〈児童扶養手当の正しい計算方法〉シングルマザーを応援!!

児童扶養手当の額を知らないと子育ての計画も立てることができません。計算はあっちの表を参照したりこっちの表を参照したりと面倒な上に言葉遣いが難しいため、途中であきらめてしまう方も多いのではないでしょうか。しかしひとつひとつ計算していけば誰でも手当額を計算することはできるのです。今回は計算しようとしてあきらめてしまった方をもう一度挑戦できるように分かりやすく解説したいと思いますので一緒に頑張りましょう



児童扶養手当について

児童扶養手当とは

(この法律の目的)
第一条  この法律は、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給し、もつて児童の福祉の増進を図ることを目的とする。

出典:

law.e-gov.go.jp
児童扶養手当とは上記にあるとおり親が離婚または死別するなどしてひとり親となったとき、養育されるべき児童がひとりの親からしか養育を受けられなくなったときに地方自治体から支給される手当のことをいいます。児童扶養手当は児童扶養手当法を基にさまざまな決まりごとがあり、その要件及び内容によって制限を受けています。

(児童扶養手当の趣旨)
第二条  児童扶養手当は、児童の心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給されるものであつて、その支給を受けた者は、これをその趣旨に従つて用いなければならない。
2  児童扶養手当の支給を受けた父又は母は、自ら進んでその自立を図り、家庭の生活の安定と向上に努めなければならない。
3  児童扶養手当の支給は、婚姻を解消した父母等が児童に対して履行すべき扶養義務の程度又は内容を変更するものではない。

出典:

law.e-gov.go.jp
児童扶養手当法によって支給された手当は児童のための手当であり、その児童の親は自分の努力によって児童を含めた世帯の生計を維持することが求められています。要は手当そのものを親が勝手に使っても良いということではなく、あくまでも児童のために使用することが大前提になっていますので、お金の区分けをきちっとしなければならないということが必要といえます。

児童扶養手当法
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

手当を受けることができる要件

児童扶養手当を受給することができる要件は、児童扶養法の第1条のとおり児童の親がひとり親であることが最大の要件になっていますが、第4条には具体的な例が記載されています。なお児童とされる年齢についてその児童の年齢が満18歳を迎えた最初の3月31日までに限定され、障害を持っている児童については満20歳未満であるとなっています。

母親が児童を監護し、かつ生計を同じくしている母親から見た要件は以下のとおりです。

イ 父母が婚姻を解消した児童
ロ 父が死亡した児童
ハ 父が政令で定める程度の障害の状態にある児童
ニ 父の生死が明らかでない児童
ホ その他イからニまでに準ずる状態にある児童で政令で定めるもの

出典:

law.e-gov.go.jp
児童扶養手当は母子家庭だけではなく父子家庭にも支給されることになっていますので、父親が児童を監護しかつ生計を同じくしているのであれば以下の要件に当てはまることが必要となります。

イ 父母が婚姻を解消した児童
ロ 母が死亡した児童
ハ 母が前号ハの政令で定める程度の障害の状態にある児童
ニ 母の生死が明らかでない児童
ホ その他イからニまでに準ずる状態にある児童で政令で定めるもの

出典:

law.e-gov.go.jp
以上の要件以外でも手当が支給される要件があり、以下のとおりとなります。

・児童が父または母から継続して1年以上養育をされず遺棄状態にある場合
・児童が父または母からDV保護命令を受けた場合
・児童の父または母が罪を犯す等して刑に処せられ1年以上拘禁されている場合
・婚姻の関係にない状態で生まれた児童

この他にも支給要件があり、自分の子が支給要件に該当するかどうかは市町村役場へ確認することをお勧めします。なお手当自体の支給は児童に対してされるわけではなく、児童を養育している親に支給されますので親は自分のために使わないよう注意する必要があるといえます。

児童扶養手当の支給要件の改正
参照元:厚生労働省(2015年12月、著者調べ)

