【介護保険の主治医意見書】簡単まとめ!介護認定手続きに必要!

介護保険を利用したいと考えたときに、まず受けなければいけないのが介護認定です。認定をするために必要となるのが主治医意見書。長年の状態を理解してくれているかかりつけ医がいる人も、風邪もひかず病院とは無縁の生活を送ってきた人もいます。どのような人に頼めば良いのでしょうか?介護保険利用までの手順についてわかりやすくまとめてみました。



要介護認定を受けたい

専門学校生の絵里さんが外出から家に戻ると、近所に住む和江さんが遊びに来ていました。絵里さんのお母さんとおしゃべりしていたようです。

絵里(以下:E):おばさん、こんにちは!

和江さん(以下:K):絵里ちゃん、こんにちは。今日はね、絵里ちゃんに聞きたいことがあってきたの。今時間ある?ケーキを持ってきたからおばさん達と一緒に食べない?

絵里のお母さん(以下:M):和江さんのとこのおばあちゃん、ほら、認知症の始まりみたいな感じがあったでしょう?介護認定を受けることを考えているそうなの。絵里は福祉の学校へ行っているから少し詳しいでしょ?教えてあげてほしいのよ。

E:おばさんのとこのおばあちゃん、歩くのも遅くなってきたよね。時々見かけていたけど、いつも急いでいたから挨拶くらいしかできなくて。私でわかることだったら答えるよ。まだ介護認定を受けたことがないってことだよね?

市町村窓口へ申請する

K:そうなの。物忘れとかあったけど、身の回りのことは多少見るくらいでできていたし、まだいいかなぁって思っていたのよ。でも、最近、おばさんが手伝う場面が増えてね。これは介護認定しておいた方がいい時期と思い始めたわけ。おばさんも年だから、このまま手間が増えると大変なことになるって思ったのよ。

E:そうね、介護認定を申請する時期と私も思う。まずは市町村窓口に申請することになっているから、○○市役所窓口に行ってみることから始めるの。

K:なるほどね~。それで認定してもらえるの?

E:申請した後に、訪問調査があるの。調査員が家に来て、チェック項目で判定するという流れ。それから、主治医に意見書を作ってもらうということも必要。

要介護認定を受けるには?|きのくに介護deネット
参照元:和歌山県(2016年1月時点、著者調べ)

主治医を決めておく

K:主治医ね~。おばあちゃんが風邪をひいたりして具合の悪いときに診てもらっている内科の先生が主治医ということかね?眼科も行くし、膝が痛いとか腰が痛いとかで整形外科へ行くこともあるけど。

E:そうね。内科の先生がいいかもしれない。おばあちゃんの長年の経過がわかっていて、認知機能の衰えを判断できる人が望ましいよね。ちゃんとした先生に依頼しないと、正しい認定がされないケースもあるらしいから。主治医がいない人の場合は市町村が指定する医師に診てもらうことになるけれど、おばあちゃんの場合、その内科の先生にまずはお願いすればいいと思う。主治医意見書も医療機関に置いてあるはず。

K:中には隣町の玄さんみたいに医者いらずの元気な高齢者もいるから、そういう人はお医者さん探しが大変かもしれないね~。

E:そういう場合はさっき言ったみたいに市町村窓口で紹介もしてもらえるし、地域によっては「かかりつけ医紹介窓口」がある場合もあるから、そういう所に相談してみるのもいいと思う。

基礎知識1|社会福祉法人 慈楽福祉会
参照元:社会福祉法人 慈楽福祉会(2016年1月時点、著者調べ)

介護保険の認定の主治医って何ですか?|八王子市
参照元:八王子市(2016年1月時点、著者調べ)

かかりつけ医の選び方・付き合い方 : 一般社団法人 岸和田市医師会
参照元:一般社団法人 岸和田市医師会(2016年1月時点、著者調べ)

主治医意見書にかかる費用

K:主治医意見書ってお医者さんに書いてもらうからお金がかかりそうだね?

E:そうね、意見書を書いてもらうことで費用はかかるかな。

K:いくらくらいかかるものかね?

