<火災保険と賃貸>加入は義務?無駄なく保障をカスタマイズ!

火災保険は賃貸契約の際に必須となっていることが多いですが、これって不動産会社の言う保険に加入しないとダメ?と思う方も多いハズ。言われるまま契約し、実際のところ保障内容もよくわからないまま…ということも多いようです。自分で選んで加入することはできるのか、最低限必要な保障、付けると安心な保障などについても調べてみましょう。



賃貸の火災保険加入目的

何に対しての保障?

賃貸住宅の契約をする際、ほとんどの物件で火災保険への加入が義務付けられています。契約時に必要な費用として「火災保険料20,000円」など明記されていることも多いのではないでしょうか。絶対に契約時に言われるまま加入しなければいけないものだと思い込んでいませんか?

実は私も賃貸契約は何度もしていますが、あまり深く考えず言われたまま加入していました。だいたい2年で2万円くらいだったと記憶していますが、いったい何に対する補償なのでしょうか。補償内容も分からないまま契約していたなんて、過去の自分を叱咤したい気持ちでいっぱいです…

大まかにいうと賃貸住宅の火災保険は、下の画像のように①家財保険、②家主への賠償責任、③個人賠償責任が主なものとなります。では具体的に何を補償するのかについてみてみましょう。 PhotoBy:著者2016年1月作成
(イラスト:いらすとや) ※重大な過失の例
・ガスコンロに天ぷら油の入った鍋をかけて加熱したまま外出し出火した場合
・たばこの火を確認しないままごみ箱に入れて出火した場合 など

日本損害保険協会 – 損害保険Q&A – すまいの保険 – 問53 火災保険
参照元:一般社団法人日本損害保険協会(2016年1月:著者調べ)

自分の家財補償

まず「自分の家財」に対する補償です。

もし住んでいる集合住宅の隣の部屋で火災があり、自分の部屋がもらい火で被害に遭った場合、隣の部屋の住人には(重大な過失でない限り)失火責任法の適用により補償してもらうことはできないことが多いのです。そのため自分の家財を自分で補償する保険への加入が勧められているということです。

私は実際にワンルームで一人暮らしをしたこともありますが、今考えると電化製品はテレビ・冷蔵庫・電子レンジくらいのもので、家具もカラーボックスや数千円のテーブルやメタルラックくらいのものでした。ブランド品もほとんど持っていませんので、おそらく過剰な家財保険に加入していたのでしょう。

一人暮らしの人などなら、特にそんなに高級な家具や電化製品を持っていることも少ないでしょうから、それほどの保障は不要かと思われます。一般的に持ち家にならないと高級な家具などは持たないことが多いのではないでしょうか。 対象としては、テレビや冷蔵庫などの電化製品、家具、衣類、バッグや小物、寝具、書籍などで、30万円以上の高額な貴金属や美術品は契約時に申請しないと補償されないのだそうです(保険料要追加)。また盗難による窓ガラスの破損や家財被害などにも適用されます。

補償内容としては、火災・落雷・風災・ひょう災・雪災などによる損害、ガスによる破裂・爆発など、漏水などによる水濡れ、物体の落下や飛来・車両の衝突などによる家財損害に対して、設定の上限補償額まで補償されます。

ただし地震による火災や津波による水害など、地震が原因となる損害については地震保険特約をつけていないと保険給付はされませんので注意が必要です。地震保険は火災保険に加入していないと入ることができないため、そういった心配の大きい地域なら余裕があれば加入を検討してみましょう。

家主への賠償補償

次に「家主への賠償」を補償する借家人賠償責任保険です。先ほど「失火責任法の適用によって、隣室の火事により被害を受けた場合、隣人からは補償してもらえない」と書きましたが、家主さんに対する補償は重大な過失でなくても必要となるのです。

これは「原状回復義務=借りたときと同じ状態にして返す」というルールから、たとえ軽度の過失でも、火事などにより建物に損失を与えた場合に損害賠償責任を負うということです。これは加入しておかないと自費で負担するのは相当大変なことになりそうですね。

個人賠償責任保険

これは第三者に対する賠償です。たとえば部屋の水漏れなどによって階下の部屋に損害を与えてしまった、車を傷つけてしまった、または近年問題になっていますが子供が他人にけがをさせてしまった等の場合の補償になります。

