児童扶養手当法を活用しよう!ひとり親世帯必見の制度を解説

児童扶養手当法、1961年に公布され、1962年に施行された法律です。母子家庭や父子家庭が増えている中、受給対象になっていても知らないがために、何の手当も受けずにいる方は少なからずいるのではないでしょうか。厚生労働省が2015年1月1日に発表した離婚率は、およそ3組に1組の割合です。現実的な問題として今回紹介します



児童扶養手当法について

児童扶養手当法とは

児童扶養手当法とは、1961年に公布され、1962年に施行された日本の法律です。

児童が、父または母と生計を共にしていない場合に、養育されるべき家庭の生活の安定と、ひとり親世帯で子育てを行っている家庭の自立支援のために、その家庭の児童に対し児童扶養手当を支給することで、家庭の福祉の増進のために作られています。

この法律は、以下の引用文にありますように、第1章から第4章とその附則によって構成されています。また、世の中の実情に合わせる必要があるために、度重なる改正がされ、現在の法律は平成26年6月版が最新のものとなります。

2015年現在、支給されている児童扶養手当は、この法律によって支給されていることになります。

 第一章 総則(第一条―第三条)
 第二章 児童扶養手当の支給(第四条―第十六条)
 第三章 不服申立て(第十七条―第二十条)
 第四章 雑則(第二十一条―第三十六条)
 附則

出典:

law.e-gov.go.jp

児童扶養手当法
参照元:法務省(2015年11月、著者調べ)



児童扶養手当法の概要

この法律の概要として

児童扶養手当法は、児童扶養手当の基となる法律です。以下、簡単にご説明します。

・第1条には、まず、この法律の目的について書かれており、ひとり親の子育てを支援する、という内容となります。

・第2条には、児童扶養手当の趣旨の説明があり、この手当は児童のために支給されるのだから、それ以外の目的では使ってはなりません。また、児童の親は自分の力で家庭を安定されなければならないことや、この手当によって、児童を扶養しなくても良いでわけではない旨が書かれています。

・第3条には、この法律で使用する用語の定義が書いてあり、児童の年齢は18歳になった次の3月31日まで、または、障害を持つ児童は20歳未満までと制限されています。また、公的年金についての説明があり、子育て中の親に関する年金としては、国民年金、厚生年金、地方公務員の退職年金が当てはまりますね。また、婚姻について、戸籍上の婚姻以外でも、事実婚でも婚姻になること、または未婚の母の父と認定されることが説明されています。

第4条以降は、児童扶養手当の条件や金額、支給されない場合の不服申し立てについての規定があり、第20条まで続きます。第21条からは、虚偽申立てによる受給についてや、ぞれに伴う調査があること、不正受給した場合には、刑法により罰を受ける旨が第36条まで書かれています。

附則については、児童扶養手当を不正受給した場合において、利息を加算した金額を返還する利率の規定があります。

児童扶養手当について

以上のように、児童扶養手当法は、児童扶養手当の支給するための法律ということになります。

児童扶養手当の支給に関するすべてのことが、児童扶養手当法によって定められており、その法律に従って手当の支給等を行わなれているのです。

児童扶養手当の審査は2001年までは、都道府県が行っていましたが、2002年からは市町村が行うようになっています。また、手当の算定に当たっては、児童のもう片方の親からの養育費の一部も収入として加算されるようになり、児童扶養手当の額に、大きく影響するようになりました。

2010年8月からは父子家庭も支給の対象になっています。ただ、その当時、世論の一部では「男親のくせに、手当をもらうのはけしからん」的な意見も多かったようです。

受給資格者

児童扶養手当は、特別な場合を除いて、児童と生計を共にしている親、または児童の親に代わって、その児童を養育している方が受給することになっています。また、受給できる児童には年齢制限が、児童扶養手当法の第3条に定められています。以下に、受給対象となる児童についてご紹介します。

1、児童の父と母が離婚した場合
2、児童の父または母が死亡した場合
3、児童の父または母が重度の障害の状態の場合
国民年金の障害等級1級程度の障害が原則となっています。

4、児童の父または母の生死が不明な場合
災害に巻込まれ、行方不明の場合や失踪などが当たります。

5、児童の父または母から継続的に1年以上、養育を遺棄されている場合
6、児童の父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた場合
つまり、児童虐待されている場合が、相当します。

7、児童の父または母が法令により継続して1年以上拘禁されている場合
例えば、罪を犯し、刑務所などに収監されている場合がこれに当たります。

8、児童の母が婚姻しない、いわゆる未婚の母、の場合
9、児童の父または母が不明である場合
捨て子、とか孤児のことです。

受給資格対象外

児童扶養手当の支給にならない条件(支給停止を含む)は、以下の通りになります。

1、児童の父または母が、婚姻した場合
内縁関係や、事実婚も含まれます。戸籍上の婚姻は当然として、調査した結果、同居の確認が取れる場合や、生活を共にしている異性がいる、といった情報や、頻繁に異性が住居を訪れるなどにより、金銭的なの援助がある場合など、社会通念上から考えても、明らかに事実婚であると認められる場合が該当します。

