<失業保険>自己都合から会社都合に変更になったケースとは?

失業保険を給付してもらうのなら、自己都合より会社都合の方が断然よいですよね。会社都合というのは、解雇や倒産だけではありません。自己都合扱いにされていたものが、ハローワークで会社都合に変更されたケースもあるので、しっかり把握しておきましょう。



会社都合退職とは?

退職をする時、元の会社で「離職票」を発行してもらいます。ここに、退職の理由が記載されます。原因が会社にある場合は「会社都合」。自分にある場合は「自己都合」となります。この退職の理由は、失業給付金(失業保険)を受給する際に大きな違いが出てきます。

会社都合退職と自己都合退職の失業保険の違い

会社都合退職と自己都合退職では、失業保険に大きな違いが出ます。会社都合で退職する場合は、再就職の準備ができていない状態で失業すると考えられるため、保険が本当に必要となってくるからです。会社都合退職の場合は「特定受給資格者」と呼ばれます。具体的には、下記のような違いがあります。

◼︎給付期間
会社都合退職の場合は、被保険者である年数と離職時の年齢によって給付日数が決まります。対して自己都合の場合は、被保険者である期間が10年未満は給付期間は90日、10年以上で120日、20年以上で150日という形になっています。

「被保険者である期間」ですので、その会社で働いた年数は短くても、雇用保険を支払っている年数が長ければ給付額は大きくなります。会社都合退職の場合、自己都合退職に比べ、最大で2倍給付期間金額が長くなります。期間が長くなるため、当然失業保険の総額にも違いが出ます。

◼︎納付時期
会社都合退職の場合は、離職票を提出してから最短7日で失業保険が支払われます。対して自己都合の場合は自分の意思で退職しており、再就職する準備もあったと考えられるため、3か月の給付制限があります。つまり、退職してから3か月は失業保険が支払われません。

どのような場合が会社都合退職になるの?

会社都合退職になるのは、基本的には自分の都合とは関係なく、会社の都合で退職を余儀なくされた時をいいます。

・会社が倒産した
・解雇された

などが挙げられます。しかし、これ以外にも会社都合退職になるケースはたくさんあります。会社では「自己都合」と判断されたけれど、ハローワークにて「会社都合」と判断されたというケースもあるんです。

ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
参照元:ハローワークインターネットサービス(2015年12月時点著者調べ)



納得がいかない場合は異議申し立てをしよう!

会社が離職票に記載した退職理由は、そのままハローワークが受け取ってしまうとは限りません。自己都合ではなく、会社都合だった、と異議を申し出ることでハローワークが改めて離職理由を調査してくれます。ただし、異議申し立てをしなければそのままの退職理由で受け取られてしまいます。本当の退職理由をしっかり伝えることで、自己都合退職が会社都合退職に変えられる場合があります。

また、異議申し立てをするには証明できる書類などがあるとスムーズです。退職する前に準備するようにしておきたいですね。では、実際にどんなケースで異議申し立てをすればよいのでしょうか。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワークインターネットサービス(2015年12月時点著者調べ)

会社都合に変更できるケースとは?

自分で希望した退職だから「自己都合だ」と思い込んでいる人も多いと思いますが、自らが希望した場合でも、労働環境が悪化した場合など、会社都合に変更できるケースがあります。本来なら会社都合として扱ってもらうことができるのに自己都合にしてしまうともったいないですよね。細かく見ていきましょう。

採用時の条件との変更

労働契約時の条件と、実際の条件が大きく違った場合も会社都合退職として認められるケースがあります。
これは入社してすぐだけでなく、数年働いていたのちに、条件が変更になった場合でもあてはまります。例えばこのようなケースがあります。

・会社が移転して通勤が困難になった
・勤務していた支店や事務所が廃止になった
・給料を今までの85%未満に減らされた
・職種が変更され、それに対する会社からの配慮がない
・業務縮小のため、従業員の1/3もしくは80名以上が1か月のうちに離職した

