年金の支払いで困った時〈全額免除〉できる方法を教えます

月々支払っている国の年金制度の保険料ですが、特別な事情によって払えない時どうしたらいいでしょうか?実はきちんと申請をして通れば保険料が免除される事があるのです。その他学生や30歳未満の人にも猶予期間と言って様々な措置があるのです。身近な年金について見ておきましょう。



年金制度について

日本に住所がある20歳以上で60才未満の人は全員が国民年金に加入しています。20歳になって加入手続きをしていない人や保険料を納めていない人は、制度には加入しているけれども保険料を納めていない(未納)人として扱われます。未納をしていると受けとることができないものもあります。

年金といってももらえる年金は3つあります

公的な年金の制度として、国民年金、厚生年金、共済年金の3種類があります。この年金は年を取った時だけではなく、病気や事故などで障害の状態になった時や、家族が亡くなり遺族になった時も受け取ることができます。老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金をまとめて老齢年金ということもあります。

本当に私たちに必要な制度なの?

国民年金の保険料(掛け金)は平成27年度で毎月1万5,590円となっています。年金制度というのも若い人には先の事で、今こんなに高い保険料を毎月払っていていざ実際に自分がもらうことになった時に本当にもらえるのか、と不安になることもありますよね。年金制度は損をするから入らないという方もいらっしゃると思います。

年金制度というのは本当に私たちにとって必要なものなのでしょうか?例えば保険料を払っていなかった場合、交通事故で障害者になっても障害年金をもらうことはできません。40才から払う必要がある介護保険料は、65才以上もしくは40才以上であっても加齢による特定の病気になった場合に適用されるものなので、事故やその前に起こった障害については保障がありません。

国民年金保険料|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月著者調べ) また老齢年金は死ぬまでもらえるものなので、受給する年金額の合計は何歳まで生きるかによって変わってくるのです。たとえ23年今までにかけていたとしても、あと2年足りないだけで1円ももらうことができないのです。

反対に25年間ずっと払い続けていて、90才100才と長い間生き続けた場合にはこの年金制度のありがたみがわかることだと思います。年金の改正はたびたび行われていますが、最近では平成16年に大幅に改正されました。今後もこうした改正は行われると予測されます。

なぜかというと、少子高齢化による年金加入者の減少によって、保険料は増え支給額が減少するという方向に向かっているのです。

年金制度は今お金がないからと言って安易に払い続けるのをやめてしまうことや、自分で貯蓄があるのでそれでまかなえるから払わなくてもいい、という判断をしてしまうのが一番の問題になります。

確かに年金の保険料は高くなっていますし、厚生年金の支給額は少なくなっていますよね。けれども自分で判断する前に一度、年金の制度を一度詳しく知ってからでも遅くないかと思います。

今のおじいちゃん、おばあちゃんは私たちが支えている

年金制度の原則としては、私たちのような若い世代が高齢者を支える世代間扶養という考えに基づいています。貯金というわけではないので、本来払ったものに対してどのくらい返ってくるかを考えてしまいがちですよね。

先ほど言ったように長生きをすればとにかく得をします。しかしそれだけではなく、年を取って会社を退職して自分も配偶者も働けなくなった時に月々のお金が入ってこなかったらどうなるでしょうか?裕福に暮らせるわけではないですが、老後の生活費の心配が少なくなるという心配は少しでも軽減できますよね。



こんな場合に保険料の免除制度がある!

国民年金には保険料を払うことが難しい人のために届け出や申請をして保険料が免除される制度があります。この制度は第1号被保険者(自営業者や無職、フリーターなどに)だけ適用されるものです。さまざまなケースで免除されることがあるので、実際に払い込みが難しくなった場合にはチェックしてみることをおすすめします。

厚生労働省の統計によると、免除制度や猶予制度の周知度というものも年々高くなっていて、年金を納めなければならないけれども今は払えないので、制度を利用する人が多くなってきているようです。

免除制度は加入期間として計算されるだけでなく、保険料の一部を払ったことにしてくれるとても便利な制度になっています。保険料の免除には法定免除と申請免除の2つのパターンがあります。そして免除される額も、全額、3/4、半額、1/4の4種類があります。

平成26年国民年金被保険者実態調査結果の概要
参照元:厚生労働省(2016年1月著者調べ)

