雇用保険に未加入だと後で大損する?雇用保険を総合まとめ

毎月天引きされるのが嫌だから、雇用保険には入りたくない…と考えている人、ちょっと待った!雇用保険は、働けなくなった時にかなり助けになる制度です。基本的に加入は義務ですが、会社によっては未加入のまま放置しているところも…雇用保険が未加入な時の対策などをまとめました。



雇用保険の制度まとめ

雇用保険をおさらいしよう

雇用保険とは、被保険者(労働者)が定年や倒産・出産などによって休業したり失業したりした時に生活の不安を感じなくて済むように、制度に応じて一定の金額が支給されるための保険制度のことです。雇用保険に一定期間以上加入していると、以下に挙げたような支給制度を利用する事ができます。

支給制度は実は多岐に渡っていて、これで全部ではありません。以下にはよく利用される制度をご紹介しています。逆に、加入していなければこれらの制度は利用できません。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

基本手当(失業給付)

一般的に失業保険や失業給付と呼ばれている制度がこれです。何らかの理由で退職した場合に、退職期間中に雇用保険から基本手当金が給付されます。給付額や給付期間は、勤務年数・退職理由によって変わってきますが、例えば一般的なものが、自己都合で退職した場合です。

この場合には退職後3ヶ月経ってから3カ月にわたり支給が開始されます。支給額の目安は、給与の約50-80%の額となっています。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

傷病手当

退職後、ハローワークで求職申し込みをした後、何らかのけがや病気が原因で療養が必要となり、15日間以上新しい仕事に就くことができない場合に支給されます。この療養期間には基本手当が支給されないため、その代わりとなる制度です。

就職できない期間が30日以上続く場合には、基本手当の支給が最大4年間まで延長されるようです。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

高年齢求職者給付金

65歳以上の高齢者が失業し、その後働く意思があるのに仕事に就くことができない場合に、雇用保険の加入時期などの条件に応じて、基本手当日額の30日分又は50日分に相当する給付金が支給される制度です。

ハローワークインターネットサービス – 就職促進給付
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

高年齢雇用継続給付

再就職手当は、基本手当の支給途中に就職した場合、一定の要件を満たすことで基本手当支給の残り分の一部を支給してもらえる制度です。さらに、引き続き就職先で6カ月以上勤務した場合で、以前の職場での賃金よりも今の職場での賃金が低い場合に支給されます。

ハローワークインターネットサービス – 就職促進給付
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

育児休業給付・介護休業給付

育児休業給付は、被保険者が子どもが1歳または1歳2カ月未満の子どもを養育するために育休を取得した時に支給されます。介護給付は、介護のために休業した場合に、賃金の約40%が支給される給付金です。

ハローワークインターネットサービス – 雇用継続給付
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)



雇用保険の加入は義務?

基本的に以下の要件を満たす人は、雇用保険の被保険者に該当し、加入が義務づけられています。
 
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・31日以上の雇用見込みがある
・学生でない
・就職時に65歳以上でない
 
雇用保険は、労働者の大切な利益となる制度です。加入手続きは会社側がしなければなりませんが、保険料の負担は本人負担と会社負担に分かれています。

雇用保険に加入していますか~ 労働者の皆様へ ~
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

雇用保険に未加入だったら…

雇用保険は、失業中や休業中の労働者をサポートしてくれる制度なのですが、加入手続きをするのが雇用者側ということもあって、実際に雇用保険に加入できているか見えにくいのが現状です。もしも未加入のまま働き続けて、何らかの事情で退職したり休職したりすることになったら…

雇用保険に入っていなければ、失業給付をはじめとする各種給付金をもらうこともできません。そんな場合はどうすればよいのでしょうか?

