男女間トラブルに関する精神的苦痛の慰謝料はいくら?相場を検証します!

「精神的苦痛って個人的な感情だから客観的に判断しづらく慰謝料は安いらしいよ〜」という話を聞いて実際のところどうなんだろう?と気になって調べてみました。今回は男女間トラブルに関する精神的苦痛の慰謝料について検証します。



精神的苦痛慰謝料と要因

精神的苦痛の慰謝料とは?

損害には財産的損傷と精神的損傷の2種類があります。財産的損傷は得られるはずだった賃金や治療費など形のある損傷の事です。精神的損傷は目には見えない精神の苦痛を補うための金額、それが慰謝料です。すなわち、慰謝料とは違法行為によって精神的に傷つけられた人が、その原因をつくった人からつぐないの為にもらうお金です。

しかし「精神的苦痛」を客観的に判断し、どのくらいの金額にするのかはとても難しいとされています。具体的にはいくつかの判断要因を元に、裁判官が両者の言い訳を聞いた上で慰謝料の相場に照らし合わせて金額が定められます。

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参照元: 弁護士ドットコム(2015年12月著者調べ)

慰謝料の相場が変わる要因

慰謝料の相場が変わる要因はいくつかあります。慰謝料の原因となった加害者の故意・過失やその行為の悪質性、加害者の財力、被害者の苦痛の程度、財力、過失など総合的に判断されます。離婚に関しては婚姻期間が金額に大きく影響します。その他、養育すべき子どもがいるかどうかも慰謝料の金額が上下します。

第1回 「浮気・不倫の慰謝料の相場は?」 | 浮気・不倫の慰謝料請求(減額)ならアディーレ法律事務所
参照元:アディーレ法律事務所(2015年12月時点、著者調べ)

慰謝料と和解金の違い

慰謝料は裁判によって違法行為が認められる必要がありますのでその根拠となる証拠が求められます。とにかく早く離婚したい!と思い立ち、先に離婚届けだけ出してしまい後から慰謝料を請求しよう!と思っている場合は注意が必要です。慰謝料を請求できる時効は損害を知った時から3年と法律で定められています。もし離婚届けを先に出してしまった場合、離婚から3年以内に慰謝料を請求しないといけません。

また現在、裁判を起こし慰謝料を請求するケースが全体の10%ほどと言われており、その他90%のケースが解決金・和解金と呼ばれる当事者同士の話し合いで合意した金額で決着をつけているようです。その理由は裁判自体に時間がかかるという事も大きな理由のひとつとされています。また、解決金・和解金は被害者と加害者の状況によって大きく金額が変わるのも特徴です。

例えば加害者側に財力があり、どうしても早く別れたいという意思が強い場合は、和解金は高額で提示されます。そして被害者側もその金額に合意し再出発したいという意思があれば決着がつくことになります。

示談金・和解金・慰謝料の意味の違いは|示談弁護士ガイド
参照元:示談弁護士ガイド(2015年12月時点、著者調べ)



芸能人の離婚慰謝料って?

芸能人高額慰謝料ランキング

男女間のトラブル、芸能人の離婚慰謝料と聞くと○○億!という報道をよく目にしますよね?日本の芸能人の慰謝料ランキングをみてみましょう。

・1位千昌夫(歌手)→ジョーン・シェパード(タレント)50億円
・2位 藤田晋(サイバーエージェント社長)→奥菜恵(女優)30億円
・3位 沢田研二(歌手)→伊藤エミ(歌手) 18億1,800万円
・4位 森進一(歌手)→森昌子(歌手)7億5,000万円
・5位 小室哲哉(音楽プロデューサー)→Asami(歌手) 7億円

2015年3月にTBS「教訓のススメSP」で離婚問題を扱っていて、その中で紹介されたのがこちらの芸能人慰謝料ランキングです。この金額を見ると慰謝料は高いものと誤解してしまいそうですが、芸能人の慰謝料が高いのには理由があるのです。次にその理由についてご説明します。

芸能人の慰謝料、なぜ高いの?