急に勤務先の場所が変わると通勤が大変ですよね。ですから、やむを得ず退職をする人も多いのではないでしょうか。この場合は会社の都合で移転になっているのですから、会社都合になるんです。その他、給料を急激に減らされたり、今までと全く違う職種に変更になったのに特に会社からのサポートがないというケースも同様です。

これもすべて会社の都合ですからね。会社の都合によって、自分の条件に合わなくなった場合は会社都合になるケースが多いのです。会社では「自己都合」とされてしまっても、このケースの場合はハローワークで「会社都合」に変更してもらえる可能性が高いです。

勤務時間が長い

退職前の3か月間で月45時間を超える残業をしていた場合も、会社都合退職に変更できる場合があります。また、休日出勤が多いなどのケースも同様です。これは意外ではないでしょうか。残業や休日出勤があるのが当たり前と考えて自己都合退職にしてしまうのはもったいないですね。

ただし、これを証明するにはタイムカード等が必要になってきます。日頃からタイムカードのコピーをとるようにしておくとよいかもしれません。タイムカードを切ってからのサービス残業などは証明が難しいですので、実際の勤務時間はしっかりわかるようにしておきましょう。

給料の未払いがあった

給料の未払いというと全く支払われていないというイメージがあるかもしれませんが、給料の一部でも支払われない場合は未払いとなります。2か月を超えて本来の給料の1/3以上が支払われないようであれば、会社都合退職として扱ってもらえます。そのためには、給料明細と実際の振り込み金額が分かる通帳を用意しておくとよいでしょう。

パワハラ・セクハラがあった

同僚や上司からパワハラやモラハラ、セクハラなどを受けている場合も、会社都合退職に変更できる場合があります。ただし、これらは今までのケースよりも立証が難しく、ハローワークで異議申し立てをしても認めてもらえない場合も多いようです。立証するには複数人の証言が必要になります。

少しでも立証しやすくするためには、自分がされたことを明確に日記のように記しておいたり、可能であれば録音や録画をしておくとスムーズになります。

会社が法律違反をしている

会社が明らかな法律違反をしている場合も、会社都合退職に変更できる場合があります。ただし、こちらも少し証明が難しくなります。どのようなことがあったのか事細かに証明できるようにしておきましょう。

ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き
参照元:ハローワークインターネットサービス(2015年12月時点著者調べ)



自己都合退職でもすぐに失業保険が支払われるケースも!

今ご紹介したケースに当てはまらなくても、すぐに失業保険が支払われるケースがあります。一定の条件を満たした場合、「特定理由離職者」としてすぐに失業保険が支払われ、給付日数も会社都合の場合と変わらなくなります。受給期間や待機日数がなく失業保険が支払われるのなら、会社都合として処理されなくても問題ないのではないでしょうか。では、条件を見ていきましょう

雇用保険を支払っている期間

まずは離職前の2年間で雇用保険を12か月以上支払っていることが条件となります。これは自己都合退職の場合も同様です。特定理由離職者の場合は、1年間で雇用保険を半年以上支払っている場合でも失業保険が支払われます。同じ会社で1年以上勤めていなくても雇用保険を条件分支払っていれば問題ありません。

雇用期間が満了し、更新されなかった場合

派遣社員や契約社員などで、契約期間が満了したのに引き続き更新をされなかった場合です。ただし、もともと1回の契約で終了の予定だった場合はその対象にはなりません。契約更新条項に「契約を更新する場合がある」等の記載がある場合に限られます。労働者側が更新を希望しなかった場合も対象にはなりません。

体力や心身の障害によって業務を継続できなくなった場合

重大な病気の場合だけでなく、視力の低下や聴力の衰退なども含まれます。また、うつ病など精神的な疾患の場合も同様です。業務を継続することが困難になった場合は特定理由離職者として扱ってもらえるケースがあります。

