カードローン申込で総量規制がどう関係するの?その解説と対策

消費者金融や銀行等でカードローンを利用するときに金融機関の説明でよく聞く言葉「総量規制」。これは一体なんでしょうか? 実はこれが我々がカードローンを利用するときに大きな影響力を持っていることをあまり我々は知りません。しかし知らないまま放置するより知ったほうが利用者としていいのは当然です。今回はその総量規制を説明します。



総量規制とは何か?

総量規制は過剰貸し付けの防止を目的として2010年に完全施行された改正貸金業法のなかで実施されました。
具体的には個人・無担保の貸し付けに限定して貸金総額を利用者の年収(この場合手取りでなく、一年間の支給総額)の3分の1以内に抑えるという規制です。もちろん単独のみならず、複数の金融機関にまたがって適用されます。

さらに単独の金融機関で利用額が50万円以上の場合、あるいは複数の金融機関で合計100万円以上の利用となる場合は、利用者は必ず所得証明書類を金融機関に提出しなければなりません。

もし関係する金融機関が総量規制に違反すると、行政処分を受け、最悪業務停止処分を受けることになります。

貸金業法Q&A:金融庁
参照元:金融庁(2015年12月 著者調べ)

総量規制の歴史、対象先

総量規制に関する骨格は2006年12月に作られた貸金業法の中に盛り込まれていましたが、貸金業者のシステム対応とか利用者への周知徹底の期間も必要だったため、段階的実施を経て、2010年6月総量規制を含む全ての規制が完全実施されました。

また規制の対象となる貸金業者は財務省もしくは都道府県に登録を済ましている金融業者のことを言い、具体的には消費者金融や信販会社、クレジットカード会社が該当します。俗にいうヤミ金融は登録業者ではありません。

また同じ信販・クレジットカード会社でもクレジットカードの中にキャッシング枠とショッピング枠があります。これらのうち貸金業法で規制されるのはキャッシング枠のみで、ショッピング枠は別の割賦販売法という法律で規制されています。

さらに銀行や信用金庫、農協などは別途銀行法で規制されていますので、これらの業界での貸し出しは総量規制の影響を受けません。



総量規制が適用される範囲

総量規制の中で貸金業を営なわなければならない業界は前述したように、消費者金融、信販会社(キャッシング枠)、クレジットカード会社(キャッシング枠)です。

これらすべての貸金の合計額が利用者年収の3分の1以内に収まらねばなりませんが、利用者が注意すべき点があります。それはキャッシング枠が総量規制の計算に当たっては利用実績でなく、枠そのものを利用額としてカウントされることです。したがって使用しないのに不必要に大きな枠の設定は自ら審査で不利益を受ける可能性につながります。

さらにこれらは全て個人・無担保貸し付けに関する貸金であり、担保付き貸金や事業者向け貸金は総量規制の対象外になります。
なぜ個人でも担保付き債権が総量規制の対象外かというと、総量規制の目的は個人の過剰な借金での破たんを防ぐことが目的ですが、担保付きだといざ払えなくなれば担保を手放すことでその借金から解放される可能性を見込めるからです。

総量規制が適用されない範囲

総量規制の適用されない範囲はかなり幅広いです。そこで、ここではそのうちカードローンと関係するもの中心に取り上げます。

①顧客に一方的有利となる借り換え
これは具体的にはおまとめローンのようなケースです。消費者金融にも銀行にもおまとめローンやおまとめにも使えるカードローンのような商品がありますが、借り換えで顧客の返済条件が緩和されるような場合は総量規制は適用されません。
住宅ローンの借り換えも同様な軽減効果がありますが、これも総量規制の対象外です。

②個人事業者に対する貸し付け
これは個人と個人事業者というあいまいな概念を分けること自体なかなか難しいのですが、名目上はこの貸し付けは総量規制の対象外です。
個人事業主は、消費者金融や信販会社に用意されているビジネスローンのような商品で、総量規制の制約を受けず、あくまで金融機関独自の判断で融資を受けられます。カードローンのようなタイプで利用する形態もあります。

その他、総量規制の除外並びに例外となる項目は多岐に渡りますので、以下で全項目、日本貸金業協会のHPから引用しておきます。参考にしてださい。

•不動産購入または不動産に改良のための貸付け(そのためのつなぎ融資を含む)
•自動車購入時の自動車担保貸付け
•高額療養費の貸付け
•有価証券担保貸付け
•不動産担保貸付け
•売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付け
•手形(融通手形を除く)の割引
•金融商品取引業者が行う500万円超の貸付け
•貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
(施行規則第10条の21第1項各号)
•顧客に一方的有利となる借換え
•緊急の医療費の貸付け
•社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
•配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け
•個人事業者に対する貸付け
•預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け
(施行規則第10条の23第1項各号)

