カードローンにおいて過払い金とは?その発生の原因と流れを解説

カードローンで過払い金を請求するとはどういうことでしょうか?それにはやはり過払い金が発生した金利の歴史そのものを理解する必要があります。その過程が理解できて初めて過払い金の意味が理解できます。そして次は請求方法です。あなたご自身、もしくはあなたのお知り合いにこの対象者の方がいるかもしれません。今回はこれに言及します。



過払い金とは?

過払い金というのは、金融機関が過去に違法に取りすぎていた金利をカードローン利用者が本人、もしくは司法書士、弁護士などの代理人を通じて請求することで、本人に返還されるお金のことをいいます。

返還にはふたつの方法があり、直接本人に対し現金で返される場合と、現在の借入金の元本と相殺されて返済すべき元金が減額される場合があります。

いずれにしても過払い金は本人からの請求がなければ一切返還されず、また後述するように返還請求には時効があるので、一定期間を過ぎますと請求する権利そのものが失われてしまいますので注意が必要です。

過払い金とは?払い過ぎた利息(グレーゾーン金利)が戻る
参照元:司法書士法人 新宿事務所(2015年12月時点、著者調べ)



過払い金が発生した背景

過払い金がなぜ発生したかの背景について学びます。

2006年以前、大きな社会問題が発生していました。いわゆる「サラ金地獄」の問題です。
経済がバブル状態になり日本社会全体が浮かれていたころ、多くの人が貯蓄より消費優先とどんどん借金をして物を買い、借金を増やしていました。
ところがバブルがはじけて一転、社会全体を不況感が襲いました。
借金に借金を重ねてきた人たちが返すお金の当てを失い、金融機関から厳しい取り立てに遭う状況に至りました。

厳しい取り立ては多くの自殺者を生み社会問題となって、やがてその厳しい社会の目は取り立てを行っていた消費者金融に直接向かうようになっていきました。
そういう流れの中でこの過払い金問題もクローズアップされるようになったのです。

過払い金発生のメカニズム

従来から金利に関する法律にはふたつありました。
「利息制限法」と「出資法」です。

「利息制限法」ではそれぞれ借金の額によって付けられる金利の上限があり、具体的には元本10万円未満20%、10万円以上100万円未満18%、100万円以上15%と決められていました。ただ当時、これを超える金利を金融機関が付けたとしても別に罰則規定はありませんでした。
一方「出資法」では金利の上限を一律29.2%と定めており、これを超える金利を付けた金融業者には厳しい刑事罰がありました。

そのため、各金融機関ではこの「利息制限法」の上限金利と「出資法」の上限金利29.2%の間にある金利のゾーンで利用者に金利を払わせる行為が横行しており、このゾーンのことを当時「グレイゾーン」と呼んでいました。しかし、これはある意味「利息制限法」が罰則を適用していないことを軽く見た金融機関の甘えの構造であり、本来的には「利息制限法」を越えた金利なので違法だったわけです。

そしてこれが当時大きな社会問題となった消費者金融中心の高金利貸し付け、激しい取り立てによる自殺者の増大の要因と見なされたわけです。

貸金業法のキホン:金融庁
参照元:金融庁(2015年12月 著者調べ)

最高裁判決以降

しかし、2006年1月、最高裁でこのグレーゾーン金利でお金を貸し出す行為、当時は「みなし弁済」と呼ばれていましたが、このみなし弁済を否定する判決が出されました。

この最高裁判決を受けて以後、同年12月貸金業法が制定され、金利の上限をそれまでの29.2%から貸出額に応じて15%~20%に引き下げることで、いわゆるグレーゾーン金利での取り扱いが不可能になりました。さらに約4年の金融機関側のシステム構築や社会への周知徹底の期間を経て、最終的に2010年6月、この改正貸金業法は完全に施行されました。
ただこの流れは単に法律の改正にはとどまらなかったのです。

みなし弁済とは? | 債務整理・過払い金ネット相談室
参照元:LSC綜合法律事務所(2015年12月時点、著者調べ)

過払い金請求への動き

この法律改正の動きに伴う過払い金の問題は、当時、金融機関による過剰な取り立て行為とともにマスコミに大きく取り上げられました。そのため、利用者が金融機関に違法に金利を取られていたことに気付くようになり、次々と金融機関に対して過払い金請求を行うようになっていったのです。

さらにその過払い金の総額は各金融機関にとって膨大な額になってしまったために、当時消費者金融最大手武富士を筆頭に多くの金融機関に倒産や業務縮小をもたらしました。この動きは現在に至ってもまだ続いています。

貸金業法Q&A:金融庁
参照元:金融庁(2015年12月 著者調べ)

過払い金が請求できる人って?

では、どのような人が過払い金請求をできるのでしょうか?

