住宅ローン保証料って?|返済計画からみる後悔しない選び方

住宅ローンの保証料は高額です。それゆえにローン保証料の有無や金額でローンを選ぶ人も多いかと思われますが、保証料という名目でなくても同等の額の事務手数料が取られる場合も多いです。保証料と事務手数料の違いや、保証料の有無で変わってくること、保証料のしくみ、計算方法、返還についてなど体験談も交えまとめたいと思います。



住宅ローンの保証料

保証料=借主への保証ではない

住宅ローンを契約すると、ほとんどの店舗型金融機関では「保証料」というなんだかよく分からない費用が発生します。これは金融機関の指定する保証会社と借主との間で「保証委託契約」を結び、金融機関への支払いが滞った場合に保証会社が代わりに返済するための契約費用になります。

分かりやすく言うと保証会社=連帯保証人のようなものです。「じゃあ保証料を支払えば、もしもの時は住宅ローンを保証会社が肩代わりしてくれるのね!なんていう素晴らしい制度!」と思われるかもしれませんが、そんなわけはありません。

土地や建物を担保に入れることで保証委託契約は成り立ちます。登記情報にはしっかり抵当権者欄に保証会社名が記載され、払えないなら不動産を処分する権利が保証会社にあるということです。もちろん、不動産を処分しても残債があれば、借主はその返済義務も免れることはできません。

つまり保証料とは、身も蓋もない言い方をすれば「金融機関のための安心料」を借主が支払うという借主にとっては何のメリットもない費用なのです。 PhotoBy:著者2016年1月作成
(イラスト:フリー素材いらすとや) 上の図のように、借主と金融機関との間で住宅ローン契約を締結し、同時に借主と保証会社の間で保証委託契約が締結されます。借主は金融機関に毎月ローンを返済しますが、万が一滞納された場合(多くは3~6回の滞納で)図中の赤い矢印のように、金融機関から保証会社へ代位弁済依頼(代わりに返済するよう請求)がされます。

保証会社は金融機関に一括返済(代位弁済)をし、以降、借主には保証会社への返済義務が生じます。もちろん住宅ローンを滞納していた借主が保証会社へ一括返済するのは不可能なことが多いため、ほとんどは抵当に入っている不動産を処分することになり、それでも残債があればその返済も合わせて行うことになります。

借主は高額の保証料を支払ったところで、返済できなくなれば住む家を失い、さらに残債があれば返済しつつ生活を立て直していかなくてはならなくなります。保証料はいわば金融機関のための保険、借主にとっては審査に通りやすくなるための費用なのです。



住宅ローン保証料の計算方法

保証料は借入条件によって変わる

保証料の金額は一律ではないということですが、元利均等返済のほうが元金均等返済の場合より高くなるのが一般的で、返済期間が短いほど低く長いほど高く設定され、返済リスクに連動していると考えられます。

元金均等返済は当初の返済月額が多くなるため選択する人は少ないですが、元金が早く減るぶん保証料も安く済むのです。ポピュラーな元利均等返済の場合、借入額の年0.2%ということが多いようです。例えば3,000万円の借入なら1年目の保証料は6万円となります。

借入額は返済するごとに減少するので保証料の額も年々減っていきますが、一括で前払いする場合は借入額3,000万円、借入期間30年の場合でおよそ60万円程度だと言われています。金利上乗せで支払う場合は100万円以上とかなりの高額になります。

保証料の計算方法

保証料は年収や借入額、借入期間のみのリスクで変わるわけではなく、担保物件の価値が大きくかかわってくるようです。前述したとおり、借入額の年0.2%が標準的な率のようですが、担保物件の価値までの額は率が低く設定され、担保評価額超過分については高く設定されているようです。

地方銀行や信用金庫に多く利用されている全国保証株式会社の一例ですと、35年ローンで担保価格までは0.1%以下であるのに対し、担保価格超過分については約0.43%となっています。つまり

▼資産価値1,000万円で1,500万円の借入を行う場合初年度の保証料
(1,000万円×0.1%)+(500万円×0.43%)=31,500円

ローン返済により元金は減っていくため保証料の分割係数と呼ばれる0.55をかけてみると、35年ローンだと一括前払額は60.6万円程度になるのではないかと思われます。対して、資産価値の高い駅徒歩5分以内のマンションなどを購入する場合、

