相続登記にかかる費用の相場|内訳とかしこい節約のコツとは?!

相続登記をするには、どれくらい費用がかかるのでしょうか。自力で行う場合やプロに頼む場合について、何にいくらかかるのかをまとめました。



相続登記をするには

不動産を所有している個人が死亡した時、その名義を相続人のものに変更するために必要となる、相続登記。登記簿なんて見たこともなくても、親が亡くなった時など、いざその時になると向き合わざるを得なくなり、一体何からすればよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。まず登記の手続の仕方については大きく2つ、自分で法務局に行って登記申請をするか、司法書士に依頼をするかになります。

そんな難しそうなことが素人にできるのかという点ですが、法務局に行けば手続の仕方を教えてくれるので、実際に自分で行う人もいますし、もちろん司法書士への報酬などが発生しない分、費用を安く抑えることができます。ただし、相続関係が複雑な場合など、自分では難しい場合もあり、書類の不備などで、法務局が開いている時間に何度も出向いたり、いろんな役所に書類を申請したりしなければならない羽目になる可能性を考えると、初めからプロに任せた方が安心で手間もかかりません。

以下、相続登記にはどのような費用がいくらくらいかかるのか、また相続登記の際の注意事項などをまとめていきます。自分で申請する場合と司法書士に依頼する場合とで、どれだけの差があるのかを確認し、ご自身の時間とお金の余裕とも照らし合わせて選択してみて下さい。



費用を決める要因

不動産の価格

以下で詳しく述べますが、自分で申請する場合も司法書士に依頼する場合も、登録免許税というものの負担が必要となり、それは申請時点の不動産の価格に基づいて計算します。したがって、どれくらいの評価額の不動産についての相続登記なのかによって、トータルの費用も違ってくるといえます。

不動産の数

複数の不動産について登記申請する場合、特に、各不動産を管轄する登記所が別々である場合、司法書士報酬が上がることが多いです。というのも、不動産登記は、対象となる不動産の所在地を管轄する登記所に申請しなければならず、仮に複数の不動産について相続登記申請をする場合に、相続人などの条件が全く同じであったとしても、その管轄登記所が別であれば、それぞれの登記所で手続きを行わなければなりません。

そのため、この場合、例えば登記申請1件あたり5万円で引き受けている司法書士事務所であれば、別管轄の不動産が1筆、2筆と増えるごとに、10万円、15万円と、各不動産について1件丸々の報酬がかかってくることや、そこまで行かずとも、数万円ずつ報酬を追加する事務所が多いようです。逆に、同じ管轄内にある複数の不動産について申請をする場合は、追加料金なしで行っている事務所もありますし、かかっても数千円から1万円ほどであることがほとんどです。

依頼する事務所の報酬体系

司法書士報酬は、事務所によって様々です。基本料金を設定しておいて、用意した条件に当てはまるごとに料金を追加していく方式のところもあれば、「この作業にいくら」という形で細かく項目が用意されていて、それを事案に応じて組み合わせることで合計額を請求するところもあります。安ければよいというものではありませんが、予めお近くの事務所のホームページなどをいくつかチェックして、ご自身のパターンであればいくらぐらいになりそうかをおおまかに計算してみるといいかもしれません。

相続登記の費用の内訳

相続登記にかかる費用の内訳については、大きく分けると、①登録免許税、②実費、③司法書士報酬の3つになります。①と②は、自分で手続きをする場合も司法書士に依頼する場合も必要なものです。③については、上で述べたように、事務所によって設定のしかたは様々ですが、どのような項目があって、それぞれいくらぐらいかかるのかを挙げていきたいと思います。



①登録免許税

登記申請の際に納付しなければならない税金で、一般的な相続登記の登録免許税は、不動産の価格の4/1000となります。対象となる不動産の価格が、例えば1,000万円なのか1億円なのかによって、登録免許税の額は大きく変わってくるので、これが相続登記にかかる費用の相場を一概に述べることができない所以です。不動産の価格は、各市区町村の役所で取得できる、固定資産評価証明書で確認することができます。

