告知義務違反とは?保険加入のために言うべき事と必要のない事

告知義務とは、保険に加入する時に特定の情報を保険会社に教える義務のことです。主に加入者の健康状態のことをきかれます。健康状態といっても範囲は広いですよね?どの範囲まで答えればいいのでしょう?もし不利になる場合は「ノーコメント」じゃダメなのかしら?違反したらどうなるの?そんな疑問を優しく解説します。



告知義務ってなに?

告知義務とは、保険の申し込み時に「自分の健康状態を告げる義務」です。保険の中には告知不要のものもありますが、申し込み時に告知してくださいという条件を提示している保険に関しては、「義務」ですから、必ず保険会社側に健康状態を告げなければいけません。「義務」である以上、「告げても告げなくてもいいです」ではなく、「告げてください(強制)」です。義務に違反するとそれなりのペナルティが課されることになります。

告知義務とは何なのか?どんなことをきかれるのか?違反するとどんなペナルティがあるのか?これから保険を検討する方へ、順を追って優しく解説いたします。

どうして義務なの?

保険を申し込む際に一部の保険で告知を義務化しているのは、他の保険契約者に不測の損害を与えないためです。体が心配な人、現に体が危ない人ほど保険の申し込みに積極的だと言われています。例えば一週間前に重篤な病気で手術したばかりの人が保険契約を望んで保険の申込書を提出したとしましょう。この人は医師から「もう二カ月持つかどうか」と言われていました。

現に病気にかかっている人、命の危険がある人が保険申し込み直後に容体が悪化した場合は、医療費を支払う保険であれば、申し込み者はほとんど保険料を払っていないのに、医療費だけどんどん申し込み者に払い渡さなければいけないことになります。また、申し込み時に既に命が危ない状態なのに受け付けて、直後に申し込み者が亡くなれば、保険料をほとんどもらっていないのに多額の保険金だけ支払うことになります。こんなことがあれば大きな痛手です。痛手が増えると会社が留保している保険料も危なくなるでしょう。

保険会社が契約者に支払う保険金は、契約者たちが支払う保険金をためていて、その中から支払われます。誰かが命の危険がある、病気に現にかかっているのに嘘をついて、加入後すぐに保険金をもらいたくて嘘をついたとすれば、他に人に支払う保険金さえ危うくなります。

きちんと真実を告知してもらう、その上で契約を結ぶかどうかを決める。また、リスクが高いと判断した人には保険料を多くもらう、一定の病気は保証しない条件付きで契約を結ぶ。こうやって、他の人の保険料、保険金とバランスを取りながら保険は運用されているのです。

だからこその義務!

ただ単に「あなたの体調を教えてください」ということではなく、その情報をもって他の契約者分の保険金を守る、保険契約のバランスを取るために告知は必要なことなのです。あなたがA保険の契約者であった場合、ある人が余命いくばくもない時に「元気です!」と嘘をついて加入し、保険料をほとんど払わずに多額の保険金だけもらったら、「おいおい!それってズルじゃないか!」と思いませんか?

告知義務のある保険は、告知不要の保険より手続きが面倒です。記載する部分が多いからです。自分が申し込みをする時には面倒に思うかもしれませんが、他に人と契約上の不公平感をなくすため、自分だけでなく他の人のズルを許さないために行われるので告知義務です。告知が必要な契約を申し込む時は、ルールに則って告知義務を果たすことが必要です。



告知には3つのルールがある

告知には「こうやって告げてください」というルールがあります。ルールに反していれば告知をしたことになりません。ルールは会社ごとに決まっているのではなく、「書面」「正直」「確認」という告知が必要な保険のほとんど全てに共通する3大原則があります。この3大原則に従って告知すれば、晴れて義務を果たしたことになります。

1、書面

告知は書面でしなければいけません。保険会社に電話をかけて、電話口で質問に答えても義務を果たしたことにはなりません。告知用の書面は保険の申込用紙とワンセットになっていることが多いです。書面の告知欄に記載し提出することが必要です。医師の診断書を推奨している保険もあります。医師の診断も、やはり書面形式で提出しなければいけません。

2、正直

告知は現状を正直にしなければいけません。本当は告知の義務がある病気にかかっているのに、告知の書面に書かない、または嘘を書いてはいけません。書くこと自体はできますが、後でばれたら相応のペナルティがあります。

3、確認

書き方が分からない、どのように記載したらいいか分からない場合は保険会社に確認を取ってください。あいまいなまま記載せず、欄の内容で記載を迷う部分があれば、保険会社の担当部署や保険の募集人に素直に話し、どうやって記載すべきか教えてもらいましょう。確認をとり、正確な事項を告知することが重要です。

「告知」の中身は?

