「理想の旦那はATM」に隠された夫婦のお金問題と人生についてちょっとマジメに考えてみた。

ある日、ネットサーフィンをしていると「理想の旦那はATM」という、一瞬「?」と理解できない衝撃的な書き込みを目にしました。そこで興味を持った私はこの「旦那=ATM」というキーワードで検索してみると・・・そこには夫婦やカップルが抱える「人生とお金の問題点」が隠されていたので、ちょっとマジメに考えてみました。



その心は「何も言わずお金も出してくれる」

さて、そもそも、「理想の旦那はATM」の真意はどういうことなのでしょうか。簡単にまとめると、こういうことみたいです。

・いちいち口出しをしない
・黙ってお金を出してくれる

大まかにいえば、この2点が大事だ、ということです。確かに、ATMはあなたがお金を引き出すときに文句は言いません。せいぜい、残高が足りない時に「残高不足でお取り扱いができませんでした」というくらいでしょう。

基本的には、画面に従って操作していけば、あなたが望む金額のお金を出してくれます。そして、そのお金をどう使おうが、ATMは口出しはしません。つまり、そこには「お金の使い道でいちいち文句を言われたくない」という心理が隠れているのかもしれません。

実際にそんな旦那はいるのか


「旦那=ATM最強説」について説明したところで、実際にそんな旦那=男性はいるのだろうか、ということに話を移したいと思います。まず、大前提からお話をしようと思います。先ほども書いた通り、ATMには感情はありません。

あなたのお金の使い道、ましては生活に文句をいうことなど絶対にありえません。その点では楽でしょう。しかし、男性にはちゃんと感情はあります。うれしいことがあったら笑うし、つらいことがあったら泣くし、腹立たしいことがあったら怒るでしょう。

当然、あなたのお金の使い道について思うところがあれば、何か言ってくるのは当たり前です。逆に、何も言わないほうがおかしいと思っていたほうがうまくいくでしょう。「え?でもうちの旦那は何も言わないけど…」という人も中にはいるかもしれません。

それは、よほど給料がよくて金銭的な問題がないか、よほどご主人が寛大かのどちらかです。そんな給料がよいか、もしくは寛大なご主人ははっきりいって少数派だと思います。「簡単にATMになってくれる男なんているわけない」ということをまずは認識するべきです。



まだまだ男性が家計を支えることを想定する社会


では、この「旦那=ATM最強説」から、カップルのお金のあり方についての問題点を探ることはできないでしょうか。私は考えました。その結果、一つ思い当たることがありました。それは、「家計を支えるのは夫と妻のどちらか」ということです。

日本は古くから、「男は外で働いて、女は家を守るべし」という価値観が強く根付いてきた国です。今でこそ、女性が結婚しても働き続ける、ということは珍しくありませんが、ちょっと前まで(1980年代)は、女性は結婚したら仕事を辞めるもの、と思われていた風潮があります。

つまり、日本の価値観を踏襲すると、「生活費は夫が稼いでくるもの」という結論が出てくるのは当然といえば当然なのです。近年は共働き、ということも珍しくはなくなりました。私の場合も、主人が会社で仕事をして、私が在宅で仕事と家事をしている、という形態ですので、共働きです。

でも、給料はどう考えても主人のほうが多くもらっているでしょう。こういう家庭は多いのではないでしょうか。参考になるデータとして、「女性の管理職の割合」を出してみましょう。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(平成24年)によれば、女性の管理職の割合は、平成24年の時点で約11.6%。つまり、働く女性の10人に1人しか管理職ではない、ということです。

※参照データ:第2節 就労の場における女性 | 内閣府男女共同参画局
つまり、女性が責任あるポジションで働き、男性よりも高い給料をもらっている、という家庭はまだまだ少数派と言えるでしょう。このような状態では「旦那にはATMの機能がついていないと困る=夫が生活の礎を築く」ということは求められるのも致し方ないかもしれません。

もちろん、女性が専門職(医師、薬剤師など)についている場合はこの限りではありません。また、これは男性が「働く上で健康上、その他の問題点がない」場合に成り立つことであり、なんらかの事情で働けない場合にまで当てはめていい話ではないことを書き添えておきます。

「主夫」「イクメン」は少数派


近年では、「妻が外で働き、夫が家で家事を担当する」という形態で生活をしているカップルもいます。また「イクメン」と言って、育児に積極的に参加することを目的として育児休暇を取得する男性も増えているそうです。

