こんな借金の取り立ては違法!【10の事例】現役金融マンが実際やってしまったこと

借金して支払いが延滞すれば、貸金業者は当然取り立て行動を行います。初めは優しく、それでも払わないと段々エスカレートしてしまうのは必至です。しかし貸金業者の取り立て行為は貸金業法で厳しく制限され借主保護を主眼としていますが、金融業に携わる人たちがその法律を全て理解出来ていないような取り立て行為もあるようです。



目次一覧

今回取り上げた記事について

貸金業法は平成18年12月20日に公布され、平成22年6月18日に完全施行されました。この法律により借主の保護と貸金業者の業務の適正化が図られました。

今回ご紹介する記事は全てこの貸金漁法の法律に従って書かれておりますことをご了解願います。

貸金業法について
参照元:日本貸金業協会(2015年10月、著者調べ)

貸金業法
参照元:法務省(2015年10月、著者調べ)



取り立て行為①:追い込み予告等をすること

払わないなら追い込みすると言われ…

■借金滞納で、貸金業者から「追い込み予告」をされたAさん。

当然借金を払わない自分が悪いのは知っています。でも、遅れながらでも払っていたのに突然「これ以上は待てないんだ」と遅れた分を早く返済するように電話督促をされました。でも、妻が病気がちで医者代が掛かり払いたくても払えない状態だったんです。その事情を担当者に話し、その人には一応理解はしてもらったつもりだったのですが、「会社の上司がね、払えないなら追い込みかけてこい、ってうるさくてね」と言ってくるようになったんです。もうそれを聞いてから、いつ追い込みをしてくるのかと不安になって弁護士に相談しました。

どこが違法となるのでしょうか

貸金業法第21条1項10号に、「債務者に対し、6号以外の21条1項各号いずれかに掲げる言動をすること告げること」をしてはいけない、と定められていますので、この場合は明らかに「追い込みの予告をした」に当たることになります。よってこの貸金業者は法律違反となって処罰されることになります。

取り立て行為②:債務者以外に債務者の連絡先等を聞いたり要求したりすること

親せき、友人にまで私の居場所を聞いてきて…

■貸金業者の督促電話に出なかったBさん。

最近会社が不景気になってしまい、給料がその日に出たり出なかったりが続いた時がありました。勿論ちゃんと給料が出たら支払い期日には入金を済ませていたのですが、給料が遅れたりすると思うように支払いが出来ない時がありまして、そんな時は取り立ての電話が来たり、自宅まで訪問されたりされました。私は気が弱いタイプでしたから電話には出ず、居留守を使って身を隠すしかなかったんです。そうしたら、私が行方不明にでもなったと勘違いしたのか、私の担当者が私の親せきや友人にまで電話して「どこにいるか知らないか」と聞いて回っていたようです。

どこが違法となるのでしょうか

貸金業法第21条1項8号に「債務者等以外の者が債務者等の居所、又は連絡先を知らせること、その他の債権の取立てに協力することを拒否している場合」はその要求をしてはならないと定められています。ですから、今回のケースでは、あくまでも貸主と借主だけの問題ですから、借主がいない等になった場合でも連絡先を例え親せきだとしても聞いたり、居場所を探してほしいなどの強要はできないことになりますので、明らかに法律違反に当たります。



取り立て行為③:債務者以外に弁済を求めること

息子の借金なんだから…

■自分の借金の支払いを親に支払わせられそうになったCさん。

自分は会社員で多少の借金はあるもののちゃんと計画を立てて毎月支払っていたのですが、私が借りた会社が他の会社と合併することになったようです。それでも私は、今まで通りに払っていけば何の問題もないと思っていたら、突然、業者から「悪いけど来月の末までに全額払ってほしい」と言われました。

額にして30万円程でしたが、契約はあくまで分割払いでしたので、それは出来ないと答えたところ「じゃあ、いい」と電話を切られました。そしたら翌日、自分の父親から怒鳴られたのです。「お前、借金があるそうだな。俺に全額耳を揃えて払え、っていってきたぞ」。私は驚きました。

どこが違法となるのでしょうか

貸金業法第21条1項7号に「債務者以外の者に対し、債務者等に代わって債務を弁済することを要求してはいけない」とあり、他人に対して借金の肩代わりを要求してはいけないことになっています。今回のケースはまさにこれに該当しますので業者は法律を犯していることになるのです。