No.7190 登録免許税のあらまし|印紙税その他国税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)

②実費

戸籍謄本の取り寄せ

相続登記を申請する際には、相続があったことを証する書面の提出が必要になり、基本的には亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までの全ての戸籍や、相続人全員の現在の戸籍を揃えます。つまり、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍の移り変わりによって、この作業の手間や費用は大きく変わってくることになります。現在の状況を表す戸籍謄本のほかに、戸籍の移動によって誰もいなくなった戸籍である除籍謄本、戸籍法の改正によって書き替えられる前の戸籍である原戸籍など、遡りながら必要なものを全て揃えなければなりません。

戸籍取得のための費用自体は、各市区町村によって違いますが、戸籍謄本が1通450円ほど、除籍や原戸籍が1通750円ほどです。ただ、その申請のために、役所への往復の交通費あるいは郵送費が必要になるので、相続関係が複雑な場合などは、いろんな役所に戸籍を請求しなければならず、それだけ費用も大きくなります。

No.4202 相続税の申告のために必要な準備|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)

住民票の取り寄せ

被相続人の死亡時の住民票や、不動産の名義人となる相続人の住民票が必要となり、各市区町村の役所での取得にかかる費用は1通300円ほどです。上記の戸籍や以下で述べる書類も同様ですが、申請のために交通費や郵送費などは別途必要となります。

印鑑証明書の取り寄せ

相続人が1人の場合や、法律に定められた通りに相続をする場合には必要ありませんが、どの遺産を誰が相続するかなどを決めた遺産分割協議書がある場合は、そこに相続人全員の記名と押印が必要で、それぞれの印鑑証明書を添付します。こちらも各市区町村の役所で、1通300円ほどで取得することができます。

固定資産評価証明書の取り寄せ

上で述べた通り、相続登記の際に納める登録免許税の額は、不動産の評価額によって決まります。評価額を証明する固定資産評価証明書も、各市区町村の役所で、1通300円ほどで取得することができます。

不動産全部事項証明書(登記簿謄本)の取り寄せ

相続登記の対象となる不動産を特定するために、不動産全部事項証明書(登記簿謄本)が必要となります。また、事後謄本といって、登記完了後に不動産の情報を確認するために、取得することもあります。オンラインでの申請による割引などもありますが、例えば窓口での申請だと、法務局で600円で取得できます。

法務省:オンラインによる登記事項証明書等の交付請求(不動産登記関係)について
参照元:法務省(2015年12月時点、著者調べ)

交通費・郵送費

上で述べたような書類の取り寄せのみでなく、法務局に登記申請をする際にも、交通費あるいは郵送費が必要になります。郵送の仕方も様々ですが、書類が確実に受け渡しできるように、例えばたくさん書類が入るうえに追跡や対面でのお届けができるレターパックプラスを利用する場合は、送付用と返信用それぞれに510円がかかります。

③司法書士報酬

登記費用

登録免許税とは別に、相続登記の申請を代理する費用で、これこそが司法書士にのみ認められた権限であり、司法書士報酬のメインとなるものです。費用の設定の仕方は様々ですが、申請1件につき、2万円から4万円ほどで行っているところが多い印象です。事務所によって、一律のパック料金にしているところもあれば、土地の価格が1,000万円まではいくらというように、土地の価格に応じて報酬を段階的に上げていくところ、不動産の追加ごとに追加料金がかかるところなどがあるので、司法書士報酬を少しでも抑えたい方は、対象不動産の価格や数に応じて、有利な価格設定をしている事務所を選びましょう。

戸籍などの取り寄せ

上で述べたように、登記申請にあたっては、戸籍や住民票など様々な書類を役所で取得しなければなりません。これらは、もちろん自分で取得することができますが、司法書士も職務上請求書というものを使って、依頼者の戸籍などを取得することができます。ただしその場合、役所に払う手数料とは別に、書類1通につき1,000円ほどの報酬を設定している事務所がほとんどです。事務所によっては、この費用を抑えるために、依頼者自身による取得を勧めているところもありますので、時間や費用の余裕に応じて利用するのも一つの手です。

