【民事訴訟】かかる費用を安く抑えるための基礎知識!

自分の身にいつ降りかかってくるか解らない「民事訴訟」。あまり聞きなれない言葉ですが、普段の生活と直結した問題解決の「手段」です。慰謝料を請求する時や、友人に貸したお金が返ってこない等の個人の争いを「裁判所」で行う場合、判決で解決することになるでしょう。そんな民事訴訟に関する費用やそれを安く抑える方法など、まとめました。



民事訴訟とは?

まず初めに、民事訴訟とはどのようなものを指すのか?基礎知識について、みてみましょう!

■裁判官が法廷で、双方の言い分を聴いたり、証拠を調べたりし、最終的に判決によって紛争の解決を図る手続き。

■紛争の対象が金額にして140万円以下の事件について、利用可能(140万円を超える事件の場合、地方裁判所での取り扱いとなります)

■訴訟の途中で、話合いにより解決することも可能です(これを「和解」と呼ぶ)

■判決書又は、和解の内容が記載された和解調書に基づき、強制執行を申し立てることが可能です。

■犯罪を処罰する裁判(刑事裁判)以外の裁判については、すべて民事裁判に分類されると考えて良いでしょう。

「民事訴訟」は、刑事裁判「以外の裁判全体」を指しており、多くの場合、刑事裁判と行政裁判を「除いた」裁判を指していると思って頂いて良いと思います。法律業界では、「家事事件」も除いた「通常民事事件」と呼ばれる裁判を指していると言えるでしょう。

民事訴訟の種類について

民事訴訟の種類は、以下のように分類されます。

■通常訴訟:個人の間の法的な紛争。主として、財産権に関する紛争の解決を求める訴訟です。
(例えば)
・貸金の返還
・不動産の明渡し
・人身損害に対する損害賠償を求める訴え

この類の訴訟は「通常訴訟」と呼ばれ、民事訴訟法に従って審理が行われるでしょう。

■手形小切手訴訟:民事訴訟法の特別の規定によって審理される「手形・小切手金の支払」を求める訴訟で、「手形小切手訴訟」と呼ばれます。この訴訟では、判決を早期に言い渡すことができるようにするため、証拠は書証と当事者尋問に限られます。

※第一審の通常訴訟の手続による再審理を要求する機会は、保障されており、手形・小切手金の支払を求める原告は、この類の訴訟を提起するか、通常訴訟を提起するかを選択できます。

■少額訴訟:簡易迅速な手続により「60万円以下」の金銭の支払を求める訴訟で、「少額訴訟」と呼ばれています。この訴訟は、「簡易裁判所」の民事事件となるでしょう。

■その他:離婚や認知の訴えなど、家族関係についての紛争に関する訴訟は、「人事訴訟」。公権力の行使に当たる行政庁の行為の取消しを求める訴訟の「行政訴訟」があるでしょう。

民事訴訟の種類:裁判所
参照元:裁判所(2015年11月時点、著者調べ)



民事訴訟にかかる費用について

ここから、本題の「民事訴訟にかかる費用」について、みていきたいと思います。

裁判にかかる費用とは?

■裁判所に納める費用
・裁判を起こす時にかかる手数料(訴状へ印紙を貼る)
・予納郵券(郵便切手で納める)
・裁判の進行中にかかる「証人」の旅費や日当の予納
・鑑定費用(鑑定を依頼する場合のみ)
・裁判記録の謄写(コピー)費用

■弁護士費用
・着手金
・報酬金(成功報酬)
・経済的利益の額
・弁護士日当、手数料
・法律相談料

などが考えられるでしょう。

訴訟費用について:裁判所
参照元:裁判所(2015年11月時点、著者調べ)

裁判所に納める費用

裁判を起こす時にかかる手数料(印紙代)とは?

■請求額100万円まで:10万円毎に1,000円(1%、1,000円刻み)
■請求額100万円以上、500万円未満:20万円毎に1,000円(0.5%、1,000円刻み)
■請求額500万円以上、1,000万円未満:50万円毎に2,000円(0.4%、ただし2,000円刻み)
■請求額1,000万円以上、10億円未満:100万円毎に3,000円(0.3%、ただし3,000円刻み)

(例えば)裁判で請求する金額が、

・10万円の場合:1,000円の印紙
・50万円の場合:5,000円の印紙
・100万円の場合:10,000円の印紙
・500万円の場合:30,000円の印紙
・1,000万円の場合:50,000円の印紙

というような計算となるでしょう。

予納郵券(訴状提出にかかる切手代)

郵便切手については、関係者に書類を送るために使われます。郵便切手の額は、訴える相手の人数や書類を送る回数によっても異なってきますので、訴状を提出する裁判所へ確認する必要があるでしょう。

