賞与の社会保険料計算ができると「なぜこんなに引かれる」がわかる!

ボーナスが出たのに、手取り額を見るとずいぶん引かれている…額面がそんなに大きくなくても社会保険料はずいぶん引かれていると思われるでしょう。いったいどうやって計算されるのか、なぜここまで引かれるようになったか、学んでいきましょう。



賞与の社会保険料計算って難しい!?

ボーナスの時期になると、奮発して何を買おうか楽しみにいる人が多いのではないでしょうか。しかし、例えば50万円もらえますというようになっても、実際に手取りとなると何割か引かれてしまいます。賞与の明細を見てみると、社会保険料やら税金やらいろいろなものが控除されています。特に社会保険料はかなり引かれているでしょう。

賞与の社会保険料は、様々なものを控除する前の額面金額に対して、比例する形で計算されるというイメージをお持ちの方が多いと思います。大筋ではその通りですが、実際には細かい取り決めもあります。そのしくみを解説していきます。

賞与の保険料に不満を感じる人にオススメの記事です

賞与にかかる社会保険料の名目を見てみると、健康保険料に厚生年金に雇用保険…といろんな名目のものが並んでいるのがわかるでしょう。しかも厚生年金がかなり大きく、健康保険も多く感じると思います。年金は現役世代が減ってもらっている人が多くなっているから足りないのだろう、となんとなく想像できるかもしれません。

現役で働いている人から多く取るために、社会保険の制度はたびたび改正されてきました。賞与から社会保険料をとることになったのも、平成に入ってからのことです。なぜこんなに社会保険料が賞与から引かれるのか理解するには、その基本からわかったほうがいいでしょう。そんな人にこの記事はオススメです。



まず予備知識をおさえよう

社会保険料の意味を理解しよう

社会保険料とはどういうものでしょうか?通常は健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の3つをいいます。介護保険料は(介護の世話になるもしくは親の世話をすることが多い)40歳以上からかかってくるようになり、会社によっては健康保険料に含めて明細を表示しているところもあるでしょう。広い意味では、これに雇用保険料を加えたものを言います。

健康保険は病気になったとき、介護保険は介護サービスを受けるときに恩恵を受け、また払った分だけ報われるものではないのです。この2つは加入する団体が健康保険組合もしくは全国健康保険協会となっており、どこに加入するかで保険料率やサービスが異なります。

また、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、事業所の所在地(都道府県)によっても健康保険料率が変わります。厚生年金は払った保険料が大きいほど手厚い保障を受けられます。休業や失業の時になって雇用保険から給付を受けるときも同様です。

ハローワークインターネットサービス – 雇用保険制度の概要
参照元:厚生労働省職業安定局(2016年6月、著者調べ) 社保とは社会保険のこと。誰もが耳にしたことのある保険だと思います。会社勤めしている人は当たり前のように加入sいている人が多いかもしれませんが、実はおおくの方が社保について詳しく知らないようです。毎月お給料から引き落とされている社会保険料ですから、どんなものなのか基本知識から詳しいことまで説明して行きたいと思います。

会社負担分はどれだけかかるの?

社会保険の特徴として、本人だけでなく会社が負担してくれるというのがあります。会社はどれだけ負担してくれているのでしょうか。狭い意味での社会保険にあたる、厚生年金は折半して負担するとされています。つまり会社が半分負担、本人が半分負担します。健康保険・介護保険も基本的には同じですが、健康保険組合の場合は、完全に半々というわけではない組合も存在します。

雇用保険の場合は半分以上会社が負担しますが、負担割合が細かくまた年によっても変わります。なお、最近では全額事業主が負担する社会保険料として子ども・子育て拠出金というのがあります。児童手当や子育て事業の財源として企業に負担してもらっているのです。労災保険についても同様に、全額が企業負担となります。

当組合の保険料 | 健保組合の概要 | NTT健康保険組合
参照元:NTT健康保険組合(2016年6月、著者調べ) 毎月お給料から引かれている社会保険料。色々な種類があり金額もそれなりに大きいけれど、あなたはそれぞれがどのような役割を持っているのか知っていますか?また、その社会保険料がどのように計算されているかを知っていますか?知ることで社会のことがより深く理解できますし、ライフプランにも生かすことができますよ。少し難しい社会保険とその保険料の計算方法について、ここで易しく説明します。

給与から天引きする場合の求め方

賞与の前に、通常の給与から天引きされる社会保険料の計算ですが、給与の額が大きくなるほど社会保険料も大きくなるように見えます。一定の率をかけて求めると考えればよろしいのでしょうか?

雇用保険料はその通りですが、その他は若干違うところがあります。保険料額表というものがあり、それに基づいて給与から天引きする額が決まります。例えば、給与が20万円としますと、報酬月額が「195,000円以上210,000円未満」となっている等級17(13)を参照します。

厚生年金保険料で「一般の被保険者」の場合は、全額で35,656円、折半額で17,828円となり、折半額が給与から天引きされます。東京都の健康保険料はどうでしょうか。介護保険に加入しない場合は、全額で19,920円、折半額で9,960円となります。介護保険に加入する場合は、全額で23,080円、折半額で11,540円となります。

平成28年3月分(4月納付分)の健康保険・厚生年金保険の保険料額表
参照元:全国健康保険協会(2016年6月、著者調べ)

具体的な計算方法を見ていこう

給与とは違うやり方になる

それでは、賞与の社会保険料の計算ですが、こちらも給与と同様に、保険料額表を使って計算するのでしょうか?給与の場合の保険料額表に注意書きがあり、賞与に係る社会保険料の計算方法が記載されています。

