団体信用生命保険の<基礎知識>とカバーできないリスクとは?

住宅ローンを組むときに必要になるのが団体信用生命保険ですが、その仕組みや保障の内容は知っていますか?団体信用生命保険があれば安心なのでしょうか?その仕組みや保障内容、カバーできないリスクについて確認していきましょう。また、団体信用生命保険を補う住宅ローンサポート保険やワイド団信についても解説をしていきます。



団体信用生命保険とは

住宅ローンというのは、高額な借入れをするために返済期間が通常長期にわたることが多いですね。そのため、住宅ローン返済期間中に万が一のことがあった場合、返済が滞り、最悪の場合は住宅を手放さなければならなくなるかもしれません。

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済中に死亡や高度障害などがあった場合、住宅ローンの残額を生命保険会社が本人に代わって支払うものです。もちろん他の保険との兼ね合いなどもありますが、残された家族が安心してマイホームに住み続けるためには、団信への加入はとても大切なことになってきますね。

団信の仕組み

団信の仕組みは、借入れする人が団信の生命保険対象者(被保険者)となり、金融機関が生命保険会社と団信の契約をします。そして、被保険者が死亡や高度障害など万一のことがあった場合に、生命保険会が金融機関に住宅ローンの残高を支払うことで、住宅ローンを精算するという仕組みになっています。契約者は金融機関となるため、生命保険料控除の対象とはなりません。

機構団信特約制度について:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
参照元:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)(2016年1月、著者調べ)

団信の保障範囲

団信の保障の範囲は、その被保険者(住宅ローンの返済者)が死亡したとき、または傷害や疾病などによって高度障害状態となった場合となっています。その該当する高度障害とは以下のような状態のことをいいます。

・両目の視力を完全に永久に失った場合
・言語や咀嚼の機能を完全に永久に失った場合
・胸腹部臓器・神経や精神に著しい障害を残して、終身介護が必要な場合
・手足の機能を失った場合など

また、通常の生命保険のように、保障開始から1年以内の自殺や、告知義務違反など保障がされない場合もありますので注意してください。細かな条件については、契約の際にしっかりと確認するようにしましょう。

団体信用生命保険制度のご案内|一般社団法人全信用保証協会連合会
参照元:一般社団法人全信用保証協会連合会(2016年1月、著者調べ)

重い病気になったときの保障もプラスできる

最近では、死亡や高度障害など、通常の団信の保障に加えて、重い病気になったときの保障として、3大疾病保障や7大疾病保障なども、特約としてプラスできるような団信もあります。例えば3大疾病保障については、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」の保障となります。ただし、その支払われ方についてはさまざまです。

例えば、3大疾病などの状態になった場合にすぐに保障されて、住宅ローンの残額が精算される場合や、また、その状態が続いた場合に保障されるものなど、その金融機関や契約によって異なりますので、必ず確認をするようにしてください。

このように、重い病気などの場合にも保障がされることで、通常の団信よりもこのような状態になる可能性が高くなるため、保険料も高くなりますが、安心感は大きくなりますね。

団信と健康告知

団信への加入については、民間金融機関の多くが住宅ローン借りるための条件となっています。この場合、団信の保険料についてはその金利に含まれていて、住宅ローンとは別で保険料の支払いはありません。しかし、団信への加入が条件となっている場合は、健康告知が必要となり、団信に加入できる健康状態である必要があります。

つまり、生命保険に加入できる健康状態ではない場合、住宅ローンの借りることもできないということになってきます。これについては、借りるときだけでなく、借換えなどの場合もこうした条件がついてきますので、良い住宅ローンを借りるためには、健康でいることがとても必要となってくるのです。

しかし、団信に加入できないなどの健康上の理由がある場合、「ワイド団信」という引受け基準が緩和されている保険もあります。この「ワイド団信」については、最近ではメガバンクをはじめとした多くの金融機関で取り扱われるようになっています。「ワイド団信」の場合は、金利が0.2%から0.3%ほど高くなるようです。

また、フラット35や一部の民間金融機関では、この団信への加入は任意となっています。この場合、団信へは別途加入という形となり、その保険料(特約料)は年に1度、住宅ローン返済とは別で支払うことになります。