取り立て行為④:弁護士等から債務整理等の委任状が届いても請求すること

貸金業者に任意整理の通知が届いても関係なく…

■多額の借金を抱え弁護士に債務整理を依頼したDさん。

私は自分の甘い計画の末、多額の借金を抱えてしまいました。自分の給料ではとても返済出来る状態ではなくさんざん悩んだ挙句に弁護士に債務整理の依頼をしました。

弁護士からは、今日この時点からすべての借金の返済はする必要がない、と言われ、借金取りからもう逃げ隠れしなくてもいいのだ、と素直に喜んでいたのですが、ある貸金業者からの督促の電話が入りました。「もう支払い期日が過ぎていますので至急支払いをお願いします」。私は、すぐさま「借金のことは弁護士に依頼しましたので」と返答すると「そんなの関係ねえよ」と恫喝されました。

どこが違法となるのでしょうか

貸金業法第21条1項9号には「貸付の契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士・弁護士法人、司法書士・司法書士法人」に委託した場合、または「債務の処理のため必要な、裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があった場合」、簡潔に書くと、弁護士・司法書士が間に入ったら、債務者を訪問、または電話等で接触して返済を要求してはいけない旨が定められていますので、今回の事例でも明らかに法を無視する行為であるため、その業者は処罰の対象となります。

取り立て行為⑤:他の業者から借り入れして借金の弁済金の調達を要求すること

返済出来ないなら何処かで借りてこい…

■借金の支払いが滞っていると、業者は何処かで借りてこいと要求されたEさん。

私が悪いことは十分承知しています。借りたものは返すことは基本原則なことも理解しています。借金契約している業者が4件、借入額が250万円になったのはわずか2年あまりの事です。どうも私には精神的に弱い面があるようで、いったん欲しいものがあるとどうしても欲しくなってしまうのです。

これは何とかやめなければ破たんしてしまうことは分かっていました。しかし、物欲の誘惑に負けてしまいそのたびに借金を繰り返してしまいました。当然、支払額は私の給料では賄っていくことが困難な状況へと追い込まれていったのです。そんなある日、貸金業者の担当者から支払催促の電話が入りました「今日、支払い日なんだけど、大丈夫だよね?!」と。

私は「今日はどうしても都合が付かないので2,3日待って欲しい」というと「2,3日でなんとかなるの?」と質問されたのですが、私はただ支払いの日を延長したかっただけでしたので何も答えられませんでした。すると「今日どうしても払ってもらわないと困るんだよね。もし都合が付かなかったら闇金でもどこでもいいから借りてきてくれない?」と畳みかけるような言い方をされました。

どこが違法となるのでしょうか

貸金業法21条1項6号には、「債務者等以外の者からの金銭の借入れや、その他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達」を要求してはいけないと定められており、貸金業者の言った「どこかで借りて返済しろ」の発言はまさにこの法律に違反した行為となり処罰の対象となります。

取り立て行為⑥:借金返せ等の張り紙をすること

借金ドロボーの張り紙をされ…

■家に帰ったら玄関に「借金ドロボー」と張り紙をされたFさん。

自分が仕事から帰ると玄関のドアに「金返せ!借金ドロボー!」の張り紙がありました。自分は市営住宅に住んでおりその棟の役員もしていました。自分が自宅へ戻るため、エントランスに入ると、ご近所の奥さんが数人で私の方を見ながら何やら話をしているようでした。

その時ふと気になったのは奥さんたちの私を見る目つきでした。何か変な感じがしたのですが、部屋の玄関まで来て、初めてその意味を知ったのです。たちまち自分が借金をしていることがご近所中に知れ渡り、他の棟の役員たちにも知られる結果となってしまいました。それからというもの毎日仕事に出かける時も帰ってきた時も私は白い目で見られるようになってしまいました。

どこが違法となるのでしょうか

貸金業法21条1項5号では「張り紙、立て看板、その他何らかの方法」で「債務者の借り入れに関する事実、債務者の私生活に関する事実」を債務者以外の者に明らかにしてはいけないと定められていますので、これは完全にダメです。この業者は法律違反ですので罰則の対象となります。

取り立て行為⑦:債務者の平穏を乱すこと

多人数で金返せの連呼をされ…

■借金の取り立てで自宅を訪問されたGさん。

私が借金の支払いを怠り、かつ電話の催促の約束にも支払いをしなかったため、貸金業者がやってきたのは理解せざるを得ません。しかし、私が借金をしていることを家族は誰も知らない、というか私は借金の事実を隠してきました。自分の給料で毎月支払いが可能でしたし、また滞納もしたことがありませんでした。

そんな夜でした。玄関のチャイムがなり、妻がその対応に出たのですが「〇〇さんのご自宅ですね。いらっしゃいますか?」という声が聞こえました。私は呼ばれるまでもなく玄関まで出ると、複数のスーツ姿の人影がみえました。

「何のごようでしょうか?」と言うと「今日が返済期日ですがお願いできますか?」と。私はミスをしたのです。今日が返済日であることは分かっており、仕事の帰りに近くのATMから入金を済ませたのですが、時間が15時を過ぎていたため貸金業者は入金の確認が出来なかったのです。

