相続関係図で相続手続きの戸籍謄本代が浮く!?簡単作成術!

相続登記をする時だけでなく相続の手続きには必須の戸籍謄本の取得。手続きの数だけ取得すると手数料がその分だけかかって大変!相続関係図を作って手数料代を浮かせてしまいましょう。方法をご紹介!



戸籍謄本を出してください

相続の手続きは色々あります。不動産の名義を亡くなった人から相続人に替えなければいけないわけですから、法務局で相続登記を申請しなければいけません。相続登記を忘れても特に罰則もなく、誰かから「何をさぼってるんですか」というお咎めも特にないので、放置状態を続けているという方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、不動産を売却する場合や農地相続の手続き書類の記載は相続登記をしていることが前提のため、不動産をどうにか処分しよう、届け出が必須という方は亡くなった方の法要が落ち着いたらすぐに手続きに着手するのではないでしょうか。そんな相続登記に必須の書類が戸籍謄本です。

故人の口座を解約に行くと、まず間違いなく銀行に提出してくださいと言われるのも戸籍謄本ですし、証券会社から「亡くなった方が株を所持していて。手続きしていただけますか?」と連絡があっても、戸籍謄本を準備してくださいという話になると思います。とにかく、相続手続きには戸籍謄本がほぼ必要になりますし、じゃあ一枚取得してコピーでいいですか?と尋ねても当然ですが「駄目です」と言われます。手続きの分だけ戸籍謄本が必要になり、何度役所と家を行ったり来たりして戸籍謄本ばかり取得しなければならないことか!これってとても面倒ですし、手数料代だけでもばかになりませんよね。

そんな時に使える「相続関係図」の提出で戸籍謄本取得にかかる手数料を浮かすテクニックを教えます。

なぜ戸籍謄本の提出が必要?

テクニックをご紹介する前に、簡単に戸籍謄本についてご説明します。

戸籍謄本とは、血縁の繋がりを公的に証明する書類です。血の繋がりが分かるわけですから、戸籍謄本を見れば父娘だとすぐに判断できますし、娘に子供がいて父孫関係だともすぐに分かります。母息子関係、夫婦関係も分かりますから、戸籍謄本を見ればこの人は相続人かどうかを金融機関や法務局は判断できるのです。

これが私的な書類、例えば個人が家族関係をA4のコピー用紙に図を描いて「はい、自分は相続人です」と提出したなら、金融機関も法務局も信用できないことでしょう。それに、皆さんも怒りませんか?
私的な書類はボールペンと紙、本物っぽく見せるための100均で買った認印があれば簡単に作れてしまいますよね。そんな適当な書類で相続関係を確認して家の名義や亡くなった人の1,000万円の預金を払い戻してしまったらえらいことです。私が相続人だったらとても怒ります。名義を戻せ!お金返せ!とカウンターをばんばん拳骨で叩きながらとてつもなく怒るかもしれません。

公的な書類であるからこそ意味がある。私的な書類でないからこそ意味がある。コピーでないからこそ意味がある。それが戸籍謄本です。各種相続手続きで戸籍謄本が必要になるのは、相続関係を公的な信用できる書類できちんと確認しないといけないからなんです。だからこそ相続登記の時も、金融機関の手続きの時も、他に家それぞれの相続手続きの時も、「まずは戸籍謄本を持って来てください」と言われるのです。

手続きの数だけ取得する苦労

まずは戸籍謄本で相続関係を確認し、今、窓口に来ている人は確かに相続人かどうか。あるいは、相続人からきちんと委任された代理人かどうか。手続きの際には確認が重要です。だからこそ、手続きの数だけ戸籍謄本を取得しなければならないという面倒さと懐へのダメージがあります。金融機関5つに口座を持っていた人なら「書類はA銀行に出したので省略!」とはいきませんから、BからE銀行にはそれぞれ別に戸籍謄本を提出しなければいけません。これだけで5枚です。

