じUHFアンテナが使えても綺麗な画像を受信するための調整をする必要が出てきてしまいます。
さらに残念ながら設置されているUHFアンテナが古かったり壊れていると言った可能性もあります。そんな時は当然部品を交換することになります。
またお住まいの地域が地デジ電波の受信がうまく出来ないエリアのことも考えられます。その場合は受信感度を上げる部品の追加もあるでしょう。
こうしたそれぞれについて費用が発生してしまいますので、事前のお見積もりがとても大事になってきます。
集合住宅にお住まいの場合
一方、大勢の方がお住まいになる集合住宅の場合はどうでしょうか。
集合住宅の場合はお部屋を借りている、もしくは所有している方が個別にアンテナ等を設置すると言うことはまれです。
たいていは集合住宅単位でアンテナ設置の工事を行い皆さんがお住まいのお部屋の壁際まで工事が済んでいることがほとんどになります。近年新築された物件にお住まいの方でしたら始めから工事は済んでいると思って良いでしょう。
こうした工事は物件の大家さんや管理組合、管理会社単位で行われています。お住まいの物件の地デジへの対応がどうなっているかのお問い合わせもこうした所へされると良いでしょう。
ケーブルテレビをご利用の場合
最近、一戸建て、集合住宅問わずご利用の方が増えているケーブルテレビ。
こちらを利用して地デジ放送を受信することも可能です。その場合はケーブルテレビの会社が用意してくれる専用の機器をレンタルするという形を取ることがほとんどです。
ケーブルテレビについては後ほど詳しくご説明しますが個別にアンテナを設置する必要がありません。費用としては導入のための回線工事や、加入契約料、毎月の利用料等が必要となります。
工事の費用を見積もってみました
さて実際に地デジ工事をしなければならなくなりました。こんな時工事はどこに頼めば良いのでしょうか?
地デジの工事は「電気工事業者」さんが行ってくれます。インターネット等で「地デジ アンテナ 工事」と言ったキーワードで検索を行うと実に多くの業者の方が表示されます。その数に驚いてしまうくらいです。
そして業者さんごとに「○○円で工事できます!」と言った謳い文句が踊っています。少しでも安い価格で工事をしてもらえるのならありがたいと思うのは人情ですよね。
ここでご注意して頂きたいのが一口に地デジアンテナと言っても、工事される場所はまさにそれぞれだと言うことです。地デジアンテナを設置したい場所はどんな場所でしょう。木造の建物ですか?コンクリートですか?屋根の上ですか?壁ですか?
そんな設置する場所ごとに工事にかかる人手も、必要な部品も、手間も変わってきます。ですので、ネットで「○○円で出来ます!」と謳っていても実際には変わってしまう場合も珍しくなくなってしまうのです。
では次はアンテナ工事の具体的な例を挙げながらお話を進めてみましょう。
家電量販店でアンテナ工事を頼んだ場合
地デジのアンテナ工事は電気工事業者さんで行ってくれるとお伝えしました。
最近では「家電品を買う時は家電量販店で」と言う方も多いと思います。家電量販店さんはたくさんありますが、今回はヤマダ電機さんの場合でアンテナ工事の実際を見ていきたいと思います。
今回の工事の費用は「UHFアンテナの取り付け工事」での料金の目安となります。この料金にはUHFアンテナ本体、サイドベース金具、接続用の部品が含まれています。
工事の内容は専用の取り付け金具であるベースを用いて屋根や壁面に設置してもらえます。取り付けた後はワイヤーで固定して安定を図ってもらえるとのこと。安心ですね。
ではUHFアンテナの取り付け費用から確認していきましょう。
UHFアンテナの取り付け
◇サイドベース使用した場合
・14素子のアンテナ 15、000円
・20素子のアンテナ 17、000円
◇屋根の上への取り付けの場合
・14素子のアンテナ 20、000円
・20素子のアンテナ 22、000円
サイドベースとは壁面や屋根の軒先にアンテナを取り付けるためのパーツです。アンテナ14素子と20素子の違いは…アンテナが受信することが出来る電波の力が違います。素子の数が多い方がより多くの電波を受けることが出来ます。
UHFアンテナ以外にかかる費用は
電波を増幅することで受信を強めることが出来る装置をブースターと言います。取り付け工事は…15、000円~40、000円となっています。
アンテナから取り入れた電波を多くの部屋に配ってテレビが観られるようにしたい時には分配工事という物が必要になります。工事費用は4、000円~23、000円となっています。
機器の取り替えなどの時に忘れてはいけないのが古い機器の「取り外し費用」です。工事費用は4、000円~10、000円となっています。 まとめますと、ヤマダ電機さんの場合は14素子のアンテナを取り付けて工事が終了する場合が15、000円となっています。ここからアンテナを20素子にする、ブースター等の部品を追加すると言ったことをすると加算されていくことになります。
あなたのお宅で工事を行う場合は設置する場所、受信する電波の強さによって工事内容が変わってきますので工事前の見積もりや打ち合わせは納得が行くまでされることをオススメします。
では、今は当たり前の様に皆さんが観ている地デジですがそもそも以前アナログ放送とどこがちがうのでしょう?改めて地デジとは何かをご説明しますね。
アンテナ工事料金目安 | ヤマダウェブコム
参照元:ヤマダウェブコム(2016年1月時点、著者調べ)
今さら聞けない?地デジって何がいいの?
