家計費に占める教育費、子供ひとり1,000万円どう捻出する?

ずっと公立でも子供ひとりにつき約1,000万円の教育費がかかると言われています。可愛いわが子の顔を見て「1,000万円か…」と、ついため息をついてしまう親御さんのため、「家計費」に占める「教育費」の割合の考え方、子供ひとりに1,000万円の統計データの中身について、詳しく解説していきたいと思います。



ずっと公立でも1,000万円超

ずっと公立でも子供ひとりにつき1,000万円の教育費がかかるってホント?答えは「どうも本当らしい」です。

もともと、この統計データは文部科学省による「子供の学習費調査」(平成24年度)が基になっています。私も同統計を基に「学習費」を算出してみましたが、幼稚園の3歳児から大学の4年までの平均学習費を足しあげていったところ、1,015万円の「学習費」が積み上がりました。

さらに、幼稚園から大学(文系)まですべて私立で同じ作業をしたところ、「学習費」の総額は2,371万円にもなったのです。

でも、ガッカリするのはまだ早い!詳細を読み解いてみましょう。 参照元:文部科学省「子供の学習費調査」(平成24年度)を基に筆者作成(2015年11月現在)

文部科学省「子供の学習費調査」(平成24年度)
参照元:文部科学省HPより(2015年11月現在、筆者調べ)



算数の時間です

公立の約1,000万円を検証

少し冷静に、一呼吸して考えてみましょう。

・幼稚園 3歳~6歳(3年)
・小学校 6歳~12歳(6年)
・中学校 12歳~15歳(3年)
・高校 15歳~18歳(3年)
・大学 18歳~22歳(4年)

さて、何年あるでしょうか?答えは19年です。では、1,000万円を19年で割ってみてください。

・1,000万円÷19年=約53万円

つまり、お子さんの学習費の平均(年額)は約53万円です。

次に、53万円を12カ月で割ってみてください。

・53万円÷12カ月=44,167円(1円未満四捨五入)

つまり、お子さんの学習費の平均月額はおよそ4万4,000円なのです。

毎月4万4,000円だと思えば「ちょっと頑張ればいけるかな?」と思えませんかね?

私立の約2,400万円を検証

同じように幼稚園から大学までずっと私立だった場合の学習費を検証してみましょう。計算方法は簡単。先ほどと同じように19年で割ってみて、その後12カ月に割るだけです。

・2,400万円÷19年=約126万円(年)
・126万円÷12カ月=約10.5万円(月)

これは結構厳しいと思われるかもしれませんね。ある程度年収の高いご家庭や、夫婦共働きのご家庭、お子さんがひとりっ子なら何とか頑張れるのかもしれません。

「学習費」に含まれるものとは

さて、文部科学省の「子供の学習費調査」をよく読み解くと、この調査でいうところの「学習費」は広義の「教育関連費全般」をイメージしているものです。「学習費」に含まれるのは学校の授業料や給食費以外にも、以下のようなものが全て含まれています。

■「学校教育費」の項目

・授業料
・修学旅行・遠足・見学費
・学級・児童会・生徒会費
・PTA会費
・学校納付金(入学金、入学検定料、施設設備料など)
・寄付金
・教科書費・教科書以外の図書費
・学用品・実験学習材料費
・教科外活動費
・通学費
・制服
・通学用品費
・その他(学校のバッジ、上履き、卒業記念写真・アルバム代金等)

■「学校外活動費 」の項目

・家庭学習のための物品・図書の購入
・学習机、いす、本棚、カセットテープレコーダー、PC(補助学習用)等の購入
・参考書、問題集、辞書、百科事典、学習用カセットテープ、PCソフト等の購入
・家庭教師の月謝
・教材費、通信添削などの通信教育を受けるために支出した経費
・学習塾へ通う費用(入会金、授業料、講習会費、模擬テスト代、交通費)
・予習・復習・補修のための図書館などへの交通費
・公開模擬テスト代金
・ハイキングやキャンプなどの野外活動
・ピアノ、舞踊、絵画などを習うために支出した経費
・音楽鑑賞・映画鑑賞などの芸術鑑賞、楽器演奏、演劇活動などに要した費用
・習い事の月謝や入会金
・施設入場料、交通費、物品費、図書費
・発表会などの舞台衣装代
・スポーツ技術(水泳・野球・サッカー・テニス・体操など)経費
・イベント、スポーツ観戦の経費
・習字・そろばん・外国語会話などを習うために支出した経費等