公的年金と合わせて受給する場合

平成26年12月の支給より、今まで児童扶養手当を受給できなかった公的年金を受給していた世帯も、その年金額が支給される手当よりも少ない場合はその差額分を受給できることになっていますので、児童扶養手当を申請していない世帯は市町村役場へ確認してみましょう。なお公的年金には以下のものがあります。

・老齢年金
・遺族年金
・障害年金
・労災年金
・遺族補償など

児童扶養手当法の改正Q&A
参照元:厚生労働省(2015年12月、著者調べ)

児童扶養手当が支給されない要件

児童扶養手当の支給を受ける要件に当てはまっていても手当が支給されない場合があります。住所が日本国内でなかったり他の人から経済的な援助を受けていることが主な要件ですが以下にご紹介しましょう。

一  日本国内に住所を有しないとき。
二  児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の四第一項 に規定する里親に委託されているとき。
三  父と生計を同じくしているとき。ただし、その者が前項第一号ハに規定する政令で定める程度の障害の状態にあるときを除く。
四  母の配偶者(前項第一号ハに規定する政令で定める程度の障害の状態にある父を除く。)に養育されているとき。
五  母と生計を同じくしているとき。ただし、その者が前項第一号ハに規定する政令で定める程度の障害の状態にあるときを除く。
六  父の配偶者(前項第一号ハに規定する政令で定める程度の障害の状態にある母を除く。)に養育されているとき。

出典:

law.e-gov.go.jp



児童扶養手当の計算:基礎

所得について

児童扶養手当を受給できるかどうかの基準に、児童を養育している親の所得が関係してきます。

ところで「所得」とはなんの額でしょうか。それは1年間の収入から所得控除をされた後の金額のことで、サラリーマンなどの給与所得者であれば源泉徴収票にある「給与所得控除後の金額」が対象になります。また自営業者の場合は確定申告の「所得金額の合計」が対象となります。

具体的な計算例を以下にご紹介します。

・源泉徴収票の年収が65万円の場合
年収65万円-給与所得控除65万円=所得額0円

・源泉徴収票の年収120万円の場合
年収120万円-(年収120万円x40%)=所得額72万円

・源泉徴収票の年収が180万円以下の場合
年収180万円-(年収180万円x40%)=所得額108万円

・源泉徴収票の年収360万円以下の場合
年収360万円-(年収360万円x30%+18万円)=所得額234万円

No.1410 給与所得控除|税について調べる|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

対象となる所得の期間

いつの所得が手当支給の対象となるのかは、児童扶養手当の申請時期で2つに分かれています。

・申請期間
1月から6月:前々年の所得
7月から12月:前年の所得

申請する期間が上半期と下半期では、審査の対象となる所得の期間が異なりますのでご注意ください。なお現在受給を受けている方は毎年8月に前年の所得が調査対象となります。

所得制限について

ひとり親なら誰でも児童扶養手当を受給できるわけではありません。親の所得金額によって手当が全部支給されたり一部支給といって手当が減額されたりします。以下に早見表がありますので確認してみてください。一般的には「児童扶養手当所得制限限度表」といいます。

扶養親族等の数/全部支給所得額/一部支給所得額
0 人/190,000/1,920,000
1 人/570,000/2,300,000
2 人/950,000/2,680,000
3 人/1,330,000/3,060,000
4 人/1,710,000/3,440,000
5 人/2,090,000/3,820,000

出典:

www.city.otsu.lg.jp
親の所得には加算されるものと控除されるものがあります。所得の計算式は以下のとおりです。

・所得=控除後の所得+養育費の80%-8万円-その他の控除

:離婚などで別れた相手から「養育費」をもらっている場合は年間の80%が所得に加算されます。
:「8万円」についてはサラリーマンなどの給与所得者が年末調整の時に「生命保険料」の控除証明を会社の担当者へ提出しますが、それに該当する金額にあたります。
:その他の控除には障害者控除や勤労学生控除などがありますが、主なものを以下に紹介しましょう。