E:意見書の作成料は市町村が独自に設定していいことになっているの。厚生労働省が一定の基準額を提示しているから多分、その基準額かそれに近い金額になると思う。おばあちゃんの場合は在宅だから初回が5,000円で、2回目以降が4,000円。ちなみに施設に入院、入所している人の場合は新規申請時が4,000円、継続申請時が3,000円。入院や入所の場合は医師が状態を把握できているから書きやすいものね。

介護保険制度の概要(14) ―主治医意見書の取り扱い―
参照元:日医ニュース 第910号(2016年1月時点、著者調べ)



主治医に理解してもらうために

家族から伝えることが大事

E:それからね、かかりつけ医がおばあちゃんのことをよくわかっていて認知症の状態をよく把握してくれている場合はいいのだけれど、そうでない場合は難しいケースもあるの。普段から気になったことをメモにまとめておいてそれを主治医に渡して伝えるなど、工夫するといいという考え方もあるわ。

K:そうだね~、おばさんもお医者さんへ行くと緊張してしまってうまく伝える自信がないからね。「これを言い忘れた」とか、そういうこともあるかもしれない。

E:おばあちゃんのことで困っていることを意見書に反映させるためにも、家族からしっかり伝えることがとても大事と言えるの。医師の前だと急にシャキッとする高齢者もいるらしいから、家での状態をわかりやすく伝えるといいと思う。

認知症に詳しい医師とか限らないから

K:なるほどね~、お医者さんに任せておけば大丈夫と考えていたけど、そういうものでもないかもしれないね。

E:そうなのよ。認知症に詳しい医師もいればそうでない医師もいるの。それでも必要なサービスを受けられる認定をしてもらえるなら結果オーライだけれど、そうでなかった場合は困るでしょう?認定が実情に合っていなかったような場合は慎重に医師を選ぶ必要があると思う。市町村で紹介してくれる医師なら大丈夫かもしれない。何より、意見書だけの問題でなく「認知症への対応のアドバイス」も聞けた方がいいと思うし。認知症って言ってもね、「アルツハイマー型」や「脳血管障害型」を始めとして種類が色々あるの。対処も変わってくるから、詳しい医師に診てもらうメリットは十分にあると思う。

K:他の病気と一緒で「合う医師」を探せばいいってことだね。まずは今の主治医で様子を見てみて心配になったら認知症に詳しい医師を探せばいいね。

要介護認定の中身

認定と家族の状況は関係なし

K:うちのおばあちゃんの場合、娘であるおばさんが同居しているでしょう?だったら楽じゃないのってことで認定を軽くされちゃったりするのかね?

E:それは関係ないから安心して。あくまでも「おばあちゃんの状態」を「公平な基準」で認定するものが要介護認定なの。おばさんがいるから軽くなるものではないのよ。ただね、認定の後のサービスでは影響が出てくるの。認定の結果に基づいて介護サービス計画、一般的な言い方でケアプランと呼ばれるものだけど、これを作成するときにおばさんみたいな同居家族等の状況が関係してくることになるわ。

基礎知識1|社会福祉法人 慈楽福祉会
参照元:社会福祉法人 慈楽福祉会(2016年1月時点、著者調べ)

結果の通知はおよそ30日後

K:なるほどね。訪問調査とかっていうのがされて、認定されるわけだね。

E:そう、調査員の方が心身の状態を聞き取りするの。その結果や主治医意見書を元に「介護認定審査会」という場で介護度の審査・判定が行われる。結果は大体1カ月後に通知されるみたい。

K:要介護度2とか3とかそういうのが来るわけだね?

E:そうなの。更新も半年ごとに行われるから、おばあちゃんの状態に合った介護度が認定されていくことになるわ。認定結果が合わない、おかしいと思ったときは通知から60日以内であれば申し立てもできるの。

要介護認定を受けるには?|きのくに介護deネット
参照元:和歌山県(2016年1月時点、著者調べ)



要介護状態区分

要支援と要介護

K:申し立ても何もおばさん、何も知らないもの。合っているかどうかもわからない。

E:市町村窓口で認定基準についての書類がもらえると思う。要介護状態区分はね、まず大きく分けて要支援と要介護があるの。要支援が状態の軽い人ね。要支援は要支援1と要支援2の2段階に分かれて、要介護は要介護1から要介護5に分かれるの。数字の大きいほど状態が重いということ。

K:要支援1が一番軽くて要介護5が一番重いということだね。

E:そうなの。それで、重い状態であればあるほど多くのサービスが受けられる仕組みということ。

要介護認定に係る法令|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

身体と認知症の状態で判断

E:例えば、おばあちゃんの立ち上がりや歩行が不安定でおばさんが一緒にみてあげている状態なら要支援2。これは身体の状態から判断する場合。認知症の側面から判断するなら物忘れがあるもののなんとか生活できている人もこの要支援2のレベル。あくまでも目安だけれど。

K:なるほどね。まだ要介護のレベルではなくて、要支援ってことだね。言葉とイメージが合っているようだね。

E:そうでしょう?排泄や入浴で介助するようになってくると要介護1に認定されるの。「さっき何していたかな?」っていう感じで直前の行動がわからなくなる症状が出てきた場合もこのレベル。

K:そうだよね。「生活に支障が出てくる」、これが一番大変だ。

E:着替えが一人でできなくなってくる、生年月日も言えなくなってくると要介護3。生年月日を言えても寝返りができないなら同じく要介護3。

K:そんな大変な状態でもまだ3なのかい?