ただし、戸籍謄本は1枚で必要な内容が収まっていない可能性があります。父親とずっと同居している娘の相続関係を証明したい、他に相続人がいないことを証明したいという場合は1枚で確認できるということも多いのですが、例えば父親が何度も本籍地を移っていて、転籍して、結婚と離婚を繰り返して各地に子供がいて、という場合は1枚の戸籍謄本で相続関係を証明することは難しくなります。日本各地の役所に問い合わせてそれぞれの自治体役場から必要な戸籍謄本を取り寄せ、パズルのように組み合わせて相続関係を証明しなければならないのです。

それに、自分の相続関係だけが証明できればいいのではないんです。他の相続人との関係も全て証明しなければならないんです。そうでなければ金融機関や法務局は後から「あ、相続人を見逃していた!」ということになってしまいます。相続人は私一人!という相続人の主張を信じてしまえば、他の相続人も必要だった手続きや相続の割合を無視してしまうことになります。相続の割合を無視するということは即ち法律違反です。

相続人が何人いて、他の相続人はこういう関係で、自分は確かに相続人である。そのことを証明できる戸籍謄本を必要なだけ、何枚も何枚も遠くの自治体から近くの自治体まで連絡して取得しなければいけません。しかも、手続き数に足る枚数をです!銀行が5行あればそれだけで戸籍謄本が5セット必要になり、相続登記をするならさらに追加で1セットです。遠くの自治体から取り寄せなければならない場合は一度で必要枚数を判断して取り寄せなかった場合、何度も郵便でやり取りしなければいけません。



相続関係図でちょっとお得に?

戸籍謄本が徒歩5分の役場からすぐに取得でき、しかも1枚で必要な相続関係を証明できる。こんな時でも、手数料代はばかになりませんよね。戸籍謄本の取得には取得手数料が必要になります。一例として浜松市の手数料一覧をご紹介します。

証明書等交付手数料/浜松市
参照元:浜松市(2015年12月、著者調べ) たった数百円ではありますが、枚数が増えればそれだけ手数料はかさみます。手間も増えます。しかしこの手間と手数料を「相続関係図」の作成と提出でカットできることはご存知でしょうか?

相続手続きをする際に戸籍謄本が必須にされている意味と取得の手間を解説したところで、では具体的に相続関係図って何?という話と、相続関係図を利用して手間と手数料をカットする方法を説明します。

相続関係図ってなに?

相続関係図とは「相続関係説明図」とも呼ばれる書類です。難しそうな印象がありますが、そんなことはありません。

家族関係を説明する時に、普段から私たちは夫婦を二本線で繋いで、その下に子供の名前を書いて……という感じで図を書きますよね。あれが相続関係図です。実際に記載例を見ていただけばすぐに、これか!とお分かりいただけると思います。しかも、この相続関係図は無料テンプレートや各機関にダウンロード用の書式が多くあります。自分で簡単いてしまえますから、1枚作って手続き度に印刷すれば簡単です。

相続関係図を提出すると?

まず、相続関係図を提出するにしても、説明図の内容が正しいと証明しなければいけませんから戸籍謄本は必要になります。ただし、戸籍謄本と相続関係図を照合して正しいことが分かれば、戸籍謄本をすぐに返してもらえます。

相続手続きの場合、各機関の手続きごとに戸籍謄本が必要になります。しかし、一つの機関の手続きごとに戸籍謄本と相続関係図をセットで提出して終わらせ戸籍謄本を還付してもらうことで、その戸籍謄本を別の機関の手続きでも使うことができますので、結果的に戸籍謄本の取得数を少なく抑えることができます。順番に手続きをし、全ての機関で相続関係図が使え、都度、戸籍謄本の還付をしてもらうと考えれば、戸籍謄本は1セットの取得で良いことになります。その分、戸籍謄本取得の手数料が浮きます。

相続関係図はどこでも使えるの?

