ふるさと納税のデメリットとは?お礼品に課税されることがある!?

ふるさと納税は魅力とメリットのある制度ですが、相応のデメリットもあります。しかも、お礼品に課税されることもあるの!?ふるさと納税を利用する上で知っておくべきことをデメリットを中心に説明します。



ふるさと納税の光と闇

ふるさと納税は、日本各地の自治体に寄付をすることにより税金の控除を受けられる上に寄付先の自治体から地方色豊かなお礼品が受け取れるという魅力的活お得なサービスです。

節税効果とお礼の魅力により近年は色々な控除制度の中でもっとも有名な制度の一つに数えられています。ふるさと納税を利用したことのある人だけでなく、利用したことのない人でも名前は知っている制度へと発展したふるさと納税はとてもお得で家計にも自治体にも優しい制度であるといえます。しかし、このふるさと納税にはメリットと同時にデメリットも指摘されています。中には、「これは知っていた方がいいのでは?」という危険なデメリットもあります。

税金がお得になり、お礼をもらって、やったーお得!だけでは済まない制度です。今回は主にふるさと納税のデメリット、使い方を間違えたら危険な部分を中心に検討してみましょう。デメリットも知ってこその制度。きちんとどちらも知って、用法を守って正しく活用しましょう。

総務省|ふるさと納税ポータルサイト
参照元:総務省(2015年12月、著者調べ)



まずはメリットを知る

デメリットを紹介する前に、簡単にメリットについて説明します。今回はデメリットを中心に話を進めますが、メリットの多い魅力的な制度であるからこそこれだけ人気があるのだということも忘れてはいけません。

節税効果

ふるさと納税はふるさと納税という名前ではありますが、昔からある寄付金控除という控除制度の一種です。寄付金控除とは、国や自治体、特定の団体に寄付をすることで税金の控除を受けることができる制度です。

控除とは、税金算定の大本の金額から控除対象の金額を引くことができるという決まりです。分かりやすく説明しますと、所得が500万円で税金が10パーセントだったとします。この時に、控除がないと税金算定の基礎になる金額は500万円ですから、税金は50万円になります。しかし、10万円を寄付し、その寄付額が控除対象になりますという場合は500万円から10万円を引いて490万円が税金算定の基礎になる金額になりますから、税金は49万円と控除された分だけ安くなることになります。これは、納税者にとっては美味しいに決まっています。

ふるさと納税でいくら寄付するとどれくらい控除と税金の面でメリットがあるか、どのくらいの金額が寄付金として最もメリットが出るのかは各家庭、所得、家族形態によって異なりますので、自分の家の状況を考えて寄付をする必要があります。しかし、寄付をすることによって控除を受けることができますので、税金面ではふるさと納税をすることでお得になります。各家族形態、所得ごとに最もメリットの出る寄付金額は総務省のサイトで確認することができますので参照してください。

総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について
参照元:総務省(2015年12月、著者調べ)

魅力的なお礼品がもらえる

ふるさと納税は寄付金控除の一種です。寄付金控除は寄付金を税金の算定額(所得など)から控除することにより計算結果(税金)がお得になるという制度。

ふるさと納税で「税金がお得になる!」と一気に人気が高まった感があるこの控除は昔からありました。ふるさと納税ができる前から国や自治体、特定の団体に寄付をすることで控除の恩恵を受けられるという制度はあったわけです。しかし、ここまで人気も知名度もありませんでした。ふるさと納税の税金がお得になるシステムは確かに大きな魅力ではありますが、それだけではここまで有名にはなっていなかったでしょう。

ふるさと納税の人気が爆発的に出た最大の理由は、この寄付先の自治体からもらえる魅力的な各種のお礼品ではないでしょうか。控除が最大の魅力であれば、寄付金控除自体に人気があったはずです。しかし、寄付金控除だけでは今ほど知名度はなかった。知名度をぐんと上げた一押しはまさにこのお礼品であったに違いありません。

ふるさと納税のお礼品は、例として1万円を寄付するとした場合、控除が8,000円ほどで、お礼品は3,500円から6,000円くらいでラインナップされています。各自治体はそれぞれのお礼品の原価を公開してはいませんが、多い自治体で寄付金の半分をお礼品の買入れに使っているという話がありますので、大体このくらいであると算定されています。控除額とお礼額を足すと、1万円という寄付額より高くなって還ってくるのが現状です。これは大いなるメリットといえるでしょう。