▼資産価値1,500万円で1,500万円の借入を行う場合初年度の保証料
 1,500万円×0.1%=15,000円

元金が年々減るので35年ローンで一括前払いの場合、29万円程度になると思われます。このように資産価値でかなり保証料が変わってくるようです。

これはあくまで例なので一概には言えませんが、単に借主の収入や職種、勤続年数、年齢などの条件からではなく、担保物件で借入額が賄えるかどうかがかなり大きな基準となるのは間違いないと思われます。だから自己資金が多く、物件価格のうちローン割合が低い人は保証料も低くなるということでしょう。

住宅ローン保証|全国保証株式会社
参照元:全国保証株式会社(2016年1月:著者調べ)

保証料と事務手数料の違い

では保証料と事務手数料の違いはなんなのでしょうか。店舗型の金融機関の場合でも事務手数料は徴収されますが、多くは3万円+税などの少額となっています。ネット銀行の融資事務手数料は借入額の2.1%など、保証料と同程度の高額な費用になってしまいます。

しかし保証料が不要であるぶん金利が非常に低いため、その高額な事務手数料を支払ってでも他行の住宅ローンからネット銀行に借換えを行う人は多いと言われています。

保証料は、後述しますが前払いと金利上乗せ払いの2種類から支払方法を選択できます。保証料を前払いしている場合の大きな特徴として、繰り上げ返済などで借入期間が短縮された場合に、その短縮された期間分の保証料が返戻されるということがあります。

一方、融資事務手数料の名目で徴収されている場合は、仮に返済が早く終了しても手数料が返戻されることはありません。保証料は返済期間が短くなれば返戻される場合があるお金、事務手数料は一旦支払ってしまったら消えるお金、ということです。

また保証料は審査によって決まるため、実際に申し込みをしてみないとはっきりとした金額(総支払額)が分からないことが多いですが、事務手数料は予め分かっているため返済計画が立てやすいと言われています。

保証料の支払い方法と返還率

一括払いと分割払いどちらが得?

単純に考えると一括払いのほうが得になります。ちなみに一括前払い保証料の支払方法は、本融資の際に保証料分の金額が融資額から差し引かれるという形です。建築業者への精算金が差引融資額より大きい場合は、前日までに保証料分を口座へ入金しておく必要があります。

分割払いの場合0.2%金利に上乗せされることが多いようです。借入額3,000万円、借入期間35年の場合で、一括払いなら60万円前後と考えられますが、分割払いになると繰り上げ返済を全く行わなかった場合100万円以上になり、実に40万円程度の差があると考えられます。

しかし、とりあえず30年ローンにしたが実際は10~15年後に繰り上げ返済したい等、早期完済を予定している場合は金利上乗せ型を選択したほうが得となることが多いようです。なぜなら保証料の返還率はローン開始当初の5年でがくんと落ちるからです。ではその戻し保証料についてみてみましょう。

保証料は返ってくるの?

繰り上げ返済によって返済期間が短縮されると、一括前払いした保証料のうち短縮された分の期間分の未経過保証料が返戻されます。これを戻し保証料といいます。

保証料は単純に年数で割るのではなく元金と借入年数が減るごとに割引されていくため、当初60万円支払ったからといって30年ローンの場合単純に年2万円と計算されるわけではありません。埼玉りそな銀行の場合の例を挙げると、戻し保証料は以下の通りとなります。

▼借入額2,500万円、借入期間35年、全額繰り上げ返済した場合の戻し保証料
・当初保証料:51.5万円
・5年後:31.6万円
・10年後:18.6万円
・15年後:10.2万円
・20年後:5万円
・25年後:1.9万円
・30年後:4千円

このように当初51万円以上のものが、わずか5年後には約6割しか戻ってこない計算になります。減少割合は当初5年が一番大きいため、早い段階で完済や借換した場合は、分割払いにしておいたほうが得だったというケースも多いです。

また最近ではネットでの繰り上げ返済の場合は無料の金融機関が多いですが、繰り上げ返済手数料や保証会社事務手数料というものが各5千円~1万円程度必要となる場合があり、その額が戻し保証料を上回ると返戻されない場合があります。

