アパートローンとは何なのか?住宅ローンとの違いを徹底検証

「アパートローン」というサービスをご存知でしょうか?名前からして集合住宅に使えそうなローン?という印象ですが、その中身はどんなものなのでしょう。同じ不動産に関するローンと比較検討しながらサービスの内容を解説します。



不動産ローンの新顔!?

不動産関係のローンで最も有名なのは、住宅ローンではないでしょうか。家といえば住宅ローン。税金でも、住宅ローン控除という特有の名前がつけられており、ローンの中でも最高の知名度を誇るのがこの住宅ローンです。しかし、リフォームが盛んになり、住宅ローン次いでリフォームローンが登場し、空き家問題が報じられるようになって、空き家の取り壊しや修繕に使える空き家ローンが登場しました。そしてさらに登場したのがこのアパートローンです。

名前だけは何となく知っているアパートローン。アパートと言うからには、集合住宅に関係のあるローンなのではないかと何となく察しはつくものの、具体的な中身が分からない。また、住宅ローンとどこが違うの?住宅ローンは住宅全般の購入に仕えて、アパートローンはアパートの購入だけに使えるローン?そんな、ざっくりとした印象から一歩踏み出して、住宅ローンと比較しながら簡潔にご説明しましょう。

アパートやマンションのような住宅を検討している方で住宅ローンより条件や審査の面で良いなら、こちらを使いたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。果たして名前通りのローンなのか、どんな人に向くのかも合わせて解説いたします。

住宅ローン|住信SBIネット銀行
参照元:住信SBIネット銀行(2016年2月、著者調べ)

リフォームローン |イオン銀行なら低金利で安心
参照元:イオン銀行(2016年2月、著者調べ)

空き家解体ローン | 目的ローン | 熊本銀行
参照元:熊本銀行(2016年2月、著者調べ)



アパートローンという新しいニーズ

住宅ローンは広く居住用の家や土地を、戸建て、アパート、マンション関係なく担保するローンです。住宅のことならとりあえず真っ先に住宅ローンと言われるくらいのローンですから、個別にマンションやアパート用を作る必要はない気もします。

同じ金融機関で、同じく不動産を目的とした別ローンを作ってしまっては、お客さんが分散してしまってかえって管理に手間取るということにもなりかねません。今までアパートやマンションを購入するお客さんが住宅ローンのターゲット外であったなら新しくアパートローンの名目でサービスの提供するのは新規顧客獲得の面でもメリットがありますが、そうでなければ、どうしてこんなローンを作ったのでしょうか。

そこはそれ、きちんと需要があったからこそ、なのです。金融機関がローンサービスを作る時は、そのローンの目的になっている事柄にどれだけお金がかかるか、ローンでどれくらいの範囲を担保すればお客さんが助かるかをきちんと調べた上でサービスの提供に踏み切ります。アパートローンという名前から住宅ローンと担保範囲が同じように感じられますが、実はローンの目的がまったく異なっているんです。

アパートローンとは?

アパートローンとは、アパートやマンションを購入するためのローンです。ただし、自分が住むことを目的として購入する人をターゲットにしているローンではなく、アパートやマンションを購入し、人に貸して賃料を得る、つまり不動産によって稼ごう、事業をしようという人がアパートやマンションを購入するためにお金を貸すローンです。

住宅ローンのターゲットは自分や家族が住むための住居を購入する人です。一戸建てであれマンションであれ、自分や家族が住む家の購入に宛てるためのローンが住宅ローンです。対しアパートローンは、自分が住むよりも人に貸して賃料を得よう、不動産運用をしようという人のためのローンなのです。

みずほ銀行:アパートローン
参照元:みずほ銀行(2016年2月、著者調べ)

アパートローン商品概要(pdf)
参照元:三井住友信託銀行(2016年2月、著者調べ)

アパートローン商品概要(pdf)
参照元:大光銀行(2016年2月、著者調べ)

新しいニーズをフォロー?

「アパートに住むためのローンではなく、アパートを運営するためのローン」これがアパートローンです。家族と引っ越すためにマンションを購入したい。アパートローンという名前を聞くけれど、住宅ローンとどちらが有利に借りられるだろうと考えた方は、このアパートローンは不動産運用をしたいという人のために考案されたローンであると知っておく必要があります。自分が住むためであれば住宅ローンの守備範囲です。

近年は、マンションの一室を購入し、人に貸して毎月年金のように賃料を得るという不動産運用方法も盛んになり、また、古く利回りが大きいアパートを一棟丸ごと購入して、最初は購入額を賃料でなるべく補填し、老朽化が進んだらリフォームし、その上でさらに人に貸して不動産収入を得るという方法も盛んに行われています。アパートのリフォームであればリフォームローンでもいいのではないかと思われるかもしれませんが、アパートのリフォームは、リフォームローンで貸し付けている数百万の範囲を遥かに超える費用がかかります。

また、アパートを丸ごと一棟購入する場合も、住宅ローンの貸付限度額を優に超えることが多いです。ですから、不動産収入を目的とする人が不動産を購入するため、修繕を行いさらなる不動産事業へと結びつけるため、新たなニーズとしてアパートローンが登場しました。

住宅ローンは自分や家族が住む家のためのローン。リフォームローンは自分が住んでいる家の修繕のため。アパートローンは不動産収入を得るための不動産の購入やリフォームのための。それぞれのローンの違いをしっかりと把握しておく必要があります。

自分が住むための家の購入はNG?