3大原則と言うと、とても難しいように感じられます。しかし実際は、それぞれの保険ごとに、保険会社が告知の記載欄のついた保険の申込用紙を作っています。自分の申し込みたい保険が告知の必要なものなら、その保険の申込書に告知欄がありますから、要は、正直に欄を埋めればいいだけの話です。

告知はルールさえ守れば、難しいものでも、怖いものでもありません。

どんなことを告知するの?

告知の中身は、主に現在の健康状態と、申し込みをする直前に保険の給付対象になる病気をしたか、手術をしたかについてきかれることになります。告知用の用紙は保険の申し込み用紙に付属していることがほとんどですから、用紙に記載されている質問事項に素直に答えてゆくだけです。

オリックス生命・医療保険 新CURE(キュア)【告知書】
参照元:オリックス生命(2016年1月、著者調べ)

きかれたら詳しく説明するの?

告知内容について説明を求められたら説明をしなければいけません。

例えば「一カ月以内に手術しましたか?」という質問に対し「はい」と記載したとします。こういった場合は用紙にどんな病気で手術をしたのか記載欄を設けていることが多く、記載欄に病名などを記載することで基本的には告知義務を果たしたことにはなります。しかし、保険会社側はその病気でどのくらい入院したか、術後の経過はどうかなど、告知にまつわる事項で気になったことを質問してくることがありますので、その場合はご自分の分かる範囲内でいいのできちんと答えてください。

ただし、告知義務に含まれていない質問に答える必要はありません。保険の販売員から「今の会社に勤めて長いのですか?」「ご趣味は?」と尋ねられた場合は、それは告知にはまったく関係ありませんので特に答える必要はありません。あくまで告知内容に関することに対し質問があれば答えるという形で問題ありません。

加入に不利なことも答えるの?

もちろんです。

告知書に「これこれ、こういった病歴があれば教えてください」という記載があり、実際に病歴があれば正直に記載しなければいけません。例えそれが自分に不利になること、保険契約自体が締結できない可能性があることでも告知義務のある事柄であれば、本当のことを記載しなければいけません。不利だからといって告知をしなかった場合は後にペナルティの対象になることがあります。

不利なら嘘をついていい?

ダメです。

告知義務のある事柄は本当のことを記載しなければいけませんから、嘘はいけません。後にペナルティの対象になることがあります。

それに、嘘を書いても、保険会社にはすぐにばれます。なぜなら、保険金がおりる時に調査が行われるからです。いざ保険金が下りる時に嘘だとばれてペナルティの対象になるよりだったら最初から本当のことを書いた方が保険会社側の心象も良いです。

営業マンが「適当でいい」と……

保険の営業担当が「その項目は適当に書いていい」と言っても、適当に書いていいわけではありません。また、不利な告知事項に対し「嘘を書いてしまえばいいですよ」「契約に響きそうな不利な病歴ですから、書かない方がいいですよ」と言われても、営業担当がそう言うなら嘘を書いてもいいのだろう、不利なことを誤魔化してもいいのだろうと思ってはいけません。

そもそも、保険の勧誘をする者が、このような不実告知を申し込み者に勧めること自体が禁止されています。こんな言葉に従って不利益な事柄を告知しなかった場合や嘘を告知した場合は保険の申し込み者が保険契約を締結したとしても後にペナルティの対象になることがあります。また、不利な事柄を告知しないように勧めたり、嘘を告知するように勧めたりした保険勧誘員、営業担当、代理店にも相応のお咎めがあるでしょう。

「嘘をついてもばれないでしょ?」「自分に不利なことは話したくないなあ」と思われるかもしれませんが、説明した通り、正直にありのままを話さなければいけません。でないと、後で「告知義務違反」として恐ろしいぺナルティが下ることも!

どのような場合に告知義務違反となりますか?(告知義務とはどのようなものですか?) | 日本生命保険相互会社
参照元:日本生命保険相互会社(2016年1月、著者調べ)



告知義務違反はとても怖い!

告知義務のある保険なのに、告知をしなかった時は、保険契約自体を締結することができません。なぜなら、「告知したくないです」と言ったら、保険会社から「それでは契約できません」と言われてしまうことが基本です。告知をしないということは保険契約を結べないことと同義ですから、ペナルティ以前の問題で、契約自体結べません。

告知義務に違反しているかどうかが問題になるのは、嘘の告知をして保険契約を締結した場合や、不利益になることを告知しないで保険契約を締結した場合です。これらの場合を告知義務違反といいます。告知義務に違反すると、事の重要性によっては重大なペナルティが科せられることになります。

ぺナルティは主に2つ!