・障害者控除 27万円
・特別障害者控除 40万円
・勤労学生控除 27万円
・ 小規模企業共済等掛金控除 地方税法で控除された額
・配偶者特別控除 地方税法で控除された額
・医療費控除 等 地方税法で控除された額

申請者が養育者の場合で、次の控除がある場合は、その控除額も引いてください。

・寡婦(夫)控除(一般)27万円  
・寡婦控除(特別)35万円

出典:

www.city.otsu.lg.jp
例えば控除後の所得が57万円(収入にしますと約95万円に相当)養育費を毎月3万円(年額36万円)もらっているような場合は以下の計算式となります。

・所得=57万円+36万円x80%-8万円=77万8,000円

この金額を所得制限限度額表に照らし合わせます。子ども1人なら77万8,000円は限度額57万円を超えてしまっていますので児童扶養手当額は減額され「一部支給」となり、子ども2人なら限度額は95万円ですので児童扶養手当額は「全部支給」という見方になります。

もし養育費をもらっていなければ57万円-8万円=49万円になりますので、限度額57万円以下となり子ども1人でも児童扶養手当額は「全部支給」ということになります。

また控除後の所得が95万円(収入にしますと約158万円に相当)で養育費を毎月3万円(年額36万円)もらっている場合は以下の計算となります。

・所得=95万円+36万円x80%-8万円=115万8,000円

この金額を所得制限限度額表で見ますと子ども2人なら「一部支給」で子ども3人なら「全部支給」されることになります。同じように養育費をもらっていない場合は95万円-8万円=87万円になりますので、子ども2人までなら「全部支給」ということが分かります。

児童扶養手当額の算出方法│大津市ホームページ
参照元:大津市(2015年12月、著者調べ)

親と同居している場合

本人の所得が児童扶養手当の限度額以内であっても親などと生計をともにしているような場合、本人の親は「扶養義務者」といわれ別の限度表を確認することになります。「扶養義務者」は同居の親以外でも直系3親等以内の血族であれば「扶養義務者」とみなされてしまいます。例えば以下のような人のことです。

・祖父母
・曾祖父母
・兄弟姉妹

この人は「扶養義務者」となります。この他にも孫やひ孫も含まれますが所得については期待できないでしょうから考えなくても良いでしょう。以下に「扶養義務者」の所得額の制限限度表を紹介します。

扶養親族等の数/所得額
0 人/2,360,000
1 人/2,740,000
2 人/3,120,000
3 人/3,500,000
4 人/3,880,000
5 人/4,260,000

出典:

www.city.otsu.lg.jp
仮に親の所得が274万円を超えるような場合は、本人の子どもが1人なら児童扶養手当は支給されないことになります。また本人と世帯が別になっていても同居の実態があれば「扶養親族」として認定されるようです。

なお「扶養義務者」の所得の計算は以下のようにして求められます。

・扶養義務者の所得=年間所得-8万円-その他の控除

その他の控除に含まれるのは以下のとおりです。

・寡婦(夫)控除(一般) 27万円
・寡婦控除(特別) 35万円
・障害者控除 27万円
・特別障害者控除 40万円
・勤労学生控除 27万円・小規模企業共済等 掛金控除 地方税法で控除された額
・配偶者特別控除 地方税法で控除された額
・医療費控除 等 地方税法で控除された額

出典:

www.city.otsu.lg.jp

親と同居している場合の所得制限

先ほどの計算例では母と子どもだけの生活の場合でしたが、今度は親と同居している場合の所得制限を計算してみましょう。

本人の所得計算は同じで何も変わりませんが「扶養義務者」である親の収入が関係してきます。「扶養義務者」の所得制限を超えないとし、所得は本人の95万円と親の年金100万円として考えます。この場合親の数も扶養親族の数に加えることができます。

同居しているのが親(父母)と本人と子ども1人なら扶養親族は3人となりますので、本人の所得が95万円でも全部支給となり、扶養親族が3人なら133万円の本人所得があっても児童扶養手当は全部支給ということになります。ただし本人所得が133万円を超えてしまいますと手当は一部支給となってしまいます。