ただし、アパートローンを自分が住む家のために申し込むことができないわけではありません。

アパートを一棟購入したとして、そのアパートの一室に自分が居を構えることはよくあることです。また、マンションの一室を購入して人に貸し賃料を得ていたとしても、後に自分たちがその部屋に引っ越すことだってあり得ます。不動産で収入を得ようと購入したとしても、後から住む、たくさんある部屋の一つを自分の住居に使うということだってあるわけです。こんな時もアパートローンは使えます。

また、自分の住居用のアパートやマンションを購入するとしても、条件さえ満たしていれば基本的に審査は通過するはずです。しかし、審査や融資額に住宅ローンと大きな違いがあることを覚えておく必要があります。

融資額や審査は?

資金使途

(1)賃貸用住宅の土地・建物の取得資金、増改築・改装資金、底地買取資金および外構工事資金、火災保険料、担保関連費用、設計料、解体工事費用、近隣対策費、印紙税、仲介手数料、付帯工事費用、水道加入金
(2)現在他金融機関からのお借入中のアパートローンの借り換え資金。ただし当行でお借り入れ中のアパートローンの借り換えはできません。

出典:

www.mizuhobank.co.jp
アパートローンの融資額は、住宅ローンより限度額が高く設定されていることが多いです。なぜなら、不動産運用をするのならアパートを一棟丸ごと購入ということもありますから、一戸建てを自分の住居用に購入するより、建物の買い値、登記などの手続き料、土地にかかる費用が遥かに高額になる可能性が高いと言えるからです。皆さんも、一軒家とアパート一棟ならどちらが高い?と問われたら、ほとんどの方が「アパート一棟」と答えるのではないでしょうか。古いアパートの中には数百万円で購入できるものもありますが、やはり銀行側も一軒家よりアパート一棟の方が高いという考えでいます。

お借入金額

50万円以上5億円以内(1万円単位)

出典:

www.mizuhobank.co.jp
これは、みずほ銀行のアパートローン融資額ですが、やはりローンとしては限度額がかなり高額なのではないでしょうか。

また、借り入れが高額になりますから、アパートローンの審査はかなり厳しいです。住宅ローンでも、ローンの中では審査や条件が厳しめなのですが、アパートローンはさらに厳しいことが多いと言えるでしょう。不動産を運用し利益を出す人のためのローンでもありますから、利益が出せなければ滞納することになると銀行側は考えるでしょう。また、高額の貸し付けになることが多いですから、10万円のカードローンの貸し付けより銀行側が慎重になることは当然ではないでしょうか。

不動産ローン徹底比較

今まで簡単に解説した要点をまとめつつ、住宅ローンとアパートローンの違いについてもう少し深く突っ込んで考えてみましょう。最大要点である、住宅ローンは自分が住むための家を購入する人がメインターゲット、アパートローンは賃貸不動産の購入または運用で収入を得たい人がメインターゲット、この点を踏まえて続きをどうぞ。

住宅ローンとは何が違うの?

アパートローンは収益を求めて賃貸不動産を購入するためにも使えるので、そもそも住宅ローンとは性質が異なります。

また、住宅ローンは、住宅ローンが国の施策である持家に合致しているところからその分積極的に推し進め特典が多いです。銀行側も住宅ローンを借りている人に対して無料で素晴らしい保険を用意したり、色々な施設を割り引きで利用できるようにしたり、家事代行を無料で頼めたりと、積極的に借り入れを勧めています。国も、住宅ローン借入者に対しては住宅ローン控除により税金をおまけしていますよね。

No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2016年2月、著者調べ)

リフォームローンじゃダメなの?

自分が住んでいる家であればリフォームローンも守備範囲です。

ただし、アパートなどのリフォームはリフォームローンの貸付限度額より必要費用の方が高くなることが多いので、リフォームローンを活用するのはなかなか難しいと思います。賃貸用の大きな不動産であればアパートローン、自分の家の修繕ならリフォームローンという感じです。

審査はどちらが難しい?