<例えば>
・東京地裁の場合:被告(相手)が1人の場合:6,000円分
※被告が1人増えるごとに2,144円追加。

・東京簡裁の場合:被告(相手)が1人の場合:5,625円分
※被告が1人増えるごとに2,164円追加。

裁判所に入っている郵便局や売店で、あらかじめセットで売っています。また、訴え提起後に郵券が足りなくなる場合は、追加の予納が求められることも考えられるでしょう。
※この金額は、全国一律ではなく、地方によって異なります。

「証人」の旅費および日当について

証人尋問を請求する場合は、請求する側が予め納めることになるでしょう。

■かかる旅費:実費程度
■日当:大体1万円弱程度

鑑定費用(鑑定依頼する場合のみ)

最近もある芸能人が「親子関係不存在」という件の訴訟で、「DNA鑑定」の結果とか話題になりましたが、このように「鑑定」を依頼する場合に発生するのが、鑑定費用になるでしょう。他にも、殴られた傷を証明するための「医師の診断書」や「建築の瑕疵」を証明するための鑑定なども、考えられます。

鑑定を請求する場合は、請求する側が予め納める必要があります。そのケースによると思いますが、数千円~数十万円程度、かかることを想定する必要があるでしょう。

裁判記録の謄写(コピー)費用

証人尋問などの後、証言調書などをコピーしておく費用です。裁判所は記録の貸し出してはしないため、「裁判所の指定する」特定の業者(司法協会等)に依頼することになるでしょう。独占価格のため、1枚あたり何十円か取られると思われます。地方により価格が違うでしょう。普通の裁判であれば、証人尋問1回分は、数千円程度でしょう。 ここまで見てわかるとおり、通常の裁判では、請求額がよほど高額でなければ、鑑定などをしない限り、裁判所に納める費用は、大してかからないと言っても良いでしょう。
※但し、「仮差押え」や「仮処分」などの保全処分(強制執行が確実にできるよう、あらかじめ財産を確保する等)をする場合には、「保証金」が必要となってくるでしょう。
 
通常の裁判でかかる費用の多くは、弁護士費用と考えて頂いたほうが良いと思います。裁判では、判決の際負けた側に「訴訟費用を負担させる」という命令が下されますが、この訴訟費用に「弁護士費用」は含まれませんので、注意して下さい。

民事事件訴訟費用について:裁判所
参照元:裁判所(2015年11月時点、著者調べ)



弁護士費用について

弁護士費用は、以前まで弁護士会の報酬会規がありましたが、2004年3月に廃止されてしまいました。現在は、各弁護士で報酬基準を作ることになっており、自由価格にはなっています。

しかしながら、HPで弁護士費用の金額を見てみると、多くの弁護士さんが、その「報酬会規」を目安に費用を設定していることが見受けられます。その「報酬会規」で記載されていた弁護士費用を目安に「おおよその相場」を確認してみましょう。

民事事件の場合(手形・小切手訴訟事件を除く)

<経済的利益の額:着手金:報酬金>

■300万円以下の部分:(経済的利益の8%):(経済的利益の16%)

■300万円以上3,000万円以下:(5%+9万円):(10%+18万円)

■3,000万円以上3億円以下:(3%+69万円):(6%+138万円)

■3億円を超え部分:(2%+369万円):(4%+738万円)

※事件の内容によっては、30%の範囲内で増減。
※同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは、適正範囲で減額。
※着手金は、10万円を最低額。但し、経済的利益の額が125万円未満の場合、10万円以下に減額可能。 ■例えば、「慰謝料」や「投資の詐欺」で払ってしまったお金の回収等で、「1,000万円」の経済的利益を得る事件の場合においては、以下の弁護士費用がかかると思ってよいでしょう。

<経済的利益の額:着手金:報酬金>

・300万円以下の部分
(着手金):300万円×8%=24万円
(報奨金):300万円×16%=48万円

・300万円以上3,000万円以下
(着手金):{(1000-300)万円×5%+9万円}=44万円
(報奨金):{(1000-300)万円×10%+18万円}=88万円

合計(着手金):24万円+44万円=68万円
  (報酬金):48万円+88万円=136万円 そのため、1,000万円訴訟で回収できたとしても、着手金68万円、報酬金136万円の合計204万円を弁護士へ支払うことなる計算になるでしょう。但し、これは「着手金、報酬金だけ」ですので、これ以外に「弁護士の日当」や「かかる実費」がプラスされることが予想されます。

■弁護士日当の相場:1時間1万円程度

この和解までに約50時間程度の時間がかかったとすると、

・50時間×1万円=50万円(日当)がプラスされます。

実費は、かかる書類作成の費用や郵送料、交通費などの経費になるでしょう。そのため、総額で約255万円程度の弁護士費用が必要となる見込みと言えるでしょう。日当についても自由価格ですので、安くしてくれる弁護士さんもいらっしゃるようです。

また、法律相談のみでも、1時間当たり約5,000円~1万円程度かかる弁護士さんもいれば、契約に至る相談であれば、無料で相談に応じてくれる弁護士さんもいらっしゃいます。相談に行く前に、電話にて金額について問い合わせしてみると良いかもしれませんね。

(旧)日本弁護士連合会報酬等基準 :日本弁護士連合会
参照元:日本弁護士連合会(2015年11月時点、著者調べ)

費用を安く抑えるには?