どうです?習い事、スポーツ、芸術鑑賞、塾や家庭教師などの補助学習の費用など、これら全てが1,000万円の中に含まれているのです。

お子さんの学校の勉強だけでなく情操教育にも力を入れる親御さんが増えているのでしょうが、「1,000万円」の中の「学校教育費」と「学校外活動費」を別々に、注意して見ていきましょう。

学校教育費だけ見てみよう

大学までの学習費が公立で約1,015万円、私立では約2,371万円と申し上げましたが、「学校教育費」だけに絞って幼稚園から高校までにいくらかかるのかみていきましょう。

■幼稚園

・公立 平均年15万円
・私立 平均年37万円

・3年では→公立:45万円(1.2万円/月)
・3年では→私立:111万円(3.1万円/月)

■小学校

・公立 平均年10万円
・私立 平均年86万円

・6年では→公立:60万円(8,400円/月)
・6年では→私立:516万円(7.2万円/月)

■中学校

・公立 平均年17万円
・私立 平均年100万円

・3年では→公立:51万円(1.4万円/月)
・3年では→私立:300万円(8.3万円/月)

■高校

・公立 平均年23万円
・私立 平均年72万円

・3年では→公立:69万円(1.9万円/月)
・3年では→私立:216万円(6万円/月)

※高校から「給食費」がなくなっています。お弁当・昼食代などは別途想定・算入する必要があるかもしれませんが、高校生からは生活費の中の「食費」の範囲に入れて考える必要がありそうです。

上記を踏まえた幼稚園から高校卒業までの学校教育費は以下の通りです。

・公立:225万円
 (15年間:15万/年、1.3万円/月)
・私立:1,144万円
 (15年間:76万/年、6.4万円/月)

どうですか?学校教育費だけみると、公立では15年間の総額が225万円、月額1.3万円となり、私立では15年間の総額が1,144万円、月額6.4万円になりました。

ずっと公立で大学まで行った場合の「学習費」の総額1,015万円のうち、高校卒業までの学校教育費だけならおよそ225万円(約1万3,000円/月)で済むはずなのです。

学校外活動費の負担が大きい

これまでの計算を踏まえて幼稚園から高校までの15年間の「学校教育費」と「学校外活動費」を比較してみていきましょう。

■公立の学校教育費:225万円
■公立の学校外活動費:282万円(1.6万円/月)
→小計 507万円(34万円/年、3万円/月)

■私立の学校教育費:1,144万円
■私立の学校外活動費:531万円(3万円/月)
→小計 1,675万円(112万円/年、9万円/月)

お稽古や塾、教育目的のレクリエーションなど、学校外の教育費にあたる「学校外活動費」が思いのほか多額であることが分かります。公立と私立では約2倍の差があり、公立に関しては「学校教育費」が安い分「学校外活動費」の比率が「学校教育費」のおよそ1.2倍となっています。

逆に私立では「学校教育費」がいかに高額かが一目瞭然です。「学校教育費」では公立と私立との差は5倍以上もあるのです。もちろん、学校によってかかる費用は異なることが前提ですが…。

教育関連費全体を抑えたいなら「学校外活動費」をどのようにして節約できるかがポイントになってくるでしょう。お子さんの教育にはできるだけ「お金をかけてあげたい」という方もいらっしゃるでしょうが、収入の額によっては、ある程度「厳選」することも必要そうです。

これで、幼稚園~高校卒業までの「公立の学校教育費が225万円」、習い事や塾、情操教育などの「学校外活動費が282万円」になることが分かりました。15年間の「学習費」の総額507万円の内訳が分かりましたね?