2、児童が、児童福祉施設に入所した場合や、里親に出された場合
3、児童が、実際、生計を共にしていない父または母に養育されている場合
この場合は、父または母が重度の障害を持っている人は除かれます。

4、児童と親がともに日本国内に住所がない場合
国外に移住してしまった場合が該当します。

5、平成10年4月1日現在で、受給の要件に該当していても、受給の申請をしていなかった場合

支給額および支給月

児童扶養手当法の改正により、平成27年4月から以下の引用文のように改正になっています。また、この額については毎年改正があります。

児童扶養手当の支給日は、支給月の11日に、受給者の口座へ振り込まれます。もし、11日が銀行休業日の場合は前日の振込になります。また、支給月は年に3回以下の通りになります。

・12月から3月分は4月に振り込み
・4月から7月分は8月に振り込み
・8月から11月分は12月に振り込み

■月額の支給額
・児童数1人
:(1人目)全部支給4万2,000円/一部支給9,910円から4万1,990円
・児童数2人
:(1人目)全部支給4万2,000円/一部支給9,910円から4万1,990円
:(2人目)全部支給4万7,000円/一部支給1万,4910円から4万6,990円
・児童数3人
:(1人目)全部支給4万2,000円/一部支給9,910円から4万1,990円
:(2人目)全部支給4万7,000円/一部支給1万,4910円から4万6,990円
:(3人目)全部支給5万円/一部支給1万,7910円から4万9,990円
これ以降1人増えるごとに3,000円を加算していきます。

出典:

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支給の制限

所得制限

児童扶養手当を受給を受ける人は、所得制限があります。前年度の所得が以下の引用文にあるような場合は、児童扶養手当の全額、または一部が支給されまくなります。手当が全部支給になるのか、減額されて一部支給になるのかは、扶養親族の数によって変わることになります。

なお、「所得」とは、給与所得者の場合は、源泉徴収票に書いてある、給与所得控除後の金額のことをいいます。また、自営業者である場合は、確定申告書にある、所得金額の合計が「所得」に該当します。

また、扶養親族とは、年末時点で16歳以上であり、以下の要件を満たす人のことをいいます。

・本人の親族
6親等以内の血縁および3親等以内の姻族までが範囲です。

・生計が同じであること
・年間の所得が38万円以下であること

■本人の児童扶養手当所得制限金額
・扶養親族の数が0人/全部支給は19万円、一部支給は192万円
・扶養親族の数が1人/全部支給は57万円、一部支給は230万円
・扶養親族の数が2人/全部支給は95万円、一部支給は268万円
・扶養親族の数が3人/全部支給は133万円、一部支給は306万円
・扶養親族の数が4人/全部支給は171万円、一部支給は344万円
・扶養親族の数が5人/全部支給は209万円、一部支給は382万円

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扶養義務者の所得制限

仮に、本人の所得が手当の支給の限度内だとしても、扶養義務者の所得が以下の引用文にある一定の限度を超えてしまいますと、児童扶養手当そのものが支給停止となってしまいます。

例えば、本人と親と同居している場合など、児童の親の所得が、支給制限内だとしても、親(児童から見ると祖父母)の年間の収入が、制限を超えてしまいますと支給停止となってしまいます。祖父母の児童にとっては扶養義務者となりますので、児童の養育に多少なりとも援助をしていると考えられてしまうようです。

また、扶養義務者とは、生計を共にしていて、その本人に自活能力がない人のことをいい、児童も扶養親族に含まれます。その他には身体や精神に障害を持ち、働くことができない人のことも扶養親族となります。

■扶養義務者の所得制限金額
・扶養親族の数が0人/所得金額236万円
・扶養親族の数が1人/所得金額274万円
・扶養親族の数が2人/所得金額312万円
・扶養親族の数が3人/所得金額350万円
・扶養親族の数が4人/所得金額388万円
・扶養親族の数が5人/所得金額426万円

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児童扶養手当の額を計算する

控除後の所得を確認する

では、児童扶養手当で審査する、控除後の所得を計算の仕方を見てみましょう。

■計算式

・控除後の所得=前年度の所得+養育費の80%-8万円-その他の控除額
離婚した相手から養育費をもらっている場合は、年間の合計金額の80%を加算しなければなりません。また。「8万円」とは、生命保険料の控除額に相当するもので、一律8万円を差し引くことができます。その他の控除額とは、主に以下の引用文にあるものです。

①上記の計算式で、所得制限表を見て区分を確認します
受給者本人と児童だけで生活している場合は、所得制限表を確認するだけで、全部支給の範囲か、一部支給なのかが判定できます。もし、一部支給の金額よりも所得が多い場合は支給停止となってしまいます。

次に、同居の扶養義務者がいる場合は、その人の所得も計算しなければなりません。同居の扶養義務者とは、受給者本人から見て、親や祖父母のことをいいます。計算の方法は以下の通りとなります。

②扶養義務者の所得=所得-8万円-その他の控除額
「8万円」とは、生命保険料の控除額に相当するもので、一律8万円を差し引くことができます。その他の控除額とは、主に以下の引用文にあるものです。