過払い金請求は債権のひとつです。どんな債権でも永久に行使できるのでなく時効があるように、過払い金請求も時効があります。一般的に過払い金請求は10年で時効が完成すると言われています。過払い金の請求の権利が発生するのは最後にその金融機関との取引が終了した日からです。

すでに2010年6月から改正貸金業法が完全施行され、以降の貸金については全て利息制限法内での金利で貸し出されていますので、この時期以降では過払い金の対象となる貸金はありません。一方、それ以前になると俄然この過払い金請求の対象となる貸金が発生してきます。2006年以前は言うに及ばず、2006年~2010年の間もグレーゾーン金利での貸し出しが常態化していたからです。

ただ前述したように10年という時効がありますので、2015年12月現時点からさかのぼれば、7.8年前に金融機関に借金があって、しかもそれまでに長期間返済を続けていた人なら十分過払い金請求の当事者となる可能性はあります。しかし一日一日時効が近づいていますので、可能性があるのならできるだけ早く行動を起こすのに越したことはありません。

過払い金返還請求のできる人 – 過払いならプロフェクト
参照元:弁護士法人プロフェクト法律事務所(2015年12月時点、著者調べ)



過払い金の請求方法

請求に対するふたつの選択肢

ではどのようにして過払い金は請求したらいいのでしょうか?方法はふたつあります。ひとつは借金をしていた本人が直接金融機関と交渉して請求する方法です。もうひとつは専門家、具体的には司法書士や弁護士を代理人に立てて金融機関と交渉させることです。

一般的には本人が直接やりますと、金融機関もプロですので簡単には応じてくれないかもしれません。相手を素人とみて、請求額の削減を求めてきたり、訴訟に持ち込んでも交渉を引き延ばされて根負けで最終的に一円も勝ち取ることができない可能性もあります。

一方、司法書士や弁護士の法律のプロに手続きの一切を代理委任すれば、仮に本件が裁判所の訴訟に持ち込こまれても十分対処できますし、交渉には一切かかわる必要もないので自分の仕事も続けられます。プロへの委任ですから当然報酬が発生しますが、過払い金が入れば一般的にその総額の20%前後が成功報酬として代理人に支払われるのでわざわざ自分が用意する必要はありません。

ただどちらの方法も最終的には本人が選択することになります。

請求のプロセス

ここで過払い請求の具体的プロセスをご紹介します。

①過払い請求人がまず、金融機関に対して過去のキャッシング取引履歴の開示請求をします。複数の金融機関で取引があったら同じように複数の金融機関に請求が必要です。本人でなく弁護士・司法書士がこれを行う場合は本人から受任依頼を受ければ、同じく開示請求はできます。金融機関は開示請求に対し拒否することを金融庁のガイドラインで禁止されています。

②キャッシング取引履歴が郵便で送られてきたら、その資料を基に過払い金の引き直し計算をします。ここでいう引き直し計算とは、「過去に支払った金利を現在の利息制限法の上限金利で支払ったという前提で再計算すること」です。もともと過去の支払金利はグレーゾーン金利で支払われていますので、違法金利です。本来なら元金に充当されていなければならないものを、金融機関の勝手解釈で金利に充当されていましたから、引き直し計算することで、元金に入れることができたり、過払い金として戻してもらうことができるのです。

場合によれば、すでに返済期限前に元本返済が終わっていて必要以上に金利を払っているケースもあるかもしれません。

③それが終われば、いよいよ過払い金請求の開始です。直接金融機関と交渉して、和解という方法で解決する方法もあるし、話がもつれてくるようなら最終的に裁判所に持ち込んで訴訟という形に発展するかもしれません。

弁護士が教える!自分で過払い金返還請求する方法
参照元:弁護士法人ベリーベスト法律事務所(2015年12月時点、著者調べ)

過払い金請求のメリット・デメリット

メリット

過払い金請求のメリットは以下の通りです。

①過去の金利の支払いを戻してもらうことで元金の減額につながったり、借金そのものをゼロにできる可能性があります。

②延滞を起こしていた人でも過払い金請求はできます。過払い金そのものが違法ですので、延滞と過払い金は本来関係ありません。

③以前、過払い金請求をした人は金融機関によってブラックリストに登録されて以後の金融機関との取引が難しくなるというデメリットがあったので請求をためらう人がいました。しかし2010年、金融庁から「過払い金は本来金融業者が自主的に返済すべきもので信用情報に載せるような事項でない」との見解が出されて、以降このデメリットは解消されました。

デメリット

いいことばかりのように見える過払い金請求にもデメリットはあります。

①過払い金請求の対象先にはクレジットカード会社発行のクレジットカード(キャッシング枠)も含まれるが、以後その会社のクレジットカード利用ができなくなる恐れが発生します。

②過払い金請求をしても過払い金がもらえない場合もあります。たとえばその金融機関がすでに倒産していた場合。

③全額回収できない場合もあります。年々過払い金請求者の数が増えており金融機関の体力も落ちているので、金融機関としても減額要求してきたり、最悪返済を拒否されるかもしれません。

④もし借金を借りていた先がヤミ金の場合はそもそもが違法業者なので、この法律の適用外。

参照元:金融庁(2015年12月 著者調べ)

最後に

カードローンに関する過払い金について、その発生過程、過払い金の請求方法、それのメリットやデメリットについて解説してきましたがいかがだったでしょうか?

この問題は依然として現在進行形です。前述したように、10年という消滅時効を抱えていますので毎日時効は進行しています。後で後悔することのないよう、自分で手続きする自信のある人は一日も早く行動を起こす必要がありますし、手続きを自分でする自信はないが過払い金を戻してもらいたいと考えている人は、信頼できそうな専門家に早めに相談に行くことが必要であると私は考えます。