夫の扶養から外れる手続き、忘れていたらどうなる?

子育てが一段落して念願のフルタイム勤務が決定し「さぁ~バリバリ働くぞー!」と気合も十分!そんな主婦の皆さんが必ず通る「夫の扶養から外れる手続き」についてまとめました。意外と知らないことがいっぱい!しかも知らないと損します。復職する方、時短からフルタイムに変わる方必見です。



目次一覧

どんな人が扶養から外れるの?

扶養は「税の扶養」「社会保険の扶養」と2通りあります。

・税の扶養は「給与年収103万円以下」
・社会保険の扶養は「年収130万円未満」

基本的には妻の収入が上の条件を満たしていれば、税金や社会保険を負担しなくて良いということです。逆に言えば「給与年収が103万円以上、または年収130万円を超える人」は、何らかの扶養を外れなければならない、という事になります。

※この場合の税金は「所得税」、社会保険とは「健康保険と年金」です。

とは言え「扶養から外れてフルタイムで働きたい!という場合は、大抵の場合「税金も社会保険の扶養」も外れることになると思います。例えば…

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<時給850円のパートで1日7時間、週5日勤務する場合>

850(円)×7(時間)×5(日)×4(週間)=119,000円

月収11万9千円となり、年間で142万8千円の収入になります。
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こうなると、年収130万円を超えているので税金も社会保険も妻が自ら負担することになり、完全に「扶養から外れる」ことになります。フルタイムで働く、という殆どの人が扶養を外れることになりそうです。そこで、この記事では年収130万円を超えた時に必要な手続きについてまとめたいと思います。

では、いつの時点で手続きすれば良いのでしょう?



手続きのタイミングはいつ?

ここで一つ重要なのは、社会保険の扶養の条件です。一般的に「年収130万円未満」と言われていますので、そればかりが頭にありますよね。でも実は違うんです。大切なので★をつけちゃいます。

★今の月収×12カ月で求められる「見込み年収」で計算する。つまり、【月収が108,333円を超えた時】。

社会保険での収入の確認方法は、「今現在から1年間」という考え方です。1月から12月までとか、4月から3月までという一般的な考え方がベースではありません。ということは、たとえ年の途中で職について今年の年収が130万円に満たないと言っても、受け付けてもらえないのです。

継続して108,334円を超える収入があることが予想されるならば、扶養を外れなければなりません。

※扶養の資格については、加入している健康保険により違います。詳しくは健康保険にお問い合わせください。

仕事に就いて、お給料が決定した時点で扶養から外れる手続きを始めましょう。

被扶養者でなくなった方の届出はお済みですか | 都道府県支部 | 全国健康保険協会
参照元: 全国健康保険協会(2015年12月時点、著者調べ)

夫の手続き

1.『健康保険被扶養者(異動)届』の提出

まずは夫が会社へ「妻の収入が増えたため(又は就職したため)、扶養を外す手続きをしたい」と伝えることからスタートします。

この手続きは、待っていても誰も声を掛けてくれません。そのため、扶養から外れる手続きをし損ねる人が多いのです。このような公的な手続きは、ほとんどの場合積極的に攻めないと損するような気がします。

ともあれ、手続きを申し出ると会社の担当部署から『健康保険被扶養者(異動)届』という書類をもらいますので、記入して提出します。

もらえない場合は会社が加入している健保組合、または協会けんぽに加入していれば年金事務所に問い合わせてみましょう。協会けんぽの場合は、日本年金機構のホームページからもダウンロード出来ます。(健保組合の場合もWebからダウンロード出来ることが多いようです。一度調べてみて下さいね!)

