分割相続はお早めに!遺産分割の種類や注意点まとめ

建物や土地など、遺言書がない相続財産は誰が分割相続するかを相続人の間で決めなければなりません。相続税との関係で早めの分割相続が必要な理由や分割相続の種類についてまとめました。



分割相続について

地や家などのもともと分割できない相続財産は、遺言書でもない限り法律上は最初から各相続人に分割されているわけではありません。そのままでは各相続人が財産を自由に処分したり利用したりすることができません。そのために、相続財産を分割することが必要になります。

分割相続、すなわち遺産分割をすることによって、それぞれの相続人が財産を自分のものにすることができるようになります。



分割相続の種類

分割相続のケースには大きく分けて、この2つの種類があります。

・遺言書によって相続財産が誰のものになるか指定されている場合
・遺言書がなく、遺産分割協議書によって分割する場合

遺言書によって指定されている場合

被相続人があらかじめ遺言書によって、誰にどの財産を分割相続させるかを指定している場合があります。長男には土地、次男にはマンション、といった風にそれぞれ分割相続の指定がされており、それが各相続人の遺留分を侵害しなければ、特に問題にはなりません。

しかし問題になるケースもあります。それは、被相続人が自分の相続財産を全て把握しきれていなかった場合です。この場合には、遺言書に残されている以外の財産については共有になってしまうために、改めて誰がどう相続するのかを決めなければなりません。

FAQ詳細  法テラス|法律を知る  相談窓口を知る  道しるべ
参照元:法テラス(2015年12月時点、著者調べ)

遺産分割協議書によって分割する場合

遺言書がない・遺言書に記載されていない財産が見つかった場合や、遺言書はあるけれど遺言書の内容と異なる分割相続をしたいという場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続人の間で誰がどの財産を相続するのか・割合はどのようにするのかなど、相続財産の分割を取り決めることになります。

裁判所|遺産分割Q&A
参照元:裁判所(2015年12月時点、著者調べ)

分割相続の注意点

相続税申告期限は短い

相続財産の分割相続について、すなわち遺産分割協議がまとまらないことも多くあります。しかしその場合でも、相続税は期限内に申告しなければなりません。相続税は、「被相続人が死亡したことを知ってから10カ月以内」に行わなければなりません。

しかし、相続財産の全てが把握できていなかったり、遺言書がなく誰がどの財産を相続するのか話がまとまらないままに10カ月経ってしまった場合でも、相続税の申告は行わなければなりません。この申告の際は、民法の相続分に従った割合で計算して申告することになります。

この時に注意しなければならないのは、小規模宅地の特例や配偶者控除といった税額軽減の特例が適用できないということです。もしも申告後に遺産分割協議がまとまるなどして分割相続が決まったり、申告した額から変更があった場合には、分割があったことを知った日の翌日から4カ月以内に修正・更生申告をする必要があります。

さらに小規模宅地などの軽減特例が適用される期間も決まっていて、申告期限から3年以内に相続財産の分割があった場合とされています。

No.4205 相続税の申告と納税|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)

相続人全員の同意が必要

遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する際には相続人全員の実印や戸籍謄本などの書類が必要です。すなわち、相続人全員を把握した上で相続人全員がその分割相続に同意している必要があるのです。そのため、相続人全員を確定する必要があります。

不動産を遺産分割協議によって相続した場合の申請書の様式・ 記載例
参照元:法務省(2015年12月時点、著者調べ)

裁判所に調停の申し立てもできる

このように相続分割には、相続人全員の把握・すべての相続財産の把握が必要です。しかも、相続税の申告期限は相続が開始してから10カ月と短い期間です。遺言書があり、相続財産も全て把握されているようなケースであればスムーズに相続の手続きは進んでいきますが、なかなかそううまくはいかないものです。

中には、年単位で揉めることも。しかし、相続分割が長引けば長引くほど、税額軽減の特例が受けにくくなってしまうことも事実です。できるだけ短期のうちに分割相続は確定してしまった方が、精神的にも経済的にもメリットが大きいと言えます。

そこで最終手段として、どうしても当事者同士では話がまとまらない時に【遺産分割調停の申し立て】を裁判所に行うことができます。この遺産分割調停においても、基本的には当事者が話し合うことになりますが、裁判所が間に入ることによって円滑な解決を進めることができます。

さらに、調停が不成立になった場合は審判が下ることになるため、とにかく決着をつけたいという場合には最適の方法と言えます。

裁判所|遺産分割調停
参照元:裁判所(2015年12月時点、著者調べ)



まとめ

遺言書がない場合や、遺言書にない財産があった場合などには、分割相続は少し大変になることもあります。しかし、相続税との兼ね合いではできるだけ早期に決着をつけたほうがメリットが大きいことも事実です。

当事者同士での話し合いではどうしても解決できないという場合には、家庭裁判所に 遺産分割調停の申し立てをすることもできます。できるだけ円満に解決できる方法を、早いうちから探すのもいいかもしれません。