離婚の費用!相手に請求できるお金は?離婚の基礎知識

離婚する時は取るものはきちんと取れ!という話を聞きますが、では、実際にその取るものとはどんなお金なのでしょうか?また、離婚をする時にこじれてしまったら調停をするとして、調停ってどのくらいお金がかかるものなのでしょう?離婚のお金に関する基礎知識です。



離婚とお金の問題

離婚という言葉から連想する映像は、テーブルに向かい合ってついた男女が「離婚届、書いておいたから」と、記入押印済みの離婚届を間に冷めた会話をしているものではないでしょうか。離婚は婚姻関係の破綻ですから、ドラマや小説のワンシーンは離婚というものを印象通りに表現しているのではないかと思います。

離婚は確かに離婚届を提出すれば成立します。成立というより、成立していた婚姻関係が終了するといえばいいでしょうか。しかし、簡単に離婚が成立すればいいのですが(一つの人間関係が終わるという点では決してよくはないのですが……)、離婚の前に揉めて裁判所のお世話になった末に離婚という夫婦も少なくありません。その「揉める要因」の一つがお金です。

離婚するにあたり、離婚の手続きにもお金がかかります。揉めて裁判所を利用し弁護士を立てれば、その分お金が必要になります。また、離婚の手続きをしている間にも生活費や子供の養育費は必要になります。片方がもう片方に不道徳な行いをしたのであれば慰謝料を請求されるでしょうし、今まで夫婦で培ってきた財産ですから、片方が総取りは卑怯です。ちゃんと分けなさいという話になるでしょう。

今回は離婚費用と題しまして、離婚のお金について話したいと思います。



結婚によってお金の関係が変わる

結婚とは、役所から婚姻届をもらってきて男女双方の合意により記入し提出することによって成立します。しかし、ただ届出しただけでは足りず、夫婦となる男女双方が婚姻意思を有していなければいけないとされています。婚姻意思とは、「現実に夫婦共同生活をする」という意思のことです。この意思があることを前提に婚姻届を提出すると結婚が成立します。偽装結婚や子供を嫡出子にしたいだけの結婚は無効と解釈されます。

結婚が成立すると、個人名義のお金や権利以外は、基本的に夫婦の共有財産になります。夫婦になったのですから、生活に必要なお金はお互いにきちんと折半しなさい、生活レベルが同じになるように助け合いなさい(生活保持義務)という決まりがあります。

お互いの生活レベルが同じになる、折半といっても、別に20万円の生活費を半分ずつ負担しろというわけではりません。二人で同じようなレベルになるようにきちんと話し合って生活費や家事の負担を決めてくださいねということです。片方が働いているからといって「俺の金だ!」と主張し、家計を維持するためのお金を家庭に入れないということではいけないということです。

片方はもう片方が病気になったら看病や介護をしなければいけません。生活費だって、自分が稼いだ金だからといってもう片方の生活費に一切充てないということはできません。また、別居中であっても、片方がもう片方に生活費を渡さないことは許されません。別居していても婚姻しているからです。

結婚すると独身から「夫婦」になります。今まで全て自分の自由に使えたお金を相手のためにも使わなければいけなくなります。お金の関係は夫婦になることでがらりと姿を変えると言えます。

生活保持義務とは -意味/解説/説明 | 弁護士ドットコムで法律用語をわかりやすく
参照元:弁護士ドットコム(2015年12月時点、著者調べ)

結婚によって契約が変わる

また、夫婦の片方がした契約は基本的にもう片方にも及びます。奥さんが灯油を発注し、その後に夕飯の買い出しに出かけました。その直後に旦那さんが会社から帰宅し、灯油宅配の応対をしました。灯油の宅配をした店員が旦那さんに灯油代を請求しましたが「俺が頼んだわけじゃない!」と支払いを拒否しました。この主張は許されるでしょうか?