火災の場合、軽度の過失の場合は失火責任法で損害賠償義務を免れ個人賠償責任は負いませんが、重大な過失の場合には補償が必要となります。

これも入っておかないと不安ですが、生命保険や車の保険などにセットされていることもあるので、そちらで入っているのなら不要です。実損額の補償しかされないため、重複して掛けることは全くもって無駄なので必ず確認して不要な補償を省きましょう。

お部屋を借りるときの保険 公式ホームページ | 賃貸住宅入居者向け家財保険 | 日新火災海上保険株式会社
参照元:東京海上ホールディングス日新火災(2016年1月:著者調べ)



自分で加入、カスタマイズはOK?

自分で加入したほうがお得!

賃貸の火災保険は指定のものに強制加入するのが普通なのだと思っていたら、多くは自分で選べるのだそうです!契約条件に金額まで書かれていたと記憶していますし、まるで決められているかのように言われることがほとんどだったと思うのですが、かなり損した気分です…

なぜ不動産業者が強制的に保険を決めていることがあるのかというと、火災保険会社から入る手数料でも収益を得ているということなのです。絶対にこれで!と決められているわけではないのですね。今はリーズナブルな火災保険もたくさんあるので、過去のこととはいえなんだかちょっと腹が立ちます。

自分で加入したい、加入済みの火災保険を引き継ぎたいなどの場合は不動産業者へ相談してみましょう。家主さんの意向で保険会社は変えられない場合もあるようですが、基本的に過剰な補償を省くなどは自由だと思われます。保険料まで指定される不動産業者ならば注意が必要かもしれません。

また賃貸入居者向けの家財保険には借家人賠償とともに個人賠償もセットで入っていることが多いですが、生命保険や自動車保険などを確認してみて他で加入していれば個人賠償を外す、個人賠償がセットになっていない保険に加入するなどの選択肢があります。

退去の際は残額を返戻される

これも私事になりますが、これまでの賃貸生活で受け取った記憶がないのです(忘れているだけかもしれませんが…)。単に更新に合わせた時期に引っ越していたのでしょうか。こちらから申し出ない限り返戻されないものなのか、ちょっと不親切な気がします。顧客の立場に立ってアドバイスしていただけると、とっても嬉しいのですけどね。

とにかく火災保険加入の際には、補償内容などもちゃんと確認しなくてはなりません。過剰な補償はただの無駄遣いになってしまいますので注意が必要です。また退去の際には返戻される保険料があるのかどうか、次のところへ引き継ぐ場合はその手続きも合わせてスムーズに行えるように調べておきましょう。

割高な保険だと気づいたら、途中で解約し自分で加入しなおすのも一手です。最近は証書控えを不動産業者に提出すればOKという寛容な不動産会社が多いようですが、念のために確認してから解約するほうが良いでしょう。

賃貸火災保険の妥当性と注意点

では実際に賃貸の火災保険をカスタマイズしてみましょう。

家財の価値から考える

まず家財の価値から考えてみましょう。保険料のカスタマイズはここが一番抑えどころです。実際に家の中にある家電製品や家具の値段を計算してみましょう。エアコンなどは備え付けの場合は家主さんの保険での補償となるので、自己負担で買ったもののみで考えます。

というのも、家財保険は実損額のみの補償なので、500万円の補償額だからといって500万円支給されるわけではありません。過剰な補償額の保険に加入しても、保険料が高くなるだけで損をするのです。

保険会社のWEB見積では家族数を入力するやり方が多いですが、4人家族だと1千万以上の家財保険が選ばれることが多いです。しかし実際はそこまでかからないことがほとんどではないでしょうか。ですので、適切な補償額に設定すれば保険料を抑えられることが多いと思われます。

補償は100万円以上100万円単位のことが多いので、自分の持ち物の価値に合った補償額の保険を選び、無駄な保険料を支払わないように気を付けたいですね。

地域性から考える

地震の多い地域や水害の懸念される地域なら、特約で地震保険を付ける人もあるかもしれません。しかし、地震や水害による被害なら借家人賠償責任はありませんから、対象は自分の家財のみとなります。