TBS「教訓のススメSP」にゲスト出演をしていたアディーレ法律事務所の弁護士によると、収入が高いから慰謝料が高いと誤解されがちですが、あの慰謝料と報道された金額は財産分与を含んだ金額で内訳からみると慰謝料は数百万であると解説していました。芸能人といえど、実質的な慰謝料は数百万という金額なのです。

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参照元:アディーレ法律事務所(2015年12月著者調べ)

離婚慰謝料

離婚慰謝料の相場

離婚慰謝料の相場が変わる要因で一番大きいのは婚姻期間のようです。その他には支払い側の財力があるか、離婚原因の悪質性、未成年の子どもがいるかなどがあります。その中で慰謝料をもらうのが難しいケースは性格の不一致による離婚、双方に責任がある離婚、事実上夫婦関係が破綻してからの不貞などがあります。

それぞれのケースで違ってきますが、過去の判例をみると婚姻期間が長いと慰謝料も高くなる傾向があります。5年未満の婚姻関係では慰謝料は100万円未満が多く、30年以上の婚姻関係だと300万〜499万円が多いようです。

判例からみる離婚慰謝料

過去の判例からいくつかの離婚慰謝料のケースを見てみましょう。
■婚姻期間5年未満
・ケース1:夫への不信感、夫の妊娠した妻への配慮のなさを理由に妻が離婚慰謝料300万円を申し立てるが、判決では50万円の慰謝料となった。
・ケース2:夫の性的不能を理由に妻が離婚慰謝料1,000万円を申し立てるが、判決では100万円となった。

■婚姻期間5年〜10年
・ケース1:夫が育児に協力しない事を理由に妻が離婚慰謝料1,000万円を申し立てるが、判決では300万円となった。
・ケース2:夫による性交渉の拒否、夫からの離婚請求による破綻を理由に妻が離婚慰謝料500万円を申し立てるが、判決では300万円となった。

■婚姻期間10年〜20年
・ケース1:夫の妻への配慮のなさを理由に妻が離婚慰謝料800万円を申し立てるが、判決では400万円となった。
・ケース2:夫の性交渉がないことを理由に妻が離婚慰謝料1,500万円を申し立てるが、判決では300万円となった。

■婚姻期間20年〜30年
・ケース1:夫の暴力傾向、家計への無理解を理由に妻が離婚慰謝料1,500万円を申し立てるが、判決では500万円となった。
・ケース2:夫のギャンブル等による借金を理由に妻が離婚慰謝料3,000万円を申し立てるが、判決では500万円となった。



不倫慰謝料

不倫慰謝料の相場

千葉県弁護士会による慰謝料算定の実務の中で離婚慰謝料に関するアンケート結果の分析が示されていますが、それによると離婚原因の中では不倫を原因とする離婚件数がもっとも多く、平均額は347万円となっており、婚姻年数が長いほど高額になる傾向が見られています。

不倫慰謝料の算定要因になるのが婚姻期間、婚姻関係が事実上破綻しているかどうか、婚姻生活の状況、不倫期間、不倫行為の悪意性、不倫関係においてどちらが主導的役割を果たしたか、未成年の子がいるかなどさまざまです。

不倫の場合は不倫した夫、もしくは妻に対してと、その相手方にも慰謝料を請求することができます。

判例からみる不倫慰謝料

過去の判例からいくつかの不倫慰謝料のケースを見てみましょう。

■ケース1:婚姻期間は5年未満。夫が複数の女性と不倫関係を持ち、再三にわたる暴言、暴力(妻の身体障害に触れる等)を行ったことを理由に妻が離婚慰謝料300万円を申し立て判決では250万円の慰謝料となった。

■ケース2:婚姻期間は30年以上。夫婦で購入した海外の別荘で他の女性と同棲するという不倫行為とその後の妻に対する暴力等によって婚姻関係が破綻させた夫の責任は重いと見なされ、慰謝料は1,000万円となった(妻からの請求額は3,000万円)。

内縁関係破棄

内縁関係破棄による慰謝料相場

内縁とは婚姻意思があって、なんらかの理由で婚姻届けは出していないために法律上の夫婦と認められていないが、社会的に夫婦として共同生活を送っていることです。そのため、慰謝料を請求する時は通常の夫婦とほぼ同様と考えられるようです。

ただし内縁関係は婚姻届を出していない事による特有の問題があるようです。慰謝料請求という段階で、その内縁関係が本当に存在していたかという争いになることもあるようです。同居の形をとっていない、男女が別々に経済的に自立している場合も生活の一部について共同し、夫婦関係を成立させる意思があるときは内縁の成立が認められた判例もあるようです。

また内縁関係の場合、法律上の夫、妻がいて内縁関係を持っているケースもあります。その場合でもそれ相応の法的保護があたえられるべきと考えているようです。過去の判例から見るとそれぞれの状況がかなり異なるため、100万円以下の慰謝料の場合もあれば300万円の慰謝料が認められたケースもあります。

判例からみる慰謝料

過去の判例からいくつかの内縁関係破棄による慰謝料のケースを見てみましょう。

■ケース1:女性と男性は挙式をし1年2カ月にわたる事実上の婚姻生活を営んでいたが、女性が男性に対し婚姻届を再三要請したにも関わらず、男性が婚姻届を提出しなかった。これにより内縁関係が破綻したことを理由に離婚慰謝料500万円を申し立て判決では250万円の慰謝料となった。