お礼品自体も人気です。肉、魚介、果実、宝飾品、レジャーの優待券など、ふるさと納税のお礼品は地方色豊かであり、中には高価な物や珍しい物も多く並んでいます。お店では手に入らないお礼品も多くラインナップされ、人気を呼んでいます。お礼品がもらえれば、食卓も生活も豊かになりますね。

一例として、お礼品が人気の自治体をいくつかご紹介します。並んでいるお礼品を見ると、なるほど、これは人気が出るのも頷けると思っていただけるのではないでしょうか。

平戸市ふるさと納税特設サイト | やらんば!平戸市応援寄附金
参照元:平戸市(2015年12月、著者調べ)

山形県天童市/ふるさと応援寄附てんどう
参照元:天童市(2015年12月、著者調べ)

頑張れ増毛応援寄附〜増毛町ふるさと納税〜|増毛町
参照元:増毛町(2015年12月、著者調べ)

自治体の懐が豊かになる

ふるさと納税は特定の自治体に寄付をする制度です。寄付金をもらえばもらうだけ自治体は潤うわけですから、税金でまかないきれないところにまで手が回るようになります。

自治体の最も重要な仕事は、住民の生活を支えることです。ですから、生活に直接的に関係のないところは、整備したいと自治体側が考えても税金を使う優先順位を思えばお金を使うことはなかなかできませんでした。しかし、ふるさと納税の寄付金は、各自治体が「ここに使いたい!」という計画のようなものを掲げ、寄付者も使い道を指定して寄付をすることができます。

ここに使いたい!という部分は、一概には言えませんが、各自治体が税収ではなかなか手が回らなかった自然の保全や産業の重点的な強化、住民への補助、伝統文化の保護といった使い方がなされているようです。確かに、税収だけではなかなか手が回らない部分ではないでしょうか。その他、他の団体と協力し、動物の保護に尽力している自治体もあります。

神石高原町のファンになってください!
参照元:神石高原町(2015年12月、著者調べ)

メリットは本当にメリットなの?

ふるさと納税の代表的なメリットを3つ挙げました。

一般的にこれらはメリットではありますが、実はふるさと納税においてはメリットがそのままデメリットになってしまっているのです。ふるさと納税のメリットとデメリットを考える上では、メリットをそのままひっくり返してしまえばデメリットになってしまいます。では、実際にひっくり返してみましょうか。

ふるさと納税のデメリット

ひっくり返してみると、あれれ?メリットが急にデメリットになりました。デメリットと共に知っていただきたいふるさと納税のリスクがありますので一緒に解説します。

収益が減少

ふるさと納税は個人にとっては節税を期待できる制度ですが、自治体にとっては時にもろ刃の剣です。なぜなら、寄付金が集まると懐は潤うけれど、集まらなければ収入が減少するに決まっているからです。

本来入ってくるはずの税金が控除によって少なくなればその分、懐は寂しくなります。その分、寄付金が多ければ色々な事業計画に使うこともできるけれど、寄付金が思うように集まらなければ純粋に減少します。

収益が減っても、自治体は住民の生活のために一定のサービスを続けなければいけません。ふるさと納税で他の自治体に寄付をしている人がまったく税金を払わないわけではありません。ですが、入って来るお金は減りますから、お金は少ししか入って来ないのにサービスの水準を保てというしんどい状況になります。

一般市民であれば夕飯のおかずを一品減らしたり、欲しい物を我慢したりと節約することができます。ふるさと納税を利用して節税することによって家計負担を減らすということだってできるでしょう。しかし、自治体はそれができません。しかしサービス水準は落とせないのです。

収入が減るのに節約できない。私たちが節税効果を喜ぶ半面、自治体によっては減収効果で頭を抱えていることを忘れてはいけません。

豊かになった反面、貧しくなる

前項に繋がるデメリットです。寄付金は自治体間に格差を生んでいます。税金の場合、自治体の状態や人口、大きさによって収入が変わります。国から税金が地方に渡される時も、そういった状況を考慮して金額が決められることになります。しかし、寄付金によってバランスが崩れている面があるのも確かです。

寄付が集まる自治体は自分の自治体をさらに魅力的に輝かせることができますが、寄付が集まらない自治体は前項で書いたように収入が減って困っています。だったら困っている自治体ももっと寄付が集まるように頑張ればいいじゃないと思われるかもしれません。では、ここで皆さんに問いましょう。皆さんが寄付をする時の判断基準は何ですか?お礼品の豪華さや魅力で判断してはいないでしょうか?

