【老後の生活】年金にも継続雇用にも頼らない第3の方法が今注目!

老後の生活をどのように送ろうと考えていますか?今から老後資金を貯めて悠々自適な生活を送りたい人もいるでしょう。今の仕事を続けるという方法もあります。公的年金だけに頼るのは少々心もとないと感じている人は多いみたいです。今注目のこんな方法もあります。



老後の生活に待ち受ける経済難

老後の生活には貧困リスクがあります。公的年金の受給開始年齢の引き上げや平均寿命の延びによって老後に必要なお金は増える一方です。公的年金に頼ることはリスクです。公的年金に不安があるのは日本人口の高齢化だけでなく少子化も原因です。

高齢者を支える現役世代

内閣府の高齢社会白書(平成27年版)には65歳以上の高齢者を15~64歳の現役世代何人で支えるかという数値が出ています。昭和25年には高齢者1人に対して現役世代12.1人が支えていました。神輿のような状態で安定感があります。昭和60年には半分くらいに減って6.6人で支えていました。神輿ほどではないですが、まだ支えることはできそうです。

平成17年にはさらに半分になり、3.3人で高齢者1人を支えている状態にまで減りました。騎馬戦のような状態で、安定感は大きく減りました。平成26年には支える人が3人を切っており、2.4人で1人を支えている状態です。

今後の推計では平成32年に2人で1人を支えることになり、平成72年(2060年)では1.3人で1人を支えることになるというデータが出ています。肩車状態です。

高齢化の状況|平成27年版高齢社会白書(概要版) – 内閣府
参照元:内閣府HP (H27年11月 著者調べ)

老後に必要な資金は?

老後には一体いくらのお金が必要なのでしょうか。その答えを出すには老後の人生が何年かを知る必要があります。65歳の人の平均余命は男性で19.3年、女性で24.2年です。つまり老後の人生は20年間あるのです。厚生労働省が年齢階級別の平均支出額を調査しており、65歳~84歳までの20年間の平均支出月額は約25万円になります。つまり20年間の生活費合計は約6,000万円になります。

もちろん貯蓄が6,000万円ないといけないわけではありません。公的年金の収入が20年間で夫婦合わせて4,000万円~5,000万円はあるので、貯蓄からの取り崩しは1,000~2,000万円ということになります。

主な年齢の平均余命|厚生労働省資料
参照元:厚生労働省HP (H27年11月 著者調べ)



老後の生活の選択肢

老後の生活にお金は必要です。老後の生活資金を何に頼れば良いのでしょうか。選択肢としては今までのように年金と貯蓄の切り崩しによる生活が一番始めに考えられます。現在は多くの高齢者がこの選択をしています。

他には、定年後も延長雇用で働き続けるという選択肢も考えられます。国の政策により定年の切り上げや定年制の廃止、延長雇用制度の導入を義務付けています。国は現在、高齢になっても働けるうちは働き続けるような環境を整備している真っ最中と言えます。

そして、これら2つの選択肢以外にも別の動きがあります。それぞれの選択肢の実態を見ていきます。

選択肢①公的年金の受給と貯蓄の切り崩し

現在の高齢者の多くはこの選択肢を取っています。高齢者の平均所得は約300万円です。そのうち約200万円は公的年金の受給です。また、公的年金を受給している高齢者のうち半数以上が公的年金のみで生活をしているという調査結果も出ています。

公的年金は老齢基礎年金の満額受給で約78万円、平均は年間約65万円です。厚生老齢年金は働いていた時の年収によって異なりますが、平均受給額は年間約178万円です。合算すると年間で公的年金の所得は243万円ですが、自営業の場合は老齢厚生年金の受給がないため高齢者全体の平均が低い水準となっています。年間243万円あれば持ち家の場合だと何とか生活はできるかもしれません。

ところが現役世代が高齢者を支えられなくなった場合のことを考えると、サラリーマンと言えども公的年金に頼りきるのはリスクが大きいと言わざるを得ません。そのため、「老後は働かない」という選択をするのであればそれなりの金額を貯蓄しておく必要がありそうです。

平成 25 年度厚生年金保険・国民年金事業の概況について|厚生労働省プレスリリース
参照元:厚生労働省HP (H27年11月 著者調べ)

今の高齢者は裕福?

