【相続の流れ】手続き期限はなんと10ヶ月!早めの行動がポイント

相続と一言で言っても、最終的な財産の相続までには多くの手続きがあります。厄介なのは、いろいろなケースがあること。相続人全員が判明していないとか、相続財産より借金の方が多いとか、「こんな時はどうすればいいの?」と悩みがちなのが相続手続きです。ここでは、基本的な相続の流れについてまとめてみました。



相続の流れ

相続の大きな流れ

相続の大きな流れは、以下の通りです。最後の相続税申告までを、相続人が被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。

・遺言書の有無を確認する
・相続人の相続承認、限定承認、相続放棄を行う
・相続人の所得税申告、納付
・相続税申告と名義変更

No.4208 相続財産が分割されていないときの申告|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)



遺言書があるかどうか

遺言書が残っていれば、検認などの手続きを経て遺言書が執行され、相続人の相続承認・限定承認・相続放棄という手続きに移ります。

自筆証書遺言は検認手続きが必要

遺言書があるかどうかで、その後の手続きが変わってきます。遺言書には決まった方式はありませんが、自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言と呼ばれるものがあります。自筆証書遺言とは、亡くなった相続人が直筆で遺した遺言書のことを言います。

偽造しやすい、人によっては何通も自筆証書遺言が残っている、といったこともあるため、相続の手続きの際には家庭裁判所に行き、検認の請求を行う必要があります。

公正証書遺言

遺言書があるかどうかで、その後の手続きが変わってきます。遺言書には決まった方式はありませんが、自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言と呼ばれるものがあります。公正証書遺言とは、遺言書を作成する時に2人以上の公証人が立ち会った遺言書を言います。作成の過程に専門家が関与できるため、家庭裁判所で検認の手続きを経ずにスムーズに相続が開始できる形式の遺言書です。

法務省:公証制度について
参照元:法務省(2015年12月時点、著者調べ)

“日本公証人連合会|Q&A 遺言
参照元:“日本公証人連合会(2015年12月時点、著者調べ)

遺言書がない場合は早めに対策を

突然亡くなったり、遺言書を用意する前に意識がなくなってしまうなど、不測の事態で遺言書が遺されなかった場合には、①相続人の確定②財産調査を行う必要があります。

まず相続人の確定ですが、相続人にあたる親族や相続の割合に関する取り決めは民法上で定められています。その定めに従って、相続人となるべき人がどこにいるのか、生存しているのかなどを調査する必要が出てきます。中には数十年音信不通になっているケースも珍しくないようです。

遺言書がない場合には、遺言書代わりとして遺産分割協議書という書類を作成する必要がありますが、この書類には相続人全員の実印と印鑑証明が必要になります。そのため、この段階で正確に相続人を確定しておくことはとても大切です。

次に財産調査ですが、預金通帳が何冊も残っていたり宝飾品や不動産があったりと、被相続人が有していた財産は多岐に渡ります。これらを全て調査して財産目録を作成することが大切です。遺言書を残している場合でも財産調査を行い、財産目録を作成しておくことが大切です。

承認、限定承認、相続放棄

次に相続人が相続をするかどうかを決める「承認」に入ります。相続における承認には、単純承認・限定承認があり、承認をしない場合、すなわち相続しない場合には相続放棄をしなければなりません。この決定は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から3ヶ月以内に行わなければなりません。

単純承認とは

単純承認とは、相続財産を全て相続することです。単純承認をした場合は、借金も全て相続することになります。単純承認をするためには特に手続きはいりません。後に述べる限定承認や相続放棄をせずに3ヶ月が経てば、単純承認をしたものとみなされます。

注意しなければならないのが、借金よりも財産の方が多いと思って単純承認した場合です。この時に、3ヶ月を過ぎてから借金の方が多いことが分かったので相続放棄したいと思ってもできません。

限定承認とは

限定承認とは、相続財産の限度でのみ債務を負担することを留保して相続を承認することです。これは、
被相続人にまだわかっていない借金などがある可能性がある場合や、借金などの債務の方が多いと分かっているけれど相続放棄は人道的にできない、と考える人などが行うことが多いようです。

単純承認と違って限定承認には家庭裁判所での手続きが必要です。また、限定承認は相続人全員が共同してする必要があるので、一人でも限定承認は嫌だ、という相続人がいる場合にはできないこともあります。

相続放棄とは

相続放棄とは、相続財産や被相続人の権利義務を一切相続しないことを言います。相続財産よりも借金の方が明らかに多い場合などに使われます。限定承認と同様に家庭裁判所でその手続きをする必要がありますが、限定承認と違うのは相続人全員の同意が必要ではない点です。相続放棄は単独ですることができます。



準確定申告から相続税申告まで

準確定申告

納税者である相続人が死亡した場合は、その年度内(1月1日から死亡した日まで)の確定申告が必要です。これを準確定申告と呼びます。これは相続人が行うことになっており、相続開始があったことを知った日の翌月から4ヶ月以内に申告と納税まで必要とされています。

この「相続開始」については、民法で「相続は死亡によって開始する」と定められています。よって、準確定申告は、被相続人が死亡した日の翌日から4ヶ月以内に行う必要があります。

No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)

相続税の申告、名義変更

準確定申告後、遺言書がなかった場合には相続人全員で遺産分割協議書を作成します。この遺産分割協議書には決まった形式はなく、手書きでもパソコンで作成してもよいとされています。しかし必ず必要なのが、相続人全員の直筆の署名・実印と印鑑証明です。

ここまで手続きが終われば、最後の手続きとなる相続税の申告と財産の名義変更に移ります。相続税の申告も簡単であれば専門家に頼らずに自分でできますが、相続財産が多岐に渡ったり、金額が大きい場合などには、一度税理士に相談したほうがいいかもしれません。

相続税の申告のしかた(平成26年分用)|パンフレット・手引き|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)

まとめ

相続の手続きは、最後の相続税申告まで10ヶ月で行わなければなりません。その間にやるべきことや決めなければならないこと、調べなければならないことが沢山あります。できるだけ早い段階で専門家に相談することをおすすめします。 本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。