家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ) 協会けんぽの申請書がダウンロード出来ます。



この書類によって、妻を夫の扶養から削除して欲しいという届け出が完了します。

妻の使っていた保険証も書類と一緒に返します。

2.『被扶養配偶者非該当届』の提出

妻が「国民年金・国民健康保険」に自分で加入する人は、もう1枚書類が必要です。『被扶養配偶者非該当届』というものです。

この「被扶養配偶者非該当届」に記入して提出することで、「妻が国民年金の第3号被保険者の資格を喪失する」という届を出したことになります。こうしてきちんと「第3号」を卒業しておかなければ、手続きを忘れた人がずっと3号でいてしまう恐れがあるのです。それでは支払うべき年金を支払えない状況に陥ってしまい、後々困ることになります。

※第3号被保険者とは、厚生年金保険や共済組合の加入者である第2号被保険者に扶養されている人のこと。国民年金の保険料を直接納めなくて良い。

協会けんぽの場合、この書類は前出の「健康保険被扶養者(異動)届」と3枚1組になっていて(2枚目は複写)、3枚目が『国民年金第3号被保険者 資格喪失届(被扶養配偶者非該当届)』になっています。

健保組合の場合は別紙ですので、年金事務所に問い合わせるか、日本年金機構のホームページでダウンロードするようになると思います。

被扶養配偶者非該当届(PDF 187KB)|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ)

「被扶養配偶者非該当届」について|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ)

3.『資格喪失証明書』の交付を受ける

そして、最後に『資格喪失証明書』を発行してくれるように会社の担当の人に依頼します。社会保険の扶養が外れた日を証明する書類です。妻が国民年金・国民健康保険に加入する際に必要になります。
会社で出してもらえない場合は、加入していた健康保険に問い合わせてみて下さい。協会けんぽの場合は、年金事務所で交付してもらえます。

国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ)

4.年末調整の書類で妻の収入を申告する

年末に近づくと、毎年会社から「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告書」を貰うと思います。

その年に妻の収入が増えて扶養から外した場合は、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」に妻の名前を書きません。これは「配偶者控除」を受けるためのものだからです。配偶者控除は年収103万円以下の妻がいる場合にだけ適用されます。

そしてその妻の年収が141万円未満の場合は、「給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告書」に妻の年収を記入して提出すると、配偶者控除の代わりに「配偶者特別控除」が受けられます。141万円以上の場合は、何も書かないで提出します。(受けられる控除がないのです)

[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|源泉所得税関係|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)

[手続名]給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告|源泉所得税関係|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)

夫の会社での手続きまとめ

1.『健康保険被扶養者(異動)届』を提出
2.『被扶養配偶者非該当届』を提出(妻が新たに国民年金/健康保険に加入する場合)
3.『資格喪失証明書』を発行してもらう
4.『年末調整』の書類を正しく記入する

※この手続きは一般的な手続きを大まかにまとめたものです。細かな部分や必要な書類は夫の勤め先や加入健康保険等により異なる場合がありますので、お問い合わせの上お手続きなさることをおすすめいたします。

年末調整以外の手続きは、収入が増えた時点から【5日以内】に行わなくてはなりません。もし過ぎていたら、速やかに手続きしましょう!

妻の手続き

扶養を外れた妻は、これから加入する「年金」「健康保険」について手続きが必要です。勤め先で社会保険に加入する場合は、特に自分でする手続きはありません。会社の指示に従えばOKです。(その際に年金手帳等が必要になります)

勤め先で社会保険に入ることが出来ず、自分で国民年金と国民健康保険に加入する人は、次の手続きが必要となります。扶養を外れてから必ず【14日以内】に行いましょう。

<国民年金>
お住まいの市役所(区役所)または町村役場で、第3号被保険者から第1号被保険者に変更する⼿続きをする。

必要なもの:年金手帳・印鑑・本人確認が出来るもの・資格喪失証等

<国民健康保険>
お住まいの市役所(区役所)または町村役場で、国民健康保険の加入手続きをする。

必要なもの:印鑑・本人確認が出来るもの・キャッシュカード・資格喪失証明書等

※顔写真付きの本人確認書類を持っていくと、保険証をその場で(窓口で)発行してくれる場合もあります。(顔写真無しの場合は郵送)急ぎの場合は問い合わせて見て下さいね!

