<先進医療>特約は必要?保険加入の際のポイントについて

テレビの保険CMでもよく耳にする「先進医療」ですが、みなさんは、この「先進医療」をご存知でしょうか?いざ、保険に加入する際、おすすめされる「特約」になっているように思います。ですが、「先進医療」の中身って、あまり知られてないのが、実態ではないでしょうか。「先進医療」とは、一体どんな医療なのか?また、特約の必要性について精査してみたいと思います。



先進医療について

テレビCMでよく耳にする「先進医療」。保険のおばちゃんに勧められて、ついつい「特約」をつけてしまった方もいらっしゃいますよね?この「先進医療」とは、一体どんな「医療」なのか?みなさんご存知ですか?また、「特約」をつけた方が、得するものなのでしょうか?気になりますよね。

そこで、今回「先進医療」について、詳しくみていきたいと思います。また「先進医療特約」は、必要なのか?も併せて検証していきましょう。

先進医療とは?

そもそも、「先進医療って、なに?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

「先進医療」の定義とは、大学病院などの研究機関において開発された、難病などに対する「新しい治療法」や「手術」など、ある程度の実績を積むことにより、厚生労働省から「先進医療」として認められるものを指しています。

ですので、この「先進医療」は、公的医療保険の対象にするかどうか?「評価する段階」にある治療法になるわけです。そのため、健康保険は使えません!平成27年12月1日時点で、「108種類」の先進医療があります。

先進医療の費用は、全額自己負担!

「先進医療」に係る費用については、患者の「全額自己負担」となります。また、その「費用」は、医療の種類や病院によっても、違いが出てくる可能性もあるでしょう。

(例えば)
■総医療費が200万円(うち先進医療の費用:100万円)の場合
・先進医療に係る費用100万円は、患者が全額負担。
・通常の治療と共通部(診察、検査、投薬、入院料 )は、保険給付される部分。

<保険給付分>
・100万円(10割)ですので、その(7割)である(70万円)が健康保険から給付。
・残り(3割)である(30万円)は、患者の一部負担。

■先進医療(100万円)+一部自己負担(30万円)=130万円
※保険給付に係る一部負担については、高額療養費制度が適用。

(例えば)
70歳未満で「標準報酬月額」(月収28~50万円)の場合→自己負担限度額(8万7,430円)
さっそく、算出してみましょう。

■個人負担額:先進医療(100万円)+自己負担限度額(87,430円)=(1,087,430円)
<<自己負担合計:1,087,430円>>

・病院の窓口で負担した(130万円)-自己負担(1,087,430円)=(212,570円)
■高額療養費として給付(戻ってくる金額):(212,570円)となります。

※もし、高額医療費の支払いが難しい場合など、加入している「健康保険組合」から「限度額適用認定証」または、「限度額適用・標準負担額減額認定証」を取り寄せて、病院窓口へ提出すると、その「支払い金額」を「自己負担限度額」までとすることが出来ます。

高額な医療費を支払ったとき:全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2016年1月時点、著者調べ)

高額療養費制度を利用される皆さまへ:厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)



どのような場合に、先進医療を受けるの?

では、どのような場合に、「先進医療」を利用することになるのでしょうか?その「代表例」をあげてみることにします。

ガンの治療をする場合

考えられる先進医療の「がん治療」は、下記が挙げられます。

■陽子線治療:平成25年度の実施件数(約2,170件)
■重粒子線治療:平成25年度の実施件数(約1,286件)
■自己腫瘍・組織及び樹状細胞を用いた活性化自己リンパ球移入療法:平成25年度の実施件数(約172件)
■腹腔鏡下子宮体がん根治手術:平成25年度の実施件数(約289件)

白内障の治療をする場合

「先進医療」実施件数として多いのが、「白内障」の治療である「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」があります。

■平成25年度の実施件数:(約5,248件)

これは、高齢化が進んでいるため、高齢者の目の手術が増えていることが原因の一つと言えるでしょう。

先進医療技術(先進医療A)に係る費用(平成25年度実績):厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