仮に、この段階で扶養義務者の所得が、児童扶養手当の支給制限以上の場合は、手当は支給されません。

・障害者控除27万円
・特別障碍者控除40万円
・勤労学生控除27万円
・一般寡婦控除27万円
・特別寡婦控除35万円

出典:

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手当額の計算の実践

では、具体的に児童扶養手当の額を計算してみましょう。子ども1人、養育費は3万/月、その他控除はなしとします。

支給額の計算式は以下の通りです。

・支給額=4万1,990円-(所得額-8万円-限度額)x0.0185434
となります。これも、分かりやすく分解しながら計算することにします。

■例1、所得控除後の所得が50万円の場合
①所得額を計算します。
所得額=所得控除後の所得+養育費の80%-8万円-その他控除額
で計算ができます。養育費は年寒36万円ですから、その80%は28万8,000円となります。

では、数字を入れてみましょう。
所得額=所得控除後の所得+養育費の80%-8万円-その他控除額=50万円+28万8,000円-8万円=70万8,000円となり、所得額は70万8,000円となります。

②所得額から児童1人分の57万円を引きます。
70万8,000円-57万円=13万8,000円となります。

③②の計算額に係数0.0185434を掛けます。
13万8,000円x0.0185434=2,558円です。

④支給額を計算します。
支給額は=4万1,990円-2,558円=3万9,432円になりますが、10円未満は四捨五入しますので、支給金額は、3万9,430円となります。

■例2、所得控除後の所得が100万円の場合
①所得額を計算します。
所得額=所得控除後の所得+養育費の80%-8万円-その他控除額
で計算ができます。養育費は年寒36万円ですから、その80%は28万8,000円となります。

では、数字を入れてみましょう。
所得額=所得控除後の所得+養育費の80%-8万円-その他控除額=100万円+28万8,000円-8万円=120万8,000円ということで、所得額は120万8,000円となります。

②所得額から児童1人分の57万円を引きます。
120万8,000円-57万円=63万8,000円となります。

③②の計算額に係数0.0185434を掛けます。
63万8,000円x0.0185434=1万830円です。

④支給額を計算します。
支給額は=4万1,990円-1万830円=3万1,160円になりますので、支給金額は、3万1,160円となります。

■例3、所得控除後の所得が150万円の場合
①所得額を計算します。
所得額=所得控除後の所得+養育費の80%-8万円-その他控除額
で計算ができます。養育費は年寒36万円ですから、その80%は28万8,000円となります。

では、数字を入れてみましょう。
所得額=所得控除後の所得+養育費の80%-8万円-その他控除額=150万円+28万8,000円-8万円=170万8,000円ということで、所得額は170万8,000円となります。

②所得額から児童1人分の57万円を引きます。
170万8,000円-57万円=113万8,000円となります。

③②の計算額に係数0.0185434を掛けます。
113万8,000円x0.0185434=2万1,102円です。

④支給額を計算します。
支給額は=4万1,990円-2万1,102=2万888円になりますが、10円未満は四捨五入しますので、支給金額は、2万890円となります。

■例3、所得控除後の所得が200万円の場合
今度は、条件を変えてみましょう。子ども2人、養育費なし、その他控除もなしとします。
①所得額を計算します。
所得額=所得控除後の所得+養育費の80%-8万円-その他控除額=200万円-8万円=192万円

②所得額から児童2人分の95万円を引きます。
192万円-95万円=97万円

③②の計算額に係数0.0185434を掛けます。
97万円x0.0185434=1万7,987円です。

④支給額を計算します。
支給額は=4万1,990円-1万7,987円=2万4,003円になりますが、10円未満は四捨五入しますので、支給金額は、2万4,000円となります。なお、子ども2人目は5,000円加算しますので、2万9,000円になります。

手当の請求方法

必要書類

児童扶養手当を申請する場合は、以下の書類が必要です。申請日より1カ月以内に発行された書類を用意しないと受け付けてもらえません。また、支給対象月は申請した翌月になりますので、月末近くになって慌てないように前もって準備しておいた方が良いでしょう。

・受給者本人の戸籍謄本
・受給者本人の住民票(世帯全員)
・受給者本人の前年度の所得証明書
・受給者本人の印鑑(念のため通調印も)
・健康保険証(本人と児童)
・受給者本人の年金手帳
・受給者本人の預金通帳
・その他必要書類(窓口で用意してくれます)

これらの役所の窓口で手続きすることになります。そのあと、受給資格があるかどうかについての審査があります。

■審査結果
受給認定の審査結果がでるまでには、およそ1カ月かかります。児童扶養手当を受給できる人は、児童扶養手当証書が同封されてきますが、所得制限によって手当が支給されない人は、認定不可の通知文書が届くだけです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

児童扶養手当法によって、児童扶養手当の受給を受けることができるのです。あらかじめ、ある程度の知識を持っていれば、申請の時に慌てることもないでしょう。

また、実際、いくらの手当が支給されるのかも心配な点ではないでしょうか。計算方法も厄介なものですが、電卓があれば概算的な金額は計算できますので、一度ご自分で計算してみるのも良いといえます。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。