《税務署への相談》からはじめよう!!専門家の使い方もご紹介!

生きていれば、誰しも考えなくてはいけないのが、自分、もしくは自分の身近な人が亡くなった時の事。その一環として、相続のことも考えなくてはいけないのが事実です。でも、どこに相談すればいいんでしょうね。そこで、税務署に相談するときのメリット・デメリットを中心に、相続税の相談をすることについて考えてみました。



税務署に相続税の相談をするメリット

まず、相続税について、税務署に相談するメリットを考えてみましょう。大きく分けると、次の3つのメリットがあります。

安い

なんといっても、費用が安いのが魅力です。税理士に頼んだ場合、初回相談は無料のことも多いですが、それ以降は基本的に料金がかかります。「ちょっと税理士にそこまで高いお金は払えないなあ」という場合もあるかもしれません。しかし、税務署への相談はタダです。相談料を取られることはまずありえません。まずは安く仕上げたい、という人にとっては、ぜひ活用してほしい手段です。

匿名相談OK

電話相談した場合、自分から名前を名乗らないで相談することももちろん可能です。特に、相続の問題はデリケートな問題なので、できれば匿名で……という人も多いでしょう。そういう場合でも、ちゃんと税務署は対応してくれます。税理士に頼んだ場合、基本的に匿名というのは難しいですからね。

1年中対応してもらえる

平日なら、いつでも税務署は開いています。相談したい!と思ったときに相談ができるというメリットがあります。特に相続税の場合、いつ、どこで相続が起こるかは誰にもわかりません。そのため、相談したいときに窓口がやっていない…というのはかなりの痛手になります。税務署に相談した場合、このデメリットは解消されるのです。これはうれしいですね。



税務署に相続税の相談をするデメリット

一方、税務署に相談するデメリットはなんでしょうか。考えてみました。

事前に勉強しないといけない

税務署の相談はあくまで無料相談です。そのため、ある程度基礎知識があることが前提で話を進める税務署の職員の方も多いです。税理士への有料相談のように、至れり尽くせりのサービスを期待するのはちょっと厳しいものがあります。このあたりは注意しましょう。幸い、相続税をはじめとして、メジャーな税法については、基本的な解説書が充実しています。そういったもので勉強するのもいいですし、税理士事務所などのホームページの記事も参考になるでしょう。

もちろん、勉強といっても、人に解説できるようになるほど詳しくなれ、というわけではありません。あくまで「こういう規定があるんだ」というレベルの理解でも十分です。わからないことを洗い出すイメージ、といえばいいでしょうか。もし、その結果としてわからない点があったならば、そのポイントをしっかり質問すればいいのです。

事実関係を整理して話すことが必要

税務署の無料相談では、一人に多くの時間を割くことはできません。ば、そのため、短い時間で言いたいことを適切に伝える必要があります。相談する人はわかっていることであっても、税務署の職員にうまく話が伝わっていないために、誤ったアドバイスをもらうことになってしまった、という話も起こりえないわけではないのです。誤ったアドバイスにのっとって手続きを進めても、結果はよくありません。これでは、なんのために相談に行ったのかわからなくなってしまいます。

込み入った話を短時間で説明するために、次のポイントに気を付けましょう。

・事実関係がわかる資料を用意していく。
・聞きたいことをメモに残す。
・数回に分けて相談をしたい場合、次回の相談のアポイントを取ってしまう。

これらに気を付けるだけでも、ずいぶんと変わるものです。

節税は期待できない

税務署の無料相談で節税のアドバイスを期待するのは間違っています。税務署はあくまで公平な立場で徴税するために必要な情報を提供する、というスタンスです。節税したい人のことまでかまっていられない、というのが実情なのです。そのため、節税に関するアドバイスは基本的にしてもらえない、と考えて相談に行きましょう。節税に関する知識を得たいなら、自分で勉強するか、専門家に相談するかの選択肢を選ぶほうが賢明かもしれません。

