相続放棄俊述受理証明書って何だろう?意味があるのか考えてみたよ!

相続放棄申述受理証明書は、文字から察すれば相続放棄と関係している感じもしますね。いったいどうのような文書で、なんの目的に使用するのでしょうか。相続を放棄すれば、それですべて解決するような感じもします。でも、きっと何かのために必要なはず、と考えた人のために、相続放棄申述受理証明書の意味や目的などをご説明したいと思います。



相続放棄について

相続放棄をする理由をはっきりさせよう

相続放棄申述受理証明書について、お調べになっている方は、今現在相続放棄をしている人か、これから相続放棄をしようと考えている方、または将来において相続放棄をしなければならない方の中のどれかに当てはまる方なのだと思います。

既に相続放棄した方は、相続放棄申述受理証明書の取得方法を、現在進行形で相続放棄の手続きをしている方は相続放棄申述受理証明書の目的について、これから相続放棄しようとお考えの方は相続放棄の知らなければならない知識から、また、知識として相続放棄についてお知りになりたい方は相続放棄とはどういうことなのか、ということをご説明していきたいと思います。

民法(相続の放棄の効力)
第九百三十九条  相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

出典:

law.e-gov.go.jp
「相続放棄」について簡単にいえば、民法第939条の規定にあるように「はじめから相続人ではなくなる」ことをいいます。「はじめから相続人でなくなる」とは、民法上「相続には無関係な人」であると認識されることになります。

民法上「相続には無関係な人」になぜなりたいのか、理由はいろいろありそうですが、相続放棄をすると考えるにはそれなりの重大な覚悟が必要といえます。相続放棄以外に手はなかったのか、もう一度慎重に考えることが大切なのではないかと思います。相続放棄は後から取り消しすることは難しい手続きといえますので「ああ、失敗した」とならないよう良く考えてみましょう。

相続放棄=借金、という図式が一般化している感じもしますが、他にも理由がありそうです。以下に、相続放棄する理由となりそうなのを上げてみましたので、たたき台としてご参考にしてください。

1、被相続人(亡くなった人)の借金を背負いたくない
2、相続争いに巻き込まれたくない
3、他の相続人から頼まれた
4、そもそも関係したくない

1の「借金を背負いたくない」という理由は一般的といえます。被相続人(亡くなった人)の遺した借金が莫大過ぎて、家や土地などの不動産や現金や預貯金、株券などの金融資産などを以てしても払いきれないなどで相続する意味がない場合、安易に相続放棄という手段に走ってしまうのですが、他の方法でも借金から逃れることができる相続の仕方というものがあります。それを「限定承認」といいます。

民法(限定承認)
第九百二十二条  相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。

出典:

law.e-gov.go.jp
「限定承認」とは、被相続人(亡くなった人)の借金を限定的に背負い、支払いについては財産を処分して払える分だけを払い、後は払わないようにできる相続の仕方です。したがって相続放棄という手続きをしなくても借金については同じような効果が期待できます。

相続放棄でも限定承認でも家庭裁判所に申請するのには変わりはありませんので、かかる手間は同じといえます。唯一違うのは、相続放棄は相続人の中の1人だけで申請できるのに対し限定承認は相続人が全員共同して申請する、という違いがあるくらいです。

2の「相続争いに巻き込まれたくない」と、3の「他の相続人から頼まれた」については、相続人の間での感情の行き違いや考え方の違いで、面倒だから自分は相続には関係ない、または関係したくないという気持ちから嫌になったのでしょう。

しかしこの場合も、相続放棄をしなくても、相続人同士での話し合いで解決することができるといえます。そのために「遺産分割協議書」という文書を作成し、自分の相続分は「なし」としてしまえば、今後一切相続にかかわらなくても良いことになりそうですよ。

4の「そもそも関係したくない」というのは、被相続人(亡くなった人)に対するいろんな感情があって、根が深いのかも知れません。または何かの事情があって、他の相続人と顔を合わせたくない、ということも考えられますね。

裁判所|相続の限定承認の申述
参照元:裁判所(2015年12月、著者調べ)

相続放棄するとどうなるのか

次に相続放棄のメリットやデメリットを考えてみましょう。それを知らないと、「しなければ良かった」と後悔することにもなりかねません。

■メリット
相続に関して、良いことも悪いこともすべてにおいて関係がなくなりますので、例えば、相続手続きの後に、誰かの借金の連帯保証人になっていたことが判明し、その肩代わりに借金を弁済しなければならない、という心配はなくなります。さらに相続放棄の手続きは、相続の開始を知った日の翌日から3カ月以内に家庭裁判所に申請しなければなりませんので、その短い期間で被相続人(亡くなった人)の借金関係をすべて調査するのは難しいですから実際あり得ることだと思います。