※実際に必要なものは役所へお問い合わせください。

手続きをしないと、こうなります

妻の収入が増えて勤め先で社会保険に加入できる場合は、手続き遅延によるトラブルは少ないようです。新しい保険証を支給されますから、夫の扶養を外さないままでいると保険証が2枚になり、手続きを見過ごすことも考えにくいからです。

問題が起こるのは、妻がその後【国民年金&国民健康保険】に自ら加入しなければならない場合です。この章では、そのような場合に手続きを忘れていたらどうなるか…をまとめます。

妻の月収が何カ月もの間108,333円を超えているのにも関わらず、夫の会社に扶養から外れる届け出をしなかった場合は、次のような対処法がとられます。

【扶養は遡って取り消される】

これはどういう事でしょう!?

つまり扶養の資格がなくなったとされる日から扶養削除の手続きをするまでに、支払うべきであった諸々のお金を返さなければならないのです。しかも、その支払いは一気にくることになります。

その期間にもよりますが、方々から送られてくる高額の請求書をみて青ざめるというパターンが多いようです。

ここではどんなお金を支払わなくてはならないのか、ひとつひとつご紹介します。

国民年金保険料

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、誰しもが公的年金(国民年金・厚生年金)に加入しなくてはなりません。

夫の扶養に入っている主婦は、サラリーマンや公務員に「扶養された配偶者」だけに許される「第3号被保険者」という立場です。第3号被保険者自身は保険料を支払わらなくても、夫が加入している年金制度が負担してくれています。その年金制度…というのは、そもそもは厚生年金や共済年金の加入者が支払った保険料等から成り立っています。そう、支払う義務がないというのは、実は「誰かに負担してもらっている」からなのです。

だから、収入が増えて扶養の資格を失ったのにも関わらず「扶養された配偶者」の立場のままではマズいのです。扶養の資格を失った時(年収の見込みが130万円を超えた時)から、自分で年金保険料を負担しなければいけません。

という訳なので、もしも手続きしないでいると、資格喪失日から手続きをするまでの間に発生した国民年金保険料を請求されます。

平成27年度の国民年金保険料は月額15,590円でしたので、それを参考に単純計算すると、半年手続きを放置すれば93,540円、1年で187,080円の請求が来ることになります。手続きが遅れるだけ高額になり、貯蓄額によっては家計が傾く恐れもあります。支払いが厳しい時は、分割にしてもらえないか等の相談をしてみましょう!

また、通常は保険料の支払いを2年以上放置してしまうと「未納期間」となり、将来受け取る年金額がその分少なくなってしまいます。その特例措置として平成27年4月1日から平成30年3月31日までの期間限定で、手続きを行えば追納出来るようになっています。該当する方は、一度下のリンクをチェックするか、最寄りの年金事務所にお問い合わせくださいね!

第3号被保険者(専業主婦・主夫)からの手続きが遅れた方へ|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ)

専業主婦、主夫の皆様へ(PDF 813KB)
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ) 特定期間該当届・特例追納のご案内

国民年金第3号被保険者の保険料について|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ)

専業主婦が陥る「知らぬ間に年金未納」のワナ :日本経済新聞
保険料を支払わなくても国民年金が受け取れる「第3号被保険者」。主に会社員または公務員と結婚している専業主婦が受けられる恩恵だが、パート収入の増加や夫の退職などで資格を失うことがある。

国民健康保険料

健康保険は上の年金と同じく、生活保護等の特別な理由が無い限り、国内に住む誰しもが入らなければならないものです。扶養の資格が無いのに外れる手続きをしない(扶養に入ったつもりでいる)という事は、その間国保にも、夫の会社の健康保険にも実は加入していないということになります。

そのため、その間加入しているべきだった国民健康保険に遡って加入しなければなりません。イコール、その間の保険料を遡って請求されます。一般的な人であれば、医療保険の加入に空白期間は存在しないのです。

千葉県長柄町のホームページで、状況は違いますが分かりやすいQ&Aがありましたので引用させて頂きます。(2015年12月著者調べ)

(Q)会社を2年前に退職し病院にもかからなかったので国保にはいりませんでした。近日中に病院に行くので国保に入りたいのですが加入は加入申込をした日からですよね?

