通院保険、なぜ必要?安心して療養するために知っておきたい知識

ある程度の年齢になった人なら、何らかの生命保険には加入しているでしょう。しかし、その生命保険、内容はちゃんと見ていますか?入院保障は割とどの保険も充実していると思います。しかし、最近は「入院期間は短いけど、その後の自宅療養に時間がかかる」というパターンが増えてきました。そうなると、通院保険の重要性が改めてクローズアップされてきます。いい機会なので、ちゃんと考えてみましょう。



通院日数は増えている!

通院保険がなぜ必要かを考える前に、本当に通院は増えているのかを見ていきましょう。

入院日数は減っているが…

入院するほど大変な病気の代表格といえば、がん(=悪性新生物)。がんでの入院日数はだんだんと減ってきている傾向にあります。厚生労働省のデータから見てみましょう。

<平成26年度:傷病分類別に見た年齢階級別通院患者の平均在院日数>
(総数/単位は日)
・胃の悪性新生物:19.3
・結腸及び直腸の悪性新生物:18.0
・肝及び肝内部等の悪性新生物:18.8
・気管、気管支及び肺の悪性新生物:20.9
・乳房の悪性新生物:12.5

平成26年(2014)患者調査の概況|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、筆者調べ) <平成23年度:傷病分類別に見た年齢階級別通院患者の平均在院日数>
(総数/単位は日)
・胃の悪性新生物:22.6
・結腸及び直腸の悪性新生物:17.5
・肝及び肝内部等の悪性新生物:18.6
・気管、気管支及び肺の悪性新生物:21.7
・乳房の悪性新生物:11.8

平成23年(2011)患者調査の概況|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、筆者調べ) 平成26年と23年の2つの期間だけを見ても、「意外と入院って短いんだな?」と思いませんか?つまり、よほどの重症ながんではないと、せいぜい入院しても3週間くらい、ということなのです。でも、がんが3週間で治るような病気でもない、というのは皆さんお分かりだと思います。では、今はがんはどうやって治療しているのでしょうか?

通院主体の治療にシフトしている

それを読み解くデータがありました。先ほどの厚生労働省の調査には、こんなデータがあります。

<平成26年度・傷病分類別にみた施設の種類別推計外来患者数(抜粋)>
(単位:千人)

<入院>
・胃の悪性新生物:13.5
・結腸及び直腸の悪性新生物:18.9
・肝及び肝内胆管の悪性新生物:6.9
・気管、気管支及び肺の悪性新生物:18.8
・乳房の悪性新生物:5.4

<外来>
・胃の悪性新生物:19.2
・結腸及び直腸の悪性新生物:28.0
・肝及び肝内胆管の悪性新生物:5.5
・気管、気管支及び肺の悪性新生物:16.1
・乳房の悪性新生物:24.3

平成26年(2014)患者調査の概況|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、筆者調べ) つまり、がんも通院で治療する人が圧倒的に多い時代になっています。とはいえ、手術や抗がん剤投与など、高度な管理が必要な治療は入院でするのが基本です。おそらく、「入院2~3週間の後、通院」というパターンはかなり多いのではないでしょうか?

がんほどの重病でも、通院が主流になりつつあるこの現状を考えると、それにあった保険選びをしなくてはいけない、ということがお分かりいただけたかと思います。

「自分の医療保険、いつ契約したんだろう……?」と疑問に思うくらい昔に医療保険を契約した人は特に注意してください。昔の医療保険は入院治療が前提となっている商品が多いため、通院保障がない場合も多いです。いざ、自分が病気になって、通院が必要になったときに保険金が受け取れない!という事態を避けるためにも、見直しを行ってみるといいでしょう。



なぜ通院保険が必要?

入院から通院に治療がシフトしている、という話をしたところで、通院保険がなぜ必要かという理由を掘り下げて考えてみましょう。

医療費は公費負担がある

まず、そもそも日本の健康保険に加入している場合の医療費について考えてみましょう。日本に住んでいれば、(国籍問わず)国民健康保険、企業等の共済保険には加入しているはずです。病気になったときは、医療機関の窓口で保険証を出して……というのはさすがに誰でもわかるでしょう。これがいわゆる「国民皆保険制度」です。さて、日本の健康保険に入っている場合、がんなどの重い病気にかかってしまったら補助はあるのでしょうか?

