失業保険の「求職活動」よく聞くけど具体的には何をすればいいの?

勤め先の倒産・リストラにより予期せず失業した場合や、やむを得ず自己都合で離職した場合等、次の勤務先が決まっていれば良いものの、決まっておらず無職の期間があると、その間の生活は本当に不安ですよね。そんなときに頼りになるのが「失業保険」です。そこで、実際に失業保険を受けるためには、どのような受給要件があるのか、そして失業期間中にどのような活動を行えば良いのかについて、調べてみました。



そもそも失業保険って何?

失業保険とは、雇用保険に加入していた人が、勤め先の倒産・リストラ等により失業した場合や、やむを得ず自己都合により離職をした場合に、失業中の生活を支援し、1日でも早く再就職できるようにサポートする仕組みです。

みなさん「ハローワーク」や「職安」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、この「ハローワーク(もしくは職安)」が「失業保険」等、雇用保険に関する各種手当や助成金の支給を行ったりしています。ハローワークでは上記支援のほか、「就職支援・雇用促進」を目的とし、無料で職業紹介や就職支援のサービス、公共職業訓練のあっせん、職業安定の関係業務を行っており、厚生労働省の管轄の元で運営されている機関です。

ハローワークは、全国各地に設置されており、求人内容の相談・照会、サービスを利用するために気軽に訪問することが出来ますが、実際に失業保険の受給を受ける等各種手当や助成金を受ける際には、必要書類(本人確認資料・離職票等)を準備したうえで手続をする必要がありますので、基本的には自身の住民票上の住所を管轄しているハローワークを利用しましょう。

ハローワークのサービスについて(概要)
参考元:厚生労働省職業安定局(2015年12月現在、著者調べ)



失業保険の受給要件って何?

受給要件って具体的に何?

失業保険は、「会社を辞めたら無条件ですぐに受給できる」というものではなく、受給するためには、一定の条件を満たしている必要があります。具体的には、失業保険を受給するためには、以下1・2いずれの条件も満たす必要があります。

1.ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
したがって、次のような状態にあるときは、基本手当を受けることができません。

・病気やけがのため、すぐには就職できないとき
・妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
・結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

2.離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。
ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。

出典:

www.hellowork.go.jp

特定受給資格者、特定理由離職者について

「特定受給資格者」とは、おおむね以下の場合を指し、会社都合によって離職した場合をいいます。

・倒産に伴い離職した人
・事業所において、大量の雇用変動(1カ月に30人以上離職を予定している、または3分の1を超える人が離職する 等)があった人
・事業所の廃止に伴い離職した人
・事業所の移転によって、通勤することが困難になり離職した人
・解雇によって離職した人
・労働契約時に明示された労働条件と実際の労働環境が著しくことなる場合 等

「特定理由離職者」とは、おおむね以下の場合を指します。

・有期の雇用契約期間が満了し、更新されなかった人
・体力不足・心身障害・疾病などにより、離職した人
・妊娠・出産等により離職し、かつ受給期間延長措置を受けた人
・父母の介護等家庭事情の急変により離職した人
・配偶者等親族と別居生活を続けることが困難になって離職した人 等

受給金額はどれくらいなの?

原則として、離職した日の直前の半年間に毎月支払われた給与の合計を、180で割って算出した金額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)が手当の日額となっており、給与の低い方ほど高い率が給付されます。なお、手当の日額は、年齢ごとに上限が定められており、現在の上限額は以下のとおりです。

・30歳未満:6,395円
・30歳以上45歳未満:7,105円
・45歳以上60歳未満:7,810円
・60歳以上65歳未満:6,714円

給付日数については、離職の事由等によって、90日~360日の間で決まります。

基本手当について
参考元:厚生労働省職業安定局(2015年12月現在、著者調べ)

受給に必要な求職活動は何がある?