ペナルティは主に2つです。一つは保険契約の解除というペナルティ。もう一つは、保険金が支払われないというペナルティです。嘘をついて保険に加入し、「しめしめいずれ多額の保険金が入るぞ」と思っている悪い人には痛いペナルティと言えます。また、こういったペナルティは、悪気があって告知義務に違反した場合だけでなく、悪気がなかった場合に科される可能性もあります。

ただし、事が重大ではないと判断された場合や、保険契約に影響がないと判断された場合、真実を記載しようとしたのにうっかり間違ってしまった場合などは、告知義務違反になるかどうか、ペナルティを科すかどうかはそれぞれの現状や事情を踏まえて判断することになります。

世の中には似たような病名もありますから、契約者が似て非なる病名を記載してしまうことだってあり得ます。そんな時にどう判断するかは保険会社次第です。告知義務違反をしてしまった、または告知義務の疑いがあるケース全てにおいてペナルティが科されるわけではありません。

うっかり告知違反というケースも

問題は、嘘をつく気がなかったのにうっかり間違って記載してしまったケースです。前項で説明した、似たような異なる病名を記載してしまったケースなどです。また、入院日付をうっかり忘れてしまい、大体半年くらい前だったと思ったら、つい最近だったことが判明し、記載しなかった事柄が実は告知書に記載しなければならなかった事柄だったというケースも有り得ます。

自分は嘘をつく気はなかった。不利益を告知しないでおこうと邪な気持ちも持っていなかった。けれど、うっかり間違えてしまった。こんな時はどうすればいいのでしょう?

うっかり違反してしまったら?

うっかり間違えて告知義務違反をしてしまったかもしれない。そんな時は素直に保険会社に相談しましょう。風邪と癌を間違えてしまったのなら深刻度がかなり違いますので、保険会社の方で今後の保険契約を見直すということはあるかもしれません。しかし、いざ保険金支払いの段になって間違いが発覚するよりはマシです。まだ保険会社の心象が良いというものです。

なお、似たような別の病名を書いてしまった場合、訂正後の病気が告知時の病気よりもリスクの低いものであれば、特にお咎めなしというケースが多いようです。うっかり間違えてしまったという時は、気づいた時にすぐに保険会社に相談しましょう。後で大問題になってからでは遅いです。

真偽どちらが保険を有利にする?

嘘をついて契約しようとした人と、不利になっても真実を話した人、どちらが保険会社の心象が良いでしょうか。あなたであればどちらに好感を持ちますか?また、後で嘘がばれた人と、自分から「告知事項を間違えました」という連絡をくれた人、どちらに好感を持つでしょうか。もちろん、正直に話した人の方に好感を持ちますよね。

保険会社も同じです。嘘をついたら保険金が支払われないというペナルティを科せられることもありますから、「正直」は大いなる原則と言えます。

保険を有利に結ぶためには

医師の診断を推奨している保険は、医師の診断書を提出すると有利です。なぜなら、個人の自己申告より医師のきちんとした診察の方が信頼できるからです。

自分で告知書類を記載する時は、なるべく細かいところまで告知した方が有利です。入院数、術後の経過、どんな薬をどれくらい服用していたか、血圧など、細部まで数字入りで記入すると保険会社側も理解しやすく、告知義務違反を疑われることも少なくなります。

①専門家(医師)に証明してもらう
②告知事項は細かく数字や時期も記載

保険会社に嘘をつかないことの他に、この二つも重要です。

告知義務違反、まとめ

告知義務についてお話しました。告知義務は、告知義務を必要としている保険に加入する際の義務です。「書面で」「正直に」「確認を取って」答えなければいけません。この三原則から外れてしまったら、告知義務を果たしたとは見なされないので注意が必要です。

また、告知の際に嘘をついたり、自分に不利になるからと告知しなかったりすると、保険金がもらえない、保険契約の解除などのペナルティを科されることがありますので注意が必要です。

正直な方が保険会社も好感を持ちますし、加えて細かな数値部分から現状まで記載した方が後に告知義務違反を疑われ難くなります。

保険料をずっと支払い、手続き時の告知書の記載ミスで保険金がもらえなかったなんて、こんなに馬鹿らしいことはありません。保険加入に際してこのような注意事項があることを頭の片隅に置いていただければなと思います。