先進医療を受ける場合について

先進医療の種類について

厚生労働省の平成25年度「実績報告」から、その先進医療の種類について、平成27年12月1日時点で「108種類」ありますので、その「一部」を抜粋してみてみましょう。

<先進医療技術名:総合計(円)/先進医療総額(円)/入院期間(日)/ 実施件数(件)>
■高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術: 129,423,090円/44,849,000円/11.5日/149件
■膝靱帯再建手術における画像支援ナビゲーション:100,013,199円/2,984,000円/15.8日/73件
■凍結保存同種組織を用いた外科治療:319,765,462円/30,589,565円/52.6日/40件
■造血器腫瘍細胞における薬剤耐性遺伝子産物P糖蛋白の測定:175,940円/57,800円/-/2件
■悪性高熱症診断法(スキンドファイバー法):1,297,880円/1,240,960円/-/8件
■先天性血液凝固異常症の遺伝子診断:3,728,530円/520,000円/3.7日/15件
■三次元形状解析による体表の形態的診断:30,178,264円/602,300円/17.5日/19件
■陽子線治療:6,841,257,877円/5,611,430,000円/17.7日/2,170件
■経頸静脈肝内門脈大循環短絡術:35,098,240円/7,003,620円/39.2日/16件
■骨髄細胞移植による血管新生療法:34,544,728円/7,350,916円/19.1日/25件
■神経変性疾患の遺伝子診断:12,338,022円/650,300円/2.2日/33件
■難治性眼疾患に対する羊膜移植術:61,218,568円/10,611,334円/10.3日/145件
■重粒子線治療: 4,366,575,508円/3,905,362,000円/18.6日/1,286件
■硬膜外腔内視鏡による難治性腰下肢痛の治療:29,085,009円/9,899,790円/8.8日/61件
■自家液体窒素処理骨移植:156,685,762円/2,489,400円/96.9日/24件
■マントル細胞リンパ腫の遺伝子検査:96,550円/30,600円/-/ 1件
■抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査:128,330,559円/1,309,800円/64.4日/31件

出典:

www.mhlw.go.jp
ここに並んでいる「先進医療技術名」が難しいため、どんなものか?想像するのも難しいかもしれません。あらゆる、「がん治療」や「難病」などに対する「新技術」を利用した治療であると考えれば、良いと思います。

自己負担する金額は?

上の実績内容を見ると、医療費が総額で記載されています。そのため、(1件)あたりにかかる技術料がわかりませんので、ここで計算してみることにします。

<例えば>
■高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術の場合
・(44,849,000円)÷(149件)=約(301,000円)/件

■陽子線治療
・(5,611,430,000円)÷(2,170件)=約(2,585,912円)/件

■難治性眼疾患に対する羊膜移植術
(10,611,334円)÷(145件)=約(73,181円)/件

■重粒子線治療
・(3,905,362,000円)÷(1,286件)=約(3,039,192円)/件 こうしてみるとわかりますが、「陽子線治療」や「重粒子線治療」など、ガンの治療にかかる「先進医療」の費用が(1件)あたり(約300万円)近くなり、非常に高いですね。ですが、他の「子宮腺筋症核出術」(約30万円)や「羊膜移植術」(約7万円)と、手術費用がそこまで高くないことも事実と言えます。

先進医療費の平均費用は、(約54万円)となっています。中には、1万円以下の「先進医療」も存在しますので、「がん治療」がいかに高額であるかが、この平均費用に反映されているように思います。

先進医療技術(先進医療A)に係る費用(平成25年度実績):厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

先進医療が受けられる病院は?