これまでのアナログ放送が地上デジタル放送に変わったことで何が良くなったのでしょうか?
世界でも地上デジタル放送を取り入れている国は増えています。1998年にイギリスで始まった後はアメリカ、スウェーデン、スペインで始まっています。お隣の韓国や中国も地上デジタル放送に切り替わっています。その数は世界の40以上の国と地域というのですから驚きですね。
地上デジタル放送ってなに? | 地上デジタルテレビ放送のご案内
参照元:総務省(2016年1月時点、著者調べ)
◇高音質な映像
地上デジタル放送と言えばこの音と映像のレベルアップが一番に挙げられるでしょう。
アナログ放送では電波を発信して私たちが映像と音声として観る間に音質が落ちるということが起きていました。映像も高い建物が増えたことの影響を強く受けてしまっていました。電波が建物に反射して「ゴースト」と呼ばれる現象が起きてしまっていたのです。このことで映像にも悪影響が出てしまっていたのでした。
◇ひとつのチャンネルの複数化
アナログ放送では1チャンネル1番組でした。ですが地デジに変わり1チャンネル内で複数の番組を流せる様になったのです。複数化は2~3番組にもなりそれを同じ時間に放送出来てしまいます。すごいですね。複数になったからと言って画質はこれまでのアナログ並なので視聴には特に問題ありません。
例えば大きな事件が起きて番組途中で生中継が入ったとします。これまでなら生中継の影響で予定されていた番組は中止になってしまっていました。ですが複数化されていれば中継は別のチャンネルに移り予定の番組は中止されずに観ることが出来る…ということも可能になるのです。
◇字幕放送
これは単に外国の映画に字幕が付くというだけではありません。日常のニュースなどの番組にも字幕がテロップで出るのです。
聴くことに障がいを持つ方にとって日常のニュースがすぐに受け取れるメリットはとても大きいですね。バラエティー番組にもテロップが流れていればご家族と一緒に番組を楽しめますし、選べる番組の幅が広がって生活が豊かになります。地デジの良いところはこうした機能のために特別な機器が必要無いという所です。
◇音声が選べる
日本語以外の言葉を選択することが可能です。日本に来たばかりの外国の方にとってこれは心強いものになるでしょう。英語等の外国語を勉強している方の学習にも利用出来そうです。
◇欲しいニュースがいつでも手に入る
最新のニュースや全国の天気予報が好きな時に確認できます。これまでは新聞のテレビ欄でニュースや天気予報の放送の時間を確認したり、電話で天気予報を聞いたりと言ったことが必要でした。ですが地デジを使うとリモコンの操作ひとつでこれらがすぐに手に入ります。
◇テレビ番組に参加出来る
最近テレビをご覧になっている時に「あなたのご意見はこの1から4のうちどれですか」と言ったアンケートを募る場面を観たことはありませんか?