高齢者のアンケートで「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と「家計にゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と答えた割合は71%という水準ですので、決して低くはないという印象です。また、貯蓄額を見ると63.6%の高齢者が貯蓄額1,000万円以上です。老後の生活に備えて貯蓄をしてきたことと、年金があるために心配なく暮らせているということでしょう。

高齢者の経済状況|平成27年版高齢社会白書(概要版)|内閣府
参照元:内閣府HP (H27年11月 著者調べ)



選択肢②継続(延長)雇用

日本は国の政策として、高齢者の雇用には力を入れています。平成25年には高齢者雇用安定法を施行し、定年に達した人の継続雇用制度の対象者を限定することを禁止しました。公的年金の支給開始年齢が引き上げられたことにより、定年から年金支給開始までの無収入の状態を回避する狙いです。

高年齢者雇用安定法の改正|厚生労働省
参照元:厚生労働省HP (H27年11月 著者調べ) また、「生涯現役社会の実現」という言葉も度々出るようになっています。厚生労働省は「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会」を開催し、検討結果を公表しています。今すぐに制度を変えることはないと思いますが、働ける人には一切年金を支給しないような制度に変えていく可能性もあります。

「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会」報告書|厚生労働省
参照元:厚生労働省HP (H27年11月 著者調べ)

定年後の継続雇用者の割合は?

実際に継続雇用の現状はどのようになっているのでしょうか。厚生労働省が公表している資料によると、平成26年6月1日から平成27年5月31日の1年間で60歳の定年企業における定年到達者は約35万人でした。そのうち、継続雇用された人は 28.8万人(82.1%)、継続雇用を希望しない定年退職者は6,2万人(17.7%)、継続雇用を希望するも継続雇用されなかった人は745人(0.2%)だけでした。

継続雇用という制度は確実に会社に浸透していることがわかります。ただし、この数字は60歳を定年としている会社ですので、すでに65歳に定年を引き上げている会社の継続雇用者数は入っていません。

平成27年「高年齢者の雇用状況」集計結果|厚生労働省プレスリリース
参照元:厚生労働省HP (H27年11月 著者調べ)

70歳以上も働ける会社が増加

継続雇用により70歳以上まで働ける企業は年々増えています。調査結果では全体の20.1%が70歳以上も働けるようになっており、前年よりも1.1 ポイント増加しました。大企業と中小企業ではどちらの方が割合が多いのでしょうか。

企業規模別に見ると、中小企業では、21.0%が70歳以上も働けるようになっており、前年比1.2 ポイントの増加です。大企業では12.7%と中小企業に比べると割合としてはまだ少ないですが、前年からは0.9ポイント増加しています。

第③の選択肢はコレ!

年金には頼らない。継続雇用もしないという高齢者が少しずつ増えています。第3の選択肢は「起業」です。老後に起業なんてできるの?と思う人もいるかもしれませんが、起業をする人の年齢で60歳以上の割合が増えているのです。昭和57年には起業家のうち60歳以上の割合はわずか8.1%でしたが、平成24年には何と32.4%にまで増加しました。

高齢者の起業に多い業種は?

55歳以上のデータなので、高齢者ではなく”シニア”になりますが、シニア起業家の開業業種をみると、医療・福祉が22.1%と最も多く、その次にサービス業(17.9%)、飲食店・宿泊業(14.7%)となっています。サービス業は経営コンサルタントや営業代行のようなサービスです。

シニア起業家の開業直前の職業は正社員で管理職ポストに就いていた人が46.7%と最も多くなっています。また、会社や団体の常勤役員23.3%を合わせると70.0%となり、シニア起業家は開業直前にマネジメントに携わっていた人の割合が多いと言えます。

長年働いた会社や仕事と完全に縁を切るのではなく、以前の仕事や会社との関係をある程度保ちながら起業をする人が多いようです。現在の事業に関連する仕事の経験年数の平均は、シニア起業家では17.8年と他の年齢層よりも長く「30年以上」が32.3%となっています。逆に「経験なし」の割合も22.6%と、他の年齢層よりも高いのも特徴です。長い経験を生かした開業がある反面、未経験分野での開業も多いのです。