戻し保証料とは|マイホーム マイバンク プラン│埼玉りそな銀行
参照元:埼玉りそな銀行(2016年1月:著者調べ)



保証料不要の住宅ローン

では保証料不要の住宅ローンはないのでしょうか。昨今では主にネット銀行などで保証料不要の住宅ローンの取り扱いが多いです。こういった金融機関の多くは保証契約という仕組み自体を採用しておらず、金融機関と借主のみのシンプルな契約になります。

その代わりに保証料要の住宅ローンに比べると審査基準がかなり厳しいと言われています。年収や年齢、返済期間、過去の借入歴、担保となる物件内容などに少しでも不安要素があると審査が通らないことも多いようです。

またネット銀行は金利も安く魅力的ですが、保証料と同額程度の高額な融資手数料が必要となることが多いです。「保証料なしだから初期費用が少なくて安心」と早合点しないように注意しましょう。

ちなみにフラット35については保証料が必要ありません。事務手数料は取り扱い金融機関によって異なりますので確認しましょう。

住宅ローン 諸費用・手数料 | 新生銀行
参照元:新生銀行(2016年1月:著者調べ)

住宅ローン選び体験談

住宅ローン借入経験者の約7割は保証料を支払っているというデータがありました。さらに、そのうち7割は一括前払いを選択しているとのこと。しかし保証料というものを意識せず選んでいる人もおられるようで、中には払った覚えがないから金利に上乗せされていると思うという曖昧な意識の人も。

建築業者に言われるまま提携金融機関のローンにされる方も多いので、金利以外の保証料や手数料についてまで意識しないという人も多いようです。実際に住宅ローンを決める際には、表示された金利だけでなく、保証料や手数料も合わせた実質金利から考える必要があるでしょう。

実際に借入した人の成功談、失敗談や保証料を安くする方法などについて見ていきましょう。

経験者の失敗談

・保証料や諸費用がかかることを考えておらず、金利のみで決めてしまった。
・ネット銀行とメガバンクで迷っていたが、ネット銀行の事務手数料が高かったため、同じくらい払うなら早期完済で返戻される保証料ありのメガバンクでと契約した。しかし、金利や保障充実の面でネット銀行のほうがお得だったと後で気づいた。

保証料が絡んだ失敗談に関してはこのような後悔が多いようです。確かに金利のみに惑わされるのも、保証料や手数料などの諸費用だけに惑わされるのも失敗のもとですね。拙宅もメガバンクの住宅ローンで建てましたが、ネット銀行に審査だけでもしてもらえば良かったと後悔しています。

またネット銀行などの事務手数料は最初から決まっており分かりやすいですが、保証料は審査後の決定となる場合が多く、借入する条件によっても変わります。0.12~0.4%などと幅も大きいため総支払額が分からないというデメリットもあるようです。

保証料を安くできた成功談

公務員などの安定した職種の人や、大手企業勤務などの滞納リスクの少ない借主に対しては保証料が安く設定される場合があるようです。こうした借主は金融機関にとっては優良顧客のため、他の金融機関での審査結果を提示することで金利引き下げ率だけでなく保証料にもかなりの効果があると言われています。

実際に保証料をサービスしてもらったという人もいるようです。0円にまでしてもらうのは稀だと思われますが、保証料率の引き下げなどは交渉してみる価値はあると思われます。保証料を下げられない代わりに金利を下げてもらうことで対応してもらえたという人も。

最も期待できるのは、担保の価値が借入額を上回っている場合です。自己資金の多い人は交渉してみる価値は大きいでしょう。

金融機関ごとの保証料

大手都市銀行の住宅ローン保証料

大手都市銀行住宅ローンはほぼ例外なく保証料が必要となります。りそな銀行であればりそな保証(株)といったように、系列の保証会社が指定されます。金利上乗せの場合は借入残高の0.2%(年)が多く、一括前払いの場合は借入総額の2%程度となることが多いと思われます。

わが家はこの大手都市銀行から借り入れましたが、審査が通って金銭消費貸借契約前の案内で保証料がはっきり分かったと思います。ちなみに一括前払いしましたが、事務手数料と保証料を合わせた税込金額がちょうど借入額の2.1%という金額でした。