これは地デジの機能のひとつである双方向でデータのやりとりが出来るという物を利用しています。テレビを観ている人はこれまでは常に受け身でした。ですが地デジでは自分も参加して意見を発信できるのです。
◇1週間先の番組が確認できる
電子番組表(EPG)という機能のため1週間も先の番組が確認出来るようになりました。この機能は番組の録画にも活用されています。これまでは録画したい番組の情報をひとずつ入力していましたが電子番組表のおかげでぐっと簡単な操作で録画予約出来るようになったのです。
◇災害や緊急時に活用しやすい
今や携帯電話、スマートフォン、パソコンはかなり多くの人が持っていますね。車でもテレビが観られます。地上デジタル放送はこうした移動している時に使う機器へも鮮明な映像を送ることが出来るのです。
外出先でも気軽にテレビ番組が楽しめることは嬉しいですね。またこの機能は災害や事故が起きた時に大いに発揮されます。災害などが起きた時欲しいもののひとつは「情報」です。被害の状況や避難場所を一斉に多くの人に伝えることが出来るのです。
地上デジタル放送を観たいと思った時の方法にはご紹介したアンテナを設置して観ることの他にケーブルテレビを利用するという方法もあります。ケーブルテレビのネットワークは全国に広がってきています。
次にケーブルテレビでの地上デジタル放送受信の方法をお伝えします。
ケーブルテレビを利用する場合なら
ケーブルテレビとは一体なんでしょう?これまでテレビを観る時には一戸建てにしろ集合住宅にしろ個別にアンテナを立てる必要がありました。
一方ケーブルテレビの場合は基地局のアンテナで電波を受信します。そしてケーブルで繋がった契約先に配信を行います。なのでケーブルテレビでは個別のアンテナは必要ないのです。
アンテナがないので例えば台風がやって来ても「アンテナが倒れないかな?」という心配は要りません。またアンテナのメンテナンスも不要になりますね。
初めての人がケーブルテレビで地上デジタル放送を観たい時はどれくらい費用がかかるのでしょうか。ケーブルテレビ局のひとつ、多摩テレビを例にみていきます。
月額料金の他に導入工事が必要
ケーブルテレビで地上デジタル放送を観るためにはまずお住まいの地域のケーブルテレビに加入する必要があります。
加入するには有料の加入基本料がかかります。そしてご自宅で視聴出来るようにする有料の工事を行ってから視聴開始になります。その後は毎月の月額基本料金がかかります。
今回はケーブルテレビのひとつ「多摩テレビ」の場合を例にしてみます。
・基本サービス 1、400円(月・1世帯)
・ケーブルテレビ専用チューナー(STB) 700円(月・1台) *録画機能なし
・導入工事~一戸建て~
ケーブルテレビ引込工事費 27,000円
・STB取付工事費(戸建れ・集合住宅共通)5000円
これらを単純に足し算すると34.100円となります。なかなかの出費です。
ですがすでにケーブルテレビ用の回線の引き込みが終わっているのでしたら始めは加入する時の出費は抑えられそうです。一番始めにどれくらいの費用がかかるか、確認をきちんとされた方が良さそうです。
一方、普通にUHFアンテナを立てた場合にはかからない月額の費用がかかることになります。毎月の費用がかかることが気になる方もいると思います。
ケーブルテレビの魅力とは何なのでしょうか。
多摩テレビ | 多摩地域密着ケーブルテレビ
参照元:株式会社多摩テレビ(2016年1月時点、著者調べ)
ケーブルテレビは何が良いの?
ケーブルテレビの最大の魅力はチャンネルが沢山あると言うことです。
すべてが無料ではなく有料のチャンネルが多いのですがその数は70以上にもなっています。
時代劇がお好きな方なら時代劇ばかりを放送している「時代劇チャンネル」なんてオススメです。野球がお好きなら「スポーツチャンネル」。試合終了まで楽しめますよ。お子様がいるご家庭ならアニメやキッズチャンネルもありひとつのチャンネルごとに契約することが出来るので無駄が少ないです。
今回のお話のまとめ
今回は地上デジタル放送やケーブルテレビの特色をご紹介しながら地上デジタル放送をご自宅で観られるようにするための費用について考えてみました。
お話ししたことを振り返ってみます。
○新たに地デジを受信したい時には地上デジタル放送対応のテレビの他にUHFアンテナが必要になります。
○アンテナ工事の費用はアンテナの種類、設置する場所によって違いが出るため事前に見積もりを取ってください。
○地上デジタル放送は高音質の映像をアナログよりも多くのチャンネルで楽しむことが出来ます。
○ケーブルテレビで地上デジタル放送を観たい場合はケーブルテレビ局に加入し必要に応じて導入工事をいます。
アナログ放送から地上デジタル放送に変わって、よりその人の好みやライフスタイルに合わせたテレビの楽しみ方が出来るようになりました。綺麗でいい音の映像が手軽に楽しめるようになったです。上手に使って家族や大切な人と過ごす時間をより充実させたものにしていってくださいね。