まず、給与の額面に千円未満の数字があれば、それは切り捨てるということです。ここに料率をかけて計算します。この料率は給与についても言えますが、毎年変わります。厚生年金保険料率は毎年9月分から、雇用保険料率は毎年4月分から変更となります。

雇用保険料率は据え置きの場合もあり、また厚生年金保険料率は平成29年から一定とされています。健康保険料率・介護保険料率は加入する組合によって、健康保険料(協会けんぽ)の場合は、都道府県によっても料率は様々です。また料率を変更する時期もそれぞれで異なります。

年金関係 推移表
参照元:宝谷社会保険労務士事務所(2016年6月、著者調べ)

平成27年分の料率は

平成27年改定分の例を見てみると、厚生年金保険料率は平成27年9月から17.828%となっています。健康保険及び介護保険は、企業別や職種別にある健康保険組合に加入しないのであれば全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入します。協会けんぽ・東京都の例で見てみれば、健康保険料率は9.97%、介護保険料率は1.58%です。

なお、上記の率は本人・会社負担両方あわせてですので、賞与から天引きする保険料を求めるには、上記の料率÷2をかけます。雇用保険料率は平成26年度から変わらず、一般の事業では労働者負担5/1000、会社負担8/1000になります。農林水産・清酒製造業では、会社負担分が9.5/1000、建設業では10.5/1000にアップし、また両者共通で労働者負担は6/1000となります。

賞与の社会保険料がこの水準まで高くなったのは、平成15年4月からです。平成7年4月から賞与にもかかるようになりましたが、平成15年3月までは特別保険料の形で、厚生年金の場合は1%(会社負担含む)しかかかっていなかったのです。

平成27年度の協会けんぽの保険料率は4月分(5月納付分)から改定されます | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2016年6月、著者調べ)

平成 27 年度の雇用保険料率
参照元:厚生労働省(2016年6月、著者調べ)

特別保険料 について
参照元:厚生労働省(2016年6月、著者調べ)

端数処理はこうなる

賞与にかかる社会保険料を計算した際、小数点以下の端数が出ることがあります。細かい話にはなりますが、この処理はどのようにしたらよいのでしょうか?これは取り決めがあって、一般的な天引きを行う際には、50銭以下は切り捨て、50銭超は切り上げ計算するという、少し変わった計算をします。ちょうど50銭の時は会社側が多く払うという、労働者有利なやり方です。

もっとも天引きでなく現金払いの時は50銭の時は切り上げとなり、労働者が不利になります。またこれは原則計算ですので、これ以外の方法も認められるとしています。

厚生年金保険料の計算方法について|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年6月、著者調べ)



こんなことも知っておきたいプラス知識

天引きされる金額に上限はあるの?

天引きされる社会保険料の金額には、雇用保険を除き上限があることはご存じでしょうか。社会保険料を算定する際は、基本的には賞与の額面に料率をかけますが、千円未満は切り捨てることは説明しました。この考え方に基づく賞与の算定基準は「標準賞与額」とも呼ばれますが、厚生年金に関しては1回の支給につき150万円という上限もあります。

なお、あまりないとは思いますが、同じ月に2回賞与が出る場合は合算して150万円が上限になります。健康保険・介護保険の場合は年間(4/1~3/31)で540万円が上限です。ボーナスの額面が1,600,100円とすれば、厚生年金保険料は160万円に8.914%(本人負担分)をかけるのではなく、150万円×8.914%=133,710円となるのです。

厚生年金保険の保険料|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年6月、著者調べ)

賞与から天引きされない場合もある!

例外的に賞与から天引きされないケースというのもあります。賞与が毎年決まって年4回以上出ているようなケースです。この場合は、賞与の年間合計額を12で割ったものを、毎月の給与に上乗せし、毎月の給与から天引きする額を多くします。その分、賞与からは天引きされなくなります。

例えば、毎月の給与30万円、賞与4回の合計が120万円とすると、給与にかかる社会保険料の基になる「報酬月額」が、30万円+120万円÷12=40万円となります。この場合の等級は27(23)「標準報酬月額」は41万円となります。厚生年金保険料だけ見て行きますが、「一般の被保険者」の場合は、全額で73,094.80円、折半額で36,547.40円となります。

端数処理後の36,547円が給与から天引きされます。なおこの例外は、雇用保険には適用されません。

計算シートでシミュレーションできる

賞与にかかる社会保険料がどれくらいなのか、試算できるものがあります。給与計算の担当者以外はあまり使わないでしょうが、厚生年金をどれだけ掛けたらどれだけのもらえるかの参考にはなるかもしれません。ここで紹介するのは川越商工会議所のサイトです。

賞与の額面と都道府県を入れると、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の3つが自動計算されます。健康保険料・介護保険料は協会けんぽのケースですので、健康保険組合に入っている場合は計算結果が異なります。ただ、1割以上変わるということは稀でしょうから、参考にはなると思います。

賞与にかかる社会保険料計算シート | 川越商工会議所
参照元:川越商工会議所(2016年6月、著者調べ)

まとめ

賞与にかかる社会保険料の計算の仕方を見ていきました。社会保険料の中で特に厚生年金の料率が高いと思われたのではないでしょうか。少子高齢化で財政が苦しくなっていく中で、保険料は引き上げられてきています。日本全体で医療を受ける人が多くなっているために健康保険料があがり、年金も現役世代が減っていく中で保険料を毎年少しずつ上げるように決められています。

福祉財源に充てられる消費税は日々買い物で支払うため、増税に神経質になりがちでしょうが、社会保険料は天引きされるため、あまり目が行き届いてなかったのではないでしょうか。この記事を理解することで、社会保険料のことも気にかけていきましょう。