(A)いいえ。国民健康保険の加入日は国民健康保険法第7条「当該市区町村の区域内に住所を有するに至った日又は前条各号のいずれにも該当しなくなった日」という規定により、 たとえ2年前であったとしても会社の退職時点までさかのぼります。国民健康保険税も遡及して課税させていただきます。 会社等を退職したりと国民健康保険加入の事由が生じた場合の加入手続きはお早めにお願いいたします。

出典:

www.town.nagara.chiba.jp
また請求書が来たら、期限までに支払うようにしましょう。支払いが困難な時は、年金の場合同様早めに担当の課に相談することをおススメします。

保険料の滞納に対する処置は年金より厳しいようです。督促状がきたのに長い間支払いをしないでいると、保険証が使えなくなるため医療費を全額負担しなければなりません。最悪の場合、財産を差し押さえられることもあります。国保を滞納すると徴収員が家に訪問することもあります。

※国民健康保険の運営は各市町村が行っており、国民健康保険法の他にそれぞれの条例で決められた事項がある場合もあるようです。お住いの市町村により、対応が異なる場合がありますので必ず担当課にお問い合わせ下さいね。

川崎市:保険料を滞納した場合

医療費

扶養から外れる手続きを放置していた期間は、いわゆる「無保険」状態です。その状態で、本来なら返還するべき保険証(夫の健康保険から発行)で医療機関を受診していたら…。私たちは通常医療費の3割を支払っているので、残りの7割を健康保険に返還しなければならないのです。

その期間、本当なら「国民健康保険」に加入し、その新しい保険証で受診すべきでした。

ここからは、市町村により対応に差があるようなので注意が必要です。

・健康保険に返還した7割分の医療費を、国保に遡って加入したので国保から返還してもらえる。
・健康保険に返還した7割分の医療費は、国保に遡って加入しても戻ってこない。

前者は、市町村がやむを得ない理由があると判断した場合「療養費」として支給されるようです。後者はその反対ですね。もしくは、そもそも返還しないという市町村もあるかもしれません。

どちらにしても、多くの市町村のホームページには「手続きが遅れた際、その期間に発生した医療費については全額自己負担となる(or 場合がある)」と書かれています。その後の対応は、市町村次第ということでしょう。

住民税・所得税

妻の住民税は勤め先で特別徴収されるか、されない場合は年末調整により自治体に送られた収入を元に、住民税の請求書が家に届きます。所得税は源泉徴収されています。

ということなので、扶養から外れる手続きをしなくても、妻自身が何か余分に支払うべきものはありません。

ただし、夫が年末調整の書類を正しく記入して提出していないと、夫は「配偶者控除」を受けたままという事になります。つまり所得税と住民税の優遇を受けているのです。やはりその分の税金を返さなければなりませんので、年をまたいで気づいた場合は夫が税務署へ行って確定申告をします。

確定申告をしないでおくと、税務署から夫の会社へ連絡がくる可能性があります。そうなると少し面倒でしょうから、早めに確定申告をして納税した方が良さそうです。

扶養手当

夫が会社で「扶養手当」を支給されていた場合は、妻が扶養を外れたらもらえなくなります。会社により規定が異なるので一概には言えませんが、妻を扶養から外す手続きをしないでおくと、その間支給された扶養手当を会社に返還しなければならない場合が多いようです。

これが高額で困る、という声もネットには沢山見られました。そうならないために、出来るだけ早めに届け出るようにしたいですね!

おわりに

世の中、知らないと損することばかりですね…(涙)もしも手続きが遅れてしまっている人は、直ぐに手続きをした方が良さそうです。これから扶養を外れる人のために、重要なポイントをおさらいしたいと思います。

・収入が増え、扶養の資格を喪失するのが分かったら、【5日以内に夫の会社で手続きをする】。

・夫の年末調整の資料を正しく記入して提出する。

・扶養の資格を喪失したら、【14日以内に市町村の役所、役場で国民年金、国民健康保険の加入手続きをする】。(社会保険に加入しない場合)

です!自分の収入が扶養される資格があるかどうか分からない場合は、夫が加入している健康保険に問い合わせてみましょう。5日以内とか14日以内…あっという間ですよね!分からないことがあったら、早めに問い合わせてアクションを起こすことが大切だと思います。