E:認知症の状態で言うと意志疎通が基本的にできなくなってきて生活に支障をきたすような行動が見られてきたら要介護4なの。ほとんどのことを理解できなくなって要介護5。身体の状態で判断するなら、日常の多くの場面で介助が必要になると要介護4、生活全般での介助が必要なら要介護5。

要介護度の認定基準 | 北海道北広島市
参照元:北広島市(2016年1月時点、著者調べ)

サービスの利用

自立でも受けられるサービス

K:なんだか気が滅入る話だけど、認定の結果、重かったらそれなりのサービスを受けられるということだよね。それは救いになるかねぇ。中には要支援にも該当しなかったっていう人も出そうだね?

E:そうね、そういう場合もあると思う。でも、次に認定してもらうときの基準ができたわけだし、無駄にはならないはず。それにね、要支援に該当しない自立の人は介護保険のサービスが受けられないものの、介護保険外のサービスや介護予防事業を利用することができるのよ。

K:介護予防?

E:そうなの。介護を必要とする人が増えれば増えるだけ大変になるでしょう。家族だけでなく市町村も国も負担が増えることになる。だから、予防を積極的にしていこうという流れでね、平成26年度から事業化しているの。

K:それはいい取り組みだね。

E:65歳以上の人が対象なのだけれど、おばさんみたいに元気な人を含めて全員を対象としている事業もあれば、介護サービスは必要ないものの「介護が必要になるおそれの高い人」を対象とした事業もあるの。どうやって「介護が必要になるおそれの高い人」を決めるかというのも厚生労働省のガイドラインがあるからわかりやすくチェックできるようになっているわ。

介護予防 |厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

介護予防事業について〜介護についてしってみよう!〜|福祉ネットあきた
参照元:福祉ネットあきた(2016年1月時点、著者調べ)

介護が必要になるおそれの高い人に

K:具体的にどんな内容があるのか気になるね。

E:そうね。地域によって行う事業だから地域によるのだけれど、秋田市の例で見てみる?例えばデイサービスセンターへ通って介護予防プログラムに参加できたり、外出の付き添いや食材の買い物を頼めるような援助員を派遣してもらったりできるの。この援助員っていうのはシルバー人材センターから来る人だから馴染みやすいのではないかしら。料理が困難になった人には食事を配達することで同時に安否確認をしてもらうことができるし、緊急事態に助けを呼べる装置を貸してもらうこともできるの。料金や回数は様々らしいけど、いい内容だと思う。

K:そうだね~。閉じこもることで認知症になってしまう人もいるだろうからね、関わることが増えるメリットも大きいはず。

介護予防事業について〜介護についてしってみよう!〜|福祉ネットあきた
参照元:福祉ネットあきた(2016年1月時点、著者調べ)

サービスの利用者負担は1割か2割

K:うちのおばあちゃんの場合は間違いなく要支援か要介護に該当すると思うから、サービスを利用できることになるね。

E:そうね。要支援の場合は介護予防サービスを受けられるし、要介護の場合は介護サービスを受けられるの。おばあちゃんは在宅で利用するから、居宅介護支援事業者のケアマネージャーにケアプランを作成してもらうといいわ。施設を利用する高齢者の場合は施設のケアマネージャーが作成することになっているの。ちなみに要支援の人も介護予防サービスを利用するにあたって、地域包括支援センターでケアプランを作成するのよ。

K:ケアプランっていうのをきちんと作るの。なんだかしっかりしているものだね。

E:そうよ。その上でサービスを利用するの。利用者負担は1割か2割。一定以上の所得があると2割になるけど年金収入が少ない人なら1割のまま。元々は1割だったのだけれど、2015年8月から一定以上の所得の人の負担が2割になってしまったの。高齢者全体の約20%で負担が増えたらしいわ。

要介護認定を受けるには?|きのくに介護deネット
参照元:和歌山県(2016年1月時点、著者調べ)

介護保険、持続へ一歩 15年8月から2割負担  :日本経済新聞
参照元:日本経済新聞(2016年1月時点、著者調べ)

サービスの利用者負担と負担割合証について|東京都北区
参照元:東京都北区(2016年1月時点、著者調べ)

気になったら介護認定を

K:絵里ちゃんに聞いたらわかりやすかったわ。ありがとうね。

E:子どもの頃、おばさんのところのおばあちゃんにもよくしてもらったもの。おばあちゃんにとってもおばさんにとってもいい環境が整えられるといいね。

M:本当にね~、健康で長生きしたいものだよね。介護認定で自立となっても介護予防事業を利用できるみたいだし、和江さんも私も心配になったら受けることにしようかね。

E:そうね、おばさんもお母さんも健康で長生きしてね!