夜間に相談できない

税務署の無料相談は、基本的に平日のみの対応になっています。確定申告の前などは土日も相談を受け付けてくれますが、いつでもどこでも好きな時間に、というわけにはいかないのが現実です。平日の昼間は仕事をしている、という場合だと、利用は厳しいかもしれません。平日の夜間などに相談したい、という場合には、専門家を手配するのが無難かも……。

税務署への相談に向いている人

税務署に相談するメリットとデメリットについて考えたところで、どういう人が税務署に相談すべきか考えてみました。こうなります。

・平日の昼間に時間が取れる。
・ある程度、税法等の知識がある、もしくは勉強するつもりがある。
・込み入った問題への答えがほしいわけではなく、基本的な知識を解説してくれればいい。
・そこまでもめる相続ではない(相続人が1人から2人くらい)。

このような条件を満たす場合、税務署に相談する、というのも悪い選択ではないでしょう。まずは電話してみることをお勧めします。

税についての相談窓口|税について調べる|国税庁
参照:国税庁、2015年12月、筆者調べ



向いている条件に満たない場合は?

では、税務署に相談したほうがいい人の条件を満たさない場合、つまり込み入った話になる可能性が高い場合はどうしたらいいのでしょうか。答えは簡単です。「専門家にお金を払って相談する」ことです。餅は餅屋、というように、専門家に任せたほうがいい結果が出るのも事実です。

でも、相続の専門家、と呼ばれる専門家はたくさんいます。それぞれの専門家に相談するメリットとデメリットをまとめてみました。

弁護士

<メリット>
・相続案件を得意とする弁護士の場合、ほぼあらゆるケースの相続に対応できる。
・裁判に発展した場合でも、裁判に関する手続きを一任できる。

<デメリット>
・顧問料が基本的に高い。
・相続案件を得意としない弁護士の場合、費用ほどの効果が見込めないこともある。

法テラス|法律を知る 相談窓口を知る 道しるべ
参照:日本司法支援センター(法テラス)、2015年12月参照、筆者調べ

税理士

<メリット>
・どうすれば節税になるか、というノウハウに詳しい。相続税を節税したい、という志向が強いなら、相談する価値はある。

<デメリット>
・裁判に発展した場合、裁判に関する手続きは一任できない。弁護士を別途手配する必要がある。
・顧問料は千差万別。若手の場合安く設定されていることも多いが、費用に見合う効果が見込めるかどうかは疑問。

税務相談室 | 公益財団法人日本税務研究センター
参照:公益財団法人日本税務研究センター、2015年12月、筆者調べ

ファイナンシャルプランナー

<メリット>
・銀行、保険会社等で無料相談を受け付けている場合が多いので、気軽に相談できる。

<デメリット>
・税理士等の資格を持っている場合は別だが、ファイナンシャルプランナーの資格しか持っていない場合、個別具体的な事例へのアドバイスはできない。一般論的な回答のみができる。

行政書士

<メリット>
・遺言書、遺産分割協議書など相続に関連する書類の作成のエキスパート。書類の作成がわからない、という場合には役に立つ。

<デメリット>
・裁判に発展した場合、行政書士は事務を扱うことができないので、弁護士を再度手配する必要がある。

行政書士への相談 | 日本行政書士会連合会
参照:日本行政書士会連合会、2015年12月参照、筆者調べ

どの専門家も一長一短

結局、どの専門家がいいかというのは、一言では言えません。メリット、デメリットがあるからです。ただ、一つ言えるのは、専門性が高ければ高いほど、いろいろな案件に着手できます。そのかわり、料金も高いです。

そこで、専門家を選ぶ際は、次の点に注意して選ぶといいでしょう。

・自分が抱えている相続に関する問題は、込み入った話なのか?
・裁判に発展する可能性があるのか?
・どこまでなら専門家に報酬を払えるのか?

