【雇用保険の加入期間】失業保険をもらうための大事な条件です!

離職したときに気になるのは失業保険、「雇用保険の基本手当」がもらえるかどうかです。基本手当を受給できれば、その間に安心して次の仕事を探すことができますね。基本手当を受給するために必要なのは加入期間、つまり雇用保険の被保険者期間です。どのような期間が必要なのでしょうか?また、基本手当はどのくらいの期間もらえるのでしょうか?そんな疑問についてわかりやすくまとめてみました。



雇用保険は失業保険のため?

二人の若い女性が公園のベンチで話し込んでいます。どうやら内容は「雇用保険」「失業保険」などのようです。

昭和49年にできた制度

美咲(以下:M):とりあえず、次の仕事を見つけるまでは失業保険をもらうってことね?

理々子(以下:R):そう。多分もらえるかなって思っているけど、雇用保険の加入期間とか関係してくるみたいだし、そういうことも調べないとって思っているところ。

M:やる気ない声だな~。

R:失業してウキウキルンルンってわけにはいかないでしょ?雇用保険って失業保険もらうためのものだよね?

M:そうだね。昭和22年に制定された元々の失業保険法は失業給付がメインだったらしい。けれど、今の雇用保険法は昭和49年に制定された後、例えば高齢者の雇用継続給付制度を作ったり就職するための教育訓練給付制度を作ったりしていて、育児休業給付や介護休業給付もしているよ。この先、失業保険をもらう以外の場面でもお世話になるかもしれない制度だよね。

Q4.雇用保険制度について概要を教えてください。|労働政策研究・研修機構(JILPT)
参照元:労働政策研究・研修機構(JILPT)(2016年1月時点、著者調べ)

ハローワークインターネットサービス – 雇用保険制度の概要
参照元:厚生労働省労働安定局(2016年1月時点、著者調べ)

もらえるのは「基本手当」

R:とりあえず今の私に必要なのは失業保険だわ。どのくらいもらえるのかな~。

M:そうだね、その失業保険っていうのは「基本手当」のことなの。基本手当の支給日数は90日から330日の間で決められているみたい。年齢とか、被保険者だった期間、離職理由によって決まるって。被保険者だった期間は俗に「加入期間」って言われているよね。

R:離職理由っていうのは会社の都合か自己都合か、とかそんな感じのこと?

M:そう、自己都合だと給付期間は短いけど、会社の都合だったりすると長くなるのよね。

R:それはそうだよね~。会社が勝手に決めたのだから基本手当を長くもらえないとやってられないって感じじゃない?

M:そうね。そういうときに手厚い給付日数となっているのはいいことだよね。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:厚生労働省労働安定局(2016年1月時点、著者調べ)



手厚い給付日数対象者

特定受給資格者

R:手厚い給付日数が受けられる人ってどんな会社都合のときだろう?

M:まずわかりやすい例として、会社が倒産してしまった人。あと、自分が悪いわけではないのに解雇されてしまった人。それからね、契約と全然違う労働条件だったことで離職した人も対象。賃金がちゃんと支払われないことが2カ月あったために離職したとか、賃金が85%未満に下がったことを理由に離職した場合も対象なの。

R:働いた対価である賃金は大事な問題。「やめざるを得ない状況」とも言えるから納得よね。

M:他にもね、時間外労働、つまり残業が多すぎて離職した人も対象になるの。1カ月に100時間残業させられたとか、連続3カ月45時間以上だったとか条件があるけれど。セクハラが理由の場合とか、会社休業が3カ月以上あったときも対象になるの。

R:なるほど。会社側に責任がありそうなときってことね。

M:そう、セクハラを訴えても何もしてくれないとか、そういうのは十分な理由になりそうでしょ。それから、期間を定めた労働契約ではあるものの更新で3年以上継続雇用されていたにも関わらず、いきなり更新してもらえなかった人も対象。

R:あ、それ私じゃない?更新してもらえなかったの。ちゃんと働いていたつもりだったから結構ショックで。

M:更新されるものと思えていた状況でいきなり更新されなかったらショックを受けるよね。だから手厚い支給対象なのも当然かも。

ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
参照元:厚生労働省労働安定局(2016年1月時点、著者調べ)

特定理由離職者

M:今話した例は「特定受給資格者」に該当する人達。その他にもね、「特定理由離職者」に該当すると給付日数が手厚くされることになっているの。

R:どんな人達?