独身の場合、ルームシェアをしていたとして、シェア仲間が何か宅配を頼んだとしても、赤の他人ですから請求される義理なんてありません。本人に物を渡して請求してくださいと言って終了です。しかし夫婦の場合は、このような主張はできません。通常生活、通常家事の債務は夫婦のもう片方にも契約が及びます。つまり、奥さんが宅配を依頼した灯油の代金を旦那さんに請求してもいいということです(民法761条)。

ただし、奥さんが家を購入し、その代金を旦那さんに請求するのはレベルが違います。家の売り買いは通常ではありません。不動産の売買が日常の家事である夫婦などほとんどいないでしょう。食材や燃料代、その他生活に必要な日常家事の債務は片方が契約するともう片方が請求された場合も応じる必要があります。

しかし、非日常の場合は、奥さんや旦那さんが勝手に購入しても支払ういわれはありません。ですから、不動産会社などはこういったケースに際しては、夫婦のもう片方に確認を取るということをよく行っています。

民法
参照元:民法(2015年12月時点、著者調べ)

他に変化すること

他にも、法的に婚姻することにより片方が亡くなった場合は、もう片方は相続人になることができます。事実婚の場合は相続人にはなれませんから、これも結婚による変化といえます。

また、子供がいると共同で育てなければいけませんし、お互いの親族とも姻族という関係が生じます。結婚は個人だけの問題ではなく親族を巻き込むというのは、まさに結婚によって夫は妻の親族と、妻は夫の親族と姻族関係が生じるからではないでしょうか。

離婚によって関係が終了

離婚をすると、こうした「夫婦」の特別な関係がすっぱりと切れます。赤の他人になるのです。離婚後にかつて夫婦だった片方が亡くなっても、もう片方には相続権はありません。赤の他人だからです。片方が離婚後に灯油の宅配を依頼しても、赤の他人であるもう片方は代金を支払う必要もありません。また、赤の他人ですから、かつて夫婦だった片方がどれだけお金がなくても生活費を渡す必要もありませんし、介護や看護の必要もありません。

夫婦だったことにより発生していた特殊性や義務は離婚により終了となります。しかし、中には「戻せないもの」もありますよね。そう、子供です。

子供に関しては、夫婦が離婚したとしても「離婚したからお腹に引っ込んで」と言えるわけがありませんし、無理です。ですから、どちらかが育て、もう片方が養育費を渡すことになります。子供だけでなく、時間だって戻せませんよね。夫婦だった期間に夫婦として生計を一にしていた財産は、夫婦という関係が終了するにあたり夫婦で分けることになります。

離婚のお金の問題は「清算」!?

分ける財産は、あくまで「二人で築いた財産」です。今までは夫婦だったのでお財布は一つでよかったのですが、これからは赤の他人として別の財布になります。ですから、二人で築いたお金を、今後の生活に片方が極端に困窮しないように、それぞれの事情に合わせて分与しなければいけません。これを「財産分与」といいます。

お店でも、一日の商売が終わると、その日の儲けなどの金額をきちんと計算しますよね。そして、一定期間ごとに給料を渡したり、仕入れた商品の代金を取引先に渡したりすると思います。離婚の際の財産分与は、結婚期間に二人で築いた財産の清算のようなものだと解釈すれば分かりやすいのではないでしょうか。

しかし、離婚の場合は「財産分与」という婚姻期間の財産を清算するだけに留まらず、他にも請求できる可能性があるお金があるのです。

「慰謝料」「養育費」「手続き費用」、名前はよく聞くのではないかと思います。



離婚の費用は4種類

離婚の際に話し合われる費用は4種類です。4種類を合わせて「離婚費用」「離婚のお金」と言うことができます。狭義的な意味では離婚調停に必要な手続き費用のみを指す場合もあります。今回は4つセットで簡単に解説させていただきます。