扶養親族とは

児童扶養手当を受給している本人の扶養親族となることができるのは、もちろん本人の子どもと12月31日現在で以下の条件を必要とします。

・本人と生計を共にしている
・年間の所得金額が38万円以下である
・白色申告の専従者ではないこと
・青色申告の個人事業者から年間と通して給与をもらっていないこと

親が扶養親族になるかどうかは年間所得が38万円以下でなければならず、年間の年金額から所得控除を差し引いて計算され年齢によって控除される金額が変わります。

・65歳未満:70万円
・65歳以上:120万円

ということは控除される金額と所得控除38万円を足した金額以下なら、年金受給者の親も扶養親族になります。

・65歳未満:70万円+38万円=108万円
・65歳以上:120万円+38万円=158万円

年金額がこの金額以下であれば扶養親族となることができるわけです。また兄弟姉妹とも同居している場合は彼らの収入から給与所得控除70万円を差し引いた額が38万円以下なければなりません。つまり70万円+38万円=103万円という年収以下でないと扶養親族にはなれません。

高齢者と税(年金と税)|税について調べる|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

No.1180 扶養控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

児童扶養手当の計算:計算

児童扶養手当額

2015年12月現在の児童扶養手当額は全部支給で1人4万2,000円、2人目は5,000円、3人目は3,000円となっています。したがって本人や扶養義務者の所得制限に関係なければ、子ども1人なら4万2,000円で2人なら4万7,000円、3人なら5万円となります。

2015年12月24日に閣議了承された2016年度予算案が可決されますと、子ども1人4万2,000円には変更はありませんが2人目の加算額が1万円、3人目の加算額が6,000円となり子どもが2人いれば5万2,000円で3人なら5万8,000円と増額されることになっているようです。

平成28年度社会保障関係予算のポイント
参照元:厚生労働省(2015年12月、著者調べ)

実際の計算

児童扶養手当が全部支給であれば計算するまでもありませんので、一部支給の場合を計算してみましょう。

・一部支給額=4万1,990円-(本人の所得-扶養親族の数に応じた額)x0.0185434

この計算式で求めることができます。扶養親族の数に応じた額というのは本人の所得制限限度額にある額のことです。子どもを含めた扶養親族が1人なら57万円、2人なら95万円という額です。

■計算例1
・母親の年収200万円で子ども1人、養育費や控除はないものとして計算します
①母の所得金額の計算
:所得控除額=200万円x30%+18万円=78万円
②年間所得額の計算
:年間所得額=200万円-78万円=122万円
③制限所得額の計算
:制限所得額=122万円-8万円=114万円
④支給額の計算の計算
:支給額=4万1,990円-(114万円-57万円)x0.0185434=3万1,420円

■計算例2
・母親の年収200万円で子ども2人、養育費や控除はないものとして計算します
①母の所得金額の計算
:所得控除額=200万円x30%+18万円=78万円
②年間所得額の計算
:年間所得額=200万円-78万円=122万円
③制限所得額の計算
:制限所得額=122万円-8万円=114万円
④支給額の計算の計算
:支給額=4万1,990円-(114万円-95万円)x0.0185434=3万8,470円(10円未満四捨五入)
:子ども2人目の加算額5,000円
:3万8,470円+5,000円=4万3,470円

児童扶養手当額の算出方法│大津市ホームページ
参照元:大津市(2015年12月、著者調べ)



まとめ

いかがでしたでしょうか。ひとり親で子どもを育てることは公的援助がなければたちまち困った事態になってしまうといえます。児童扶養手当は法律の目的にもあるように児童の福祉を増進し養育するための手当です。児童扶養手当を全部受給したいという理由で収入を抑えたり養育費をもらっているのを隠して申告しないなどという行為はしてはならないのです。

自分の収入の足りない部分を手当として支給されるということをしっかり考えることが必要でしょう。