1,000万円まで残りはおよそ500万円です。つまり、大学の4年間だけで残りの500万円相当の学費が必要だということになるのです。国公立といえども、いかに大学がお金のかかる教育機関なのかが分かりますね。

幼稚園から高校卒業までの「学校教育費」と「学校外活動費」の内訳をご紹介してきましたが、比較しやすいように表を作成してみましたので下図もご参照ください。 参照元:文部科学省「子供の学習費調査」(平成24年)を基に筆者作成(2015年11月現在)



大学の学費とその他費用

大学に入学する時の入学費用の平均は以下の通りです。

■私立大学(理系)110万円
■私立大学(文系)104万円
■国公立大学 83万円

そして、在学4年間の費用(学費)の平均は以下の通りです。

■私立大学(理系)678万円
■私立大学(文系)588万円
■国公立大学 390万円

入在学費用(4年)に家庭教育費(お稽古事等の費用)を加えた合計額は以下の通りです。

■私立大学(理系)824万円
 →(うち家庭教育費:36万円/4年)

■私立大学(文系)723万円
 →(うち家庭教育費:31万円/4年)

■国公立大学 511万円
 →(うち家庭教育費:38万円/4年)

さらに、自宅から離れた場所で学生生活を送る必要がある場合には仕送りとして以下の額を想定しておく必要がありそうです。

■初期費用:45万円
■仕送り総額(4年):561万円(140万円/年、11.7万円/月)
■→自宅外通学費用総額(4年):606万円(これは大きい!)

「大学生になってからも塾とかお稽古の費用がかかるの?」と思ったら、資格取得のための学校や通信教育の費用、英会話学校、その他習い事等を続ける子も多いそうで、なるほど、大学を卒業するまで親って大変なんだな、としみじみ思いました。 参照元:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」(平成26年度)を基に筆者作成(2015年11月現在)

日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」(平成26年度)
参照元:日本政策金融公庫HPより(2015年11月現在、筆者調べ)

教育費の家計に占める割合

筆者作成(2015年11月現在) ここまで細かい数字の説明が続きましたが、「学校教育費」と「学校外活動費」をはじめとした「子供の学習費」の内訳をご理解いただけましたか?

さて、「教育費の家計に占める割合」ですが、上図をご参考になさってみてはいかがでしょう?手取り収入の10%を基本の教育費とします。また、「学校外活動費」については、「娯楽費(生活費の4%相当分)」も合わせた金額をを目安に予算を考えてみてください。

「教育費・娯楽費」の合計は、手取りの年収が20万円なら毎月2万8,000円、25万円なら3万5,000円、30万円なら4万2,000円になります。公立の小学校から高校卒業までの教育費はこれでだいたい賄えます。ただし、お子さんが2人以上いらっしゃる場合には配分比率を調整するか、習い事や塾、情操教育に関わるような「学校外活動費」の数を厳選して減らすなどの工夫が必要かもしれません。

大学の入在学費用については、毎月手取り収入額の2割の貯蓄を、お子さんが3歳~18歳までの15年続けていった場合、単純計算では以下の貯蓄額を達成できることになります。年収がずっと上がらないという(非常に悲観的な)前提で、ボーナスも含まない貯蓄額の計算ですから、実際にはもっと沢山貯蓄できるはずですよ。

・手取り収入額×20%×12カ月×15年

■手取り収入20万円→720万円
■手取り収入25万円→900万円
■手取り収入30万円→1,080万円

ボーナス分や副収入があるご家庭では、別途できるだけ貯蓄しておきましょう。それでお子さんの大学の学費も何とか賄える計算になるのではないでしょうか?

これはあくまでも「教育費」の目安をつけるための単純計算のシミュレーションですから、お子さんの成長に合わせ、年に1回くらいはご自身の「実収入」や「貯蓄達成総額」、「学齢に合わせた予算の想定」などを考え、再計算しながら、無理のない家計管理をしていただければと思います。

今回は教育費に主な焦点を絞りましたが、実際の家計管理や貯蓄プランを考える場合には「老後の費用」や「住宅ローンの返済計画」なども考慮しなくてはなりません。これらも併せてシミュレーションしておくと安心ですよ。

個人的な意見ですが、「老後費用」に関しては50歳からでも間に合うと思っています。サラリーマンの方なら退職金もありますし、お子さんの学費がかからなくなってから頑張ってみる方法もあります。それよりも「ローン返済」を優先して、年金生活が始まる前に「ローン残額0円」を目指しましょう。退職金もありますし、現在の人口構成・労働環境を鑑みるに、65歳までは健康でさえあれば働けるはずですから、あまり「悲観的」にならず、前向きに教育費や老後費用を考えてみてください。

でも子供って「教育費」だけではなく、他にもいろいろお金がかかっているんですよね。食費だって、被服代だって、一人前に育てるのは大変です。本稿がせめて「教育費」の心理的負担緩和になれば幸いです。