全額免除となるのはこの条件

市区町村役場を通して年金事務所に届け出をすることによって、保険料が全額免除することができます。条件は2つあって次のいずれかにあてはまる人が法定免除の対象となります。

一つ目は生活保護法の生活扶助を受けている人。そして2つ目は障害年金の1、2級をもらっている人です。1回の届け出をすることによって、法定免除の理由に当てはまらなくなる時まで有効です。

は行 法定免除|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月著者調べ)



全額、3/4、半額、1/4免除となるのはこの条件

保険料を納付することが著しく難しい場合に、市区町村長を通して免除申請を行います。そして厚生労働大臣に認められることによって保険料が全額、または一部免除されます。この場合は3つの条件のいずれかに当てはまる人が申請免除の対象となります。

まず一つ目は、生活保護法の生活扶助以外の扶助を受けている人。二つ目に障害者又は寡婦(未亡人)で所得が125万円以下の人。3つ目が経済的な事情で保険料の支払いが難しい人となります。

申請をした月の直前の7月から翌年の6月まで免除されます。法改正によって平成26年の4月からは2年前までさかのぼることができるようになりました。

さ行 申請免除|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月著者調べ)

経済的な事情という場合の判断はどう見る?

この3つめの経済的な事情による申請免除をした場合は所得の制限があります。この場合の所得の制限は本人だけでなく、配偶者や世帯主も見て判断することになります。つまりこのうち誰か1人でも所得が多い場合は受けることができません。

ただし、失業をしてしまった場合は特例があります。本人の所得を除外して配偶者、世帯主の所得だけで判断されます。申請する年の年度、または前年度において退職した人が対象となります。雇用保険受給資格者証もしくは離職票が必要となっています。 申請免除をして免除された場合、あらかじめ申請をすることにより毎年の申請が免除されますが、失業による場合は次の年も申請する必要があります。

所得の上限のめやす

前の年の所得(1月から6月は前々年の所得となります)がこの額より少ない場合が免除の目安となっています。

・全額免除:単身世帯57万/夫婦のみ92万/夫婦2人子2人(20才以下)162万円
・4分の3免除:単身世帯78万/夫婦のみ116万円/夫婦2人子2人217万円
・半額免除:単身世帯118万/夫婦のみ156万円/夫婦2人子2人257万円
・4分の1免除:単身世帯158万円/夫婦のみ196万円/夫婦2人子2人297万円

保険料を納めることが、経済的に難しいとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月著者調べ)

震災などの特別な理由の場合は?

震災や火災などによって財産の2分の1以上の損害を受けた場合は、損害保険などを受けた場合は除きますが同じような特例があります。これらの申請は住所の登録をしている市町村村役場の国民年金窓口で行うことができます。

風水害・震災等により被災されたとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月著者調べ)

学生納付特例制度

先ほどご紹介した法定免除や申請免除の他に、第一被保険者(自営業、無職の人、フリーター)が申請をすることにより保険料の支払いが猶予される制度があります。このことを猶予制度と言います。

国民年金には日本国民の全員が加入するということになっていますので、20才以上の学生も国民年金に加入し保険料を支払わなければなりません。しかし、学生の場合は収入がない場合も多いですし、あっても少ない場合が多く、そのため学生納付特例制度が設けられています。

20歳以上の学生は本人の所得が一定額以下の場合に保険料の支払いが猶予されます。学生というのは、大学、大学院、短期大学、高校、高等専門学校、専門学校の学生で夜間や定時制、それから通信も含まれます。

申請免除の場合は、世帯主や他の人との収入も見て判断をされてきましたが、学生の特例を使う場合は本人の収入だけで判断します。つまりどんなに親の収入が多くても学生は免除されるということです。

学生納付特例制度|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月著者調べ)

若年者納付猶予制度

30歳未満の人で本人および配偶者の所得が一定額(全額免除基準)以下の時、申請をすることで保険料の納付が猶予されます。学生納付特例制度と若年者納付猶予制度の猶予された期間は、老齢基礎年金をもらうのに必要な加入期間には含まれますが、年金額には含まれないのでこの間の年金額はゼロになってしまいます。 30歳未満の人が収入の多い親と一緒に住んでいる場合、免除されない制度では収入が少なくて保険料を払えない人が年をとった時に年金がなくなってしまう可能性があります。そのため若年者猶予制度は本人と配偶者の収入だけで判断します。

現在、低収入の人やフリーターが問題になっていますが、そのフリーターを助けるために作られた平成37年6月までの特別な制度となっているので覚えておくとよいですね。

免除された期間はどのように将来反映される?