■デメリット
もし、被相続人(亡くなった人)に隠し財産が見つかったとしてもその財産を相続することができません。また、相続人として外されるのは相続放棄した本人だけではなく、その子や孫も同時に相続する権利を失うことになりますので、一時的な個人的な感情で相続放棄するのではなく後々のことも考えておいた方が良いでしょう。

裁判所|相続の放棄の申述
参照元:裁判所(2015年12月、著者調べ)



相続放棄申述受理証明書を取得する

相続放棄の準備

相続放棄というものは、自分で勝手に相続放棄したと思っていても、または何かの文書を作ったとしても何の効果もありませんので相続開始を知ってから3カ月以内に、家庭裁判所へ行って自分の意志で申請しなければなりません。

必要な書類については各家庭裁判所で指定されたものを用意しますが、主に以下の書類などが必要になるようですので、あらかじめ用意しておくと手続きが早くできそうです。

・被相続人(亡くなった人)の除籍謄本
・自分の戸籍謄本
・印鑑

他に必要なものは、家庭裁判所に用意されている「相続放棄の申述書」と印紙代800円、82円切手数枚です。なお相続放棄の申述書については、裁判所のサイトからでもダウンロードできますので、一度ご欄になるのも良いかと思います。

申請先

相続放棄の申請先は、家庭裁判所になります。しかし、どこの家庭裁判所でも良いというわけではありません。申請する先は、被相続人(亡くなった人)の住民票のあった住所を管轄する家庭裁判所になります。

自分にとって都合の良い、近くの家庭裁判所へ申請しても受付してはくれません。被相続人(亡くなった人)の住所地の家庭裁判所へ直接申請するか、距離が遠い場合は郵送でも受け付けしてくれる場合もありますので、電話などをして必要な書類も合わせて確認することをお勧めします。

なお、相続放棄する人が未成年者の場合は、代理人が必要になりますので注意してください。

申請後の流れ

相続放棄の申請をしますと、家庭裁判所は提出された書類を基に審理を行います。主に以下のようなことを書類上で審理します。

・相続放棄の申立人は、本当に相続人なのかどうか
申立人が勝手に、自分が相続人だと思い込んでいる場合もあるようです。相続するには順位というものがありますので勘違いもあるでしょう。したがってそれを確認するために家庭裁判所側は、申立人が相続人であるかどうかを審理します。そもそも相続人でない人は相続放棄をする必要がありませんから、この時点で相続人でないとなった場合は、その旨を書いた通知書が送られてきます。

・相続放棄の申述書の審理
相続放棄は自分の意志で行われる必要がありますので、確かに本人が書いたのかどうかや、被相続人(亡くなった人)の財産状況、また、申立人の相続放棄とする理由が合理的なものかどうかを客観的に判断します。仮に、この書類に疑わしい点があった場合は、家庭裁判所まで呼び出されることもあるようです。

家庭裁判所によって違いますが、相続放棄を申請してから7日から14日程度で書類の不備や疑わしい点がない場合に、「照会書」という文書が郵送されてきます。この文書には質問形式で、相続放棄をすることに本当に同意するのか、その理由は何か、などいくつかの項目がありますので、それに答えるように埋めて行きます。そして再度、家庭裁判所に返送しなければなりません。

家庭裁判所は「照会書」を再度審理し、何も疑問な点がなければ、7日から14日程度で「相続放棄申述受理通知書」という文書が家庭裁判所から郵送されてきます。この文書は、相続放棄の申立が通った、という文書です。

相続放棄を申し立ててからおよそ1カ月を要する場合もありますが、相続放棄申述受理通知書が届いた時点で相続放棄は公に認められた、ということになります。

相続放棄とは
参照元:みなみ司法書士合同事務所(2015年12月時点、著者調べ)

相続放棄申述受理証明書について

相続放棄申述受理証明書とは

上記の通り相続放棄が認められますと、相続放棄申述受理通知書が郵送されてきますが、この文書は1回だけの発行であり紛失した場合でも再発行される文書ではありませんので保管しておいてください。それは申立人による相続放棄が認められた、という決定書ですから1度だけの発行となるのです。