この3点は重視しましょう。
その結果で、どの専門家を選ぶか決めればいいと思います。

同時並行でやっておきたい5つの事

最後に、税務署に相続の相談をしながら、同時並行でやっておきたいことについて、まとめてみました。

1.まずは話し合う

原始的な対策かもしれません。しかし、相続でもめる原因の一つに、「相続人同士の意思の疎通が図れていないから」ということは確実に挙げられるでしょう。お互いが何をどうしてほしいのかがわからないから、いわば「炎上」状態になってしまうのです。話し合いの段階からもめる可能性がある、と思うと気が重いかもしれません。しかし、遺産分割協議などに代表されるように、相続はほとんど話し合いで決まるようなもの。話し合いから逃げていては、何も解決しないのです。「言いたいことはしっかり言うし、相手の言い分もまずは聞く」というスタンスでいたほうがいいでしょう。

2.生前にできることはやっておく

相続の相談をなぜしなければならないか、考えたことはありますか?答えは簡単です。「もめるから」です。何も対策をしないでいれば、相続は基本的にもめるものと思っていてください。亡くなってから初めて相続のことを考えたのでは、遅すぎるといっていいかもしれません。人はいつ亡くなるか、なんてわかりませんが、わからないからこそ、先手を打つ必要があります。生前にできることは全部やっておく、くらいの勢いでいたほうが、後々もめないで済むでしょう。例として、遺言書の作成、生前贈与の活用などがあります。できることはやる、という意識をもって臨むことが大事です。

3.自分でも勉強する

「相続税、わからないから教えてもらおう」というスタンスで税務署や専門家を使おうとしていませんか?もちろん、教えてもらうのは悪いことではありません。自分の独学だけでやっていても、なかなか知識が身につかない、ということはありえます。しかし、税務署や専門家は一から全部教えてくれるわけではありません。そんなことしていたら仕事が終わらないから、当然といえば当然でしょう。そうなると、自分でも勉強することが必要になってきます。書店や図書館に行けば、相続税に関する本はたくさん置いてあります。中には簡単に解説しているものもあるので、気軽に手に取ってみるといいかもしれません。基本的な知識は押さえて、どうしてもわからないところは税務署や専門家に相談するなど、活用の仕方を考えましょう。

4.無料のものは活用する

ぜひ活用してほしいのが、無料のものです。銀行、税理士法人、弁護士法人などが主催する無料セミナー、各種専門家が提供する無料レポートなどはぜひ活用しましょう。独学だけではわからない点もわかる可能性が高いです。知識は持っていて邪魔になるものではありません。それなりにいい相続をしようと思うなら、知識欲は貪欲くらいでちょうどいいでしょう。

5.エンディングノートを書く

今はやりのエンディングノートってご存知ですか?法的な遺言書とは違いますが、これを作ることも有効な相続対策になりえます。具体的には、次のようなことを書き留めておくノートです。

・希望する葬儀のスタイル
・亡くなった旨を連絡してほしい人のリスト
・遺品の整理の方法
・その他大切な人に伝えておきたいこと 等

基本的には、何を書いてもかまいません。最近では、パソコンや携帯電話のデータをどうするか、というのも大事なトピックでしょう。

生前から相続は税務署に相談を

人が亡くなる=相続が発生するということは、思っているより大変なことです。やらなければいけないことが山のようにかぶさってきます。実際、筆者の周りでは相続の手続きが終わったとたん、倒れたり、ストレスのあまり買い物しまくったりとなかなか大変なことが起きています。話を聞いていると、「はっきり言って税務署でのんびり相談している場合じゃなかった」というのが現状のようです。

生前に考えておけることは考えておく、が最も有効な相続対策なのかもしれません。繰り返しになりますが、相続はいつどこで生じるかわかりません。これを読んでいるあなたも(不謹慎で申し訳ありませんが)、相続する側、される側にいつなるかわからないのです。そうなったときに慌てない体制づくりをしていくことが大事であることは、お分かりいただけたでしょうか。

人は亡くなってからでは、言葉を発することはできません。同時に、亡くなった人の言葉を聞くこともどうやったってできません。亡くなってからのことも、生きているうちに何とかしておかないといけないのです。その一環として、税務署や各種専門家を利用する、というスタンスでいましょう。じっくり、時間をかけて準備していけば、確かな成果を見込むことができます。焦らずにいきましょう。