でも、実態はどうなのでしょうか。平成23年のデータになりますが、民間企業での男性の育児休暇取得率は2.6%、国家公務員の場合は1.8%となっています。

※参照データ:内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書(平成24年版)」
つまり、「ガチのイクメン」は100人に2~3人いるかどうか、ということなのです。理由としては、「男性が育児休暇をとると、その後の会社での昇進に差し支えが出る」など、仕事への影響がまだまだ大きいということが挙げられます。やはり、「夫は外で働くべき」という価値観は残っているのかもしれません。主夫やイクメンへの道はなかなか険しそうです。

女性が働きたくても働けないのも問題


「旦那=ATM最強説」がささやかれる背景には、別の問題も隠れています。それは「働きたい女性が働けない」ということです。

大企業では、女性が育児休暇をとること、育児休暇が終わったあとに短時間勤務や在宅勤務をすることなど、女性がライフステージに応じ働き方を選ぶことができる制度を整えつつあります。

しかし、そのような制度を整えるだけの環境にない企業では、子どもができたら仕事を辞めざるを得ない、という事態が頻発しているのも現実です。また、仕事にありつけたとしても、「働いている間、子どもの世話はどうするのか?」という問題は重くのしかかってきます。

運よく条件のいい保育園に入ることができれば問題はだいぶ解決しますが、そうでない場合が大変です。保育料の高い保育園に入れることもありうるので、「保育料のたけに仕事をしている」という本末転倒な問題も生じることがあります。女性が働ける環境を社会全体で整えていくことは急務と言えるでしょう。

女性にとっても、働くこともプラスになることは多い


女性が働くことは厳しい、という現状もある、というお話をしました。一方で、女性にとって働くことには一定のメリットもあります。それは「社会から必要とされている」という実感を得ることができる、ということです。

社会に出て、苦労をしつつも、人から感謝されるということは、それだけで女性にとって(男性にとっても)自信になります。そういう自信が人を輝かせることは往々にしてあるのです。

また、もっと現実的な問題として、「働いたお金を少しでも自分のために使うことができる」というメリットもあります。ご褒美にちょっといいスイーツを買ったり、限定のコスメを買ったり…「自分で稼いだ、自分のために使えるお金がある」ということは本当にいいものです。

「旦那をATMにするのではなく、自分も自分のためのATMになる」という心がけも必要でしょう。もちろん、先に書いたことと重複しますが、これは「健康で、なおかつ、その他働くための環境も整っている」女性について当てはまることであり、そうでない場合にまで無理に当てはめる話ではないことをご承知ください。

一番大事なのは「お互いの理解」


ここまで書いてきて、「結局、夫婦やカップルにとって、一番大事なことは何か?」という問題点が浮かび上がってきた気がします。それをまとめてみたいと思います。やはり、お金に限らず、すべての問題のスタートラインは「お互いの理解」にあると思います。

お互いがどんな価値観を持ち、どういう人生を送りたいのか。そして、そのためには何をすることが必要なのか。このあたりの理解を深め合うことが、いい関係を長期にわたって築いていくには必要なのです。

夫婦は、お金のことをもっと話し合うべき


もちろん、その理解の一環として、「お金に対する価値観」の理解も必要でしょう。「生活費の負担割合はどうするのか」「高額のものが欲しい場合、どういうルールで買うのか」「マイホームはどのようにして手に入れるか」…

二人の生活の中で、お金に関するトピックはたくさんあるはずです。目を背けないで話し合うことが大切であることは言うまでもありません。私が聞いた話では、お子さんを授かって結婚したのはいいものの、このあたりの問題についての理解がお互いにできていないために問題が起こっている、というケースもあります。

はっきり言ってしまえば、ご主人が家に生活費をほとんど入れず、自分のためだけに使っているので、生活が大変苦しいということです。ここまでくると、「いっそ別れたほうがいいんじゃない?」と言ってしまいそうになります。それぐらい、お金のことを話し合うことは大事なことなのです。

必要に応じて専門家に相談を


とはいえ、お金の問題は専門的な用語もたくさん出てくるので、自分たちだけでは理解が難しい、という人もいるかもしれません。そこでオススメしたいのが、ファイナンシャルプランナーなどの「お金の専門家」への相談です。

あなたたちが抱えているお金に関する問題を、わかりやすく解決してくれます。相応の相談料はかかりますが、問題を本気で解決したいと思っているなら、一度相談する価値はあるかもしれません。



お互い助け合うことが大事


「旦那=ATM最強説」の裏には、「夫が生活の礎を築くべき」という価値観が隠れている、というお話をさせてもらいました。しかし、二人の生活の礎は、二人で築いていくもの。実際は何もかもうまくいく、ということはありえないかもしれません。

それでも、お互いが敬意を持って相手に接し、助け合って生活していけば、そこまでひどい生活になるということも少ないはずです。「思いやり」を何よりも大切にしましょう。そうすれば「旦那=ATM最強説」という発想も出てこないはずです。