起業・開業の動機は「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」「社会の役に立つ仕事がしたかった」「年齢や性別に関係なく仕事がしたかった」が上位に並びます。今回のテーマである「収入を増やす」という目的は低い傾向にありますので、現時点では老後の生活のためというよりは自分を磨き続ける事を優先した起業が多いようです。

シニア起業家の開業~2012年度「新規開業実態調査」から~|日本政策金融公庫
参照元:日本政策金融公庫HP (H27年11月 著者調べ)

身近なシニア起業家

私の身近にも60歳を超えて起業した人がいます。義理の母は義理の父の定年退職をきっかけに、長年の夢であったカフェの経営を61歳で始めました。身近に60歳を超えてから起業したりお店の経営を始めたような人はいませんか?

新規の起業には特別な融資がある

高齢者に限りませんが、起業に対する特別な融資があります。中小企業庁が主体となって起業家の支援として金利を抑えた融資を行っています。

・女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】

女性や30歳未満の若者、55歳以上の高齢者を対象として、開業から7年以内の人に対して日本公庫(中小企業事業・国民生活事業)が優遇金利を適用した融資を行っています。多様な事業者による新規事業の創出を支援する目的です。

・新創業融資制度【財政投融資】

新たに事業を開始する人や事業を開始して間もない人を対象として、無担保・無保証人で日本公庫が融資を行う制度です。

・小規模事業者経営改善資金融資(マル経融資制度)

小規模事業者を金融面から支援するために、商工会・商工会議所・都道府県商工会連合会の経営指導を受けている小規模事業者に対して、日本公庫が無担保・無保証・低利で融資を行っています。

女性、若者/シニア起業家支援資金|日本政策金融公庫
参照元:日本政策金融公庫HP (H27年11月 著者調べ)

定年後も働く3つのメリット

定年後、つまり老後の生活には不安が付き物です。最も不安に感じるのは、年金と貯蓄だけで生活できるのかという経済的な不安ではないでしょうか。他にも、人との交流が減ることによる孤独に対する不安や健康面での不安もあると思います。定年後にも働くことにより、これらの不安を解消することにもなります。

メリット①経済的不安の回避

収入が年金だけになってしまうと、生活するために必要なお金の不足分は貯蓄を取り崩すことになります。貯蓄が減り続けると、いつか資産がなくなってしまうという不安がつきまといます。働くことによって年金以外の収入も得られると、そういった不安は少なくてすみます。

メリット②孤独にならない

老後の生活の不安には「孤独」もあります。独身の人や、配偶者がいる場合でも先にどちらかが亡くなった後は単身世帯となることが多くなります。実際、1人暮らしの高齢者は増加傾向にあり、高齢者人口に占める1人暮らしの割合は男性で11.1%、女性で20.3%となっています。これは昭和55年の約2倍の割合となっているのです。

高齢者の家族と世帯|平成26年版高齢社会白書(全体版)|内閣府
参照元:内閣府HP (H27年11月 著者調べ)

メリット③認知症・病気の予防

認知症と生活習慣には関係があると言われています。メリット②にあげましたが、1人にならないということは認知症の予防にもなります。退職をすると対人接触が急に減ります。定年退職後も対人接触の機会が続くことは認知症の予防につながるようです。

また、外に出る機会が減ると運動習慣にも影響が出ます。週3日以上の有酸素運動は認知症予防に有効とされていますし、働く内容にもよりますが文章を読んだり書いたりする知的行動も認知症の予防につながります。認知症に限らず、生活習慣病は退職後の大きなリスクです。働き続けることによって生活習慣が乱れないという点がメリットと言えます。

まとめ

現在の公的年金だけでは老後の生活は不安という人は多いはずです。サラリーマンであっても、厚生年金だけでは生活が苦しくなります。中小企業を中心に継続雇用の環境は整っていますので、何歳になっても働けるためにも健康でいることが最も大事ですね。65歳を超えてから起業する人も増えていますので、定年まで働いた経験を活かして新たな道を切り開くのもこれからの時代の流れになるかもしれません。