■ケース2:女性と男性は同居期間が20年と長く、男性の不倫行為で破綻したため女性は2,000万円の慰謝料を請求した。しかし女性には破綻はしているが法律上の夫が別にいて(重婚的内縁関係)、男性が婚姻を望んでいたにもかかわらず、法律上の夫と離婚しようとしなかったことから、保護する必要性が低いとみなされ判決では100万円の慰謝料となった。

婚約破棄

婚約破棄による慰謝料相場

婚約は将来において結婚することを目的とする契約で、それを不当に破棄した者は慰謝料を支払う義務があるとするのが判例となっています。慰謝料を決める要因は結婚式に向けてどのくらい準備をはじめていたか(挙式、披露宴、結納の準備、親族や友人への紹介)や、破棄の原因(暴力や他の異性との交際)、交際期間、同居期間、妊娠、中絶、出産など多岐にわたります。

状況はそれぞれ違うため相場の幅も大きく100万円未満の場合もあれば高額なものだと200万円以上のケースもあるようです。

判例からみる慰謝料

過去の判例からいくつかの婚約破棄による慰謝料のケースを見てみましょう。
■ケース1:女性と男性は交際期間5年で婚姻届まで作成した段階で、男性が他の女性と同棲を始め婚約破棄となった。その後、その女性と結婚したことや、肉体関係があったこと、家族に紹介済みであったこと、ウエディングフェアや住宅展示場を訪れていたことなどが考慮要素となった。女性が慰謝料150万円を申し立て判決では100万円の慰謝料となった。

■ケース2:女性と男性は交際期間8年で結納等の準備を進めていたこと、婚約破棄により中絶手術を受けざるを得なかったこと、出産準備のため仕事の休職を通知していたこと、男性の態度が二転三転して女性を振り回したことを考慮要素となった。女性が慰謝料300万円を申し立て判決では300万円の慰謝料となった。

ストーカー

ストーカー被害による慰謝料相場

ストーカーと呼ばれる「つきまとい行為」はされた側の身体の安全・住居の平穏を害し、行動の自由を害され精神的に苦痛、不安を与えるものが不法行為とみなされます。ストーカー行為を理由として慰謝料を認めた裁判例は少ないようです。判例をみると100万円未満の慰謝料が認められたケースから300万くらいまで認められた判例もありケースバイケースのようです。

DV=暴力

DV=暴力による離婚慰謝料の相場

判例からみると暴力による離婚の慰謝料平均額は171万円で、不貞を原因とする慰謝料よりも低いようです。ただし暴力に関しても婚姻期間が長いほど高額になる傾向が見られます。DV=暴力の場合、期間だけでなく暴力を受けた回数やそれによって受けた怪我、暴力の影響で発症した病気(うつ病など)の程度にもよります。

女性のためのDV相談室 by NPO法人 全国女性シェルターネット
参照元:全国女性シェルターネット(2015年12月著者調べ) 夫や恋人からのDV(ドメスティック・バイオレンス)、デートDVなど、さまざまな暴力に悩む女性をサポートします。 今回の過去の判例については慰謝料算定の実務・第2版を元に検証しています。

Amazon.co.jp: 慰謝料算定の実務 第2版
参照元:千葉県弁護士会(2015年12月著者調べ)

女性が守られる社会であってほしい

男女間トラブルを抱える女性は多く、身内にも相談できずにひとりで問題を抱え込む人が多いと聞きます。まずは無料で相談できるところに今の悩みを話してみましょう。現状を変えるいくつかのヒントがあるかもしれません。下記に無料で相談できるサイトをご紹介します。 ■日本弁護士連合会
その地域の弁護士が所属する弁護士連合会があり、そこで法律相談センターというものがあります。基本的に有料なのですが年に数回程度無料法律相談会が開かれることがありますので、お住まいの弁護士会に確認してみてください。

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:ひまわりお悩み110番 (法律相談の予約)
参照元:日本弁護士連合会(2015年12月著者調べ) ひまわりお悩み110番 日常の'困った!?'を、地域の弁護士が解決! 0570-783-110 お近くの弁護士会につながります

相談をご希望の方へ  法テラス|法律を知る  相談窓口を知る  道しるべ
参照元: 法テラス(2015年12月著者調べ) 法テラス(日本司法支援センター)は、国により設立された法的トラブル解決のためのセンターです。経済的な余裕がない人のために無料(一定の条件あり)で法律相談を受けることができます。 メールで無料相談が出来ます。他の方の相談例を見ると参考になる情報を見つけられる可能性もあります。 ※本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。