正解は「あります」です。高額医療費制度といって、1カ月に払った医療費の金額が一定の金額を上回った場合、上回った分については払い戻しをしてもらえるという制度です。

大まかにいえば、次の3ステップで医療費の払い戻しが受けられます。
1)医療費の自己負担額分を支払う。
2)高額医療費支給申請書を提出する。
3)差額の払い戻しを受ける。

とはいえ、自分で立て替えて支払わなければいけない部分もあります。「やっぱり、払えない……」という場合でもあきらめないでください。自己負担額に相当する分を貸し付けてくれる、「高額医療費貸付制度」もあります。

高額医療費制度、高額医療費貸付制度について、より詳しい情報はリンク先を参考にしてください。

高額な医療費を支払ったとき(高額療養費) | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元;全国健康保険協会 協会けんぽ(2016年1月時点、筆者調べ)

高額医療費貸付制度について | 都道府県支部 | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会 大阪支部 協会けんぽ(2016年1月参照、筆者調べ) がんなどの重い病気になると、医療費の請求書にものすごい金額が並ぶのも珍しくありません。
筆者の周りで、ご家族をがんで亡くした人がいます。治療の結果は実りませんでしたが、「医療費の請求書を見て倒れそうになったけど、公費で賄われる、という話を聞いて安心した」という感想をもらしていました。本当ですよね。

ということで、あまり医療費そのものについては心配する必要はないでしょう。もちろん、保険適用外の医療(いわゆる「先進医療」)を受けたい場合は、それなりに費用がかかるのを覚悟する必要があります。自分、そして家族にとって何がベストな選択か?を常に考えてください。

療養している間は元通りでない

では、何で通院保険が必要か、という話に移りたいと思います。がんなどの重い病気でも、退院したからすぐに元通りの生活ができるわけではありません。当然、それなりに休養を取らないといけないし、生活そのものに不自由することだってあるでしょう。病気になる前と同じように働けるようになるには、かなりの時間がかかるケースだってあるわけです。せめて、通院が必要な間はゆっくり休める体制を整えることが必要なのは言うまでもありません。そのためにも、通院保障があったほうがいいのです。

療養中も生活しなければいけない

健康保険で賄えるのは、あくまで医療費の部分だけです。それ以外の普段の生活にかかる費用は自分でどうにかしなければいけません。考えてみれば、通院していても、ご飯は食べなくてはいけないし、楽しみのためのお金や時間だって必要です。そういう「普段の生活」の中でできることをしていくためにも、お金が必要だということはお分かりいただけるかと思います。

家族の生活費も大事

これは、配偶者やお子さんがいらっしゃる場合に、特に真剣に考えなくてはいけないテーマです。通院している間、病気でないときと同じように働くことができない以上、生活費に影響が出るのは避けられません。でも、配偶者やお子さんは生活していかなければいけません。となると、補完してくれる何かがないと、生活が一気に厳しくなります。家族の生活費を賄う、という意味でも、通院保険はやっぱり大事でしょう。

通院保険を請求するには?

ここで、通院保険を請求するにはどのような流れを踏めばいいか考えてみましょう。ある保険会社の例を参考にしています。まずは大まかな流れを理解してください。 <入院給付金を請求できる場合>
1)まず入院給付金を請求する。
2)入院給付金の支払いを行う際、所定の条件を満たした場合、通院給付金請求用の書類が交付される。
3)所定の事項を記入し、医師の証明書とともに提出する。

<入院給付金を請求できない場合>
1)保険会社に連絡する。
2)保険会社が通院給付金の請求の可否を確認し、所定の条件を満たした場合、請求用の書類が交付される。
3)所定の事項を記入し、医師の証明書とともに提出する。

Q&A(給付金・保険金の請求(がん保険))|アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)
参照元:アフラック(2016年1月時点、筆者調べ) もちろん、ここで挙げたのは一例です。個々の保険商品によって若干手続きが異なる場合もありますが、基本的には「保険会社に連絡」からすべてが始まる、と考えておけばいいでしょう。



通院保険が必要なのはどんな人?

