「孫に相続させたい!!」孫に相続権がなくても選べる3つの方法

相続財産を孫に遺したい、と考えている方も多いかと思いますが、子どもに相続権がある場合には、孫は相続人にはなりません。孫に財産を相続させる方法はないのでしょうか?「孫に財産を相続させる」3つの方法をまとめました。



1.遺言書を残す

遺言書を作成することで、相続人は自分の財産を法定相続人以外の人にも相続させることができるようになります。孫に相続させたい場合には、遺言書を残せば可能になります。

遺言:日本公証人連合会
参照元:日本交渉人連合会(2015年12月時点、著者調べ)

他の相続人の遺留分には注意する

遺言書で孫に相続させることは可能になりますが、一点注意点があります。それが「遺留分」です。遺留分とは、配偶者や子、両親などある一定の法定相続人が相続を保障されている相続財産のことです。遺留分は遺言書や贈与などによっても邪魔することはできません。

遺留分は、相続人が「遺留分をよこせ」と主張してこない場合には問題になりません。(この主張を「遺留分減殺請求」と呼びます)しかし、自分に相続できる財産があるのにそれを請求してこない、というのはなかなか考えにくいものです。

そのため、孫に相続させたい場合には、この遺留分を考慮に入れて遺言書を作成する必要があります。

FAQ詳細  法テラス|法律を知る  相談窓口を知る  道しるべ
参照元:法テラス(2015年12月時点、著者調べ)

相続税が増える?

通常の相続順序ではなく、直接孫に相続させる場合には、相続税が1.2倍かかるので注意が必要です。しかし一方で、通常の流れであれば相続人→子ども→孫と2回相続するところが1回で済むことになりますので、それに比べると節税になるという意見もあるようです。

No.4157 相続税額の2割加算|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)



2.孫と養子縁組をする

孫に財産を相続させるもう一つの方法として、孫と養子縁組をするという手段があります。養子縁組をすることで、孫を「自分の子ども」と同じ立場に置くことができるのです。通常養子縁組には家庭裁判所への申し立てと許可が必要ですが、祖父母が15歳以上の未成年の孫を養子縁組する場合にはこの手続きが必要ありません。

裁判所|養子縁組許可
参照元:裁判所(2015年12月時点、著者調べ)

3.贈与という手も

自分たちが生きている間に孫に相続財産を譲渡したい、という場合には贈与という手段があります。現金の贈与の場合には、年間110万円以内であれば贈与税もかからず非課税で財産を譲渡できます。

しかし、毎年決まった額を決まった期間に贈与している・契約書がないなど、事情によっては、「1年単位ではなく数年、数十年単位で毎年110万以内円の金額を贈与している」とみなされることもあるようです。その場合には贈与税がかかることがあるようなのでこの点も注意が必要です。

No.4402 贈与税がかかる場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)

No.4402 贈与税がかかる場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)

やっぱり遺留分減殺請求の恐れ

また、このような生前贈与についても、相続時に法定相続人から遺留分を主張されることがあります。贈与の際にも他の相続人の遺留分については考慮しておいたほうがいいかもしれません。

法律関連用語「遺留分減殺請求」  法テラス|法律を知る  相談窓口を知る  道しるべ
参照元:法テラス(2015年12月時点、著者調べ)



代襲相続もあるけど…

相続の際配偶者は必ず相続人になりますが、それ以外の親族については順位が定められています。

・第1順位:直系卑属(子ども)
・第2順位:直系尊属(親)
・第3順位:兄弟姉妹

孫が相続人になる場合は、第1順位の直系卑属(子ども)が死亡するなどの事情がある場合です。子どもが相続権を失うことで、相続権の第1順位はその下の直系卑属、すなわち孫にいくことになります。これを代襲相続といいます。

法律関連用語「代襲相続」  法テラス|法律を知る  相談窓口を知る  道しるべ
参照元:法テラス(2015年12月時点、著者調べ)

子どもが相続欠格・廃除の場合

第1順位の直系卑属(子ども)が死亡する他にも、子どもに相続欠格事由がある・廃除されたなど、相続権を失った場合にも代襲相続になり、孫に相続権が行くことになります。この相続欠格事由とは、民法891条に規定されていますが、相続人を殺害して刑に処された・詐欺や脅迫によって遺言書の作成に影響を及ぼしたといった、犯罪行為を行ったような場合です。

このような相続人に財産を相続させることはふさわしくない、ということです。廃除も同様で、被相続人を虐待・侮辱する、またその他の非行を行った場合には相続させないことができます。廃除は民法892条にその規定があります。ただ、こういったケースはあまりないですよね。

法律関連用語「代襲相続」  法テラス|法律を知る  相談窓口を知る  道しるべ
参照元:法テラス(2015年12月時点、著者調べ)

相続放棄では代襲相続できない

一方、第1順位の直系卑属(子ども)が相続放棄をした場合にも孫に相続権が移りそうですが、そうはなりません。民法939条には「相続の放棄をした者は、初めから相続人とならなかったものとみなす。」という規定があります。

初めから相続人としての権利がないので、孫にも相続権が行かないのです。代襲相続は民法に規定されている「死亡・欠格事由・廃除」の場合だけ認められます。そのため、自分は親の財産を相続したくないが、孫には相続させたい、と思って相続放棄をしても孫には相続権は移りません。

まとめ

孫に相続財産を遺したい場合に選べる方法は、遺言書を遺す・養子縁組・贈与の3つと言えます。相続となると、孫以外にも法定相続人の存在など、考慮に入れておかなければならないことも多くあるかもしれません。必要な時には専門家の手を借りながら、後悔のない相続を行ってください。