離婚費用は離婚する個人間で決めることもできますし、話し合いがそろわなかった場合は裁判所で決めることもできます。片方が生活に困ることがないように、また、諸般の事情を踏まえてなるべく平等になるように分けられるのですが、各夫婦にとって事情や平等が異なるため、「これくらいの金額」という目安はありません。ただ、一般的なサラリーマン家庭の場合で大体数百万とは言われています。

しかし、サラリーマン夫婦でも夫が過去に妻に援助してもらって副業で大きく稼いだというケースもあるでしょうから、やはり家庭ごとにかなり異なると言えるでしょう。アメリカでは数十億円というケースもあるようですが、日本では離婚の際にそこまで相手に支払うということは億万長者でもなければ、まずないのではと思います。

離婚の手続き費用

離婚がすんなり決まり、1,000万円の預金を半分ずつ分け、子供もいない場合は話が早いと思います。後は離婚届けを提出するだけで、特に他の手続き費用は発生しません。しかし、話し合いがこじれてしまった場合は裁判所にお願いしなければいけませんので、その分費用が必要になります。

離婚の場合は調停前置主義(家事審判法17条、18条)という考え方が採用されており、最初から裁判をすることができません。先に調停を申し立て、調停の場で話し合いをすることになります。片方が「離婚したくない」と言っているけれどもう片方が「価値観が違ってこれ以上一緒に生活するのは無理」「浮気したじゃない。離婚!」と言い張っている場合は、やはり裁判所のお世話になるしかありません。

調停の費用は、基本的に調停を申し立てる方が負担することになるようです。裁判所を利用すると聞けば、とても高いお金がかかるように思えますが、調停の場合は裁判所の印紙代(裁判所の利用料のようなもの)と切手代(裁判所からの書類の郵送に使います)を合わせて5千円から1万円くらいでできることが多いようです。

ただし、調停が長引けばその分書類の郵送も多くなりますから、途中で切手を追加ということもあります。しかし、弁護士を立てず当人同士で調停をすれば手続き代しか必要ありませんから、思っていたより安かった?と思うかもしれません。

裁判所|離婚
参照元:裁判所(2015年12月、著者調べ)

裁判所|夫婦関係調整調停(離婚)
参照元:裁判所(2015年12月、著者調べ)

財産分与

婚姻中の財産を分けなさいということです(民法768条)。

旦那さんが働いて奥さんが専業主婦の場合でも、旦那さんが仕事に専念していられたのは奥さんの助力があってこそ。婚姻中に二人で築いたお金は離婚するにあたり計算し、きちんと分ける。ただ、いくらもらえるというはっきりとした決まりはなく、それぞれの夫婦の事情や懐によって異なります。

裁判所|財産分与請求調停
参照元:裁判所(2015年12月、著者調べ)

慰謝料

婚姻中に夫に暴力を振るわれた、浮気されたといったといったことが離婚の原因だった場合、精神的なことを金額に換算し支払うことです(民法709、710、770条)。

財産分与と混ぜて考えていらっしゃる方も多いようですが、財産分与とはまったく別物の権利です。話し合いの中で財産分与の中に他の費用も含めると決めることも許されていますし、別々に請求すると決めることもできます。相手側が承諾して慰謝料を払えば別ですが、そうでなければ裁判所の判断に委ねることになります。

財産分与は二人の婚姻生活中の財産を分けることですから、財産が0でもない限り当然のことです。しかし、慰謝料は裁判所に判断を委ねた場合、必ず認められるわけではありません。離婚する場合はお金をきっちり取るためになるべく弁護士に相談しましょうと言われるゆえんですね。

なお、慰謝料は精神的な損害に対するお金ですので、金銭で社会通念上適切と思われる金額であれば税金は課されないことになっています。

民法
参照元:民法(2015年12月時点、著者調べ)

養育費

子供を養育するためのお金です。子供がいなければ請求できませんが、子供がいた場合は人数や財産の状況により、子供を引き取った側が毎月2~6万円ほどの額を請求することができるようです。この請求は子どもが社会人になるまで、認められると考えられています。(金額は各夫婦によってかなり違うようですが)。