出典:

www.0570-051-051.jp



総量規制に伴うデメリット

総量規制実施は関係する金融機関に色々な影響を与えました。同時に利用者にもメリット(多重債務者の減少)をもたらす一方、デメリットも発生しています。

デメリットのひとつは消費者金融等で申込金額によって審査条件が厳しくなったことです。他社を含めて総借入額が利用者の収入で制限されてしまうので無理もありません。

デメリットのふたつめは消費者金融等では収入のない専業主婦・無職の人などが実質キャッシング利用が不可能になったことです。総量規制では収入のないものには貸金は不可となっているのが根拠です。
もちろん、主婦や学生がパート・アルバイトで一定期間働いて安定した収入があるのであれば、これらの金融機関でキャッシング利用は可能です。

総量規制に対する対応

しかし、総量規制実施は必ずしも悪い影響ばかり、利用者にもたらしているのではありません。他の金融機関に目を向ければ良い側面も見えてきます。

たとえば銀行は総量規制の対象外です。そのため各銀行は積極的にカードローンの販売促進を図っています。収入制限の規制を受けないので、銀行のカードローン極度額は総じて消費者金融等のキャッシング枠より大きくとれます。

さらに消費者金融では無収入の専業主婦は取り上げ不可でしたが、銀行ではカードローンの対象者に無収入の専業主婦でもOKの銀行があります。さらにその主婦の配偶者に安定した収入があれば、より大きなカードローン枠が期待できます。

総量規制以後の金融機関の動き

2006年から2010年の改正貸金業法以降、消費者金融の経営が過払い金請求の動きとも重なりかなり厳しくなり、そのため、大手の消費者金融中心に都市銀行グループ傘下となる動きが加速されました。
さらに現状では、都市銀行発行のカードローンに傘下の消費者金融が保証する動きも出ています。

従来銀行の審査は厳しいというのが定説で、消費者金融に比べても金利も安くカードローン極度額も大きかったのでリスク回避の面では仕方ありませんでした。

しかし消費者金融がカードローンの保証会社となることで、この審査の遅さというものが改善されています。消費者金融は小口金融審査のノウハウや個人信用情報網充実の強みを持っているので、それを迅速に銀行のカードローン審査に提供できる体制が出来上がっています。

それがインターネットの発達と相まって、都市銀行中心にカードローン審査でも即日審査、即日融資が可能になってきた理由です。

カードローンと即日融資

現在、銀行でカードローンで即日融資をうたっている銀行はたくさんあります。ざっと調べても、東京三菱UFJ銀行、三井住友銀行、オリックス銀行、イオン銀行、ソニー銀行などです。
ただ現実的には個々の制約条件があって、それぞれの銀行の条件を満たさないと完全な即日融資ができるかは疑問です。

その中でも即日融資が一番実現可能性の高いひとつが三井住友銀行のカードローンかなと思います。
なぜかというと、三井住友銀行には店舗にカードローンの自動契約機が置かれているからです。ネットで申込から審査まで済ませておき、審査が終わるまでに自動契約機に出向いていれば、審査結果がOKならば即ローンカードをそこから発行できて利用できるからです。
ここまで早くなると、もう消費者金融の売りである「即日融資」も専売特許にできない時代がやがて来るのではないかと感じています。

カードローン : 三井住友銀行
参照元:三井住友銀行(2015年12月 著者調べ)

最後に

カードローンにおける総量規制を取り上げて、その内容や金融機関に与える影響、利用者の対策など考えてきましたがいかがでしたか?

一度は過剰貸し付けの弊害防止から貸金業法を改正して、消費者金融業中心に締め付けを行ったわけですが、法律の行き過ぎで消費者金融の基盤が縮小して経済がダメージを受けたので、再度貸金業法を緩和して経済を活発化させようという動きが見られるようです。
もちろんあくまで自民党内の話にすぎないので方向性は定かでありません。

しかしながら、このような動きは金融機関を通じて直接我々の生活にも密着してきますので、総量規制の動きにも注意を払いつつ、賢いカードローンの利用者でありたいものです。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、記載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の記載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。