先進医療を実施している医療機関は、第2項先進医療技術 【先進医療A】62種類で合計997件あります。(平成27年12月1日現在)

全国にある医療機関で実施されていますので、お住まいのエリアでも見つかるかもしれません。しかし、その「各技術」によっても、実施機関が異なりますので、確認する必要があるでしょう。

<例えば>
■陽子線治療
・千葉県:国立がん研究センター東病院
・兵庫県:兵庫県立粒子線医療センター
・静岡県:静岡県立静岡がんセンター
・茨城県:筑波大学附属病院
・福島県:財団法人脳神経疾患研究所附属南東北がん陽子線治療センター
・鹿児島県:財団法人メディポリス医学研究財団がん粒子線治療研究センター
・福井県:福井県立病院
・愛知県:名古屋市立西部医療センター
・北海道:北海道大学病院
・長野県:社会医療法人財団慈泉会 相澤病院

■重粒子線治療
・千葉県:独立行政法人放射線医学総合研究所・重粒子医科学センター病院
・兵庫県:兵庫県立粒子線医療センター
・群馬県:国立大学法人群馬大学医学部附属病院
・佐賀県:九州国際重粒子線がん治療センター

先進医療を実施している医療機関の一覧:厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)



先進医療に対応する医療保険について

先進医療の条件について

各保険会社の規定によっては、「先進医療」の特約に加入していても、その補償が下りるものと下りないものがあるようです。ここでは、「日本生命」の場合を例に挙げ、支払対象となる手術・先進医療について、みてみようと思います。

■総合医療保険
■がん医療保険
■こども総合医療保険
■総合医療特約
■新がん入院特約

これらの保険加入者で、手術または放射線治療を受けた時点で、厚生労働大臣が定める先進医療(先進医療ごとに厚生労働大臣が定める病院または診療所で行われるもの)に該当する手術、または、放射線治療が「手術給付金」の支払い対象となります。

がん医療保険・新がん入院特約では、がんを直接の原因とする、先進医療に「該当する」手術、または、放射線治療が支払い対象です。要は、厚生労働省が指定している医療機関にて、先進医療の治療を受けた場合は、補償が下りるということを示していると思います。保険会社ごとに特別な条件を設けているわけでは無いようです。

支払い対象の先進医療について:日本生命相互保険会社
参照元:日本生命相互保険会社(2016年1月時点、著者調べ)

がん保険との違いは何か?

がん保険に入っていれば、「先進医療」で「がん治療」ができる?ということですが、そうでは無いようです。がん保険にも「がん」に関する先進医療「特約」を付けられる場合も多くみられますよね。

そのようなことを考えると、「がん保険」は、単に「がん」と診断された場合に出る「一時金」と、「一般的ながん治療」にかかる費用しか補償されないということになります。その治療の切り分けというのが、医療知識の乏しい私たちには、難しい点です。

もし、お医者さんから「先進医療」での治療を勧められても、「がん保険」でその費用をカバーすることが出来ないわけです。

がん保険の先進医療特約とは?:保険市場®
参照元:保険市場®(2016年1月時点、著者調べ)

新 生きるためのがん保険:アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)
参照元:アメリカンファミリー生命保険会社(2016年1月時点、著者調べ)

先進医療の保険特約は必要か?

先進医療の中でも「ガン治療」にかかる治療費が、とても高額であることは、みなさんにもおわかり頂けたかと思います。ですが、本当にその「がん保険」の「特約」は、つけた方がいいのか?まだよくわからないですよね。

ここでは、「特約」の「費用対効果」について、みていこうと思います。

特約にかかる毎月の保険料

先進医療特約は、その名前のとおり、先進医療を受けた時に「かかる費用」を受け取ることができる特約になります。この「特約」の保険料は、どの保険会社も月額(100円)程度と比較的安く設定されています。

あなたが今後、「先進医療」で「がん治療」などを実施することになった場合、かかる治療費(数百万円)が保険会社から、もらえるわけです。そう考えると、「特約」をつけることはムダでは無いようにも思えますね。

しかしながら、毎月(100円)程度しか払っていないのに、どうして高額な「先進医療」にかかる費用が補償されるのでしょうか。これには、「カラクリ」があると考えて良いでしょう。それは、「先進医療」を受ける「割合」と関係しているかもしれません。

総合先進医療特約:アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)
参照元:アメリカンファミリー生命保険会社(2016年1月時点、著者調べ)