M:例えばニュースとかで見たことあると思うけれど「希望退職者募集」をやる会社があるじゃない?それに応じて離職した人。あるいは結婚して住所が変わるから離職せざるを得なくなった人とか、保育所利用のために通勤が難しくなった人、会社の事業所自体が移転することで通勤が難しくなったとか、転勤や出向を命じられて家族と別居するのが嫌で離職した人、自分自身でなく配偶者が転勤や出向を命じられてしまったときも該当するの。

R:さっきの人達よりは、なんていうか、そんなに切羽詰まった感じがしないというか、うまく言えないけど分けられているのがわかる気がする人達ね。

M:そうね、それでも「やむなくの離職」だから手厚い給付になっているみたい。それからね、別居生活が長く続いたことで「もう別居は嫌だ」という理由で離職した人、父親か母親の扶養が理由で離職した人、介護が発生して離職した人、体力の不足、あるいは疾病や負傷、視力とか聴力が減退して離職した人も含まれる。特定受給資格者には該当していなくても、労働契約期間が満了して、更新できるつもりでいて希望したものの更新がなかった人も含まれるの。「契約更新の場合もある」とかそういう形で契約上更新が明示されているものの確約でない場合とかよね。

R:色々な理由で離職する人がいるね。自分のことで精一杯なのは本音だけど、みんなも大変なのかなって思うと少し励まされるというか、うーん、自分だけじゃないなって思える感じというか。

M:本当、みんなすました顔で街を歩いているけれど、何かしら抱えていたりするものなのかも。

ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
参照元:厚生労働省労働安定局(2016年1月時点、著者調べ)

給付日数は被保険者であった期間と年齢で決まります

一般の離職者の場合

R:ところで、手厚い日数ってどのくらい手厚くなるのか気になる。

M:そうよね。さっき話した特定受給資格者や特定理由離職者に該当しない人の場合、年齢関係なく被保険者だった期間で決まるの。被保険者だった期間っていうのは雇用保険の被保険者となっていた期間のことね。1年未満だったら給付はなし。1年以上で10年未満だったら90日。

R:ええっ?!1年でも9年でも一緒なの?!

M:制度上はね。1年の人でも2年の人でも本当はもっと働きかったのかもしれないし、なんとも言えないけれど。理々子の感想もわかる気がする。それから、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日。それだけの年数働くと年齢も高いということだから、次の仕事を探すのも大変かもしれないし、そこは納得じゃない?

R:そう思う。で、特定受給資格者や特定理由離職者の場合は?

ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
参照元:厚生労働省労働安定局(2016年1月時点、著者調べ)

特定受給資格者や特定理由離職者の場合

M:平成29年3月31日までの間に離職日があった人の場合、特定理由離職者でも特定受給資格者と同じ扱いになるの。この場合、被保険者だった期間だけでなく年齢によっても変わってくる。理々子は30歳未満に該当するから、被保険者だった期間が5年未満で90日、5年以上10年未満で120日、10年以上20年未満で180日よ。

R:なるほど、私の場合は120日。つまり4カ月か。その間に次の仕事が見つかればいいってことだ。

M:そうね。他の年齢の場合も参考までに。

●30歳以上35歳未満の場合
【被保険者だった期間:給付日数】
・5年未満:90日
・5年以上10年未満:180日
・10年以上20年未満:210日
・20年以上:240日

●35歳以上45歳未満の場合
【被保険者だった期間:給付日数】
・5年未満:90日
・5年以上10年未満:180日
・10年以上20年未満:240日
・20年以上:270日

●45歳以上60歳未満の場合
【被保険者だった期間:給付日数】
・1年未満:90日
・1年以上5年未満:180日
・5年以上10年未満:240日
・10年以上20年未満:270日
・20年以上:330日

●60歳以上65歳未満の場合
【被保険者だった期間:給付日数】
・1年未満:90日
・1年以上5年未満:150日
・5年以上10年未満:180日
・10年以上20年未満:210日
・20年以上:240日

R:45歳以上60歳未満で20年以上働いた人が一番多い給付日数で330日か。そうよね、20年以上会社に貢献してきたのに、会社都合で辞めさせられたら、年のこともあるし手厚い給付日数になるのも当然。働き盛りだったり、子どもにお金がかかったり、色々な事情もありそう。

M:そうね、こういう数字を見るだけで色々な状況が想像できるよね。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
参照元:厚生労働省労働安定局(2016年1月時点、著者調べ)



