健康保険の扶養になるための条件とは?手続き丸わかりガイド

結婚を機に退職するタイミング、もしくは子供が生まれて退職などご主人の扶養に入るタイミングがありますよね。どういう条件で扶養に入れるの?いつから扶養申請できるの?健康保険と税金の扶養の違いって?などのよくある質問に答えます。



健康保険の扶養になるメリットとデメリット

毎月掛かる健康保険の費用、無視できませんね。女性の皆さんですと、結婚を機に退職する時や子供が生まれて退職するなどのタイミングで、ご主人の扶養に入ることを検討することがあるかもしれません。もし扶養に入ることができればご自身の保険料を払う必要がなくなり、大きな節約が期待できますね。

今回はそんな皆様のために、この健康保険の扶養に入ることのメリットとデメリット、また手続きに必要な書類などご紹介します。

メリット

どんなものでもメリットだけというものは少ないですよね。とってもお得になりそうな健康保険の扶養にもある程度デメリットがあります。まずは健康保険の扶養になるにあたってのメリットとデメリットを簡単に確認しておきましょう。 ではそもそも健康保険の扶養に入るとどんなメリットがあるのでしょうか。それはズバリ、自分の保険料を支払わなくてもよくなるということです。健康保険の被扶養者として扱われることになると、被保険者と同じように基本的に3割の医療費で病院にかかることができます。

アドバイスとして載せられている情報の中には、健康保険の扶養に家族が入ることで税金対策になるというものもあるようです。しかしそれぞれが全く別の組織また仕組みであり、基本的に関係はないようですから所得税に関連したメリットはないと思われます。

デメリット

扶養状態をキープしようと思うと、扶養認定をもらえる年間の収入を超えることができません。退社したとはいえ少しでもアルバイトなどをしてお金を貯めたいところですが、年収で130万円を超えることはできません。ある程度収入のある方ですと厳しい金額ですよね。(この後の部分に書きますが、この130万円未満というボーダーが一部の対象者のみ2016年10月からさらに低くなる予定です。)

また被保険者ではありませんので、病気や怪我で仕事ができない状況が生じた際に被保険者が活用できる傷病手当金の支給は受けることができないというデメリットもあります。

被扶養者とは? | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年12月時点、著者調べ)



被扶養者の範囲

まず自分が被扶養者の対象かどうかをチェックすることにしましょう。健康保険の被扶養者になるためには、まずご自身が適用される範囲の続柄でなければなりません。

ご主人が被保険者だとすると、ご主人から見た続柄のチェックです。家族であれば基本的に問題になることはないでしょう。被保険者との続柄、また同居しているかどうかによって適用範囲に入っているか判断することができます。

被保険者と同居、別居に関わりなくなれる人

同居でも別居でも関係なく被扶養者になれるのは、被保険者から見て以下の続柄の人です。

・配偶者
・子、孫、弟や妹
・両親、祖父母、曾祖父母

つまり被保険者から見て一般的にサポートする必要がある続柄の人が挙がっていると思います。

健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ)

被保険者と同居(同一世帯)が条件でなれる人

もし被扶養者になりたい方が被保険者と同居しているようであれば、より広い範囲のご親族が扶養を適用できる範囲に入ることになります。被保険者と同居していることが条件で被扶養者になれるのは以下の人です。

・一つ前の項目で挙げた以外の3親等内の親族
・内縁関係の配偶者の父母及び子(その配偶者の死後に引き続き同居する場合も含む)

ここで出てきた内縁関係とはどういう関係?と思われたかも知れません。私もよく知らなかったのですが、このような意味のようです。

内縁関係とは、婚姻の意思をもって共同生活し、社会的にも夫婦と認められているものの、婚姻届を提出していないため、法律上の正式な夫婦と認められない男女関係をいいます。
内縁の成立の有無は、同居期間の長さや挙式をしている等の事情から判断されます。

出典:

www.houterasu.or.jp
とのことです。興味深い状況が存在するようですね。おっと横道にそれてしまいました。何はともあれ被保険者との続柄と同居しているかどうかで判断できることがわかりました。こう見てきますと、意外に適用できる範囲が広いと思われませんか?