この養育費も、財産分与や慰謝料とは性質が異なったお金です。これらとは別に請求できますし、離婚の際に養育費が滞ったら強制執行できる旨の記載のある公正証書がある場合、調停調書や判決書がある場合は養育費を払わない方に対し即座に強制執行が可能です。

裁判所|養育費請求調停
参照元:裁判所(2015年12月、著者調べ)

裁判所|養育費算定表
参照元:裁判所(2015年12月、著者調べ)

もう一つの費用「婚姻費用」

離婚が成立するまでの間も、別居している奥さんや旦那さんに生活費や子供の養育費を渡す義務があります(民法760条)。離婚が成立すれば赤の他人ですが、離婚が成立するまでは夫婦です。別居していてももう片方に生活費用を渡す必要があります。

裁判所|婚姻費用の分担請求調停
参照元:裁判所(2015年12月、著者調べ)

不受理申出の活用

たまに、お金の話し合いに決着がついていないのに、勝手に婚姻届を提出されてしまうケースがあります。離婚届をもらってきて勝手に判子をついて提出すればいいのですから、別れる妻にお金を払うのが嫌だし、面倒だし、別れてしまえばこっちのものだということで、話し合いが済まないうちに離婚届を提出して逃げられてしまうのです。

離婚について話し合いをする時、特にお金のことを話し合う時は、相手方が勝手に離婚届を提出しても受理しないように、役所に不受理申出をすることができます。この申し出をすることにより、勝手に離婚届を提出されることを防ぐことができます。申出は六カ月間有効です。

不受理申出|東京都北区
参照元:東京都北区(2015年12月、著者調べ)

離婚と費用とお金の現実

離婚の手続き費用は自分で持つとして、「財産分与」「慰謝料」「養育費」「婚姻費用」はその夫婦によって請求可能なものと、請求できないものがあります。

それぞれ性質が別なお金ですから、夫の浮気で離婚したのに財産分与という文言でだけお金をもらっている場合は、別途、慰謝料の請求もできますし、子供がいれば養育費も請求できます。財産分与は婚姻中に二人で築いたお金ですから分けて当然、その他のお金は「子供がいるか?誰が引き取るか?」「片方の不法行為(暴力)や不貞行為(浮気)での離婚か?」「別居していたか?別居中に生活費はもらっていたか?」によって請求できるかどうかが変わります。

何にしても話がこじれた場合はお金を請求するのも一苦労ですので、きちんと離婚したい、お金も請求したいという場合は弁護士の手助けが必須となるでしょう。

なお、離婚の実務では、お金の話は離婚をする前に決めることが定石のようです。例えば奥さんが旦那さんに離婚を要求されている場合、お金の話がきちんと済んでからでなければ離婚届に判子は押しませんからと主張し、財産分与、慰謝料、養育費、婚姻費用をそれぞれどれだけ、どんな形で払ってもらうか、子供に何かあった場合は増額が可能かをきっちり書面で残します。

書面は裁判所の判決、調停でもらうか、公証役場で公正証書という形で書面にしてもらえば、支払いが滞った時にすぐに元夫に対し強制執行ができ、旦那の給与から回収することができます。きちんと全部決まって書面に残すまで判子は押さないのが正しい離婚のお金の請求方法だとか。

こうして決まった離婚のお金は、きちんと決まり、書面に残し、その上で離婚届を提出してから支払ってもらうことになります。離婚届を出してから受け取らないと、贈与税の課税対象になってしまうからです。

離婚をする場合は即座に離婚届を提出し、後になってお金を請求するよりも、法律の専門家に相談して、もらえるお金ともらえないお金、いざという時に強制執行できるように、税金のこと、色々対策を立て、感情的になるのは避けることが無難なようです。

【離婚協議書・離婚公正証書】共通点と相違点をわかりやすく解説
参照元:行政書士 辻 法務事務所(2015年12月時点、著者調べ)

No.4414 離婚して財産をもらったとき|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)