贈与税に時効!?有効活用できる贈与税の仕組みと基礎知識!

贈与税に時効があるって知っていますか?もし時効がくる前に申告しなかったら?知らなかった贈与税の仕組みと有効活用できる贈与税の基礎知識を解説します。もしかしたら、「贈与税なんて関係ないだろう」と思っている人もいるかもしれませんが、贈与税が関わる範囲は意外と広いものです。贈与税の時効がくる前に税務署から通知が来て、ペナルティーを受けるということがないようにぜひ参考にしてください。



贈与税とは?

個人から現金や有価証券・不動産などの財産を受け取ると税金がかかります。これが贈与税です。贈与税は財産を受け取った人に対して課税がされます。基本的に、1年間(1月1日から12月31日まで)に受け取った額に対して計算され、その金額が基礎控除額の110万円を超える場合に申告をする必要があります。

110万円までは贈与税はかからないので、申告の必要はありません。しかし、贈与税には2つの種類があり、それぞれの種類ごとに申告の仕方が違います。

暦年課税贈与

年間の贈与の額に対して、基礎控除の110万円をひいた額に課税するのが「暦年課税贈与」になります。暦年課税贈与の税率は10%~15%です。しかし、相続時において、その開始前3年以内の贈与については相続税の課税となります。

相続時精算課税贈与

相続時精算課税贈与とは、65歳以上の父母・祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合に選択できる制度です。

相続時精算課税を選択するには、「相続時精算課税選択届出書」の提出をすることで、相続時に贈与者1人が贈与した財産のうち、2,500万円が特別控除として非課税になります。贈与を受けた人は、相続の申告の際に、申告書と相続時精算課税選択届出書などを提出する必要があります。

相続時精算課税贈与の適用条件は以下のとおりとなります。
・贈与者が65歳以上の父母・祖父母であり、受像者が20歳以上の子であること。
・相続時精算課税を選択後は、暦年贈与に変更はできない。

税率については、特別控除(2,500万円)を超えた分に対して20%となります。また、相続時に精算したとき、すでに納めている贈与税のほうが相続税よりも多い場合は、その超過分は還付されます。

No.4402 贈与税がかかる場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)



贈与税の申告期限

贈与税の申告期限は、その種類や状況により違います。それぞれの申告期限を確認していきましょう。

暦年課税

暦年贈与の場合、1年単位(1月1日~12月31日まで)で課税がされるので、その1年の間に贈与を受けた財産の額が、基礎控除の110万円を超える場合に、贈与税の申告が必要になります。その申告期限は、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日で、納付期限についても、3月15日までとなっています。110万円未満の場合申告は必要ありません。

No.4429 贈与税の申告と納税|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

相続時精算課税

相続時精算課税の適用を受ける人は、必ず贈与税の申告が必要となります。その申告期限は、暦年贈与と同じで、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日となります。また、贈与税の課税がある場合は3月15日までが納付期限となります。贈与税の納付額が無い場合でも、必ず申告が必要ですので申告漏れとならないよう気をつけてください。

No.4429 贈与税の申告と納税|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

出国している場合・出国する場合

贈与を受けた人が、日本から出国している場合やする場合については、出国日が贈与を受けた翌年の1月1日~3月15日であれば、その出国日までに申告と納税をする必要があります。申告期限は一般的なものとは違いますので、十分に注意してください。

No.1467 贈与により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

受贈人が死亡したとき

贈与を受けた人が、申告前に死亡してしまった場合、その贈与を受けてなくなった人の相続人が申告をする必要があります。贈与税の申告を必要とするのは、死亡した年の1月1日からの贈与分となります。その提出期限は、相続開始を知った日の翌日から「10ヶ月以内」です。申告書の提出先や納税先は、無くなった人の死亡時の納税地になります。

No.4302 贈与者が年の中途に死亡した場合の相続時精算課税の選択|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

贈与税の時効

贈与税の時効とは、贈与をしているのに申告をしないまま期限が過ぎ、贈与税を支払い義務が消滅する日のことをいいます。基本は贈与をした時点から5年以内となっていますが、この5年の時効については、贈与と知らず申告をしていなかった場合となります。悪質な場合には5年ではなく7年が時効となります。

つまり、知っていたのに贈与税の申告をせず、納税しなかった場合には、時効は7年ということになります。知らないで贈与を受けるということは、あまり考えにくいことになるため、7年の時効のケースが多いようです。

生前贈与の時効 – [相続 専門家プロファイル]
参照元:相続専門家プロファイル(2016年1月、著者調べ)

申告しなかったらどうなる?

贈与税の申告をしなかった場合に、税務署から追求されないのでしょうか?

例えば、夫からの給与から妻名義の通帳に生活費として入金していた場合、いきなり税務署員が「これは贈与税です」と言ってくることはありません。つまり、通帳に入金がされている・振り込まれているということについて、どれが贈与なのかを判断し、すべて確認をする可能性は低いのです。基本的に生活費などには贈与税はかかりません。

しかし、相続が発生した場合に相続税の申告をしたときに、税務調査が入る可能性があります。その税務調査のときに、贈与であったと判明することが多く、追求がされることになります。

もうひとつ例を挙げて見ましょう。
税務調査の際に相続財産の件で妻の通帳に6,000万あったとします。税務調査では、この6,000万円はどのようにためたお金か追求されるでしょう。そこで夫からの生活費で貯めたことを伝えると、この6,000万円は夫の財産と認識され、相続税の支払い対象となってしまうことが多いのです。

この場合、夫からの贈与契約書があれば、7年前までの分については時効となりますが、贈与契約書の無い場合は夫の名義預金と判断され相続税の支払い対象になってきてしまうということです。それがたとえ年間110万円以内の金額で基礎控除範囲内であったとしても、贈与契約書があればこのようなことは無かったと言えます。