まずは雇用保険に加入しているか調べよう

雇用保険に加入しているかどうかの確認方法は以下の通りです。

・給与明細で保険料が天引きされているか
・雇用保険被保険者証をもらっているか
・ハローワークに直接問い合わせる
 
雇用保険料が給与から天引きされていなければ、未加入であることが一目瞭然です。しかし、天引きされていても手続き漏れなどで未加入である可能性もあります。天引きされているからといって必ずしも加入されているとは限らないのです。

雇用保険加入の手続きが終わった時には、会社から資格取得確認通知書と雇用保険被保険者証が一緒に渡されます。もしも通知書の交付がなかった場合には、未加入の可能性があります。しかし会社の中には、これらの書類を在職中は会社で保管しておいて退職時に労働者に渡すというところも多くあるようです。

会社に確認するのが一番の近道ではありますが、退職の意思があるのかと疑われたり、会社との関係に溝ができたりするのではと躊躇してしまうこともありますよね。なかなか切り出せないという人も多いのではないでしょうか。

もしも会社に確認しづらいのであればハローワークでも確認できますので、本人確認の書類を持って近くのハローワークに行ってみるのもいいかと思います。

雇用保険に加入していますか~ 労働者の皆様へ ~
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

未加入だった時どうする?

もし雇用保険に未加入だった場合には、会社に加入手続きをしてもらう必要があります。手違いで加入手続きがされていない場合もありますので、雇用保険に未加入である旨を会社の総務や人事に伝えましょう。すでに数年勤務した後で未加入が発覚したとしても、2年間は遡って加入することができます。

しかし問題なのは、会社側が故意に雇用保険に加入していない場合です。こんな時には、加入してもらえる可能性は低いどころか返ってこちらの立場が悪くなることもあり得ます。

ハローワークインターネットサービス – 雇用保険手続きのご案内
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

ハローワークに相談する

もしも故意に雇用保険に未加入であった場合には、会社と話し合ってもらちが明かないことが多いかもしれません。その場合には、ハローワークに相談するのも一つの手です。雇用保険は要件を満たす人については加入義務があるため、ハローワークに雇用保険に未加入であることを相談すれば、ハローワークが会社に加入する様に勧告をしてくれるようです。

加入していない場合には6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が課されることがあるため、ハローワークから勧告が来た場合に勧告を無視する会社は多いとは言えないのではないでしょうか。会社の中には、考えにくいと思われるかもしれませんが、総務担当者がいない、経験が浅いなどの理由から、雇用保険が義務だということを把握していないところもあります。

相談室:雇用保険関係:労政時報
参照元:労政時報(2016年1月時点、著者調べ)

未加入だったことが退職後にわかった場合

その会社を退職したあとになって、いざ失業給付の手続きをしようとしたら雇用保険に未加入だった…こんなケースもあるかもしれません。こんな場合にも、失業給付をもらう方法はあるのでしょうか?

実は雇用保険は2年間までは遡って加入する事が可能です。その場合には、加入日から退職日までの雇用保険料をまとめて支払う必要があります。しかし雇用保険の自己負担分は社会保険や健康保険に比べればかなり安いです。

一般の事業であれば、雇用保険の料率は5/1000ですので、例えば月の給与が20万円だった場合は、お大まかに計算すると雇用保険は1,000円となります。2年分でも24,000円なので、そこまでの負担ではありません。

失業給付やその他の給付金制度のメリットを考えると、一時的に保険料を支払うことになっても雇用保険に遡って加入したほうがよいのではないでしょうか。また、給与から毎月雇用保険量が天引きされていたにも関わらず未加入だった場合には、2年の制限はなくなります。

この場合には、給与から雇用保険料が天引きされていた事が証明できる書類をもってハローワークで手続きをすることになります。

雇用保険料が天引きされていたのに 雇用保険に「未加入」とされた方へ
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

離職票を出してくれない場合

失業給付を受ける手続きには必ず離職票という書類が必要です。これは会社から発行してもらう書類なのですが、雇用保険には加入しているが、退職してもなかなか離職票を出してくれないというケースもあるようです。