地震のときに全部失ってしまったときのために、ある程度まとまった費用を備えておきたいのなら、地域によっては加入するほうがいいと考える人もいるかもしれませんね。ハザードマップなどで確認して、保険料支払い額と万一の補償、どちらを重視するか検討してみるといいでしょう。

実損額しか補償されない

前述しましたが、家財保険は実損額しか補償されないことを頭に置いておきましょう。保険会社のWEB見積では家族数や年齢などで家財補償額が算出されますが、4人家族で1,000万円など、えっ!?という補償額になってしまうことが多いです。

300万円程度の価値しかない家財に1,000万円などの保険をかけても保険料が高くなるだけで実に無駄なのです。しかし保険会社のホームページにはそのことは分かりやすく記載されていません。保険料を高くするためのマジックなのでしょうか。

いずれにしろ実際の価値以上の補償額を設定したところで、万が一の時に受け取れる額は「実損額」だけなのです。そのために高価な貴金属や美術品などには追加保険料が必要なのですから。意味のない補償にお金を使わないように注意しましょう。



賃貸火災保険の相場とおススメ保険

賃貸火災保険の相場

▼一人暮らしの相場
相場としては年間6~8千円程度であるようです。リーズナブルな火災保険であれば家財保険100万円の補償で借家人賠償補償、個人賠償補償などがついても4千円というものもあるようです。

▼ディンクス世帯の相場
相場としては年1万円程度ですが、個人補償と同じく他の補償もセットで家財補償500万円程度なら年8千円のものもあります。

▼ファミリー世帯の相場
相場としては年1万5千円~2万円以上、しかしこちらも家財補償500万円程度なら年8千円の保険もあります。賃貸の場合500万円以上の家財を持っているお宅の方が稀ではないかと思われますので、お持ちの家財の価値によって検討しましょう。

日新火災「お部屋を借りるときの保険」

まずは東京海上ホールディングス日新火災の「お部屋を借りるときの保険」。前述のリーズナブルな価格の保険はこれで試算させていただきました。

おすすめポイントは借家人賠償責任保険、個人賠償責任保険はもちろん、飛び石で窓ガラスが割れた際などの修理費用、被害事故法律相談費用などがセットになっていることです。家財保険を100~2,000万円の範囲で設定できるので、簡単にカスタマイズしやすいリーズナブルな保険です。

・家財保険:100~2,000万円の間の100万円単位で設定可
・借家人賠償責任保険:上限2,000万円(1回の事故あたり)
・個人賠償責任:上限1億円(1回の事故あたり)
・被害事故法律相談費用:年間30万円まで

「図解」よくわかる補償の内容 | お部屋を借りるときの保険
参照元:東京海上ホールディングス日新火災(2016年1月:著者調べ)

都道府県共済の火災保険

都道府県共済グループ全国生協連で火災保険に入るのもいいと思われます。借家人賠償責任保険はついているものの個人賠償責任はセットになっていませんが、家財補償額を自由に設定できるため割安です。共済なので剰余金があれば割戻金として一部戻ってきます。

1人暮らしの場合、家財補償100万円で保険料は年間2,480円、2人暮らしで家財補償500万円なら年間4,400円、4人暮らしで家財補償800万円なら年間5,840円となります。借家人賠償責任保険は1,000万円が上限となりますが、建物自体は家主さんが保険に加入しているため十分な補償であると考えられます。

車の保険など、他で個人賠償責任保険に加入済みの場合はお得ですね!

新型火災共済 – 全国生活協同組合連合会(共済)
参照元:都道府県民共済グループ全国生協連(2016年1月:著者調べ)

まとめ

このように、賃貸の火災保険は不動産業者で強制されるものではなく、個人でリーズナブルなものに加入することはできます。また保険会社を指定されても、余分な補償を削るなどのカスタマイズは自由です。家主さんは借家人賠償責任保険にさえ入ってくれれば安心なのです。

特に賃貸の火災保険は家財保険が主なので、実損額しか補償されません。過剰な補償はやめて実際に自分の持っている家財の大まかな合計を出し、その額に合わせた無駄のない補償を設定するべきだと思われます。また生命保険や車の保険を確認し個人賠償補償に加入していれば重複加入しないようにしましょう。

無駄のない補償で、お得に備えられるといいですね。