まとめ

「家計費に占める教育費の割合」いかがでしたか?1,000万、2,000万と聞くと尻込みしてしまいますが、お子さんが19年かけて成長する間に使う費用ですし、公立の学校に進んだ場合などは高校卒業までにかかる学校関係の「学校教育費」の負担はそれほど大きくはないはずなのです。ただし、それぞれの学校への入学時には初期費用(鞄、靴、制服、体操服等や教材類等)もそれなりにかかってくるはずなので、計画的な準備が必要となってくるでしょう。

また、ご説明したように、「1,000万円」の中にはお稽古、塾、書籍購入その他情操教育関係の費用なども含まれています。お子さんが本当に好きな事や、どうしても続けさせてあげたいものだけに絞り込むなどして「学校外活動費」を節約することが、教育費を無駄にしない、余裕のある家計管理には必要かもしれません。レクリエーションには無料または少額で楽しめる公共施設の利用なども検討してみてくださいね。

貯蓄がどうしても足りない時は…

お子さんの受験の結果次第では高校や大学から私立に進学せざるを得ない場合もあります。そうなると一気に教育費の総額が膨れ上がりますが、その時に「貯蓄がどうしても足りそうもない」という場合には以下、検討してみてください。

■祖父母に教育費の援助をお願いする(相続税の節税になる場合があります)
■奨学金(成績優秀者、低所得家庭向けなど)
■仕事復帰、パートやアルバイト

おじいちゃん、おばあちゃんにお願いする場合にはきちんと兄弟姉妹にもその旨をオープンに相談しておいて、後で(遺産相続の時)もめないようにご注意くださいね。また、最近は少子化の影響で私立でも生徒集めに苦労している学校もあるようです。成績優秀者には授業料の免除など「特待制度」を設けている学校もあるようですから情報を集め、検討してみてください。

お子さんが高校生ぐらいになれば「仕事復帰」も検討してみてはどうでしょうか?フルタイムはちょっと…という方は、パートやアルバイトでご自身の都合に合う働き方を検討してみるのもいいですよ。お子さんが大学生になると一気に寂しくなりますから、すこしづつ外に出て働くことも考えてみてはいかがでしょうか?

塾や習い事について(著者の経験談)

さて、私事ですが、お稽古は「ピアノ教室」だけ中学卒業まで続けさせてもらいました。塾や予備校には行きませんでしたが、代わりに通信学習講座を高校3年間だけとっていました。高校までは公立、国公立大学の受験には失敗し、大学は私立に4年間通わせてもらいました。

塾や予備校は帰りが遅くなるので「女の子が夜遅くに出歩くのは危ないから」との両親の方針で行きませんでしたが、夏休みの昼間の短期講習などには「苦手科目限定」で参加させてもらいました。第2次ベビーブーマー世代ですから、周りの子はほとんど塾や予備校に毎日のように通っていた時代です。塾の他に個人家庭教師が付けられていた同級生も沢山いました。

人数が多かったので「熾烈な受験競争」が高校・大学と続きました。当時は塾に行かないことについて「ちょっと不満」もありましたが、今考えてみると、ずっと家族で食卓を囲み、好きなテレビ番組を見て、読書する時間もたっぷりあって、マイペースに自宅学習習慣がついたので「まあ、よかったのかな」と思えます。

さすがに大学の受験に失敗した時は「ああ!やっぱり予備校行かせてもらっとけば良かった!」と激しく後悔もしましたが、そんな事を言えば「自分が勉強できないのを予備校に行かなかったせいにするな!」と父に厳しく叱られそうで、とても言えませんでした。

小学生の時、同じクラスに暗算の得意な子がいて、その子が通っていた「そろばん教室」に私も行きたいと母におねだりしたことがありました。母は「駄目よ」の一言で却下。「どうして駄目なの?」と聞くと「電卓使えばすむでしょ!」と言われ、それ以上は何も言い返せなったことを思い出しました。

お母さん、あなたは正しかったです。今、あなたの娘は仕事でもプライベートでも毎日電卓を叩いてますよ!皆さんも、お子さんの成長をいろいろ想い描きながら、楽しく電卓を叩いてみてください。

Z会通信教育
参照元:Z会通信教育/公式HP(2015年11月現在、筆者調べ)

ベネッセの通信教育「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」受講案内
参照元:ベネッセの通信教育サービスHP(2015年11月現在、筆者調べ) ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。