これまで失業保険の受給要件について説明してきましたが、上記の資格を満たした場合、自動的に失業保険が給付されるわけではありません。本来失業保険が「働く意思があるのに働けない人を支援する制度」であることを踏まえ、失業保険を受給するためには、再就職に向けた「求職活動」を行う必要があります。

また、「求職活動」については、ただ実施すればよいのではなく、対象期間中に「いつ」「どこで」「どのような求職活動を行ったのか」を定期的にハローワークに報告・申請する必要があり、これがハローワークで認定されると、「失業保険」を受給することができるようになります。

では、この「求職活動」について、具体的にどのような活動を指すのか、どのくらいの頻度で行う必要があるのかについて、具体的に見ていきましょう。

雇用保険の具体的な手続き
参考元:厚生労働省職業安定局(2015年12月現在、著者調べ)

「求職活動」に該当する活動

「求職活動」とは、以下の1~5を指します。再就職に向けて、自ら能動的に活動を行う必要があり、ハローワークに設置されている求人検索の端末や、インターネットでの単なる求人情報の検索・閲覧のみでは、求職活動に該当しませんので、注意しましょう。

1.求人への応募
2.ハローワークが行う、職業相談、職業紹介等を受けたこと、各種講習、セミナーの受講など
3.許可・届出のある民間機関(民間職業紹介機関、労働者派遣機関)が行う、職業相談、職業紹介等を受けたこと、求職活動方法等を指導するセミナー等の受講など
4.公的機関等((独)高齢・障害・求職者雇用支援機構、地方自治体、求人情報提供会社、新聞社等)が実施する職業相談等を受けたこと、各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会等の受講、参加など
5.再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験

出典:

www.hellowork.go.jp

求職活動具体例1:求人への応募

これはハローワークが募集している求人への応募はもちろんですが、民間企業が募集している求人に応募をしても、求職活動の対象となります。ここでいう「応募」とは、例えば「履歴書を送る」といったことや、「入社テストを受ける」、実際に「面接を受ける」こと等をいいます。

求職活動具体例2:求人に関する相談

ハローワークで募集している求人について、常駐している相談員の方に、「求人内容」について相談を行うことが該当します。例えば、「求人企業へ応募したい」という相談はもちろんのこと、求人内容に関して生じたちょっとした疑問点がある場合で、例えば「この求人内容に今どれくらいの人が応募しているのか?」といったことや、「募集要件では『TOEIC800点以上』とあるけれども、自分はまだ750点しかない。ただ、職務内容についてはこなせそうな気がするが、TOEICの点数は応募に関する必須要件なのか?」といったことでも構いません。

ひとまず自身が興味を持った求人があれば、求人内容の詳細を確認し、疑問があった場合には積極的に相談員の方に相談・確認すれば、親身になって聞いてくれますし、結果それが「求職活動」としてみなされることになります。

求職活動具体例3:講習会、セミナーへの参加

就職・転職に関する講習会、セミナーへの参加についてですが、これはハローワーク主催のもの、民間企業が主催するもの、どちらが主催でも構いません。

ハローワークでも、様々な講習会・セミナーを主催しており、例えば仕事を行ううえで必要な基本的なビジネスマナーが学べる講習会や、そもそもどのような職が自分に適しているかを知ることができる「自己分析」を目的としたセミナー、履歴書の記載方法や実際の面接を想定した「模擬面接」を行ってくれるもの等、色々なものがあります。

これらは無料であるのはもちろんのこと、担当の方が親身になって対応してくれますので、人気があり、すぐ満席になってしまうことも多いようです。希望するセミナーがあれば、早めに申し込むのが無難でしょう。

更に、上記のようなハローワーク主催のセミナー類に加えて、民間で行われる就職活動セミナーへの参加も対象となります。例えば、大手の就職あっせん会社が東京ドームや幕張メッセ等の会場で主催している大規模な就職・転職セミナーなどへの参加も該当します。この場合、一度の開催で多数の企業が出展しているため、1日で効率的に多くの企業ブースを訪問することができますね。

求職活動具体例4:個別企業主催の説明会への参加

上記のような就職・転職に関する大規模セミナーのほかに、企業が個別に相談会・説明会を開催しているケースがあるかと思います。例えば自社に興味のある人を募集・招待し、本社の講堂等において、企業概要の説明を実施したり、募集職種の詳細説明、募集職種に実際に携わっている会社の従業員に対して、直接質問が出来る場を設けたりしている場合です。

これについての参加も「求職活動」に該当しますし、この場合実際に面接を受けるに至らなくても構いません。

雇用保険の具体的な手続き
参考元:厚生労働省職業安定局(2015年12月現在、著者調べ)



他に「求職活動」に該当するものは?