前述しましたが、大切なところなのでもう一度説明します。

ローンは金額が大きくなるほど銀行が慎重になりますから、審査が厳しくなる傾向があります。また、目的の違いによっても審査がさらに厳しくなることがあるのです。

住宅ローンの返済は、一定額の収入があれば、自分で住むのですから銀行はさほど厳しい要求を突きつけることはないでしょう。しかしアパートローンは、購入した不動産でお金を稼ぐ場合は事業です。事業は失敗すると一気に多額の借金を背負うことになりますし、お客さんと揉めて訴訟になることや、他の業者への未払い金があって資金回収が難しくなることも念頭の置かなければいけません。

事業ですから、自分の家がちょっと壊れても「まあいいや」で済ませることができるのに対し、お客さんから「修繕してください」と要求を出されると、基本的に大家には修繕する義務があります。つまり、住宅ローンの返済者よりアパートローンの返済者の方がお金関係で波乱万丈になる可能性が高いと銀行側は考えます。

個人の借り入れは、他に借金はないか、過去に滞納はないか、収入はどれくらいかで主に判断されますが、事業になるとその人の手腕や利益が出るかどうかの見通しまで関係しますから、全般的にアパートローンの方が審査は厳しいと言えるでしょう。

金利はどちらが高め?

金利はどちらが高いかは一概に言えません。ローンの金利はそれぞれのローンサービス、また、金融機関ごとに異なります。それに、金利は最低金利と最高金利の数値が決められており、その間に幅を持たせてあることがほとんどです。その金融機関で他のローンや金融商品の運用をしていれば、金利をその分だけ低くしてくれることもあります。

インターネット上のローン金利だけを確認して安い金融機関から借りたら、実は地元の地銀の方が長いおつき合いだからと金利に色を付けてくれることだってあり得ます。一概には言えませんので、いくつかの金融機関に金利について相談し、大体の算段を立てるようにすれば、どこの金融機関が自分にとって有利か見えて来ることでしょう。

アパートローンに特典はある?

住宅ローンにはバリエーション豊かな特典がつくことが多くあります。では、アパートローンはどうなのでしょう。

もちろん、金利の優遇などの特典はあります。しかし、住宅ローンのように家事代行サービスや有利な保険の無料加入、グルメやレジャーの優待券といった特典はあまり聞きません。私たちが生活の中で「ちょっとお得!」「これ欲しい!」と感じるような特典がアパートローンについていることはあまりないようです。

住宅の取得は国が推奨しています。金融機関側も、住宅ローンは主力商品ですから、その分力を入れているということもあります。ですが、土地の有効活用やアパートを取得して収入を得ようと考える人が活用するアパートローンは住宅ローンとは少々毛色が違いますし、国が「不動産を買って運用しよう!」と推し進めている政策というわけではありません。確かに、資産運用自体は勧めてはいるのですが、不動産運用は軽い気持ちで手を出すと痛い目を見る運用であり、慎重さが必要になります。

住宅ローンほど特典をつけて推奨しているというわけではないようです。不動産運用に興味があるのなら、自分で不動産を購入しなくても、REITという投資方法もありますからね。



マイナス金利でアパートローンがお得?

金利がマイナスになると、銀行側がお金をたくさん預かっていると不利になります。銀行が私たちから預かったお金を銀行の銀行に預けておくと利息を払わなければいけないのがマイナス金利ですから、銀行はなるべく手元にお金を置いておきたくないのです。

では、どうするかというと、手元に置かずに債権としてもってしまえばいいというのが一つの方法です。つまり、銀行は今、お金を放出したい、手元に残したくない、預かりたくないという状況です。こんな時はローンが非常にお得になります。銀行は貸したくてたまらないのですから!

住宅ローン、アパートローン、自分がどんな目的で不動産を取得するかによってどちらを使うか変わりますが、どちらもローンである以上、とてもお得になっていることに違いはありません。

結論はターゲットの「ずれ」?

アパートローンと住宅ローンの一番の違いは、お金を融資するターゲットの違いです。住宅ローンは自分の家を持ちたい人への融資であるのに対し、アパートローンは土地の有効活用や、アパートやマンションなどの賃料で収入を得たい、事業レベルで不動産運用をしたいという方がターゲットになります。

当然、アパートやマンションを購入する方がお金がかかることが多いですし、土地の有効活用をするにも店を建てたり、土地を綺麗に均したりしなければいけないわけですから、その分、お金がたくさん必要になります。平均的にアパートローンの方が融資限度額が高いということが多く、融資限度額が高いこと、そして住むことより投資や事業という性質が高いことから、審査もアパートローンの方が厳しいことが多いです。

同じ不動産のローンですが、アパートローンと住宅ローンでは、そもそものローンの目的が異なりますので、自分の不動産取得目的に合った方を選ぶのが、ローンの有効活用に繋がると言えます。