しかしながら、このチェックに該当する人がみんな扶養に入れるわけではありません。その選ばれしご親族の中で扶養認定を得るためのさらなる条件があります。では次にその条件を確認してみましょう。

扶養認定の条件

ではいよいよ扶養認定を受けるための条件を見ていきましょう。これは扶養に入りたい方の収入がどれくらいあるかという事で判断されます。チェックのために大きく2つの条件があります。

1. 被保険者によって主として生計を維持していること

この条件は、家計を維持する上で被保険者が重要な役割を担っていることを確認するためのものです。具体的な条件は、被保険者と同居しているかどうかで以下のように別れます。

同居の場合:収入が被保険者の年間収入の半分未満
別居の場合:収入が被保険者からの仕送り額未満

扶養に入りたいのが奥さんの場合、ご主人がフルタイムのお仕事をしておられれば年収の半分もの収入を得ることは稀かもしれませんので、この条件はクリアできる方が多いのではないでしょうか。

同居の場合は被保険者の半分未満という条件ではありますが、収入が被保険者の年間収入の半分を超えたら絶対ダメというものでもなく、被保険者の年間収入を超えない時は、世帯の状況が考慮され条件クリアと認定される事例もあるようです。

2. 年間収入が130万円未満

もう一つの条件は年間収入が130万未満である事です。ですから給与収入の場合は月額108,333円以下となり、雇用保険の失業等給付の受給者は、年間360日で換算しますので日額3,611円以下が条件となります。

普通にバイトをしてしまうとすぐに超えてしまう金額だと思います。この金額は健康保険の扶養に入れるか否かの限度ラインと言えますから、雇用主もしくはマネージャーに前もってこの金額を超えないよう仕事の予定の調整をお願いしておくと良いかもしれません。

とてもシンプルな判定要件ですから、現在検討中の方もご自身で判断することができたのではないでしょうか。沢山アルバイトで働くよりも扶養に入る方が全体としてはコストパフォーマンスが良いと判断する場合は、仕事をいくらか減らすことも検討できます。 ちなみに、年間収入130万円未満というのが今のところ社会保険の壁ですが、これが変わろうとしています。当面、対象者は大企業に1年以上勤務している人に限定された更新ですが、2016年10月から年間106万円未満に下がるようです。

現状ではパートで週30時間以上勤務をすると、社会保険に加入することになっています。しかし2016年10月からは月額8万8000円(年間106万円)以上、週20時間以上勤務で社会保険に加入することになる予定とのことです。(2015年12月現在)

当面は社会保険加入者が501名以上の会社に勤務していて、勤務年数が1年以上の方が対象ですがこの範囲を広げていく予定があるようです。ますます働けなくなりそうですね。詳しくはこの変化を特集している以下のサイトをご覧ください。

パートの厚生年金加入「106万円の壁」とは [年金] All About
参照元:All About (2015年12月時点、著者調べ) 参照元:Upin (2015年12月時点、著者調べ)

収入に含まれるものとは?

実質的に収入と認められるものは不労所得も含め収入となります。様々な収入がありますのでご注意ください。以下に主なものを挙げてみますね。

・健康保険からの各種給付
・事業所得
・雇用保険の失業などの給付
・公的年金

このように列挙してみると、ほとんどの入金は収入になってしまうことがわかります。種々の収入を合算してみると要件の130万円を超えていたなんてこともありますので、要注意です。

ここまでのところで、扶養認定を通るかどうかチェックできたと思います。では次にいつから申請できるのか確認しましょう。



扶養申請のタイミング

扶養申請が通るのはいつからなのか曖昧になっている部分がありませんか?よくある質問を挙げてみたいと思います。

先日退職しましたが、すぐに入れるのでしょうか?

はい、条件を満たしておられればすぐに扶養に入ることができます。よくある誤解として、昨年の収入で評価されるというものがあります。しかしそうではなく、実際扶養認定で用いられるのは今後の年間見込み収入額のようです。ですから現在無職ならば扶養に入ることができるでしょう。過去の収入は関係ないのです。

雇用保険の失業給付金を受け取っていますが、すぐ扶養に入れますか?

これは受給額によります。前述のように日額3,611円以下であればすぐ扶養に入ることができるでしょう。しかしながら、これ以上の給付を受けていることが多いようです。そのような場合は扶養に入ることができません。そのような場合は給付が終わった後扶養に入ることになります。 では各種心配がなくなったところで、どのように申請すれば良いのか手続きの詳細を確認しましょう。

手続きの仕方

新たにもしくは追加で扶養に入りたい人がいる場合、被保険者が事業主へ被扶養者届を提出する必要があります。しかしながらこの方法は若干各健康保険運営組織によって異なる場合がありますので、詳しくはご自身が加入している保険運営組織のwebページなどでご確認ください。

ここでは日本年金機構の運営する健康保険(協会けんぽ)の場合ということでwebページに載せられている情報を参考までにご紹介します。

健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ)

手続きする時期と場所

提出時期  事実発生から5日以内
提出先   事業所の事務担当者(事業主)
提出方法  事業所の事務担当者等に指定された方法

出典:

www.nenkin.go.jp
こちらのサイトには事実発生から5日以内となっていますね。もし少し前から無職になっていた場合に無職になったその日から遡って扶養を適用してほしいという場合もあるかと思います。基本的それは可能のようです。