先進医療を受ける割合について

ここでは、「先進医療」を受ける割合について、みてみましょう。

現状から言いますと、先進医療を受ける確率は、高くありません。先ほど見た、厚生労働省の「平成25年度実績報告」から見ても、それは一目瞭然と言えます。

先進医療の「がん治療」ですと
■陽子線治療:2,170件(年間)
■重粒子線治療:1,286件(年間)

パッと見て多いように見えますが、日本のがん患者は約(152万人)(平成20年度患者数調査)という数字から考えると、がん患者で「陽子線治療」または、「重粒子線治療」を受けている割合は、(約500人)に(1人)という(0.22%)と低い割合であることがわかるでしょう。

それを考えると、特約が月額(100円)程度である理由が納得いくわけです。

がんに関する統計:厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

先進医療特約の注意点

ここでは、先進医療「特約」にかかわる注意点について、見ていきたいと思います。「特約をつけているから、もう大丈夫!」と思っているあなたも、この注意点を知っておかないと、補償の対象から外れるかもしれません!

がん治療のタイミング

がん保険には、医療保険と違い「待期期間」が設けられていることがあります。各保険会社によって、多少の違いはあると思いますが、通常期間は3カ月(90日)と設定されていることが多いでしょう。

この「待機期間中」にもし、「がん」と診断された場合、がん保険の補償「対象外」となってしまいます。特約についても、同様です。

あとで自分が後悔することが無いよう、契約する際は、必ず「契約内容」を契約書や約款にて把握することをおすすめします。

保障内容詳細(ガン保険): メットライフ生命
参照元:メットライフ生命(2016年1月時点、著者調べ)

先進医療を行う機関について

メットライフ生命の「がん保険」を確認したところ、「ガンの先進医療」保障は、医療行為や医療機関および適応症などによっては、その「給付対象とならない」こともあるようです。

<例えば>重粒子線治療の場合
・千葉県:独立行政法人放射線医学総合研究所・重粒子医科学センター病院
・兵庫県:兵庫県立粒子線医療センター
・群馬県:国立大学法人群馬大学医学部附属病院
・佐賀県:九州国際重粒子線がん治療センター

上記以外の医療機関で「重粒子線治療」を受けた場合、補償されないわけです。「先進医療」は、厚生労働省が指定してる機関で行われていますので、治療を始める前にそれらを確認する必要があるでしょう。

保障内容詳細(ガン保険):メットライフ生命
参照元:メットライフ生命(2016年1月時点、著者調べ)

先進医療を実施している医療機関:厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

先進医療は、自分で意思だけで決められない

がん治療における先進医療で「重粒子線治療」は有名ですが、がん患者が、すぐに「重粒子線治療を始めたい」と思っても、難しいことが考えられるでしょう。なぜか?と言いますと、「重粒子線治療」がその「がん症状」に適合するか?は最終的に医師が判断するためです。但し、患者が「先進医療」希望し、医師がその必要性を認めた場合は、受けることが出来ます。

また、患者がすでに「放射線治療を受けた後」や「転移がみられる」場合においては、「重粒子線治療」の治療をすることも難しいですし、病状によって適応できないこともあるかもしれません。

がん治療は、そう簡単に終わるわけではありません。また、医療機関も限定されていますので、長期でその治療を続けるのが、大変になってくることも予測出来るでしょう。

必ず知っておきたい治療費とその種類(先進医療):ファミリーコンサルティング株式会社
参照元:ファミリーコンサルティング株式会社(2016年1月時点、著者調べ)

まとめ

ここまで、「先進医療」についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか?今後、医療保険やがん保険の加入を検討している方であれば、先進医療の「特約」を付けても損は無いように思います。

ですが、すでに「がん保険」などに加入している方であれば、「先進医療特約」について見直しする必要性は、あまり感じないというのも事実でしょう。先進医療は、受ける可能性の低い治療方法であるためです。これらのことを踏まえて、先進医療「特約」をつけるか?つけないか?参考にしていただければと思います。