お礼品で寄付先を決めるのは決して悪いことではありません。くれると言っているのですし、ふるさと納税はれっきとした国に認められた制度です。利用することが悪いはずがありません。お礼品だって、魅力的な自治体に寄付が集まるのは当然ですし、その自治体が責められる理由もないでしょう。

しかし、寄付金集めを頑張ってと自治体に言うことは、そのまま「お礼品を他の自治体よりいいものを用意して!」という話に直結してしまうのが現状です。うちはこれだけの寄付でこんな物をあげます!だったらうちの自治体はもっと奮発します!終わりのない競争、過熱し過ぎたお礼合戦です。寄付金が多く欲しいからお礼品をどんどん豪華にする。こんなことで良いのでしょうか?

自治体間の戦いに静止が!

お礼合戦はふるさと納税という制度の人気に伴い、白熱しています。白熱し過ぎて、ちょっとこれはどうか?というお礼品を用意する自治体まで出てきました。

京都府宮津市では、平成26年にふるさと納税のお礼品として約750万円相当の土地を用意しました。寄付額1000万円に対するお礼品です。さすがにこれはどうか、やり過ぎではないか?ということで、総務省からストップがかかりました。土地は換金もできますし、地価が値上がりすれば寄付額を超える譲渡益を得ることも可能です。これはお礼品ではなく税控除の対象ではなく特別の利益ではないかと総務省が判断した結果です。

群馬県太田市ではスバルの乗用車をお礼品として用意する予定でしたが、こちらも、さすがにどうか?という声が上がって取り止めとなっています。額の大きなお礼品をもらった上に控除まで受けられるのですから、お金そのもののような金券やあまりに高額なもの、換金性の高いものはいけないのではないかという思考です。

一般市民にとっては、「くれるというならもらう」「どうぞどうぞもっとやれ!」「もっといいお礼品をくれ!」という気持ちもあるかもしれません。自分は相応の寄付をしている、そしてお礼品をくれると言っている。だったらいいものが欲しいという理屈です。しかし、果たしてそれでいいのでしょうか?

実は「もっといいものをくれ!」この一声が非常にリスクの高い一声だってご存知でした?



ふるさと納税のお礼品に課税!?

ケースによってはふるさと納税のお礼品に課税される可能性があります。

ふるさと納税のお礼は一時所得に該当するため、一定額以上のお礼をもらうとお礼品が所得税の課税対象になるのです。

所得税の中でも一時所得は継続的ではない、一時的な所得に対しての課税です。懸賞や福引きの賞品、競馬や競輪の払い戻し金、埋蔵物などで所得を得た場合はこの一時所得として、総収入から支出額と50万円の特別控除を引いて、越えた額が課税対象になります。実際に一時所得としてお礼品で課税されるためには億円単位の年収を得てかつ400万円以上の寄付をしなければならない計算になるのですが、課税されるケースもあることは覚えておきましょう。

税金の話とは別かもしれませんが、制度が加熱し過ぎて「もっともっと」となった場合は、今後、相応の静止や対策、課税も有り得るということは可能性の一つとして留めておく必要があります。

No.1490 一時所得|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

「ふるさと寄附金」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係|所得税目次一覧|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

法第205条《徴収税額》関係|通達目次 / 所得税基本通達|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

最後に

人間の性格も、長所が過ぎれば短所になります。

陽気な人も陽気過ぎれば「あの人、空気読めないよね」と言われてしまいますし、冷静過ぎると「冷たい」とか「あの人、挑戦するっていう気がないよね」なんて言われてしまいますよね。制度だって同じです。長所を伸ばし過ぎればたちまち短所に早変わりです。にんにくが体にいいからといって食べ過ぎると栄養失調になりますし、臭いの面でも酷いことになるでしょう。それと同じです。極端になり過ぎれば、たちまちバランスを欠いて素晴らしいはずの部分がいけない部分になってしまいます。

ふるさと納税の問題点は個人レベルではなかなか対応しきれない部分が多いです。自治体の税収のバランスが崩れたからといって、それを個人レベルで是正するのは不可能に近いでしょう。お隣の奥さんがA市に寄付したらしいから、じゃあ私はB市なんて考えても、その年の寄付額を合計してみたらB市がダントツ、なんてことだってあるかもしれません。

行き過ぎた場合は、ご紹介したように総務省が待ったをかけることがありました。今後の制度の中身が改善される可能性があります。私たちのように制度も日々進化している。長所と短所を持ちながら存在している。そんな長所と短所は確かに個人ではなかなかどうすることもできないけれど、頭に入れた上で利用する必要があるのではないでしょうか。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。