保険料については住宅ローンの残高によって変わり、1,000万円あたりでの年間保険料が36,000円という割合となっています。さらに夫婦2人で返済を行う連帯債務者の場合は、2人で加入する団信「デュエット」というものもあり、どちらかが死亡や高度障害状態となってしまった場合は、その負担分や残額とは関係なく、全額返済されるものになります。

機構団信とは:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
参照元:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)(2016年1月、著者調べ)



団信でカバーできないリスク

住宅ローンを金融機関などで利用する場合に、基本的に必須となっている団信ですが、団信に加入しているから備えは万全と思われている方も多いと思います。しかし、団信でカバーできないリスクも存在します。

団信で保障されるのは基本的に「死亡」「高度障害時」となります。特約をつけても「3大疾病」や「7大疾病」に関してとなります。それ以外ではどうなるでしょうか?

就業不能時はどうする?

3大疾病や7大疾病の特約をつけている場合は、それについては保障がありますが、それ以外のケガや病気によって、長期にわたり仕事ができない状態になった場合については考えたことがありますか?実は保障以外の長期の休業などが起こった場合、団信では保障外となることも考えられます。

短期間の療養で済むのであれば、貯金などの取り崩しで何とか住宅ローンの返済も可能かも知れませんが、長期となるとやはり負担が大きくなってきます。

長期の就業不能時の影響

では、長期での就業不能となった場合には、どんな保障があるでしょうか?例えば、会社員であれば健康保険の保障として「傷病手当金」というものがあります。この「傷病手当金」について、簡単に確認していきましょう。

傷病手当金とは、病気や怪我などでの休職した場合、休職の4日目から給付される健康保険での保障です。この給付金額は、1日当たり標準報酬日額の3分の2となります。これは最長で1年半の支給になります。

ちなみに、傷病手当金については、国民健康保険では保障はありません。つまり仕事ができない状態であったとしても、保障がされないということになります。さらに、会社員で健康保険加入者であったとしても、傷病手当金で保障されるのは、標準報酬日額の3分の2です。つまり、3分の1については収入が減少するということになります。

医療費などに加えて収入も減るといった、ダブルパンチの状態になるということです。長期の就業不能となった場合の生活への影響は、かなり大きなものになると想像できます。

住宅ローンサポート保険をプラスする

では、そのような状態になった場合にはどうしたらよいのでしょうか?

実はこうした場合に使える住宅ローン返済について考えられた保障があります。それが「住宅ローンサポート保険」です。

「住宅ローンサポート保険」とは、住宅ローンの返済をしている一家の大黒柱である人が、病気やケガによって仕事ができなくなった場合に、その収入の減少についてカバーする、住宅ローンの返済について考えられた保険となります。これは、入院中であっても自宅療養中であってもサポートがされます。

住宅ローンを利用している人にとって、安心も大きくなりかなりおすすめの保険となりますね。

日立キャピタル損害保険の所得補償保険 資料請求サイト|商品案内(TOP)|住宅ローンサポート保険
参照元:住宅ローンサポート保険(2016年1月時点、著者調べ)

住宅ローンサポート保険の保障内容

住宅ローンサポート保険は、ケガや病気で働けない状態が続く場合の収入補償保険となります。その保障期間については限定されていますが、最長で60歳までとなっており、その支給金額も10万円から30万円の範囲内で設定ができるようになっています。

もちろん、働けるまでに復活された場合は、保険金の支払いは終了しますが、全く仕事ができない状態が続いた場合は、最長で60歳まで保障されますので、安心してケガや病気の療養ができますね。ただし、一定の補償期間は設定されていますので注意してください。

例えば、日立キャピタル損害保険では「住宅ローンサポート保険(長期就業不能所得保障保険)」という保険になります。その免責期間として保障開始から90日間の保障はないものの、5年間についての所得補償がされます。

リビングエールはどうして必要なの? | 日立キャピタル損害保険株式会社
参照元:日立キャピタル損害保険株式会社(2016年1月、著者調べ)

ワイド団信とは

ここまで団信について説明してきましたが、先にも書いたとおり、基本的に団信は健康告知があり、その健康状態によっては加入ができないこともあります。ということは、住宅ローンの借入れも難しくなってきますね。