その理由が単に作成時に時間がかかっている・担当者が忙しくて失念していた、という場合もあるでしょうし、離職票が欲しいと労働者から頼まれていないからというような会社もあるかもしれません。しかし離職票がなければ、失業給付の手続きが進みません。

会社が離職票を出してくれない場合には、こちらから催促することが大切です。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)



雇用保険の加入有無は早めに確認を

雇用保険の訴求加入は2年

雇用保険にもしも未加入だった場合、2年は遡って加入することができると書きました。しかし、失業給付の計算は雇用保険に加入していた年数によって支給される期間が変わってきます。
例えば、40歳で10年会社に勤務していた場合。

雇用保険加入期間10年だと給付日数は240日です。しかし雇用保険加入期間が2年になれば、給付日数はなんとたったの90日。倍以上変わってきます。さらに、年齢が上がると再就職のハードルも上がることを考慮して、失業給付は年齢に応じてその給付期間も増えていくのですが、やはり雇用保険に加入している年数によってその期間は相当変わってきます。

雇用保険に加入しているかどうかは、できるだけ早く確認し、未加入の場合には早急に対策を立てることが大切です。もしも給与から雇用保険料が天引きされているのに未加入の場合には、2年以上遡って加入することもできますが、手続きの際に源泉徴収票などの証明書類が必要になります。

手続きも煩雑になる上に、平日ハローワークに出向かなければなりません。日頃忙しく仕事をしている人の中には、なかなか平日休めない人も多いのではないでしょうか。やはり早めに対策を立てることが先決です。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

雇用保険料が天引きされていたのに 雇用保険に「未加入」とされた方へ
参照元:ハローワーク(2016年1月時点、著者調べ)

未加入に関するよくある相談

社員が5人以下だから加入しないと言われた

雇用保険に加入して欲しいと会社側に伝えたら、社員が5人いないから雇用保険に加入する義務がないと説明された…というケースがあるようです。しかし、これは間違いです。

社員が5人以上でないと雇用保険に加入する義務がない、というのは、雇用保険ではなく社会保険(健康保険・厚生年金保険)に関する記載です。社会保険については、常時5名以上を雇う場合は加入義務が発生します。しかし、雇用保険については「その規模を問わず」加入義務があるとされています。

また同様に、個人事業主の元で働いている場合にも、個人事業主であることを理由に雇用保険加入を断られるケースもあるといいますが、これも間違いです。法人であろうが、個人事業主であろうが、人を雇い、所定の要件に該当すれば雇用保険加入義務が生じます。

人を雇うときのルール|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

パートだから加入できないと言われた

これもよく目にする相談です。パートだから雇用保険に加入しなくてよいと考えている会社もあるようです。雇用保険に加入する要件は以下の通りです。

・1週間の所定労働時間が20時間以上
・31日以上の雇用見込みがある
・学生でない
・就職時に65歳以上でない

この要件を満たす場合には、雇用保険の被保険者の資格者になります。会社の就業規則や雇用契約書がどうなっているかや、正社員かパートかといった勤務形態は関係ありません。また、就職当初はこの要件に当てはまらなかったが、途中から労働時間が延びた、学校を卒業したなどの理由で上の要件に当てはまるようになった場合には、雇用保険の加入義務がでてきます。

人を雇うときのルール|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

まとめ

雇用保険は、働けなくなった時にとても頼りになる制度です。しかし、手続きを行うのが会社側だということもあり、なかなか加入しているかどうかの判断がつきません。それになるべく会社側とはもめたくない、と考える人も多いかと思います。

しかし、雇用保険は働く人の大切な権利です。もしも未加入の場合には、できるだけ早い段階で雇用保険に加入できるよう求めることが大切です。表立って言えない場合には、ハローワークに相談することも一つの方法です。

相手が相手なだけに、なんとか穏便に済ませようと自分が折れてしまいがちになる雇用保険の未加入問題。解決は難しい面もありますが、少なくとも未加入で生じるデメリットは理解しておきましょう。