仮に銀行やカード会社、税務署などから支払いの督促がきたとしても、この通知書のコピーを見せるかFAXなどで送ってやれば相手は納得しないわけにはいかなくなります。

ところで、なんのために「相続放棄申述受理証明書」が必要になるかですね。あまり出番が少ないのですが、あるとすれば以下の2箇所でしょう。

・法務局
他の相続人が不動産を相続した場合相続人の中に相続放棄した人がいる時は、相続放棄申述受理証明書を添付して相続登記をしなければなりませんので必要になります。

・銀行
被相続人(亡くなった人)の預金口座の名義を他の相続人の名前に変更する場合、相続放棄申述受理証明書も一緒に提出しないと手続きができません。

このどちらに対してもいえることは、民法第918条の規定により、被相続人(亡くなった人)の財産は相続開始から遺産分割協議書を作成するまでは、誰も一切手を付けてはいけないという民法第918条があるからです。

■民法(相続財産の管理)
第九百十八条  相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。

出典:

law.e-gov.go.jp

どうすれば相続放棄申述受理証明書をもらえるか

相続放棄申述受理証明書は申立人のした相続放棄申述受理証明書する文書ですから、相続放棄申述受理通知書が届けば家庭裁判所はいつでも発行します。しかし相続放棄申述受理証明書は、相続放棄申述受理通知書が届くと同時に発行されるものでもありませんので欲しい場合は家庭裁判所から申請用紙をもらい、印紙150円分を貼って必要事項を記入後、家庭裁判所へ提出することになります。

相続放棄申述受理証明書は欲しいときいつでも発行してくれますので、必要になったら申請すれば良いくらいの軽い感じでとらえておいても差し支えないと思います。

相続放棄申述受理証明書とは | 遺産相続放棄手続きセンター
参照元:遺産相続放棄手続きセンター(2015年12月時点、著者調べ)



相続放棄をする上での注意

遺産分割協議書との相違

相続放棄と遺産分割協議書を混同してしまう人が多いといわれています。他の相続人から「相続しないのなら、ここに名前書いて、実印押して」といわれ、「これで、相続分はないよ。いいね」と念を押されていわれてしまうと相続放棄したような気分になってしまいます。

また、この文書には追加として「○○は、その相続とは無関係とする」というような文言も書いても問題ありませんので相続にかかわりたくないと思っている人には、まさに相続放棄と同じなのではないかと錯覚しても不思議ではありません。

しかしこの遺産分割協議書というのは、相続人の間で誰がどの財産をどのように分割するのかを決めた文書であって、いわゆる「私文書」扱いとなります。私文書ゆえに、法律を盾にしてくる借金や税金の催促には対抗する手段がありません。

それに対して相続放棄は家庭裁判所で審判を受けた結果の「公文書」ですから、社会に対する効力を持ち、例え相手が国であろうとも対抗できる強力な力があるのです。

自分はこの相続に関しては無関係でありたいと思うのであれば、きちんとした手続きが必要となりますので、他の相続人に「絶対迷惑はかけない」といわれても信用しないことです。

遺産分割協議については民法第907条、第911条、第912条に規定があります。

民法
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

被相続人の財産には一切手を付けない

相続放棄する上で最も重要なのは、相続放棄の申述書や家庭裁判所からの「照会書」に、被相続人(亡くなった人)の財産の処分についての項目があります。例えば、以下のような質問です。

・被相続人の財産を処分したり売却したりしたことがある(はい・いいえ)
・上記の質問で、「はい」にした方は、以下に処分、または売却したものを書いてください

被相続人(亡くなった人)が乗っていた車のもう使わなくなったスタッドレスタイヤなど、置いておくだけで邪魔になるようなものを、粗大ごみとして出してしまったような場合「はい」にマルして、廃棄用スタッドレスタイヤ、と書いてしまいますと勝手に被相続人(亡くなった人)の財産を処分したものとみなされてしまう可能性が高いといえます。

自分では、価値のないものと判断して処分したのでしょうが、民法第921条には被相続人(亡くなった人)の財産を勝手に処分してはならないという規定があります。家庭裁判所側でも、私人としての見解では許される行為だと思っても、裁判所としては法律に違反した人をそのまま見過ごすことができません。ですから、例え本当にごみとして処分したものがあっても、そのことは書かないことにこしたことはないといえます。

民法
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

まとめ

いかがでしたでしょうか。相続放棄申述受理証明書の必要となる場面は意外と少なく、相続放棄をした人にはあまり気にしなくても良いような証明といえます。必要となればいつでも発行してくれますので、他の相続人から請求されたら取りに行く、程度の考えで良さそうです。

それより大事といえるのは、相続放棄する理由といえます。もし相続に関してどうしても判断がつかないような場合は、相続に詳しい専門家の意見を聞いてみるのも良いでしょう。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。