資格・検定試験受験が該当することも

これまでご紹介したものは、求人への応募やセミナーへの参加等、まさに「求職活動そのもの」といったものですが、失業期間中には、次に希望する職種に就くために、その職種で必要とされる「資格」を取得したいケースも多いと思います。

例えば、「次は金融機関に勤めたいから、失業期間中にFPの資格を取って備えたい」というケースや、「IT関連の企業に就職したいから、基本情報技術者の資格が欲しい」といったケースです。この場合、次の就職にその「資格・検定」を活かすことができると客観的に判断されるものであれば、「求職活動」とみなされます。

資格・検定に関する受験が、広くあまねく「求職活動に該当する」とは言えませんが、客観的に見て、再就職に有利に働くケースが多い場合は、ハローワークによって「求職活動」としてみなされるケースが多いようです。

自治体主催の自己啓発講座も該当する?

例えば、次の就職に「事務職」を希望している場合、やはり一般的に要求されるスキルとして、「Excel」や「Word」、「PowerPoint」等がありますよね。そこで、それらのスキルを身につけるために、各自治体が地域で主催している自己啓発講座に参加する場合あるかと思いますが、これらPCスキルが学べる講座を受講した場合についても、「求職活動」としてみなされることが多くあります。

活動実績にするために気をつけたいこと

各種「求職活動」については、定期的に活動状況をハローワークへ報告・申請する必要があります。また、この報告・申請の際は、「いつ」「どこで」「どのような求職活動を行ったのか」を記載する必要があり、また、場合によっては、ハローワーク側から、参加に関するエビデンスの提出が求められることがあるようです。

ですので、各種セミナーへの参加や資格・検定の受験等を行った際は、参加申込書や受験の申込書等を手元に残しておき、必要が生じた場合には提出できるようにしておくことをおすすめします。

失業保険の「認定日」って何?

そもそも失業保険は「失業期間中」に給付が受けられるものですから、「失業状態」であるかどうかについて、ハローワークが定期的に確認する必要があります。また、その際には、「失業状態である」ことを、ハローワークに対して申請して、認定を受ける必要があり、その所定の手続を行う日を「認定日」といいます。

認定日には、新たに就職をしたかどうか、もし就職していない場合は前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間中に、どのような「求職活動を行ったか」を報告・申請する必要がありますが、これは、おおむね4週間に1度の頻度で行います。また、「求職活動」については、「前回の認定日から今回の認定日の前日まで」等の失業期間中に、最低2、3回以上行う必要があります。

雇用保険の具体的な手続き
参考元:厚生労働省職業安定局(2015年12月現在、著者調べ)

再就職したら失業給付はどうなる?

失業保険は失業期間中の給付のため、失業保険は受けられなくなります。ただし、失業保険は1日でも早い再就職を支援するための制度であることを踏まえ、再就職が決まった場合は、別途「再就職手当」が受けられるケースがあります。給付を受けるためには、「就職日の前日までの失業認定を受けた後の残り日数が所定日数の3分の1以上残っている」などの一定の条件を満たす必要がありますが、給付率については以下のとおりとなっています。

・失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の方は、所定給付日数の支給日数×60%×失業保険基本手当日額
・失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の方は、所定給付日数の支給日数×50%×失業保険基本手当日額

失業保険の支給残日数が多いほど「再就職手当」の給付額が増えるため、1日でも早い再就職が望ましいですね。

就業促進手当について | 大阪労働局
参考元:大阪労働局(2015年12月現在、著者調べ)

最後に

失業期間中は、会社都合にしても自己都合にしても、生活に不安を感じるものだと思います。ただ、離職を機に、これまでの自分の働き方、業務への適性等を見直し、次に納得した仕事を見つけるための期間として良い機会だとも思います。

実際に失業期間は短ければ短いほど良いとは思いますが、失業期間中は、上記で求められる「求職活動」をしっかり行い、適切に失業給付を受給しつつ、次に良い再就職先に出会えるための前向きな期間になると良いですね。