免除された期間はこのような割合で老齢基礎年金額に反映されます(平成21年4月から)

保険料の全額が免除された期間については、全額を納付した場合の1/2が支給されることになります。その他申請免除が3/4(納めた保険料の額が3,900円)の場合5/8、申請免除が半額(納めた保険料が7,800円)の場合は3/4、申請免除が1/4(納めた保険料が11,690円)の場合は7/8が支給されることとなります。

保険料を納めることが、経済的に難しいとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月著者調べ)

免除された保険料払えるようになったら?

免除された期間の保険料は10年以内に後から払うことができます。この制度を追納制度といいます。法定免除、申請免除については追納制度を利用しなかったとしても、私たちが支払った保険料と国の税金から老齢基礎年金を一定額もらうことができます。

しかし追納をすることにより、年金額を増やすことができるのです。追納の時の保険料は当時の保険料と同じ額というわけにはいきません。3年以上たった期間の保険料を追納する場合、免除された当時の保険料に一定額の加算額が上乗せされます。

追納の方法

追納には順番があります。まず学生納付特例制度から支払います。その次に法定免除・申請免除を支払うという順番です。

法定免除と申請免除については経過した月の分から順番に納付します。ただし、諾成納付特例制度の期間より前に法定免除・申請免除があるときはどちらから支払いをしてもかまいません。

保険料の追納をする時は国民年金保険料追納申込書と年金手帳を年金事務所に提出します。その後納付書が発行されて保険料を支払うわけです。

免除された国民年金保険料を追加で支払いたいとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月著者調べ)

猶予制度を使った方は要注意!!

学生納付特例制度や若年者納付猶予制度の場合は保険料の支払いを猶予していただけなので、猶予されていた期間の保険料を後から納めないと年金額には含まれません。猶予期間は老齢基礎年金をもらうのに必要な加入期間としては含まれるので安心してくださいね。

さらに滞納してしまった場合でも2年間はさかのぼって払うことで年金の加入期間を増やし、年金額を増額する事ができます。なぜかというと保険料を支払う時効というのは2年と決まっているからです。

期間限定で後納できます!!

特例で平成24年10月1日から平成27年9月30日までの3年間に限り10年前まで保険料を納めることもできました。こちらの特例を使って結果的に118万人の方が保険料を納めることによって、新たに老齢基礎年金の受給権を得た方が3万8,000人、さらに年金額が増えた方3万人弱が増えたことになります。

この特例によって年金を受け取ることが出来るようになった人がたくさん増えたため、さらに平成27年10月から平成30年までの3年間に限って今度は過去5年分まで納めることができるようになりました。前回と同じように年金の受給資格を得ることが出来る人、年金額が増える方もいらっしゃると思いますのでぜひこの制度を知っておくといいかもしれません。

国民年金保険料の後納制度|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月著者調べ)

10年後納制度の利用実績について
参照元:日本年金機構(2016年1月著者調べ)

まとめ

皆さん年金についてはいかがでしたでしょうか?20才から払い続けてきたせっかくの年金ですので、出来れば無駄にしないで将来もらえるようになりたいですよね。免除や猶予期間についても、年々申請する人が増えてきたので、制度としてはだんだんと周知してきたのではないかと思います。

普段生活していると何が起こるかわからない時代だからこそ、いろいろな国の助けてくれる制度がありますのでそれを利用しない手はありませんよね。今回全額免除になった場合に払い込みは免除されるという結果でしたが、学生の時そして30歳未満の猶予制度を使った場合は、免除ではなく引き延ばしたということを覚えておいていただきたいと思います。

免除期間をきちんと申請しておくことで、未納とは違って老齢・障害・遺族のいずれかの年金と結びつきますので、やはり自らの申請は必要になってきます。そして追納についても自分から行うことで、将来の自分や家族を少しでも安心できるということを覚えておいて欲しいと思います。