妊娠、出産などが理由で退職した場合

妊娠出産などが理由で退職をした場合は、すぐに働ける状態ではないため、失業保険は支払われません。受給期間延長措置をとられます。ただし、出産後、仕事が可能になったのに仕事が見つからない場合は、すぐに失業保険が支払われ、受給期間も長くなります。

家庭の事情が急変し退職した場合

両親が死亡したり、介護が必要になったり、家族を扶養しなくてはいけなくなったりなど、家庭の環境が変わり退職を余儀なくされた場合も特定理由離職者として扱われます。

家族との別居生活が難しくなった場合

こちらは仕事の事情により家族と別居していたというケースです。ですが何らかの事情によって別居が困難になり退職した場合も特定理由離職者になる場合があります。

通勤が不可能となった場合

下記の理由によって、現在の職場に通勤が不可能となって離職した場合も、特定理由離職者に当てはまります。

・結婚などに伴う引越し
・育児に伴う保育所の利用や、親族へ預けることができない
・現在の職場への通勤が困難な場所への引越
・電車やバスなどの交通機関の廃止、もしくは運行時間の変更
・転勤や出向を断り、家族との別居を回避した場合
・配偶者が転勤や出向となり、別居を回避するために引越しした場合

通勤が困難になった場合は、特定理由離職者になれるケースが多いですね。

大幅な人員削減による希望退職

従業員の1/3以上、もしくは80名以上の人員削減があった場合は、会社都合退職として処理されますが、そうではなくても特定理由離職者になれるケースがあります。会社内で大幅な人員削減があり、希望退職を募っていて、それに従って離職したケースです。

特定理由離職者になるにも申告が必要

自己都合退職が会社都合退職になるケースと同じで、特別な申し入れがなければ、離職票に記載されている通りの退職理由で処理をされてしまいます。特定理由離職者に当てはまるな、と思った場合は申請の際にしっかりと退職理由を伝える必要があります。自動的に特定理由離職者になれるということではありませんので、気を付けてください。

ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
参照元:ハローワークインターネットサービス(2015年12月時点著者調べ)

会社都合退職は今後の就職活動に悪影響を及ぼす?

「会社都合退職」というのはあまりよいイメージを与えないのでは?と心配される人もいるかもしれません。実際次の就職活動に影響を与えるものなのでしょうか?

会社都合退職はイメージが悪い?

会社都合=クビになった、というイメージがあるので次の就職活動に影響を及ぼすのではないか、と考える人もいるかもしれませんね。ですが離職票に会社都合と書かれたところでとくに影響はないでしょう。離職票は就職活動の際に提出しなくてはいけないということはないからです。とはいえ、退職の理由は市面接の際に質問されることが多いです。しっかり自分で説明することができれば問題ありません。

また、今まで見てきた通り、会社都合と一言で言っても様々な理由があります。採用担当者は様々な求職者を見てきていますので、会社都合退職に色々なケースがあるというのを知っている人が多いのではないでしょうか。

正当な理由を表記してもらおう

元の会社で「会社都合だとイメージが悪いから自己都合ということにしましょう」と言われる場合もあるようです。じつは会社都合退職になると会社にはデメリットがあるのです。離職者のためのよう提案されることがありますが、実際は違います。会社都合であればきちんと「会社都合」と記載してもらいましょう。

万が一、本当は会社都合でありながら「自己都合」と処理されてしまった場合は、ハローワークで異議申し立てをしましょう。ただし、異議申し立てで必ず会社都合に変えてもらえるとは限りませんのでなるべく離職票にきちんとした理由を書いてもらうようにしたほうがよいでしょう。

まとめ

会社都合で失業保険がもらえるケースについてお話してきました。思っていたよりも様々なケースが会社都合になると感じた方が多いのではないでしょうか。会社都合か自己都合かによって失業保険の給付日数や、待機期間に大きな差が出てきますので、会社都合のケースに当てはまるのであればきちんと処理をしてもらえるようにしましょう。