弁護士会の法律相談センターを利用する

法律に関して、右も左も解らないため、どうしたら良いかわからない。または、どの弁護士さんに相談すれば良いのか?相談するのに料金がいくらかかるのか?など、不安な方もいらしゃるでしょう。そのような場合に、おすすめするのが、弁護士会でやっている「法律相談センター」の利用です。

法律相談センターは、「弁護士法」に基づき、弁護士会が運営する法律相談所です。公的な団体が運営に当たっており、弁護士さんが相談を担当してくれるため、安心して利用が出来ると思います。

■相談料:30分以内5,000円(消費税別)
※15分毎に延長料金2,500円(消費税別)がかかります。

相談するには:弁護士会の法律相談センター
参照元:弁護士会の法律相談センター(2015年11月時点、著者調べ)

弁護士費用を援助する(民事法律扶助)

弁護士に相談したい。依頼して裁判したいが、訴訟費用や弁護士の着手金を払う余裕がない場合。そんなときは、「日本司法支援センター」(法テラス)が行っている「民事法律扶助」の無料法律相談や弁護士費用などの立替えの制度を利用してみるのも方法です。

法テラスでは、法テラスの地方事務所や、法テラス登録弁護士・司法書士などの事務所、指定相談場所で「無料法律相談」を行っています。法律相談の結果、必要な場合には、「法テラスが」弁護士費用などを立て替えます。

この立て替えた費用については、原則、援助を受けた人が月々法テラスに返済する仕組みです。この制度を利用するには、「資力基準」や「勝訴(問題解決)の見込み」などの要件に該当する必要があるでしょう。また、弁護士費用などの立替えには、審査もあります。

※詳しくは、法テラスのHPでご確認ください。

法律相談窓口:日本司法支援センター(法テラス)
参照元:日本司法支援センター(法テラス)(2015年11月時点、著者調べ)

弁護士保険(権利保護保険)

自動車保険(共済)、火災保険、傷害保険などの特約として販売されている「弁護士保険」に加入していると、対象となる事故などの被害に遭った場合、法律相談料や弁護士費用が損害保険会社・共済協同組合から支払われるようになります。

弁護士に相談・依頼しようとする際は、自分が加入している保険・共済の契約内容(特約の有無)を確認してみると良いでしょう。

弁護士の選び方について

現在、日本には弁護士が3万人以上いるとされています。何か問題があって、弁護士へ法律の相談をしたい場合、どのようにして見つければよいのか?なかなか難しいかもしれません。初めて会った弁護士に、初対面で、自分の内情を打ち明けるのを躊躇する方もいらっしゃるでしょう。

個人の事情など、プライバシーにも関わる場合においては、信用が第一と考えるのが一般的ですよね。自分の友人や親族などで、弁護士を知っている方がいれば、その人に紹介してもらうのが最もよい方法ではないでしょうか?

もし、知り合いも弁護士を知らない場合は、日本弁護士連合会の「弁護士情報提供サービス ひまわりサーチ」などを利用し、その分野を扱う専門の弁護士を探す方法もあるでしょう。

弁護士情報提供サービス ひまわりサーチ:日本弁護士連合会
参照元:日本弁護士連合会(2015年11月時点、著者調べ)

まとめ

ここまで、「民事訴訟」でかかる費用について、見てきましたがいかがでしたでしょうか?また、その費用を安く抑えるための方法も、無いことはないと判りましたね!

ここで、もっと安くなる方法を申し上げておきますと、「弁護士が絶対に必要」とはされておらず、本人のみで訴訟を起こすこと「本人訴訟」も出来るとされています。弁護士費用がかからなければ、本当に安く抑えることも可能でしょう。

しかしながら、法律の知識が無い人が訴訟を起こしたとしても、勝てるかどうか?は、はっきり言って解りません。むしろ、相手側に弁護士が付いていたら、負けてしまう可能性も出てくるかもしれません。もし、その訴訟に負けた場合、逆に、訴訟にかかる費用をこちら側で負担しなければならないでしょう。

ですので、法律の知識、および「絶対勝てる」証拠が無い限りは、弁護士を付けることをおすすめします。今、お金が無くとも、法テラスで費用を借りることも可能でしょう。無茶はせず、ぜひ勝ち取る方法を考えて下さいね!
※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。