借金がなくなるってホント?!【時効の援用】で債務を消す方法

時効が完成すると、権利関係は最初からなかったことになります。そのために必要な手続きが時効の援用。時効の援用について、注意点も踏まえてわかりやすくまとめました。



時効の援用とは

そもそも時効って何?

よくドラマなどで「その件はもう時効だ!」なんていうセリフを耳にすることがありますが、正確な意味をご存知ですか?時効とは、「ある事実状態から一定期間が経過することによって、権利を取得しあるいは喪失するという法律効果を認める制度」の事を言います。

時効が完成した場合の効果

例えば、お金を借りている場合、時効が完成すると相手が債権(お金を返してもらう権利)を喪失します。すなわち借りている方は借金を返す必要がなくなります。また、時効の完成はその起算点に遡って効力が発生します。そのため法律上は借金をしていないということになります。そのため時効が完成した分については利息も払う必要がなくなるのです。

時効の完成に必要な「援用」

しかし、時効が完成したからといって、自動的に借金がなくなり、0になるわけではありません。あなたがお金を借りている方の場合、この借金を法的になくすためには「時効の援用」という制度を利用しなければなりません。

時効の援用とは、契約している相手がわ(この場合は債権者)に、「時効が完成したから債務(この場合は借金のことです)がなくなりました」ということを通知する制度のことです。この援用をしない場合、時効を迎えた後に債権者から「お金を返してください」と請求されたり、「お金を返します」と答えたりした場合には、借金はなくならずそのまま返済義務が続いてくので、注意が必要です。

この場合は、返済するか、再度時効が完成するのを待つしかありません。

徴収権の消滅時効(はじめに)
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ)



時効の援用の方法

時効の援用方法について見ていきます。時効の援用は、債権者に通知するだけというシンプルなもの。裁判を起こす必要もありません。しかし、注意が必要なポイントもいくつかあります。

まず、本当に時効を迎えているか調べよう

もしもその借金がまだ時効を迎えていないのに、相手側に援用の通知を送ってしまった場合は厄介なことになりかねません。

そもそも、時効を迎えるということは、債権者側からその借金についてなんのアプローチもないまま数年が過ぎている場合です。債権者はもしかすると、お金を貸していること自体を忘れている可能性もあります。忘れていた債権に対して、時効援用の通知を受け取った場合、そしてその債権がまだ時効を迎えていなかった場合、普通であれば時効の完成を阻止しようと思うのではないでしょうか。

時効期間は、この3つのことが起きるたびにリセットされて0地点に戻ります。それが「請求・差し押さえなど・承認」と呼ばれる事由です。例えば借りたお金の債権消滅時効が10年だった場合、9年9ヶ月目で債権者から請求された場合は、これまでの9年9ヶ月はリセットされ、また0日から消滅時効期間がスタートするのです。

借金が時効を迎える前に時効援用の通知を債権者に送ってしまった場合、債権者が 請求・差し押さえなど・承認をしてくる可能性があります。また、知らないところで裁判を起こされて、時効期間がリセットされていたというケースもあるようです。援用の通知をする場合には、借金が本当に時効を迎えているかを調べてから行動しましょう。

援用に費用はかかる?

時効の援用は、債権者に援用しますと通知するだけなので、それ自体は費用はかかりません。しかし、普通の郵便で通知を送ったり、電話など口頭で伝えたりという場合には、相手が「聞いてない」「もらっていない」と主張してくることも考えられます。そのため、時効の援用を通知する場合には内容証明郵便を使用するのが一般的です。

内容証明にかかる郵便代は基本料金+一般書留の加算料金+内容証明加算料金になります。定型郵便であれば、1,000円〜1,300円(配達証明や速達などを利用した場合)くらいの費用になるようです。
その他、弁護士や行政書士などに相談したり、内容証明の発送を依頼した場合には、その分の手数料などが数万円単位でかかってくることがあります。

内容証明 – 日本郵便

時効の援用は誰でもできる?

時効の援用は誰でもできるかというと、そういうわけでもありません。法律上は「当事者」が援用する権利を持っていると定められていますが、この当事者の範囲が問題です。その借金の連帯保証人や連帯債務を負っている人は時効の援用が認められていますが、一般債権者は認められていません。

例えば、あなたがAさんにお金を貸しているとします。Aさんはあなた以外にBさんからもお金を借りていますが、資金力がないのでこのままだと借金を返してもらうことができないかもしれません。だからといって、AさんがBさんから借りている借金の時効が完成したので借金は返しませんよ、と時効の援用をBさんに通知することはできません。

自分の借金について時効を援用することは問題ないケースがほとんどですが、債務を又借りしている場合や抵当権付きの土地を借りていたり、といったケースで、自分が当事者に当たるのかどうか判断が難しい場合は、専門家に相談することが無難です。



時効を援用すると信用情報にのる?

法的には、時効が完成すると起算点に遡ってその借金はなかったことになるため、信用情報にも乗らないのではないか、と思えがちです。しかし、この信用情報機関に情報を提供するのは信販会社などの債権者側です。債権者側が情報をあげない場合には、お金を借りていたという事実が消えることはないようです。

また、債務データごと削除されたり、契約終了と掲載されるなど、信用情報機関によってどのように情報が掲載されるかも変わるようです。

まとめ

時効を迎えた債務は、援用することでその借金ごとなかったことになりますが、援用の制度を利用する時は、本当に時効を迎えているのかを、きちんと調べましょう。不安な点は、信頼できる専門家に相談を! ※本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。