雇用保険の加入期間が条件となる

加入期間とは被保険者期間のこと

R:被保険者だった期間が影響するのはよくわかったけど、会社都合でない離職者の場合、1年未満だともらえないのね、基本手当。

M:そう、そこがポイントとなっているの。基本手当を支給してもらうための最低条件として自己都合などの離職者だと「離職の日以前の2年間に被保険者期間が12カ月以上あること」となっていて、12カ月は連続でなくても通算で計算していいの。ある会社で9カ月働いて離職、2カ月後に別の会社に勤めて4カ月とか、そういうのもOKということ。会社都合のような特定受給資格者や特定理由離職者の場合、「離職の日以前1年間に被保険者期間が6カ月以上あること」、というケースでもOK。こちらも通算で計算ね。

R:なるほどね、最低限の期間として条件になっているわけだ。でも、日数ギリギリの人の場合、緊張しそう。だって、もらえるかもらえないかは大きな違いだもの。

M:そうなの。それで、被保険者期間が11カ月か12カ月かで心配する人もいたりするのよ。

ハローワークインターネットサービス – 失業された方からのご質問(失業後の生活に関する情報)
参照元:厚生労働省労働安定局(2016年1月時点、著者調べ)

被保険者期間の計算方法

R:具体的にどんな感じ?

M:例えば5月25日で退職する人がいます。前年の6月1日から働いていました。さて、働いていたのは12カ月?11カ月?

R:うーん、大体12カ月だけど5月末まで働いていないから11カ月?かな?

M:そうなの。雇用保険法で計算方法が定められていて、1日でも2日でも足りなければ1ヶ月分の計算とはならない。厳密に言うと5月25日から1カ月ずつ遡って1カ月ずつ計算していく仕組み。5月25日から4月26日までで1カ月。そのまま1カ月ずつ遡っていって最後の6月25日から6月1日では1ヶ月分に足りないから1ヶ月分の計算にならない。結果、11カ月となるのがわかると思う。

R:25日間なのにね。厳しいな~。

M:そうね。この例の場合、6月1日から25日の間に11日勤務していれば1/2カ月としては計算できるけれど、1カ月にはならない。11.5カ月では12カ月にならず、足りないの。それぞれの月でね、勤務日数が11日以上であることも1ヶ月分に入れるための条件になっているのよ。

R:そうね、そのくらい働いていないと計算に入れるのもどうかと思うから、それはわかる気がする。

雇用保険法(第14条)
参照元:雇用保険法(2016年1月時点、著者調べ)

用語がわかりづらい

M:少しね、わかりづらいでしょう?ハローワークに行けば被保険者期間も調べてもらえると思うし、期間が心配なときは一人で悩んでいないで聞いてしまえばいいと思うの。用語もちょっとわかりづらいところがあるし。

R:そうね、被保険者期間とか2年以内で計算するとか、わかりづらい。

M:そうなの。雇用保険に入っている間は「被保険者である期間」ではあるの。さっき話した給付日数に関係してくる期間ね。ただ、「基本手当」をもらえるかどうかを決める12カ月、あるいは6カ月のための計算には過去2年の間で計算する期間を算出することになって、その期間が「被保険者期間」と言われているの。こうして話していても混乱しそう。用語にはこだわらなくていいと思うけれど。給付日数に関係する期間、基本手当をもらえるかどうかの期間、手当の額に関係する期間がそれぞれ別であるという認識で十分かな。

R:なんだか複雑なのね。でも期間の基準が別々だということはよくわかった。

基本手当の日額は?

離職前の6カ月にもらった額で決まる

R:で、手当の額を決めるために計算する期間は?

M:ズバリ、離職する前の6カ月。その前にどんなにもらっていようと、離職する前の6カ月の賃金で計算される。シンプルなの。6カ月分の賃金を日数(6カ月×30日=180)で割って出てくる金額のおよそ50~80%が手当の日額になるみたい。割合に差があるけれど、賃金が低いと割合が高くなるらしいの。あまり少ない額だと、失業中の生活も大変でしょう。だからじゃないかな。

R:なるほどね~、たまたま離職前に沢山もらっていた人は得ってことだったりして。

M:上限もね、決められているの。年齢によるけど平成27年8月1日現在で日額6,395円~7,810円の範囲で上限設定されている。

R:そこもしっかり決められているわけだ。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:厚生労働省労働安定局(2016年1月時点、著者調べ)

基本手当を受給して新しい仕事を探そう

R:基本手当を受給して、新しい仕事を探そうかな。

M:そうだよ。権利があるのだし、堂々ともらって生活の心配をせずに探すといいと思う。そのための制度なのだし。

R:なんだか、他の人が色々な事情で離職するイメージも見えてきたし、大変なのは自分だけじゃないしね。

M:うん、笑う門には福来る。いい仕事とご縁ができるといいね!