ここで、通院保険が特に必要な人について、真剣に考えてみました。次の2パターンがあります。

ケース1 一家の大黒柱

いわゆる「世帯主」「稼ぎ頭」な人がこれに当たります。一家の生活費を稼いでくる人が病気になった場合、家族の生活が激変してしまいます。お金があるからといって万事解決する、というものでもありませんが、お金はあるに越したことはありません。先にも書いた通り、がんなどの重い病気でも通院治療が主流である以上、通院保障はあったほうがいいでしょう。医療保険を選ぶ際は、通院保障が受けられるのはどんなケースか、ということにも注目して選んでみてください。

ケース2 一人暮らし

自分で自分の生活を支えなくてはいけない、という意味では、一人暮らしの人も通院保障はあったほうがいいでしょう。いざというときに頼れる家族がいるなら別ですが、頼れる家族がいない場合、リスクヘッジはしてもしすぎることはありません。今、契約している医療保険に通院保障がついていない場合、通院保障がついているタイプの商品への変更ができないか、保険会社の営業担当者に相談してみましょう。

通院保険の代わりの制度・商品は?

傷病手当金

病気やケガで会社を休んでしまい、その間働けなかった場合、入っている健康保険組合から支給されます。

次の4つの条件を満たしている必要があります。
1)業務外の事由による病気やケガのための療養の休業であること
2)仕事に就くことができないこと
3)連続する3日間を進み、4日以上仕事に就けなかったこと
4)休業した期間について給与の支払いがないこと

なお、傷病給付金が支給される期間は支給開始日から最長1年6カ月となっています。支給開始後1年6カ月を超えた場合、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されないので注意しましょう。

病気やケガで会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会 協会けんぽ(2016年1月時点、筆者調べ)

就業不能保険

こちらは、民間の保険会社が提供する商品です。わかりやすく言えば、「病気やケガなどで働けない期間が長く続いたとき、その間の生活費を補完する目的で保険金が給付される保険」です。入院、通院、在宅療養などで働けない間、生活費のめどがつく、ということで最近注目されています。

商品によって若干の差はありますが、毎月給料のように保険金が給付される形が一般的なようです。ただし、対象となる病気、ケガには一定の制約があること、年収制限があることなど、加入にあたってはいろいろと注意しないといけない点があるのも事実です。それでも、「どんな商品なのかな?いいことあるのかな?」と思った人は、まずはパンフレットを請求してみるといいでしょう。

就業不能保険「働く人への保険」なぜ就業不能保険が必要なの? | 生命保険・医療保険のライフネット生命
参照元:ライフネット生命(2016年1月時点、筆者調べ)

まとめ~元気な時から考える必要がある

ここまで、通院保険、および補完する制度・商品について説明してきました。そこから、結局何をするのが大事か、という筆者なりの結論が見えてきたので、最後にお話します。どんなアクシデントでもいえることですが、起こってしまってから対策を考えるのでは、手遅れです。もちろん、病気やケガにならないのが一番だし、十分日々の生活に気を付ける必要はあるでしょう。

しかし、どんな病気やケガだって、なってしまったら「……仕方ないね」というしかない場合だってあります。その、仕方ないね」のダメージを少しでも減らすためにも、備えは必要なのです。つまり、病気やケガになっていないときから「なったらどうしよう」と考え、打てる手は打つのが正解かしれません。そういう意味では、医療保険を含め、アクシデントに対する備えを普段から行っていくのは有意義でしょう。心配ばかりしていて日々の生活が楽しくなくなったら本末転倒ですが。

もちろん貯蓄も有効!

もちろん、備えという意味ではお金はあるに越したことはありません。世の中、お金がすべて、とはいいませんが、アクシデントが起こったときにある程度のお金がある、というのは精神的な余裕を生み出す理由になるでしょう。コツコツ貯蓄をするのももちろん大事です。先のことを思い煩いすぎて楽しくない、という状態にならない程度に、アクシデントに対する備えを行っていきましょう。