しかしながら、60日以上遡ると余分に書類が必要になるなど手数が増えます。また無職になった後に国民健康保険に少しの間加入しており、その前まで遡りたいという話になりますと、国保を使って診療を受けた際の費用がひとまず実費で請求されることになったりして話がややこしくなります。

可能ならばなるべく早く計画を立て、一番良いタイミングで扶養申請できるとスマートですね。

必要な書類

多くの場合必要になる必要書類を確認しておきましょう。
まずは…

・健康保険被扶養者届

この書類はもちろん全員が提出する必要があります。

次は収入要件をクリアしていることを証明する書類が必要になります。必要な書類は扶養に入りたい方の状況によって様々ですので、それぞれご紹介していきたいと思います。

▼収入要件をクリアしていることを証明する書類
※所得税法の規定による控除対象配偶者になっている方や扶養親族となっている方は事業主の証明があれば添付不要です。ただし、被扶養者になった日が事業主への提出日より60日以上遡る必要がある場合は以下の書類が必要になるようです。

・退職したことによって収入要件をクリアする場合
■退職証明書または雇用保険被保険者離職票の写し

・雇用保険失業給付受給中、または雇用保険失業給付の受給終了によって収入要件を満たすという場合
■雇用保険受給資格者証の写し

・年金受給中の場合
■現在の年金受取額がわかる年金額の改定通知書などの写し

・自営による収入、不動産収入等がある場合
■直近の確定申告書の写し

・上記以外の他に収入がある場合
■上記通り必要な書類及び課税(非課税)証明書

・上記のケースいずれも当てはまらない場合
■課税(非課税)証明書

上記のいずれの場合にも共通する点として、もし障害年金、遺族年金、傷病手当金、出産手当金、失業給付等の非課税対象となる収入がある際は、別途受取金額のわかる通知等のコピーが必要になりますので用意しましょう。

▼続柄確認のための書類
被保険者と別姓の被扶養者の場合には以下の書類が必要です。
■被扶養者の戸籍謄本(被保険者との続柄がわかるもの)など
※ただし次の同居確認のための書類の提出の該当者で、添付された被保険者世帯全員の住民票により続柄が確認できる場合を除きます。

▼同居確認のための書類
この書類は、被扶養者として認定されるために同居が要件である方が対象となります。該当者はご自身が被保険者と同居していることを証明するものとなります。
■被保険者の世帯全体の住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの)
住民票により同居の証明ができない場合は、民生委員等による同居の証明などで代用できます。

▼内縁関係を確認するための書類
被保険者と内縁関係にある場合は、それを証明する必要があります。
■内縁関係にある両人の戸籍謄本
■被保険者の世帯全員の住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの)など 必要となる書類は、各保険組織によっていくらか異なる可能性がありますので、被保険者の方の事業所の担当の方、もしくはその保険組織のwebページをご参照ください。

扶養申請に際して注意したいポイント

健康保険における扶養と所得税法上の扶養を混同してしまうことが多いようです。確かに扶養とひとくくりにしてしまうと互いに繋がっているように思います。しかしそれは誤解ですので、ここの部分をしっかりと理解しておきましょう。なぜなら、健康保険における扶養と税法上の扶養親族は全く違う基準で判断されることになるからです。

ちなみに税法上の扶養親族とみなすための要件は以下の通りです。
・納税者の6親等内の血族、もしくは3親等内の姻族である
・納税者と同一生計である
・合計所得金額が38万円以下である

納税者に上記の扶養親族がいると、所得控除となり税金が安くなります。
しかしこれは健康保険における扶養と全く異なるものになります。 もう一点ここで追加したいポイントは、申請のタイミングです。失業給付金に関連することですが、自己都合で退職した場合、3カ月の給付制限期間があるようです。それでその3カ月間は扶養に入ることができるようですが、3カ月後に給付金の受給を始めると扶養から外れるようです。短期間のうちに扶養に入ったり出たりという手続きが必要になりますので、覚えておきましょう。

まとめ

こういった手続きが苦手な方も少なくないと思いますが、案外わかりやすい判定基準ですね。もし扶養の条件をクリアできていて扶養入りを望まれるのであれば、出来る限り早めに被保険者の方に扶養申請をしてもらうことにしましょう。

また条件の収入額を超えてしまっている方も、もし金額が年収130万円に近いのであれば、少し仕事を減らしてご家族のトータルコストを抑えることも一つの選択肢かと思います。是非使える制度を活用して賢く節約していきましょう。