どこでもというわけではありません。

法務局の相続登記手続きでは使えます。また、金融機関でもほとんどの企業が使えると思います。他の役所や機関、企業の場合はケースバイケースです。

相続関係図を使いたい場合は各機関や各企業に、事前に「戸籍謄本と相続関係図を持って行きますので、戸籍謄本の還付をお願いできますか?」「相続関係図を作ったので使えますか」と問い合わせるのが良いです。法務局と金融機関は基本的に相続関係図が使えることになっていますが、こちらも念のために確認しておくことが必要です。後で持って行って「これはダメ!書式がダメ!」と言われたら手間ですから。

金融機関ではその金融機関独自の書式をダウンロード可能にしていて(もちろん店頭でももらえることが多いです)その書式を使ってくださいと言われることもありますが、インターネット上で配布している無料のテンプレートでも「使えますか?」と確認すると「その書式で結構ですよ」と言われることも多いです。

各機関で相続関係図を独自に配布している場合は、その機関一つのために相続関係図を作成し、別の機関用にそちらのテンプレートを使って作成し……となると、その分手間ですよね。ですから、事前に書式のことを確認し、どこかの金融機関や無料配布のテンプレートで1枚作成することで全ての機関の提出に対応できるようにしておけば手間を省けます。

相続関係図の書き方は簡単!

相続関係図は公的な書類ではないので自分たちで作成する必要があります。自分たちといっても相続人全員で作る必要はなく、戸籍謄本を見ながら相続人の誰か一人が代表で作成するか、司法書士や弁護士などの手続きの代理人が作成してくれることがほとんどです。とても簡単な書類ですから簡単に作ることができますよ。

相続関係説明図(pdf)
参照元:法務局(2015年12月、著者調べ) こちらは法務局の書式例です。8ページ目が相続関係図(相続関係説明図)になります。

相続関係説明図(pdf)
参照元:ゆうちょ銀行(2015年12月、著者調べ) こちらは、ゆうちょ銀行で提供している書式です。家系図を書く時のように空欄に相続人の名前を書いていくことになります。

まずは戸籍謄本を取り寄せ、手続きに使う書式を一つ定め、戸籍謄本を見ながら記載する。完成した相続関係図を相続登記や銀行の手続きをする時に印刷し、判子を押します。判子は実印を使ってください。この相続関係図を戸籍謄本をセットで窓口に持ち込んで、「確認したら戸籍謄本は返してください」と言えばOKです。

相続登記や金融機関の手続きを法律の専門家に委任する時は、それぞれの専門家ごとに相続関係図の書式を作っていることが多いです。ですから、委任した専門家に「戸籍謄本を他の手続きでも使いたい」「相続関係図で対応して欲しい」と言えばすぐに作ってもらえます。ただし、サービスとして無料で作ってくれる専門家と、相続関係図の作成手数料が別途必要になる専門家がいますので事前に確認してください。

作成自体が無料でも、相続関係図作成のベースになる戸籍謄本1セットは自分で手数料を払って手に入れるか、専門家に取り寄せてもらう場合は手数料は当然ですが依頼人への請求となりますので注意しましょう。

自分で書けなかったら?

家族関係が複雑な場合はそれだけ取得する戸籍謄本が多くなります。しかも、隠れた相続人がいないか細かくチェックしなければいけません。また、時のとても古い戸籍まで遡って調査する必要があるケースもあります。自分で戸籍の調査が難しい、相続人が分からない、家族関係が複雑、必要な戸籍謄本が多くて取得が大変という場合は、相続関係図の記載を含め調査や書類の取得を法律の専門家に委任した方が賢明です。

間違えました。相続人が足りませんでした。そうなると、遺産分割協議などの手続きが無効になる恐れがあります。漏れなく、間違いなく手続きを進めるためにも、自分では難しいと感じたら、なるべく専門家に相談してください。



最後に

相続関係説図を作成して手続きの際に戸籍謄本の還付をお願いすることで、各機関で相続関係を確認したら戸籍謄本を返してくれます。本来であれば各機関の手続きの数だけ戸籍謄本が必要になるのですが、相続関係図を使うことにより戸籍謄本の取得枚数を少なく抑え、手数料と取得の手間をカットすることができます。

戸籍謄本は、確認と書類の作成に使う分のワンセットは必要になりますが、相続関係図は書式の多いですし、相続関係が複雑でなければ自分で作ることもできます。また、事前に各金融機関や法務局に問い合わせることで、自分の選んだ書式で一枚作ることで相続の多くの手続きに使うことができます。上手く使うととても便利ですしお得な書類です。

実際に使うかどうかは別にして、こんなやり方もあるんだと覚えておいていただければと思います。