しかし団信に加入できなくても住宅ローンの借入れをしたいという場合には、団信への加入が条件となっていないものを選ぶこともできます。そのときに、その住宅ローンをカバーできるような生命保険にすでに加入している場合は、それでカバーができるので、団信加入をする必要はないでしょう。

しかし、加入している生命保険ではカバー仕切れない場合には、「ワイド団信付き住宅ローン」という選択肢もあります。ワイド団信は、加入条件が緩和されているので、団信に加入が難しい方でも、ワイド団信なら加入できる可能性があるのです。

加入条件が緩和されている「ワイド団信」

「ワイド団信」はその引受け条件を緩和しており、健康状態によっての保険の引受けの範囲が大きくなっています。当然ながら、団信に加入できる健康状態の方と比べれば、死亡などの危険度が高まりますので、保険料については割高となります。しかし、通常の生命保険には加入できない人にとっては、多少割高であっても保障が確保できるのは安心ですね。

健康告知の項目については、通常の団信とほとんど同じとなっており、3ヶ月以内の医師の診察はないかどうかや、3年以内に2週間以上の治療がないかどうか、障害をもっていないかなどの内容となっています。

もちろん、加入できるかどうかを判断するのは保険会社になりますが、通常の団信よりも引き受けの範囲が広くなっているため、加入しやすくなっています。

ワイド団信のポイント

最近ではメガバンクなどをはじめとして、一部の地方銀行やネット銀行などでも取り扱いがされています。団信には病歴があるからといって加入できないわけではありませんが、一般の団信とは引受け会社が異なりますので、もし団信で加入できなかった場合は、再度ワイド団信への申し込みが必要となります。

そのワイド団信のチェックポイントを確認していきましょう。

【年齢制限について】
多くの場合は、50歳までとなっているようです。50歳以上ではワイド団信の利用は難しくなってきますが、ソニー銀行は65歳未満であれば利用が可能となっています。

【上乗せの金利について】
一般的な団信は、保険料については住宅ローンの金利に含まれています。しかしワイド団信では、適用される金利に上乗せがされます。その上乗せ分は0.2%から1%程度となっています。注意したいことは、この上乗せ分の金利については低いのが良いわけではないということです。通常の適用金利と上乗せ金利の合計での比較をするようにしましょう。

また、借入れの金額(保障額)が5,000万円以上の場合は、医師の診断書などの提出が必要になる場合もありますし、同じ保険会社であっても、金融機関ごとにその上乗せ金利が変わることがありますので、必ず詳細を金融機関で確認するようにしてください。

ワイド団信の取扱いのある主な金融機関

ワイド団信を扱っている金融機関については、主な金融機関としては、大手では「三菱東京UFJ銀行」「みずほ銀行」「りそな銀行」など、ネット銀行では「ソニー銀行」などがありますが、現在は地方銀行もあわせて、取り扱っている銀行が多数あります。詳細もあわせて各銀行に問い合わせてみてください。

引受条件緩和型団体信用生命保険(ワイド団信):三菱UFJ信託銀行
参照元:三菱UFJ信託銀行(2016年1月、著者調べ)

みずほ銀行:ワイド団信
参照元:みずほ銀行(2016年1月、著者調べ)

住宅ローン「団体信用生命保険(ワイド団信)」の取り扱い開始について 110401|ソニー銀行からのお知らせ履歴|MONEYKit – ソニー銀行
参照元:ソニー銀行(2016年1月、著者調べ)



まとめ

団体信用生命保険は、住宅ローンとセットになっていて、借入れの際に必ず入らなければならなくなっていることが多くなっています。確かに、住宅ローンは多額の借入れとなるため、団信のような生命保険で保障されていれば、万が一のときも家族は安心してマイホームに住み続けることができますね。

しかし。団信ではカバーされていない保障もあります。余裕があれば、住宅ローンサポート保険のような収入補償の保険に加入しておくとさらに安心ですね。

また、健康状態によっては、団信をはじめ、ワイド団信でも加入を断られることがあるかも知れません。マイホームの夢をスムーズにかなえるためにも、そして住宅ローンの借入れについても、健康が一番得をすることになると思いますよ。