No.4405 贈与税がかからない場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2016年12月、著者調べ)

名義変更といわれない為の対策

上記でも説明したように、相続時に名義預金として夫の財産と判断されないためには、贈与契約書を作成しておくことが大切です。この年間贈与が100万であったとしても贈与契約書を作成しておくのが安心です。

また、もうひとつの方法としては、贈与金額を基礎控除を超える110万ではなく120万円にして、毎年贈与税の申告をします。すると贈与税は10万円に対して10%の税率となりますので、1万円の贈与税を納税します。これが贈与の証拠となり、名義預金として判断されることはありません。

このことから、実はへそくりなどは自身の通帳に多額に預金しておくことは、後々相続税になるということになる可能性がありますね。

贈与契約書の作成 | 堺市の司法書士・行政書士による相続・名義変更相談室
参照元:司法書士・行政書士吉田法務事務所(2016年1月、著者調べ)

申告期限を過ぎてしまったときは?

贈与税の申告について、申告期限を過ぎてしまった場合はどうなるのでしょうか。この場合、罰則として「無申告加算税」が発生します。また、申告期限までに申告書の提出をせず、期限後に申告や税務署などからの調査で納税する税金の確定がされた場合、「過少申告加算税」が課せられます。過少申告加算税については「0%」ですが、納付税額が50万を超えるときは、その超えた分に対しては一律20%の税率となります。

申告と納税|税について調べる|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)



贈与税の計算

暦年贈与課税についての贈与税の計算については、以下のようになります。
『贈与額ー基礎控除額110万円=課税価格』
この課税価格によって贈与税の税率が変わります。

【平成27年1月1日以降】
・200万円以下:10%
・200万円超~400万円以下:15%
・400万円超~600万円以下:20%
・600万円超~1,000万円以下:30%
・1,000万円超~1500万円以下:40%
・1500万円超~3,000万円以下:45%
・3,000万円超~4,500万円以下:50%
・4,500万円超~:55%
(※平成27年1月より税率が変わっています)

No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

住宅取得等資金の非課税

住宅取得等資金の非課税とは、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得などについての資金の贈与を受けた場合に、その条件に該当することで、一定金額が贈与税の非課税となる制度です。
この特例を受けるためには、20歳以上であること(贈与を受けた年の1月1日)、贈与を受けた年での合計所得2000万円以下であること、そしてその翌年の2月1日~3月15日までに申告することが必要です。

住宅取得等資金の非課税枠については、平成27年1月1日より変更となっています。(カッコ内は省エネ基準の住宅の金額です)なお、住宅取得等資金の非課税枠は、基礎控除110万円との併用が可能です。
・平成27年1月~平成27年12月:1,000万円(1,500万円)
・平成28年1月~平成29年9月:700万円(1,200万円)
・平成29年10月~平成30年9月:500万円(1000万円)
・平成30年10月~平成31年6月:300万円(800万円)

例えば、平成27年1月にエネルギー性の住宅を購入について、60歳の祖父から1,700万円の贈与を受けた場合は、
『贈与額1,700万円-住宅取得等資金1,500万円-基礎控除110万円=贈与税課税額90万円』
つまり、90万円に対して贈与税率の10%をかけた9万円が贈与税の額となるわけです。
『贈与税額90万円×贈与税率10%=贈与税額9万円』

なお、特別受託資金非課税(住宅取得にかかわる対価や費用の額に含まれている消費税が10%の場合)は、以下の非課税枠となります。
・平成28年10月~平成29年9月:2,500万円(3,000万円)
・平成29年10月~平成30年9月:1,000万円(1,500万円)
・平成30年10月~平成31年6月:700万円(1,200万円)

No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

相続時精算課税の非課税

相続時精算課税の非課税枠は、生前に贈与をしたものについて2,500万円までとなります。そして、相続が発生した場合に、その生前の贈与財産も相続財産にプラスして、相続税を計算します。相続税精算課税では、贈与税の基礎控除は適用されません。つまり110万円は差し引くことができませんので、注意してください。

相続時精算課税については、選択するかどうかの判断が難しい面もあるため、専門家に一度相談するとよいと思います。

No.4409 贈与税の計算(相続時精算課税の選択をした場合)|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

教育資金一括贈与の非課税

平成25年4月1日~平成31年3月31日の間に、父母や祖父母などの直系尊属から教育資金の贈与を受けた場合に、1,500万円までが贈与税の非課税になる制度です。あくまでも、教育資金一括贈与の非課税になりますので、30歳までに教育資金をして使用しなかった場合は、残りのお金については、贈与税の課税対象となってしまいますので、注意しましょう。

なお、相続税の基礎控除110万円と併用は可能です。

No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月、著者調べ)

まとめ

贈与税の時効は、知っていて行う場合は7年となっています。しかし、その間に相続などが発生した場合には、贈与税が支払われていないことから、追加の税金が課税されてしまいます。また、贈与とは知らずに、せっかく生活費を節約して貯めたお金も、相続時には相続財産とみなされてしまうこともあります。

その金額にもよりますが、一般的にいう「へそくり」は実はきちんとした形での贈与契約書などを交わしておけば、そういったトラブルを避けることもできます。普段の生活であまり気にしていないことでしたが、相続税が増税されたことで、相続時に税務調査が入らないとも限りません。今までの貯金などをちょっと見直してみるといいかもしれませんね。

また、贈与税は課税額が大きいものです。贈与税の非課税枠や特別控除の非課税枠などを上手に使って節税をしていくようにしましょう。わからないときは、きちんと専門家の人に相談することが一番の近道だと思います。勝手に判断をしてたくさんの税金が課税されてしまったということのないように、気をつけて下さいね。