幅があるとはいえ、年0.2%を大きく上回ることは稀だと思われますが、申込前の段階で総借入額が確定しないというのは不安な要素ではあると思われます。

事務手数料は30,000円+税というところがほとんどです。団信保険料は無料ですが、3大疾病特約などを付けると別途金利に上乗せされますので、ネット銀行の無料で8大疾病保障などのプランに比べるとどうしても見劣りしてしまうのは否めないというところです。

地方銀行・信用金庫の住宅ローン保証料

地方銀行は大手都市銀行と同程度の事務手数料や保証料のところもあれば、一括前払いと金利上乗せ払いとで手数料から変わる場合や、大手都市銀行に比べ保証料がかなり高めになる場合もあります。借入期間が30年程度の場合0.3~0.45%となることもあるようです。

ただ預金連動ローンなど独自のサービスがある場合も多いです。山陰合同銀行は預金残高に応じた金利が毎月キャッシュバックされ、預金を持ちつつ繰り上げ返済と同様にローン金利が減る効果があるとのこと。東京スター銀行などは預金残高とローン残額が同額であればローン金利が一切かからないというユニークなサービスが人気です。

また信用金庫はしんきん保証基金という法人が保証業務を請けることが多く、中には保証会社を選択できる場合もあるということです。どちらも地域に密着しているぶん普段から利用していれば審査が通りやすかったり、色々相談にのってもらいやすかったりというメリットは大きいと思われます。

中京銀行-中京住宅ローン
参照元:中京銀行(2016年1月:著者調べ)

しんきん保証基金の保証料について
一般社団法人しんきん保証基金(2016年1月:著者調べ)

山陰合同銀行|保証料のめやす
参照元:山陰合同銀行(2016年1月:著者調べ)

ネット銀行の住宅ローン保証料

ネット銀行の住宅ローンは保証料がかからないことがほとんどと言われています。代わりに同等の事務手数料がかかることが多いようです。しかしその分金利が圧倒的に低くなっており、団信ももちろん無料、また介護保障や8疾病保障が金利上乗せなしのプランもあるなど、かなりお得な設定になっています。

ただし審査基準が厳しいのと、仮審査に通っても本審査でNG判定が出るなどという困った状況に陥る心配があることと、手続きに時間がかかるためスムーズに進まないのが難点だという意見が多いようです。審査に通るのであれば、保証料と同等の手数料がかかったとしても、文句なく選びたい住宅ローンであると言えるでしょう。

住宅ローン|住信SBIネット銀行
参照元:住信SBIネット銀行(2016年1月:著者調べ)

住宅ローン|MONEYKit – ソニー銀行
参照元:ソニー銀行(2016年1月:著者調べ)

住宅ローン保証料まとめ

住宅ローン保証料は借主のための保証ではなく、金融機関のための保証です。保証料を支払い、保証契約を結ぶことによって、万一返済が滞った場合でも金融機関は保証会社の代位弁済によって返済が保証されるということです。借主にとっては「審査に通りやすくなるための費用」だと考えると分かりやすいでしょう。

逆に保証料が不要の住宅ローンは審査基準が厳しく、担保となる不動産で大部分が補える程度の貸付しかされないケースもあると言われています。また金利が上乗せされたり、保証料と同程度の高額な事務手数料を支払ったりしなくてはならないものが多いようです。

年収や年齢から考えて借入額や借入期間に余裕のある人、自己資金が多く物件価値以下の借入を予定する人など比較的審査に通りやすい人の場合は保証料不要のネット銀行などの住宅ローンがおススメかと思われます。

保証料が必要でもネット申込でかなり金利が低くなったり、ネットバンキングで繰り上げ返済無料になったりとネット銀行と同等の条件となる住宅ローンもありますので、保証料を払うなんて損と一概に決めつけるのも良くありません。

住宅ローンを選ぶ際には、自分の返済計画や生活スタイルに合っているかどうかが大切です。金利だけでなく保証料や事務手数料などの総合的な費用、また何かあった時に相談にのってもらいやすいかどうか、お得なサービスが利用できるかなども考慮して、自分に合った住宅ローンを慎重に検討しましょう。