遺産分割協議書の作成

亡くなった被相続人の遺言書がある場合は、それに応じて遺産を分ければよいのですが、ない場合は、誰がどの財産をどれだけ相続するかを、相続人全員で話し合って決めなければならず、それを遺産分割協議と呼びます。予めこれが終わっている場合はその遺産分割協議書を添付するだけですが、まだ行っていない場合や協議書がない場合は、司法書士がこの作成も請け負ってくれます。

報酬の相場としては、5,000円から2万円ほどであることが多そうです。ただし、遺産分割協議書には、相続人全員の署名・印鑑が必要となるので、例えば相続関係が複雑で、それをもらうために司法書士が遠方に出向かなければならない場合などは、日当や交通費などが重なり、費用が膨らむ可能性があります。また、一人でも反対している相続人がいる場合は遺産分割協議が成立しないので、場合によっては家庭裁判所の遺産分割調停を利用することになり、手間も時間もかかってしまうこともあります。

ご自身で不動産登記申請を検討されている方へ:名古屋法務局
参照元:名古屋法務局(2015年12月時点、著者調べ)

相続関係説明図の作成

相続登記の申請の際には、被相続人や相続人の関係を図式化した相続関係説明図の添付が推奨されています。必要書類として定められているものではありませんが、これを添付することで戸籍などを返却してもらえることもあり、実際には説明図を添付することが多いようです。手書きでも構わないとされているので、依頼者自身で作成することもできますが、これも司法書士に依頼ができ、こちらも報酬の相場は5,000円から2万円ほどです。

不動産全部事項証明書(登記簿謄本)の取り寄せ

登記申請の代理を引き受けて事前に取得する事前調査と、登記完了後に確認のために取得する事後謄本があり、司法書士に依頼すると、法務局への手数料とは別に、500円から1,000円ほどの手数料がかかります。

相談料

登記手続を依頼しない場合あるいは依頼する前の段階での個別相談です。初回の相談は無料としている事務所もあれば、5,000円ほどの相談料を設定して、そのまま登記申請を受任することになった場合にはその相談料を無料としている事務所もあります。

日当

登記申請手続に当たって必要な出張などが発生する場合、日当を請求する事務所もあります。相場としては1日で3万円前後ですが、日当を設定していない事務所や、一定の地域であれば日当を無料としている事務所もありますし、事案によっても違ってきます。

費用を抑えるには

自分で申請する

初めに述べたように、登記申請の仕方は法務局でも教えてもらえますし、無料相談なども実施されているので、費用を抑えることだけを考えれば、司法書士に依頼せずに自分で手続をするのが一番安く済みます。ただし、必要書類の取得や申請手続などの手間と時間がかかることや、不備が発生しやすいことは理解したうえで取り組みましょう。

自分で必要書類を集める

司法書士に依頼する場合も、戸籍などの必要書類を自分で揃えることで、そこにかかる司法書士報酬を削ることができます。もちろん郵送でもできますし、請求の仕方は各市区町村のホームページなどで調べることができるので、わかる範囲で取り寄せてみることで、いくらか節約できそうです。

依頼する事務所の選び方

上でも述べたように、報酬の設定の仕方は事務所によって様々で、一見安い料金設定をしている事務所でも、自分のパターンだと対象不動産の数が多いことで報酬が膨らんでしまったということになりかねません。信頼する事務所や紹介してもらえる事務所があるならそれでいいかもしれませんが、安くやってくれるところを一から探すのであれば、近くのいくつかの事務所のホームページで報酬の設定を確認してみることをお勧めします。

まとめ

相続登記は、いつまでにしなければならないということはありませんが、放っておくとどんどん相続関係が複雑になり、後々もっと面倒なことになる場合が多いです。自分でできるところはやりながら、必要に応じてプロの手を借り、できるだけ早いうちに登記を済ませましょう。 ※本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。