なおかつ、私の隣には妻がいたため、これはマズイと思い急いで玄関の外に出ましたが、妻にはバレてしまいました。時間は21時を少し過ぎていました。

どこが違法となるのでしょうか

貸金業法21条の本則において「貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない」と定められており、そもそもの取り立て行為の規制に違反しています。このケースでは特に、私生活のの平穏を害する行為に該当しますので違反行為となります。

取り立て行為⑧:決まった時間以外に電話督促をすること

夜中に金返せと電話が…

■夜中に借金の電話催促を受けたHさん。

私は会社員で勤務時間は朝9時から夕方6時までですので、家に帰るのは夜7時を過ぎた頃になります。借金の支払いは毎月きちんと期日前に済ませ滞納など一度もしたことはありませんでした。しかし、その日、丁度支払い期日の日でしたが、急な急ぎの仕事が入りその日の帰りは夜22時頃になってしまいました。

今日は残業があると知ったのが午前中でしたので金融業者に前もって、今日の支払いが明日になることを昼休みに連絡を入れておきました。その時電話口にでたのは女性の事務員でした。その時は明日入金すれば一日分の延滞利息が付くだけだろうと考えていたのですが、仕事から帰ってから2時間くらいたったころ、だいたい午前0時ぐらいに自分の携帯が鳴り、出てみると今日連絡したはずの金融業者からでした。

「今日支払い期日なのは知っていますよね?!」「ええ、勿論です。でも今日は残業があるので支払いを明日に伸ばしてもらうようにお願いしました」「関係ないね。帰りが遅くてもうちは今の時間まで事務所は開いているからね」。私は驚きました。次の言葉が出ません。

どこが違法となるのでしょうか

貸金業法第21条第1項1号では、「社会通念に照らし不適当と認められる時間帯」とされる時間帯、つまり午後9時から午前8時までの間に訪問や電話・FAXで取り立てを行なってはいけないと定められていますので、例えHさんが支払い期日の延長を申し出なくても午後9時以降は電話連絡してはいけないのです。これも完全にアウトですね。

取り立て行為⑨:債務者の会社に電話したり訪問すること

借金の催促が会社まで…

■借金の事実が会社にバレてしまったIさん。

全部私の責任です。借金の支払いを滞納し、しかも貸金業者に何の連絡もしてなかったのですから。私は20年以上もこの会社で働いてきました。それなりの地位も与えられ部下からの信頼され、上司からも可愛がられていました。

しかし、借金だけはついうっかりの連続でたびたび電話にて催促を受け、それから支払うという方法でやってました。そんな時、会社の上司から突然呼び出され、自分の借金についての質問をされました。私は内心「なぜ分かったんだろう?」と不思議でしたが、話を聞くとどうやら金融業者から会社へ電話連絡が入ったことがわかりました。

どこが違法となるのでしょうか

貸金業法21条1項3号では「債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所」に電話・FAX・電報、訪問を行なってはいけないと定められています。つまり、借主の勤務先には電話連絡はもとより、訪問はしてはいけないのです。完全に法律違反となります。

取り立て行為⑩:債務者の意に反して居座ること

金返すまでは帰らないよ、と…

■借金を返してくれるまでは帰らないよ、と言われたJさん。

私の家に取立て人がくるようになったのは、私が借金の支払いを怠って一週間くらい経ってからでした。玄関をたたく音と同時に「〇〇さん、お金返してくださいよ。お願いだから」という声がしました。私が慌ててドアを開けると男性が入ってきて「返済期日はとっくに過ぎてんだよ。金払えよ」とうんざりしたように言われました。

私は「今度の月曜日は給料日なんで、それまで待ってくれませんか」と頼むと「無理だね。こっちだって仕事なんだよ。今日少しでも払えないかな」という返事。「今手持ちがなくて…」と言うと「利息分だけでもいいんだよ。今返してくれないと帰らないよ」と話し合いの余地はなさそうでした。

どこが違法となるのでしょうか

貸金業法21条1項4号では、「債務者の居宅または勤務先、その他の債務者等を訪問した場所」において、債務者等から退去を求められても居座ってはいけないと定められていますので、Jさんは今日は帰ってくれないかと依頼したに違いありません。この場合は貸金業者はその場を退去しなくてはならないのです。ですからこの場合においても法律違反となりますね。

最後に…

いかがでしたでしょうか。

借主は借金の支払いを怠ったりした場合は、全部自分の責任だから仕方ないと考えてしまうようですが、貸金業法においては以上のようなケースは全て法律違反として処罰されるのです。ですから、少しでも困ったような事態が起きた場合は近くの弁護士事務所、あるいは地方事務所の担当課、または金融庁まで一方を入れることをお勧めします。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。